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コロナ補助金詐欺(デジタル化応援隊事業)に関する報道の概要と解説

報道の概要について

テレビ局の調査により、コロナ対策などの補助金(デジタル化応援隊事業、100億円規模)をめぐり大がかりな不正が行われている疑惑が浮上しました。詐欺グループがSNSを利用して詐欺の共犯者を募り、不正受給がなされているとのことです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/39781211bf0b7773b6fd979a09b570f42feab920

https://news.yahoo.co.jp/articles/8dc8b8e04c1246419d6171cad3ac7f0e7c879fa2

 

本件報道について

デジタル化応援隊事業は、デジタル化・IT活用の専門的なサポートを充実させるため、フリーランスや兼業・副業人材等を含めたIT専門家を 「第Ⅱ期 中小企業デジタル化応援隊」として選定し、その活動を支援する、中小企業庁の取り組みです。

このような補助金・給付金については、迅速に処理する必要がある反面、コロナ禍の中で多量の申請が行われるために申請の真実性を審査しきれないことに着目した詐欺グループに狙われます。

他には、コロナ禍のなかで多量の申請がなされた持続化給付金や雇用調整助成金の不正受給が著名です。

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詐欺グループの構成

詐欺グループは、一般に、主犯格、中位者、下位者という構造を持ちます。

(1)主犯格

主犯格は詐欺の手法に精通した実力者で、中位者に指示をして下位者を用意させたり、詐欺を実行させたりします。

多くの場合、主犯格は自ら実行犯にならず、犯行が発覚した場合に訴追されるリスクを減らします。

主犯格は、最も多く取り分を取ることが多く、多いと被害金額の80%ほどを得ることもあります。

(2)中位者(指南役、指示役など)

中位者は、主犯格と元々の知り合いであることが多く、下位者を集めてきたり、詐欺の実行犯を指示したり、場合によっては自ら実行犯を担当したりします。詐欺の指南役と言われる役割を担うのは、多くの場合中位者です。中位者の取り分は主犯格との関係性によって様々ですが、多くの場合、被害金額から10%、などの割合を決めて分け前を得ます。

(3)下位者(実行犯)

下位者については、中位者の「地元の後輩」であったり、SNSなどで募られ、数万円から10万円程度を与えられて実行犯となります。給付金の詐欺では、自らが給付金を受け取る本人になることが多いです。

また、給付金詐欺ではありませんが、いわゆる「オレオレ詐欺」で現金を被害者から受け取ったり(受け子)、ATMからお金を引き出したり(出し子)するのも、下位者の役割です。

犯行が発覚した際に最初に検挙される人物であるにもかかわらず取り分が少なく、主犯格や中位者に利用されている立場です。

SNSをつうじた下位者の募集方法

詐欺グループは、TwitterやFacebookなどのSNSを用いて下位者を募集することがよくあります。

(1)募集

もちろん、これらの募集には「詐欺の共犯者募集」とは書いてありません。

例えば、短時間で儲かるとか、楽に儲かるとかいうことが書かれています。それに対して反応してきた人が詳しい話を聞いていくと、徐々に詐欺に導かれていきます。

また、既に存在するインターネット上のコミュニティーを利用して会社を募集することも頻繁にあります。

楽にお金が儲かる方法や短期に大金が儲かる方法を探すと、「投資」などをしているグループ(LINEグループなど)にたどり着くことがあります。そのグループでは、メンバーがお金が儲かるような話を共有し、投資や参加を募ります。その中には、詐欺やその他の犯罪につながるものも紛れています。

このような募集は「案件」などと呼ばれています。

なお、詐欺かどうかにかかわらず、グループのメンバーはこのような「案件」を何のメリットもなく流しているわけではありません。

ほとんどの場合、このような「案件」の紹介者には手数料が入るようになっており、グループのメンバーは人を紹介すれば紹介するだけお金がわかるようになっています。

(2)「案件」の説明

このような求人や「案件」に応募すると、中位者などから詳細が説明されます。

これらの説明をする中位者は、多くの場合SNS上で派手な生活を公開していたり、一目でわかるブランド物を多数つけていたりします。

中位者は、それにより応募してきた下位者に「この人はお金を稼いでいるんだ」と思わせ、中位者についていけばお金を稼げると信用させるとともに、自分もあのようになりたいと憧れさせます。

この時に、中位者が下位者に「自分たちのやってる事は詐欺に当たる」と説明することはありません。

応募した下位者の多くは、中位者に説明された際、なんとなく怪しいと思って、一度は「大丈夫なんですか」などと質問します。

すると、中位者は「大丈夫です」「弁護士や税理士もついています」「みんなやっています」などと言って安心させます。場合によっては「警察沙汰になる事はありません」などと言います。ですが、本物の税理士や弁護士が出てくる事はほぼありません。

この説明は、後から考えると到底大丈夫だと安心できるような内容では無いのですが、詐欺に関わる方は、儲け話に目がくらみ、「この案件がやりたい」「大丈夫だと思いたい」という気持ちに引きずられ、「大丈夫なんだろう」などと考えて詐欺に関わっていくことになります。

ここで立ち止まることができる人は、詐欺をせずにこの「案件」から遠ざかっていきます。

なお、中位者は下位者を勧誘するのが仕事なので、「本気の人だけが成功するので本気じゃなければグループをやめてください」などと言ってグループに参加させてもらえなくなるのではないかと言う不安を煽ったり、既に手続きを進めているのでキャンセル手数料が何十万円もかかるなどと言って脅し、判断力を低下させて説得することもあります。

詐欺に巻き込まれた、自分のしていることが詐欺かもしれないと気がついた方へ

自分のしていることが詐欺ではないかと気がついた場合に、中位者や主犯格に相談しようと思う方もいるかもしれません。ですが、そのような相談は残念ながら意味がありません。

中位者や主犯格は、それが詐欺罪に該当するかどうかはさておき、よくないことをしているという事は理解して敢えて行動しています。

ですので、中位者や主犯格に相談をしても、「大丈夫だよ」「バレないよ」「今更そんなこと言ってどうするの」などと言って、ごまかしてきます。

ところが、実際には、詐欺であれば、警察その他の当局は、発見次第、事件を捜査します。

当局の調査によって詐欺が発覚することもありますし、詐欺グループの他の人間が自首することによって詐欺が発覚することもあります。

そのため、何もしなければバレないと言うのは現実ではなく、願望に過ぎません。

自分の知っていることが詐欺かもしれないと考えた方は、まず弁護士に相談してください。

場合によっては、下位者が中位者や上位者に騙されていただけで、下位者は詐欺の共犯ではない可能性もあります。

また、詐欺の共犯である事は否定できないとしても、弁護士と一緒に警察に行って犯罪事実を説明すれば(自首)、逮捕や刑務所行きを避けられたりする可能性があります。

何かをしてしまった過去を変えられませんが、これから何をするかは選択できます。

上原総合法律事務所では、給付金等の不正受給案件を多数取り扱い、自首するなどして適切に対応しています。

給付金詐欺で自首した案件では、すべて逮捕を避けることができています。

また、本当に上位者に騙されていただけの事案では、警察に立件されること自体も防げています。

上原総合法律事務所では、迅速にご相談を受けられる体制を整えています。

遠慮なくお気軽にご相談ください。

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弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

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