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暴行について元検事の弁護士が解説

刑法犯の検挙人員で窃盗に次いで多い暴行罪。

ストレスが多いと言われる現在社会において、感情の行き違いや言い掛かりからトラブルとなり、毎年多くの暴行事件が発生しています。

暴行は、検挙人員の多さや他の凶悪犯罪(強盗や強制わいせつなど)の手段に用いられるものであるため重大な犯罪と言うこともできますが、一方で法定刑が低いこともあり、比較的軽微な犯罪に位置づけられることが多いのも事実です。

「軽い暴行であれば逮捕されない」「放っておいても不起訴になるはず」と思われている方も少なからずおられるのではないでしょうか。

そこで、元検事である弁護士が、統計情報などを用いながら、暴行罪の実態や弁護活動について解説いたします。

暴行罪とは?罰則は?

暴行罪(刑法208条)は、人の身体に対して有形力を行使することで成立する犯罪です。

殴ったり、蹴ったり、押したり、胸ぐらを掴むなどの典型例のほか、近年問題となった車の幅寄せ・あおり運転行為といった人の身体に直接接触しない行為も暴行に当たります。
暴行罪の刑罰は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金又は拘留もしくは科料です(暴行罪の時効は3年です)。
拘留もしくは科料で処罰されることは少なく、懲役、罰金、不起訴となるのが通常です。

また、暴行の結果、ご本人が怪我をさせるつもりがなかったとしても、相手が怪我を負ってしまった場合は暴行罪ではなく、傷害罪(刑法204条)が成立します。
傷害罪の刑罰は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です(傷害罪の時効は10年です)。

逮捕・勾留される確率は?

逮捕や勾留される確率は高いのでしょうか?それとも低いのでしょうか。

令和2年版犯罪白書によると、令和元年(2019年)に検察庁で処理された暴行罪のうち、約45%が逮捕されています。
これに対し、傷害罪は56%、窃盗罪は33%が逮捕されています。

次に逮捕された者のうち、勾留されたのは約54%です。
傷害罪は76%、窃盗罪は82%が勾留されています。

他の犯罪と比べれば、逮捕・勾留される確率は低く見えますが、それでも約半数近くの人が逮捕され、逮捕された者のうち、半数以上の人が勾留されていることを考えれば、一概に身柄拘束の確率が低いと考えるのは早計です。

暴行罪は相手が怪我を負っていませんから、適切な対処を行えば刑事処分(懲役や罰金)を避けられる(不起訴)可能性があります。
そのことから、身柄拘束による社会生活への影響(会社の欠勤など)を極力避けることが重要です。

早期釈放に向けての弁護活動

逮捕や勾留といった身柄の拘束が行われるのは、

➀証拠隠滅の恐れ(物的証拠の破壊、被害者を脅したり、関係者との口裏合わせなど)
②逃亡の恐れ

がある場合です。

早期釈放を実現するためには、検察官や裁判官に証拠隠滅や逃亡の恐れがないことを示すしかありません。

具体的には、家族などの身元引受人を用意したり、反省の態度を示していることを検察官や裁判官に意見書という形で提出したり、また勾留決定がなされた後は勾留決定の取消を求める旨の申立て(準抗告)を行います。

傷害罪と違い、怪我という結果が生じていないため、検察官や裁判官に証拠隠滅や逃亡をしないことを的確に伝えることにより、短期間で釈放され、ご自宅に帰れることが多いです。

また、相手が怪我を負っていないことで、示談交渉を直ぐに開始することができることも多く、早期に示談を成立させることができれば、更に釈放される可能性が高まります。

ただ、全ての暴行罪で早期の釈放の可能性が高いかと言われれば、そうではありません。

近年、社会問題化している児童虐待や配偶者間暴力(DV)の場合、被疑者を釈放すれば、被害者(子供、配偶者)を脅したり、関係者と口裏合わせする可能性は高いため、身柄拘束が長期間続くことが予想されます。

このように暴行罪といっても、相手の性別や年齢、暴力の態様などは様々です。

そのため、早期に弁護士に相談した上で、個々の事情を考慮し、早期釈放に向けて行動することが何より重要です。

事件捜査の流れ

1 身柄を拘束されたまま捜査(身柄事件)

逮捕から48時間以内に事件は検察庁に送られ(送検)、検察官において勾留請求を行うべきか否かの判断が行われます。

その後、裁判官において勾留決定がなされると10日間勾留されます。

更に必要があれば最大10日間の延長が可能です。

逮捕から最大で23日間留置所で身柄を拘束される恐れがあります。

その後、検察官において、起訴か不起訴の判断を行われます。

起訴の場合、公開の法廷での裁判(公判請求)と罰金刑を求める書面だけの裁判(略式裁判)のどちらかを受けることになります。

2 身柄を拘束せずに捜査(在宅事件)

警察官から呼び出しがあり、複数回の取調べを受けた後、事件は検察庁に送られます。

その後、検察官において起訴か不起訴の判断を行われます。

在宅事件の場合、身柄事件のように早期に処理されず、長いと、検察官の起訴・不起訴の判断が行われるまでに数か月~1年を要することもあります。

そのため、検事時代に被疑者の取調べを行った際に「不起訴になって終わっていると思っていた!」とおっしゃる方も多いです。

確かに、事件の中には、暴行の程度が非常に軽く、被害者と示談も成立しているなどの事情から、検察官からの方から連絡しないまま、不起訴処分が決定されることもあります。

しかし、多くの事件では起訴・不起訴の判断を行う前に、検察官は本人から事情を直接又は電話などで聞くことが多いです。

そのことから、勝手に「不起訴だろう」と思い込み、その間、何らの対処もしないで放っておけば、最悪のケースでは刑事処分を受ける可能性があります。

在宅事件であって、ご本人又は弁護士を通じて、必要に応じて、警察や検察に事件の進捗状況を確認し、適切な対処を行う必要があります。

暴行罪は不起訴になりやすいのか?

令和元年(2019年)に検察庁で処理された暴行罪のうち、約68%が不起訴(起訴猶予)となっています。

対して、刑法犯全体では起訴猶予率は約51%、傷害は約59%、窃盗は約53%です。

起訴猶予とは、犯罪が行われたことは明らかであるものの、被疑者の年齢、境遇、犯罪軽重や犯行後の情状などを考慮して起訴をしない(不起訴)処分のことです。

不起訴処分となる理由には、起訴猶予のほかにも、心神喪失、嫌疑なしなど様々理由がありますが、圧倒的に多いのが起訴猶予という処分です。

暴行罪の起訴猶予率約68%は、刑法犯全体や発生件数の多い窃盗と比較しても、不起訴率(起訴猶予率)が高いことが分かります。

ただ、この統計結果から、暴行罪は不起訴になりやすいから犯罪だと結論付けるのは、非常に危険です。

なぜなら、この統計では、起訴猶予となった理由は明らかにされていないからです。

例えば、そもそも暴行が非常に軽いという理由で起訴猶予になっている事件もあれば、被害者と示談が成立して起訴猶予になっている事件もあります。

同じ事件は1つとして存在しませんので、起訴猶予となる理由は様々です。

そのため、暴行罪だからという理由で、不起訴になりやすいと考えるのは注意です。

不起訴にするためには?

暴行罪のように被害者が存在する事件の場合、被害者と示談することが、不起訴を獲得する上で重要です。

ただし、過去に同種の前科がある場合や、執行猶予中である場合は、示談が成立しても、起訴されてしまうことがあります。その場合は罰金を目指すこととなります。

ご本人で被害者に謝罪し、示談交渉も行いたいと思われる方もいらっしゃると思います。

しかし、実情としては、示談交渉は弁護士が行う方がメリットは大きいです。

弁護人に示談交渉を依頼するメリットを3つ説明します。

1 被害者との連絡を取りやすい

示談交渉をするためには被害者の連絡先をまず知る必要があります。

連絡先は、警察官や検察官が被害者に連絡をし、「連絡先を教えてもいい」と了解が得られた時にのみ、連絡先を教えてくれます。

ご本人でも連絡先を教えてほしいと頼むことは可能ですが、被害者が直接連絡してトラブルが再発することを避けたいと考えますので、教えてもらえないことが大半です。

その点、弁護士は専門家ですから、「弁護士であれば」という理由で、被害者の連絡先を教えてもらえることが多く、早期に被害者と連絡を取ることができます。

2 示談がまとまりやすい

示談に際して、心の底から反省し、謝罪の気持ちをあったとしても、示談も交渉でありますので、当事者同士というのは話しているうちに更なるトラブルに発展する可能性があります。

そのため、示談がうまくまとまらないということが多々あります。

その点、弁護士は、第三者的な立場で、冷静に相互の意見を汲み取り、粘り強く交渉を続けることができますので、示談がまとまりやすいです。

3 適切金額で示談できる

示談金の額について、ご本人としては「安い金額でまとめたい」、相手方としては「高い金額でまとめたい」と思うのが当然です。

そのため、当事者同士だと示談金額を決まらないことが多いです。

その点、弁護士は、数々の事件を通しておおよその適正金額を分かっており、適正金額もしくは近い金額で示談できる場合が多いです。

なお、あくまでも基準ですが、軽い暴行で10~万円程度であることが多いです。

正当防衛だった場合や無実の場合

暴行をしていない場合は、冤罪により刑罰を受けないように、無罪を求めて徹底的に戦う必要があります。

また、暴行はしたけれども、相手方から攻撃してきて、正当防衛であった場合も徹底的に戦う必要があります。

正当防衛とは、攻撃という不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するために認められるものです。

そのため、攻撃を受けたことに乗じて、積極的に加害行為に出た場合は防衛の意思がないことになり、正当防衛が否定されます。

例えば、殴られたから殴り返したという場合です。

また、防衛のためなら、どのような防衛行為でも良い訳ではなく、許容される防衛行為である必要があります。

例えば、殴られたから、階段から突き落とすというのは、防衛行為の相当性を超えており、正当防衛が成立しません。

これらのケースの場合、正当防衛が成立しないことから、お互いに暴行の被疑者であると共に被害者ということになります。先ほどご説明した示談交渉の問題となります。

なお、暴行を本当にしていないという場合、それは、被害者や目撃者による犯人の特定が誤りである可能性や、被害者が嘘を言っていて暴行被害自体がなかったという可能性もあります。

その際は、弁護士において、無罪を勝ち取るための証拠を探します。

無実の場合や正当防衛の場合、取調べ対応についても、弁護士としっかり打ち合わせをする必要があります。

「やましいことはないのだから事実を正直に言えば良い」とだけ思って取調べに応じていると、思わぬ形で揚げ足を取られる可能性があります。

逮捕されている事案では、弁護士が警察署に行ってこの打ち合わせをします。

弁護士との打ち合わせには警察官の立ち会いはなく、誰にも聞かれることがないので安心して相談ができます。

後日逮捕の可能性

まだ警察から連絡が来ていない場合でも、この後、逮捕されるのではないかと思い、「夜も眠れない」「不安でしかたない」という方も多いと思います。

後日逮捕の可能性ですが、可能性としては十分あります。

現在は至る所に防犯カメラが設置されており、また暴行事件の際には目撃者がいる場合も多く、犯人として特定される可能性があります。

しかし、必ず逮捕されるかと言えば、その判断は難しいです。

ただ、「逮捕されるのか?されないのか?」と不安を抱えて生活するのはとても辛いものです。

そのような場合、相手方が分かっているのであれば、弁護士を通じて示談交渉することも

1つの手ですし、また、示談交渉ができないのであれば、自首をすることも考えられます。

暴行は放っておけば逮捕される可能性がありますが、自首をすれば、検挙はされますが、逮捕を避けられる可能性が出てきますし、逮捕されたとしても裁判官が勾留されない可能性も出てきます。

また、自首することで、被害者に反省していることを分かりやすく示すことができます。

自首に関して相談いただければ、自首後に警察にどのようなことを話すのかを打ち合わせの上、弁護士を同行の上で自首することができます。

ご相談は上原総合法律事務所へ

軽微な暴行事件であれば、放っておいても不起訴になる可能性があるのは事実ですし、処罰されたとしても罰金刑で済む場合が多いです。

仮に罰金刑で処罰されたとしても、自らが話さない限りは他人に発覚することはありませんし、社会生活への影響もないかもしれません。

しかし、罰金になる可能性が少しでもあるのなら、放っておくべきではありませんし、できる限り前科は罰金であったとしても避けられるように対処すべきです。

特に暴行罪は適切に対処すれば、高い確率で不起訴を獲得できる可能性がある犯罪です。

当事務所では、暴行事件を多数処理してきた元検事の弁護士が複数在籍し、個々の状況をじっくりお聞きし、それぞれの事案に即して、示談交渉、早期の身柄の解放や勤務先への対応、取調べなど必要な弁護活動を誠心誠意行っております。

また、すでに警察に検挙されている方や逮捕・勾留されている方のご家族からの相談では、15分の無料相談を行っています。

暴行罪を犯したことで不安になられている方は、是非お気軽にご相談ください。

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