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「窃盗」とは,他人の物を盗むことです。
「窃取」とは,盗むことを意味します。
厳密に言うと,「窃取」とは「財物の占有者の意思に反して,その占有を侵害し,自己または第三者の占有に移すこと」のことです。
ここにいう占有という用語は最高裁判所判例において「人が物を実力的に支配する関係」と説明されています。
「財物」については専門的には複雑な議論がありますが、「もの」と理解していただいて差し支えありません。また、電気については刑法第245条で(窃盗などの罪)「財物とみなす」と規定されています。電気を盗むことも窃盗罪になります。
「万引き」は,お客さんがお店で商品を盗むことを意味する言葉です。
お店からすると万引きをしに来た人はお客さんではありませんから、厳密には「お客さんのふりをした人」です。
万引きという言葉は刑法にはありません。
法律上でいえば,万引きは窃盗罪にあたります。
また、お店は万引きをする目的で店舗に入ることを認めていませんので,万引きをする目的でお店に入る行為自体は,窃盗とは別に建造物侵入罪に該当する可能性があります。
一口に窃盗罪と言っても,色々な種類があります。
以下のようなものも窃盗にあたります。
・ 空き巣(家に侵入して物を盗む行為)
・ スリ・ひったくり
・ 自動車盗
窃盗罪を犯したからと言って必ずしも万引きをしたということにはなりません。
「盗難」とは,物を盗まれる被害にあうことを意味する言葉です。盗難も刑法には記載がありません。
盗難は,被害にあったことを意味する被害者側の視点の言葉です。法律用語を使って言えば,盗難にあったというのは,窃盗罪の被害にあったということになります。
お店の視点からすると,盗難の被害に遭うことは,お店の経営に大きな悪影響を与えます。
小売店の多くは薄利多売で商売をしております。
一つの商品を売ることで得られる利益は大きくなく,一つの商品を盗まれることによる損失は大きいです。
例えば,コンビニの粗利率は約30%と言われています。粗利というのは,売値から仕入れ値を引いた額です。
1000円売った商品の仕入れた値が700円であれば,粗利は300円です。
粗利率が30%ということになります。
粗利はお店の手元に残るお金ではありません。
売値から仕入れ値を引いたお金にすぎません。
お店は,この粗利の積み重ねの中から家賃や人件費などの経費を支払っていくことになります。
粗利30%・売値1000円の商品の場合,一つの盗まれた商品の仕入れ代金分(700円)の粗利を得るためだけに,粗利300円の同じ商品を2つ以上売らなければならないことになります。
万引きの多くは,店員か万引きGメンに捕まります。
万引きGメンとは,万引き犯人を捕まえるために店舗に雇われた警備員です。
店舗に雇われた人であり,警察官ではありません。
※ 万引きGメンのGは,特別捜査官を意味する英語Governmentl manから来ています。
そのため,万引きGメンは警察官ではありませんが,現行犯を逮捕することができます
万引きで捕まるのはどういう時かというと,多くの場合は店員か万引きGメンに万引きの現場を目撃されている場合(現認,と言います。)です。
犯行を目撃されているので言い逃れをするのは難しいです。
また、被害店舗は万引きをよくする人のことを把握しています。お店の従業員用休憩室に「万引き常習者」として写真を貼り出していることもあります。
そのため,同じ店で万引きを繰り返している場合,その店の店員や万引きGメンは,万引き常習者が店舗に入ってきた時点で気づき,監視を開始します。
店員や万引きGメンに監視されているにもかかわらず万引きをすれば,鋭い監視により現認され,捕まります。
見つからずに店を出たとしても,後日、警察官が家に来たり電話してきたりすることがあります。
これは,防犯カメラ映像で万引きの状況や顔などが撮影されるなど証拠がある場合に行われます。
この場合,警察官は,十分に証拠を精査した上で,万引きをしたと言える,と考えて家にきており,この場合も基本的に言い逃れはできません。
なお,警察官が家に来た場合,被害店舗は特に強い被害感情を持っています。
被害店舗からすると,警察官に防犯カメラ映像等を提出して捜査をお願いするためには,とてもたくさんの労力がかかります。
本来すべきお店の仕事があるのに,防犯カメラを調べ,交番や警察署に行き,長い時間をかけて書類を作成してもらいます。
お店の経営者が警察の対応をすれば,その分経営の時間が失われますし,従業員が警察の対応をすれば,その時間分のお給料をお店が支払っています。
店舗に謝罪や示談交渉をするとき,万引きはこのような負担をさせているのだということをよく理解して、被害店舗との示談交渉をする必要があります。
万引きのほとんどは,何度も万引きをした後に捕まります。
万引きをしている人のほとんどは,万引きをした後に「もう次は万引きをしないようにしよう」と思っています。
この特殊性から,万引きをして捕まった場合には,以下の2点の対応をする必要があります。
・ 刑事事件対応(不起訴や執行猶予を得るための活動)
・ 再犯予防(もう二度と万引きをしないための仕組み作り)
万引きをして捕まったら,警察の捜査を経て検察官に事件が送致されます。
検察官は,自らも捜査をし,起訴・不起訴の決定をします。
検察官が事件を起訴し,有罪判決が下されると,懲役刑または罰金刑で処罰され,前科がつくことになります。場合によっては実刑となり刑務所に行かなくてはならなくなる可能性もあります。
そのため,刑事事件として適切な対応をし,なるべく不起訴や執行猶予などの軽い処分になるように活動するべきです。
処分を軽くするためには,以下のようなことを検察官伝えるなどする必要があります。
・被害弁償
・なぜ犯行に及んだのか有料な情状を提出
・今後の再犯予防策を練る
また,一見すると悪質な手口に見える事件でも,そのような方法で万引きをしたことに同情できる理由があることもあり,しっかりと捜査機関に理解できるように説明する必要があります。
不起訴にする方法については,ケースバイケースですが,一般論は以下に記載してありますのでご覧ください。
万引きの事件においては,再犯予防のために仕組みを作ることがとても大切です。
万引きで捕まった方は,「これから先の人生においてもう二度と万引きをしない」という目標を達成する必要があります。この目標は,一見すると当たり前で簡単なものです。しかし、万引きを繰り返した末に捕まった人にとっては簡単ではありません。
捕まった直後は,みなさん「もう二度と万引きをしない」と思っています。
多くの方は,捕まる前から,万引きをした後や家に帰った時などに色々なことを思い,後悔します。
・ 次は捕まるかもしれない
・ 警察が後から家に来るかもしれない
・ こんなもの要らないのになど
そして,万引きをするたびに「もうやめよう」などと思っています。
それにもかかわらず万引きを繰り返したため,最後に捕まるのです。
このように,万引きを繰り返して捕まった方の多くは,自分では万引きをやめられません。
そのような方は,医師などの専門家の力を借りる必要があります。
医師などの専門家の力を借りる必要がある,ということを,ご本人が受け入れることが簡単ではありません。
ご本人は「もう二度とやらない」と思っているので,自分の意思だけでやれると思ってしまいがちです。
また,医師などの専門家の力を借りる必要があることをご本人が理解できても,ご家族などの周辺者が理解できるとは限りません。
ご家族の中には,「医師などの専門家の力を借りる必要がある」という事実を受け入れたくないという気持ちがあります。多くの方は,できれば,「普通である」と思いたいのです。
そのため,適切な治療を受けるためには,ご本人とご家族の理解・納得という大きなハードルを超える必要があります。
また,医師などの専門家の力を借りる際には継続的に通って治療していく必要がありますが,継続的に通うということも簡単ではありません。
家族などが,継続的に通うサポートをすることが必要です。
万引きをもう二度としないためには,個別具体的な事情に応じ,しっかりとした仕組みを作る必要があります。
万引きをして捕まったけれどもどうして良いかわからない,という方は沢山います。
そのような方は,お気軽に上原総合法律事務所にご相談ください。
上原総合法律事務所は元検事弁護士5名を中心とする弁護士集団で刑事事件について熟知しています。
また、その豊富な経験から,法律知識のみならず,ご相談者の求めていることを達成するために何がベストかをアドバイスします。
家族にも相談できず困っている方も少なくありません。弁護士に相談することで,少しでも楽になってもらえればと思っています。
必要があれば,ご本人やご家族に治療の必要性をご説明することも行っています。
万引きをして苦しんでいる方は,お気軽に上原総合法律事務所にご相談ください。
万引きがやめられない方・クレプトマニア(窃盗症)について知りたい方はこちらをご覧ください
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