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横領・背任について元検事の弁護士が解説

横領とは

横領とは、「自ら占有保管する他人の物を不法に取得する」という犯罪です。

例えば、友人から借りた物を無断で売却したり、会社の会計担当者や経理担当者が会社のお金を着服したりするなどという行為が横領罪になります。

横領罪には、占有離脱物横領罪、横領罪(以下、他の横領罪と区別するために「単純横領罪」と言って説明します)、業務上横領罪の3つがあり、順に法定刑が重くなります。

以下、それぞれの罪について詳しく説明します。

占有離脱物横領の罪

占有離脱物横領罪は、「遺失物、漂流物そのほか占有を離れた他人の物を横領した」場合に成立します。例えば、道端に落ちていた財布や道端に無施錠で停められていた自転車を自分の物にしてしまった場合などです。

占有離脱物横領罪の法定刑は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」です。

占有離脱物横領で気を付けなければならない点は、捜査機関の捜査の結果、「窃盗」と判断される可能性があるということです。例えば、公園のベンチの上に置いてあった財布を自分の物にした場合、実際は遺失物ではなく、持ち主はベンチに置いていただけで、すぐ近くのトイレに行っていただけであるなど、持ち主の占有が離れていないと判断された場合は「窃盗」として刑事処罰をされることになります。窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と、占有離脱物横領よりも刑が重くなります(窃盗と横領の違いは2で詳述します。)。

単純横領の罪

単純横領罪は、「自分が占有している他人の物を横領した」場合に成立します。例えば、他人から借りている本やDVDなどを借りた人に返さずに自分の物にしたり、勝手に売却してお金を自分の物にした場合などです。

単純横領罪の法定刑は「5年以下の懲役」です。罰金刑はありません。

なお、後日返還や補填をする意思や能力があったとしても、横領罪は成立します。例えば、企業秘密である資料等を一時的に持ち出し、複写した後に元の場所に戻したような場合であっても、企業の許可なく複写することは不法領得の意思(他人の物を自分のものとして、その経済的用法に従って利用・処分する意思のこと)があったと見なされ、横領罪が成立します。

業務上横領の罪

業務上横領罪は、「業務上、自分が占有している他人の物を横領した」場合に成立します。例えば、会社や他人のお金や物を預かることを業務(会計・経理担当者や、運送業者などの仕事)としているにもかかわらずそのお金や物を着服してしまった場合などです。

業務上横領罪の法定刑は「10年以下の懲役」で、罰金刑はありません。「横領」と付く罪名の中で、最も重い法定刑です。

所有者に信頼をされて物を預かった人がその信頼を裏切って横領をしてしまう犯罪であり、単純横領罪に比べると法定刑も重くなっています。

窃盗と横領の違い

窃盗も横領も、他人の物やお金を自分の物にしてしまうという点では同じですが、下記のような違いがあります。

窃盗罪は「他人が占有する物を自分の物にする」犯罪です。

それに対し、横領罪及び業務上横領罪は「自分の預かっている他人の物を自分の物にする」犯罪です。

例:A店に保管されている現金5万円を、自分の財布に入れて自分の物にした

A店と関係ない人が店に侵入し、現金5万円をとった場合→窃盗

A店で経理を担当している人が、現金5万円をとった場合→業務上横領

このように、状況や立場によってどの犯罪が成立するかが決まります。

窃盗については、詳しくは「窃盗」のページをご覧ください。

横領で逮捕されてしまったら(身柄解放のために)

占有離脱物横領罪の場合

占有離脱物横領罪で逮捕勾留されてしまった場合は、被害者に対して被害弁償を行ったり、謝罪や反省の意思を伝えたりして示談を行うことが重要です。示談を行うことにより早期に身柄が解放されることがあり、早ければ早いほど釈放される可能性が高まるため、できるだけ早く手を打つ必要があります。

示談交渉は、弁護人を介して行った方がスムーズですし、示談が成立しやすいです。というのは、被害者との示談交渉は、捜査機関に被害者の氏名や連絡先を聞くところから始まりますが、連絡先を「弁護士限り(被疑者やその家族に伝えない)」という約束のもとで弁護士に教えてくれることが多いのです。占有離脱物横領の被害者は、被疑者と面識のない人であることがほとんどです。そのため、被疑者に連絡先等を知られるのは嫌だと思う方も多く、弁護士限りであれば連絡先等を教えても構わないと判断してくれる方も多くいます。被害額も高額なことは多くなく、被害弁償や慰謝料を行うことで示談が成立し、身柄を解放してもらえる可能性が高くなります。

単純横領罪・業務上横領罪の場合

横領や業務上横領の場合は、占有離脱物横領とは違い、そのほとんどが被疑者と被害者は顔見知りであり、被害者から被害届が提出されるなどして逮捕に至るケースが多くあります。

被害弁償や示談の大切さは、横領・業務上横領においても同じですが、横領・業務上横領の被害者は、被疑者(横領をした方)を信頼して物やお金を預けている場合がほとんどであり、そのため被害者の処罰感情も大きく、占有離脱物横領のように示談や謝罪の意思を伝えたからと言って、示談ができないこともあります。しかし、示談ができなかったとしても、被害弁償を行う意思や反省・謝罪の意思を被害者側に示すことはとても重要ですし、今後の処分の判断にも関わってくるため、被害者に対して反省等の意思表示を行うことをおすすめします。

示談について、詳しくは「示談を成立させたい」をご覧ください。

落ちていた財布を自分のものにしてしまった、会社のお金を着服してしまったなど、横領に関する犯罪で逮捕されるかもしれない・逮捕されたくないと不安を抱えている方は、「逮捕されたくない」をご覧ください。

また、起訴前に釈放してもらうよう弁護活動を行うことはもちろんですが、仮に起訴された場合、起訴後には「保釈」の申請が可能となることから、起訴後は速やかに保釈の請求ができるようあらかじめ保釈金や身元引受人の準備をしておくことも大切です。

事件の見通し等を考慮し、個別の対処をしていくこととなります。

釈放、保釈に関しては、「釈放、保釈してほしい」をご覧ください。

不起訴などより軽い処分のために

 占有離脱物、横領、業務上横領の各罪には、必ず被害者がいます。そのため、不起訴などの軽い処分を獲得するためには、被害者や被害会社に対して、被害金や被害品を返還することが大切です。その上で、被害者や会社に迷惑をかけたことに対する慰謝料を支払ったり、謝罪や反省の意思を伝えたりしていくことで、被害者や会社から被害届を取り下げてもらえたり宥恕してもらえる可能性があります。また、仮に被害金の全てをお返しできなくとも、交渉の過程で誠意を示すことができれば、分割で支払っていく約束をすることで示談できることもあります。

以下、占有離脱物横領と単純横領・業務上横領に分けて詳しく説明します。

占有離脱物横領罪

占有離脱物横領は、被害者へ被害弁償を行うなどして示談を成立させることで、不起訴などの軽い処分を受けることができます。初犯である場合は、示談を行うことができれば不起訴を獲得できることが期待できます。

被害者と示談をすることができず、起訴される場合には、罰金刑や執行猶予を目指します。この際、被害者に弁償を行う意思や反省の意思があったことは、刑を決める上でも考慮されるため、示談等は行うことをおすすめします。

横領罪・業務上横領罪

横領・業務上横領のご相談をいただく場合、「会社から呼び出しを受けている。まだ警察には連絡されていないようだが、今後どうしたらよいか。」という内容のご相談をいただくことが多いです。

被害会社から警察に連絡・通報をされていない段階では、被害会社との示談が成立し、被害届が提出されなければ前科前歴がつくことはありません。弁護士は被害会社との示談交渉に力を入れ、示談の成立・被害届を提出しないように確約してもらうよう弁護活動を行います。

被害会社が既に警察に相談していて被害届を出されている場合でも、被害会社に被害弁償を行って示談を成立させ、被害会社から許してもよいとの嘆願書をもらったり被害届を取り下げてもらうことで不起訴処分を獲得できる可能性があります。

事案によっては、会社としては刑事事件にしてお金を返してもらえなくなったり、警察や検察、裁判など様々な対応によって更なる不利益を被るよりも、交渉段階でなるべく多くお金を返済してもらうようにするほうが良いと考えてくれている場合もあります。そのような場合、早い段階で謝罪と賠償の提案をし、誠意を持って対応することが大切になります。

被害金が多額の場合、全額をすぐに返せないこともあります。そのような場合でも、誠実な対応を続け、現実的な分割弁済案を示すことで示談ができることも多々あります。どのような分割弁済案であれば被害者に納得していただけるかについては、事案に応じた判断が必要となりますので、弁護士にご相談ください。

仮に起訴されてしまった場合には、執行猶予の獲得や減刑を目指します。

初犯で横領した被害金額を全額弁償できれば執行猶予がつくことが多いです。

横領や業務上横領の場合、数年かけて着服して被害総額も多額になってしまい被害額を全額弁済ができないというケースもあります。このような場合は、一部でも被害弁償をすること、分割でも弁済を続けていくこと、深く反省していること、ご家族などの協力者に弁護側の情状証人として出廷してもらうなどの弁護活動を行い、執行猶予や減刑を目指すことになります。

示談金の相場

まずは、横領をした被害金額全額を返金することや被害品を返還することが大切です。その上で、被害者や会社に迷惑をかけたことに対する慰謝料を支払ったり、謝罪や反省の意思を伝えたりしていくことで、被害者や会社から宥恕してもらえる可能性があります。

横領した額が多額の場合、一括で返せないことが多いと思います。被害者次第ではありますが、被害額全額ないし慰謝料を払ってもらえるのであれば分割払いでも構わないと言ってもらえる可能性もあります。分割払いを許可してくれるためには、誠実に真実を話し、謝罪や反省の意思を伝えて、被害者の被害感情を少しでも軽減させることが重要です。

上原総合法律事務所では、業務上横領の相談を受け、示談の申し出や反省の意思を真摯に伝え続けることにより、被害会社に被害弁償及び示談を受け入れてもらうことができ、不起訴や執行猶予を勝ち取ることができた事例を多数経験しています。長期にわたる分割弁済を約束することで示談できた例も存在します。その中でご紹介できる事案を記載しておりますので、詳しくは、「解決事例 7」をご覧ください。

量刑の相場

令和元年における横領に関して、以下のような統計が出ています(令和2年版犯罪白書より)。

公判請求され、令和元年に第一審が終結した事件約480件のうち、

約55%が執行猶予判決

となっています。

横領をした期間や被害金額、被害弁償や示談ができているかなど、個別の事情で判断されますが、公判請求されたうちの半数以上は執行猶予判決となります。

しかし、事案によっては、全額被害弁償を行い、前科もなく、謝罪や反省の態度がみられ、家族が今後の監督を誓約していたとしても、実刑判決が言い渡された事例もあります。

例えば、郵便局員が1年10か月にわたり切手等を着服したという判例では、前記のような事情がありましたが、実刑判決が言い渡されました。

業務上横領のように、業務上の立場を利用して犯罪を行う場合、その社会的立場や影響等も勘案して判決が言い渡されることになります。

また、令和元年の控訴審判決において、判決のあった63件のうち2件で無罪判決が言い渡されました。このように、第一審で実刑判決が言い渡されても、控訴審において再度裁判を行うことで、無罪判決を勝ち取れる場合もあります。

解決事案

上原総合法律事務所においては、横領の事案について、横領をした被疑者側・横領された被害者側の双方の事案を扱っております。

解決事例は以下のとおりです。

1 横領した被疑者側の事例

横領事件の解決事例(勾留阻止、示談成立させて執行猶予とした事例)

2 横領された被害者側の事例

横領事件の解決事例(交渉により被害金額を100%回収)

横領されてしまった被害会社側の対応

横領や業務上横領の被害に遭った会社側は、どのような対応を行えばいいのでしょうか。

被害に遭ってしまった場合は、まず、被害に遭った金銭的損害額等の把握や事実関係の調査及び把握、会社としてどのような方針で対応をしていくのかなどを決める必要があります。

業務上横領等の被害に遭ってしまうと、被害額の補填や社員への対応はもちろんのこと、場合によっては警察等の捜査機関、裁判所での裁判、マスコミ、株主などへの説明対応など様々な対応を行わなくてはならなくなります。

上記のように、様々な対応を行うことによる損失は計り知れません。このような内部不祥事は、未然に防ぐことがとても大切です。

上原総合法律事務所においては、危機管理や内部通報窓口にも注力しており、組織対応として、内部通報窓口を設置することもお勧めしております。内部通報窓口については、詳しくは「内部通報」をご覧ください。

また、危機管理や内部通報に関するセミナーなど、各種セミナーを定期的に行っております。セミナーの概要については、「セミナー情報」をご覧ください。過去のセミナーでは、大手企業から中小企業まで、様々な業種の方にご参加いただいております。

ご相談は上原総合法律事務所へ

上原総合法律事務所は、元検事(いわゆる「ヤメ検」)の弁護士が多数在籍しており、業務上横領などの複雑な事案の調査や対応も得意としています。

それぞれの事案に即して、自首、示談交渉、執行猶予の獲得、減刑など迅速かつ的確な弁護活動を行いますし、刑事事件に伴う困りごとへのアドバイスも行っています。

上原総合法律事務所では、迅速にご相談を受けられる体制を作っています。社内で横領があるかもしれないと考えた経営陣の方や、落ちていた財布を警察に届けることなく自分のものにしてしまった、会社のお金を着服してしまったなど、横領に関する犯罪で警察に呼ばれたり、逮捕されたり、会社をクビになってしまうかもしれないなどの不安を抱えている方は、お気軽にご相談ください。

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横領されてしまった会社の側の対応について

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