閉じる×

テレビ局部長ら5名がIT導入補助金を不正受給した疑いで逮捕された件に関する解説

 

1 概要について

・中小企業のIT化を進めるための国の支援制度「IT導入補助金」について、うその申請を行い補助金900万円をだまし取った詐欺の疑いで、大阪のホームページ制作会社「ワールドエージェント」の代表取締役と、テレビ朝日の部長ら5人が逮捕された

・「IT導入補助金」は国に登録している業者の支援を受けて、中小企業がITシステムを導入した場合に1社あたり50万円を限度(当時)として経費の半分が補助される制度

・警察によると、「ワールドエージェント」は、中小企業のIT化をサポートする登録業者であり、中小企業の事業者がIT化を進める際に、事業者と共謀し、1社当たり100万円の経費がかかったと旨のうその申請をしていたとみられている

IT導入補助金について詳しくはこちらの記事をご参照ください

意図せず不正受給に巻き込まれてしまったという場合についてはこちらの記事をご参照ください

元検事弁護士に無料相談 LINEでのご相談予約 メールで相談予約
03-6276-5513

2 報道の分析

上記報道の概要は、2022年2月9日付け「NHK  NEWS  WEB」の記事等を参考にし、内容を整理したものです。

本件の手口は各種報道からは不明ですが、申請時にかかった経費の証明が求められるはずですので、ワールドエージェントに対して実際に100万円を支払うなどして金銭授受の事実を作った上で、後日(おそらく別会社から)同額の返金を受け、支給された補助金をワールドエージェント側と分配するといった方法などが推察されます(追記 本記事掲載後、「HP導入に費用を支払ったように装った」「1件につき108万円が振り込まれたとする明細を提出していた」という報道がなされています。そのため、本件は、実際には支払われていない費用を振り込んだように装った手口だったと推察されます。また、厚生労働省職員も関わっていて書類送検されたとの続報もなされています。)。

本件で疑問なのは、ワールドエージェントではなく、逮捕されたテレビ局局員の立場についてです。

本件の手口が上記方法の場合、ワールドエージェントは申請した100万円が実際の経費ではなく、いわば見せ金のようなものとの認識があるはずですから、「これは詐欺だ」と明確にわかっているレベルでの不正受給の故意があると思われます。

一方、テレビ局局員の方は、ワールドエージェントに言われるがまま、いわば「おいしいやり方がある」というくらいの認識で申請を行っていたということも考えられますから、登録業者としてIT導入補助金制度のルールを正しく理解していたワールドエージェントとは異なり、不正受給の故意がないか、あってもかなり希薄なものであった可能性がありますし、「悪徳業者に金儲けの手段として利用されただけ」と整理することも不可能ではないように思います。

元検察官の立場からすると、警察が、「両者が共謀した」との事実をどのような証拠から認めたのか(申請内容から容易に認められるのか、何らかの方法で両者のやり取り(LINEやチャットワーク等)を入手し、そこから認定できたのか等)が気になります。

いずれにしても、本件は公金900万円の詐取ですので、有罪判決となったと場合にはそれなりに長期の刑が予想されます。

3 今後の捜査の展望について

IT導入補助金は経産省所管のようです。経産省は社会問題化した持続化給付金の不正受給についても厳格な対応をしてきており、これまで大学生を含む多数の逮捕者が出ています。

持続化給付金は100万円の不正受給でも逮捕に至っているわけですから、IT導入補助金についてもこれと同様、厳しい対応で臨む可能性が高いと思われます。

また、警察としても公金の不正受給事案は厳格に対応せざるを得ませんから、本件の捜査が終わった後、同種事案の捜査を継続することも見込まれます。

とはいえ、申請者全員を捜査するというのは現実問題として不可能であり、捜査機関がどこまで立件できるかというキャパシティの問題にもなってくるわけですが、少なくともワールドエージェントの利用者については、銀行口座の履歴から全員把握されているはずです。

その中から、受給額が多い人で、かつ、返金もしていない(できない)ような処罰価値の高い人物をピックアップして、可能な限り立件していく、ということになるでしょうか。

4 不正受給事案に関して当所ができること

上原総合法律事務所では、IT導入補助金を含む各種助成金・補助金の不正受給案件に力を入れており、元検察官の弁護士チームが、全国どこからのご相談でもお受けしています。皆様のご状況に応じて、今後どうすべきかや、どのようなリスクがあるか等を助言するとともに、刑事弁護はもちろん、不正の実態調査、自首同行など様々な活動をしていきます。

ご相談者のご不安をできるだけ早く解消するため、なるべく即日、遅くとも翌日と、迅速にご相談をお受けすることを心がけています。

事務所に直接お越しいただかなくとも、ZOOMや電話でのご相談もお受けしております。

上原総合法律事務所では不正受給事案のご相談を多数お受けしておりますので、豊富な対応ノウハウがございます。
各種助成金の不正受給でお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。

IT導入補助金について詳しくはこちらの記事をご参照ください

意図せず不正受給に巻き込まれてしまったという場合についてはこちらの記事をご参照ください

お問い合わせ先はこちら

■LINEでのお問い合わせはこちら
■メールでのお問い合わせはこちら
※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。

上原総合法律事務所にご相談いただく際の流れはこちらの記事をご参照ください。

弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

関連記事はこちら
元検事弁護士に無料相談 LINEでのご相談予約 メールで相談予約
元検事弁護士に無料相談 03-6276-5513 LINEでのご相談予約はこちら メールでのご相談予約はこちら

お問い合わせ メールでのお問い合わせ LINEでのご相談予約はこちら

お問い合わせ状況

昨日のお問い合わせ件数

今月のお問い合わせ件数

95

外国人労働者雇用.com

コンテンツメニュー

コラム

【新着コラム】

【コラムカテゴリー】

アクセス

【新宿事務所】

〒151-0051
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-27-3
やまとビル7階
新宿駅新南口 徒歩3分
新宿三丁目駅 E8出口すぐ
代々木駅東口 徒歩5分


【横浜事務所】

〒220-0004
神奈川県横浜市西区北幸2-9-40

銀洋ビル7階

横浜駅南9出口徒歩5分


【立川事務所】

〒190ー0012
東京都立川市曙町2ー8ー28

TAMA MIRAI SQUARE 4階

JR立川駅北口徒歩5分