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面会要求が罪に該当する場合とは?刑事事件のポイントと注意点

面会要求罪は新しい法律です。

面会要求罪とはなにか?面会要求してしまったらどうすれば良いのか?について、刑事事件を熟知している元検事(ヤメ検)の弁護士が解説します。

1 面会要求罪とは

性加害に関する処罰を強化する目的から、令和5年6月16日、「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」と「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(いわゆる「性的姿態撮影等処罰法」です。)が成立し、そのほとんどが、同年7月13日から施行されました。

それらの改正の中で、刑法に新設されたのが「16歳未満の者に対する面会要求等の罪」(刑法182条)です。
この罪は一般的に「面会要求罪」と呼ばれています。

簡単にまとめますと、この罪は、16歳未満の者(ただし、13歳以上16歳未満の者に対する行為については、行為者が5歳以上年長の者である場合に限ります。)に対して、

⑴ わいせつの目的で、威迫、偽計、利益供与等の不当な手段を用いて、面会を要求する行為

⑵ ⑴の結果、わいせつの目的で、面会する行為

⑶ 性交等をする姿態、性的な部位を露出した姿態などをとってその写真や動画を送るよう要求する行為

 

を処罰対象としています。

16歳未満の人は、性的行為に関する自由な意思決定の前提となる能力に欠けるため、性犯罪の被害に遭う危険性が高いといえます。

そこで、16歳未満の人が性被害に遭うのを防止するため、実際の性犯罪に至る前の段階であっても、性被害に遭う危険性のない保護された状態を侵害する危険を生じさせたり、これを現に侵害する行為を新たに処罰するためにこの罪が新設されたのです。

 (十六歳未満の者に対する面会要求等)

第一八二条 わいせつの目的で、十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

 一 威迫し、偽計を用い又は誘惑して面会を要求すること。

 二 拒まれたにもかかわらず、反復して面会を要求すること。

 三 金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を要求すること。

2 前項の罪を犯し、よってわいせつの目的で当該十六歳未満の者と面会をした者は、二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。

3 十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為(第二号に掲げる行為については、当該行為をさせることがわいせつなものであるものに限る。)を要求した者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

 一 性交、肛門性交又は口腔性交をする姿態をとってその映像を送信すること。

 二 前号に掲げるもののほか、膣又は肛門に身体の一部(陰茎を除く。)又は物を挿入し又は挿入される姿態、性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下この号において同じ。)を触り又は触られる姿態、性的な部位を露出した姿態その他の姿態をとってその映像を送信すること。

 

2 罰則

上で述べているとおり、処罰対象となる行為は、16歳未満の者(ただし、13歳以上16歳未満の者に対する行為については、行為者が5歳以上年長の者である場合に限ります。)に対して、

⑴ わいせつの目的で、威迫、偽計、利益供与等の不当な手段を用いて、面会を要求する行為

⑵ ⑴の結果、わいせつの目的で、面会する行為

⑶ 性交等をする姿態、性的な部位を露出した姿態などをとってその写真や動画を送るよう要求する行為

 

であるところ、その法定刑は

⑴の行為につき「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」

⑵の行為につき「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」

⑶の行為につき「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」

 

とされています。

なお、⑴及び⑵の行為の結果、実際に性的行為に及んだ場合には不同意わいせつ罪又は不同意性交等罪が、⑶の行為の結果、実際にそれらの写真や動画を送らせた場合には不同意わいせつ罪が、それぞれ成立し得ることとなります。

3 具体的な事例

面会要求罪に該当する行為の典型として挙げられるのは、いわゆる「パパ活」や「援助交際」です。

児童を相手とした「パパ活」や「援助交際」においては、児童に金銭等を交付することを条件に面会を求めることが通例と思われます。

面会要求罪は、「わいせつの目的で、威迫、偽計、利益供与等の不当な手段を用いて、面会を要求する行為」を処罰対象としており、行為者が実際に児童と会う前の段階でも成立します

そのため、わいせつ行為をする目的で、児童に対し「金銭を交付するので会ってほしい」旨要求した時点で処罰対象となります。

さらに、その結果、実際に面会した場合には「わいせつの目的で、面会する行為」に該当し更に重い処罰となります。

そのほか、SNS上などで、児童に対しわいせつな写真を送信するよう求める行為は「性交等をする姿態、性的な部位を露出した姿態などをとってその写真や動画を送るよう要求する行為」に該当し、処罰の対象となります。

これも、実際に写真等が送信されなくとも、写真等を要求した時点で成立しますので注意が必要です。

4 刑事事件の注意点

面会要求罪は、令和5年7月13日から施行された罪であり、存在自体を知らないという方も多いかと思います。

しかし、たとえ、法律を知らなかったとしても、同日以降にこの罪に該当する行為をした場合には、処罰され得ることとなります(なお、行為時点が令和5年7月13日より前であれば面会要求罪による処罰の対象とはなりません。)。

先に述べたとおり、面会要求罪が成立するのは、児童を相手とした「パパ活」や「援助交際」が典型であると思われるところ、「パパ活」や「援助交際」を行う児童は、複数の者をその相手としていることが多いでしょうから、一人の児童から芋づる式に犯人が検挙されるケースが想定されるところです。

面会要求罪におけるポイントの一つとしては、面会要求罪は故意犯(故意がなければ処罰されない犯罪)であるということが挙げられます。

仮に、16歳未満の者から、16歳以上であると嘘をつかれ、それを真実信じて行為に及んでいた場合には、面会要求罪は成立しないこととなるのです。

このような事情がある場合には、捜査機関にその旨の説明を尽くす必要があるでしょう。

5 逮捕・勾留される可能性はあるのか

面会要求罪が捜査機関に発覚している場合、事案によっては逮捕・勾留される可能性があります。

一般的に、警察が、「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」を認めた場合には、裁判所に逮捕令状の発付を請求した上、被疑者を逮捕します。

「逮捕の理由」とは、その人が罪を犯したという疑いがあることを言います(刑事訴訟法199条1項では「被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」とされています。)。

「逮捕の必要性」とは、被疑者に「逃亡するおそれ」や「犯罪の証拠を隠滅するおそれ」が認められるかで判断されます。

「逮捕の理由」及び「逮捕の必要性」が認められるかは、その事件に関する事情を総合考慮することになりますので、画一的な基準はありません。

そのため、刑事事件に精通した弁護士でなければ、当該事案が逮捕されるおそれが高いのか否かを判断することは困難であり、自分が逮捕される可能性があるか不安な方は、刑事事件に精通した弁護士に意見を聞くことが相当です。

なお、「逮捕の必要性」を下げ、逮捕のリスクを避けるための方法として、自首をすることが有効な場合があります。

自首とは「捜査機関が犯人を特定する前に、自ら罪を申告して処罰を求めること」をいいます。

自首をすることで「逃亡するおそれ」や「犯罪の証拠を隠滅するおそれ」が低いと捜査機関に判断してもらい、逮捕・勾留のリスクを減らすのです。

 

逮捕を避ける方法について詳しくはこちらをご覧ください

自首する方法について詳しくはこちらをご覧ください

6 弁護活動

面会要求罪について想定される弁護活動は、多岐にわたります。

先に述べたように、逮捕・勾留のリスクを減らすために、自首を検討しなければならない場合もあるでしょうし、不起訴を求めたり刑を軽くしたりするために、児童の保護者と示談交渉しなければならない場合もあるでしょう。

この点、示談交渉は、相手方が警戒して被疑者本人と連絡をとるのを拒むことが多いこと、そもそも被疑者本人が相手方の連絡先を知らなければ進めることは不可能なことなどから、被疑者本人で行うことは非常に困難ですし、示談交渉自体がトラブルの種になりかねません。

しかし、弁護士であれば、相手方が警戒を解いて連絡をとってくれる可能性は高いですし、捜査機関は、相手方の承諾を得られれば、その連絡先を開示してくれますので、安心してください。

 

示談する方法について詳しくはこちらをご覧ください

逮捕を避ける方法について詳しくはこちらをご覧ください

自首する方法について詳しくはこちらをご覧ください

7 お気軽にご相談ください

上原総合法律事務所は、元検事8名(令和6年12月20日現在)を中心とする弁護士集団で、迅速にご相談に乗れる体制を整えています。

所属弁護士全員が刑事事件について熟知し、独自のノウハウを有しており、面会要求罪で検挙されたとき又は検挙されそうなときの具体的な対応につきアドバイスをすることが可能です。

刑事事件に関するお悩みがある方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

経験豊富な元検事の弁護士が、迅速かつ的確に対応いたします。

 

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※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。

弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

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