ある日突然警察から電話が架かってきたら驚くだろうと思います。
警察が電話を架けてくる理由には、事故の連絡や、被疑者や参考人としての呼び出しなど、様々なものがあります。
この記事では、元検察官の弁護士が、警察から電話が架かってくる理由やそれぞれの理由に応じた対処等について解説します。
あなたの家族が何らかの事件に巻き込まれてしまった場合、又は何らかの事故に遭ってしまった場合、そのことを知らせるために警察が電話を架けてくることがあります。
この場合、警察からは家族の状況等に関する情報が提供されます。
あなたの知人・友人が何らかのトラブルを起こすなどして警察署におり、その身元の引受人としてあなたの名前を挙げた場合にも警察が電話を架けてくることがあります。
この場合、警察からは、上記知人・友人の身元引受人となれるかどうかが尋ねられることとなります。
あなたが落し物をした場合、そのことを伝えるため警察から連絡が入ることもあります。
まず、警察があなたに何らかの罪を犯した疑いがあると考えており、被疑者として取り調べるために電話を架けてくることがあります。
この場合、警察からは、取調べの日程を調整した上、指定された日時に指定された場所で取調べに応じるよう求められます。
この電話で具体的にどのような罪を犯したという疑いが生じているのか細部まで明かされることは少なく、概要だけしか伝えられないのが通常です。
実際に警察署に出向き取調べを受けるまで、自分にどのような犯罪の疑いがかけられているのか分からないことがままあります。
また、警察が逮捕するつもりがあるのか否かも、この時点でははっきりとしません。
実際、取調べを受けるために訪れた警察署でその日のうちに逮捕されてしまうこともあります。
また、警察から被疑者としての取調べを求められるケースでは、警察の電話を無視すると、最悪の場合逮捕・勾留により身柄が拘束されることがあるので注意が必要です。
この点については、下記「2 無視しても大丈夫?」で詳述します。
あなたが何らかの犯罪の被害に遭った場合は被害者として、何らかの犯罪について見聞きするなど事情を知っている場合は参考人として呼び出されることもあります。
この場合、警察は、犯罪の証拠を収集するため、被害者又は参考人から事情聴取をすることを目的としており、捜査への協力要請や事情聴取の具体的な日程調整等が行われます。
最近では、電話口で警察であると偽って金銭をだまし取るための詐欺の電話も横行しています。
特殊詐欺の犯罪者が、警察であると偽って電話を架けてくることもあります。
自分はだまされないだろうと思っていても、実際に電話を受けると動揺してだまされてしまうことがあります。
特殊詐欺の被害に遭うことを防ぐために、警察を名のる者から電話を受けた時の具体的な対処法については「3 警察からの電話の対処法」で詳述しますので、こちらもご参照ください。
警察からの電話を無視した場合、不利益を被ることがあります。
特に警察が、被疑者として取り調べるために電話を架けてきた場合、無視すると逮捕・勾留により身柄が拘束されてしまう可能性があります。
捜査機関が逮捕・勾留による身柄拘束をするためには、被疑者に犯罪の証拠を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること、逃亡するおそれがあることが必要です。
そのため、もしあなたが、被疑者として取り調べようとしている警察の電話を無視してしまうと、犯罪の証拠を隠滅すると疑うに足りる相当な理由や逃亡するおそれがあると判断され、逮捕・勾留による身柄拘束を受ける可能性が高くなります。
したがって、こうした警察からの電話には折り返すなどの対応をした方が望ましいでしょう。
また、あなたが何らかの犯罪の被害者である場合、警察からの電話を無視して捜査に協力しなければ、証拠が足りず被疑者に対する刑事処罰がなされなくなる可能性があります。
もし、あなたが被疑者に対し刑事処罰が科されることを望むのであれば、警察の捜査に協力した方が良いです。
あなたの家族が事件又は事故の被害に遭った場合も、警察からの電話を無視すると、家族の状況を把握する時期が遅くなってしまいます。
また、警察が落し物が届いたことを伝えるために連絡してきている場合、落し物が戻ってこない可能性があります。
警察を名のる人から電話を受けた時、まず大切なのは鵜呑みにしないことです。
電話の相手が本当に警察かどうか、しっかりと身分等を確認しましょう。
具体的には、相手の名前、所属先の警察署や所属部署を確認しましょう。
名前を確認する際はフルネームで漢字まで確認できるとより好ましいです。
また、相手方の電話番号も確認しましょう。
この際、詐欺グループが、所属先の番号であると偽って虚偽の電話番号を伝えてくる可能性もあるため、相手の所属先である警察署の代表番号も確認しましょう。
これにより、インターネット上で公開されている警察署の代表番号と一致しているかどうか確認することができます。
また、相手方に折返しの電話をする際は、インターネット上で公開されている警察署の代表番号に宛てて電話をすると、だまされる危険性を下げることができます。
また、警察と名のる人が電話を架けてきた用件についても確認し、正確に記録するようにしましょう。
繰り返しになりますが、いまだ全国で警察をかたった特殊詐欺が頻発していますので、被害に遭わないようにくれぐれも注意してください。
上原総合法律事務所は、元検事8名(令和6年12月16日現在)を中心とする弁護士集団で、迅速にご相談に乗れる体制を整えています。
刑事事件に関するお悩みがある方は、ぜひ当事務所にご相談ください。経験豊富な元検事の弁護士が、迅速かつ的確に対応いたします。
■LINEでのお問い合わせはこちら
■メールでのお問い合わせはこちら
※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。
弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
【新着コラム】
【コラムカテゴリー】
【新宿事務所】
〒151-0051
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-27-3
やまとビル7階
新宿駅新南口 徒歩3分
新宿三丁目駅 E8出口すぐ
代々木駅東口 徒歩5分
【横浜事務所】
〒220-0004
神奈川県横浜市西区北幸2-9-40
銀洋ビル7階
横浜駅南9出口徒歩5分
【立川事務所】
〒190ー0012
東京都立川市曙町2ー8ー28
TAMA MIRAI SQUARE 4階
JR立川駅北口徒歩5分