不同意性交の示談金の相場は?不起訴や執行猶予となるための示談のポイント等を元検事の弁護士が解説 

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弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。捜査・公判の両面で多数の刑事事件 を担当。検事退官後、都内法律事務所を経て個人事務所を開設。2021年に弁護士法人化し、新宿・ 横浜・立川に展開。元検事(ヤメ検)として、捜査機関の思考・動き方を熟知した立場から、逮捕前 の対応・示談交渉・公判弁護まで一貫してサポートしている。

不同意性交罪で捜査を受けている方やそのご家族にとって、「示談金はいくらくらいになるのか」「示談をすれば不起訴になるのか、執行猶予になるのか」といった点は非常に気になる問題でしょう。

示談は、被害者の被害回復を図るとともに、刑事処分や判決にも大きな影響を与える可能性があります。しかし、示談金には一律の金額が決まっているわけではなく、事件の内容や被害状況など様々な事情によって大きく変わります。

また、示談が成立したからといって必ず不起訴や執行猶予になるわけではありませんが、適切な時期に誠実な示談交渉を行うことは、不起訴(起訴猶予)や執行猶予の獲得のために非常に重要です。

この記事では、不同意性交等罪の事件における示談金の相場や金額が決まる要因、示談交渉の流れ、不起訴や執行猶予との関係などについて、元検事(ヤメ検)の弁護士がわかりやすく解説します。

第1 不同意性交等罪と示談

1 不同意性交とは

不同意性交(不同意性交等罪)は、刑法177条に定められており、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて」(=「不同意」で)、性交等を行うことを処罰する罪です。

被害者が不同意の状態にあったかどうかの判断を行いやすくするため、刑法は、その原因となり得る行為や事由として、暴行・脅迫、アルコールや薬物の影響、睡眠などで意識が明瞭でない状態の利用、社会的関係上の地位に基づく影響力など、いくつかの類型を定めています。

また、被害者が16歳未満の場合、年齢を理由に不同意性交等罪に該当するケースもあります。

不同意性交等罪について、詳しくは(不同意性交等罪での逮捕・起訴・実刑を防ぐためのポイントを元検事の弁護士が解説)もご参照ください。 

2 示談とは

刑事事件における示談とは、通常、被害者に一定の示談金を支払ったりその他の条件を設け、他方で被害者の宥恕(許し)を得るなどの合意をすることを意味します。

示談の内容としては、示談金の支払や被害者への接触の禁止、示談金以外の債権債務の不存在、被害者による宥恕や被害申告の取下げなどが含まれることが多く、不起訴(起訴猶予)となるか否か、執行猶予がつくか否かなどの場面で重要な要素となります。

示談について、詳しくは(刑事事件で示談する方法を元検事の弁護士が解説)もご参照ください。

第2 不同意性交等罪における示談金の相場や金額に影響する要因

1 不同意性交等罪の示談金相場

不同意性交に限らず、刑事事件における示談金は、法律上、金額が定められているものではありません

その中でも、不同意性交等罪は性的自由を侵害するものであって被害者の心情なども様であり、被害をある程度金銭的に評価できる窃盗や詐欺などの財産犯と比べてより示談金の額には幅がありえます。

具体的には、事件の内容や被害者の意向などを踏まえて示談金は個別に決まります。

一般的には

  • 数十万円程度
  • 100万円前後
  • 200万円以上

など、事件の内容や被害者の意向によって幅があります。

例えば

  • 被害者の処罰感情が比較的軽微である場合
  • 被害者が早期解決を希望している場合

などには比較的低額で示談が成立することもあります。

一方で

  • 被害者の精神的苦痛が大きい場合
  • 悪質な態様で犯行が行われた場合

には、高額な示談金となるケースも少なくありません。

もっとも、「不同意性交事件だから必ず○○万円以上」や「最大でも○○万円まで」という基準は存在しません。

示談金はあくまで被害者との合意によって定まるものであり、事件ごとに個別に決定されます

また、刑事事件における示談金は、民事上の損害賠償債務と必ずしも一致しません。

あくまで、被害者が納得するか否かですので、民事裁判で認められるだろうという金額以上を提示しても、被害者が合意しなければ示談は成立しません。

2 示談金が高額になるケース

示談金は、次のような事情があると高額になる傾向があります。

(1)被害の程度が大きい

被害者が大きな精神的苦痛を受けている場合や、治療や通院を要するような状況である場合は、示談金が高額になる可能性があります。

不同意性交の事件では身体的被害だけでなく、精神的被害も重要な判断要素となります。

身体的な傷害のほか、PTSDの診断を受けるなどしていれば不同意性交等致傷罪となる可能性もありますし、診断等がなくそれまでには至らないケースであっても、強い暴行等を伴う場合や大きな精神的ショックを受けた場合には示談金が高額となる傾向があるでしょう。

※不同意性交等致傷については( 不同意性交等致傷とは?元検事の弁護士が成立要件や弁護活動について解説)の記事もご参照ください。

(2)犯行態様が悪質である

例えば

  • 計画的な犯行
  • 暴行・脅迫の程度が強い
  • 長時間に及ぶ犯行
  • 複数回に及ぶ犯行
  • 年少者に対する犯行

などは、悪質性が高いと評価されやすく、示談金にも影響することがあります。

(3)被害者が強い処罰感情を有している

被害者が厳しい処罰を望んでいる場合には

「示談に応じる条件として高額な示談金を希望する」

というケースもあります。

もっとも、示談金が高額だからといって必ずしも応じなければならないわけではなく

双方が合意して初めて示談は成立します

しかしながら、不起訴(起訴猶予)や執行猶予獲得のためには示談は極めて重要であり、示談金の額には限界があるとしても、その他の条件や真摯な謝罪など、可能な限りの誠実な対応をすべきでしょう。

3 示談金を左右する事情

示談金は、次のような事情を総合的に考慮して決められます。

被害者の年齢

未成年者や若年者が被害者である場合には、精神的影響が大きいと評価されることがあります。

また、被害者の年齢次第では、親権者等との交渉となる場合もありますし、子どもが被害に遭った場合のご両親等の処罰感情は極めて厳しいものであるケースがほとんどです。

被害者の被害感情・処罰感情

示談交渉では、被害者がどの程度精神的苦痛を受けているか、どのような被害感情、処罰感情を抱いているかが非常に重要です。

事件の内容次第で処罰感情も大きく影響を受けますが、類似した状況の事件でも、処罰感情は被害者によって様々ですし、示談金として求める金額も千差万別です。

処罰感情が強く、精一杯誠実な謝罪を行い、どんなに高額な示談金を提示したとしても、示談自体が成立しないこともあります。

前科・前歴の有無

被害者は当然に前科や前歴を知ることができるわけではありませんが、示談交渉の中でこの点が問題となることもあります。被害者の心情として、前にも同じようなことがあったのか、ひいては今後も同様のことが繰り返されるおそれもあるのかなどを気にされる場合もあり、被疑者・被告人の承諾を得た上で被害者に伝えるケースもあります。

加害者に前科や前歴がない場合には、更生の可能性なども考慮され、比較的示談交渉が進みやすい場合もあります。

もっとも、前科がある場合でも示談ができないわけではありません。

示談交渉の時期

一般的には、事件発生から早い段階で示談交渉を開始できれば、被害者の理解を得られる可能性が高くなることがあります。

他方、時間の経過や裁判の進行によって被害者側の心境が変化することもあり、難航した場合でも、あきらめずに示談交渉を継続することが功を奏するケースもあります。

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第3 不同意性交等罪の示談交渉

1 示談交渉の流れ

不同意性交事件では、通常、加害者本人が直接被害者へ連絡を取ることはほとんどありません

むしろ、事件後に本人が直接連絡を取ると

  • 被害者への圧力
  • 二次被害

などと受け取られるおそれがあります。

また、被害者の連絡先等が分からない場合、捜査機関を通じて連絡先の開示を打診することになりますが、被疑者・被告人への開示には応じない場合がほとんどでしょう。

そのため、多くの場合は弁護士を介し、弁護士限りで連絡先の開示を受けるなどして示談交渉を進めます

一般的な流れは次のとおりです。

  1. 弁護士へ相談・依頼する
  2. 捜査機関を通じて被害者の示談交渉の可否を確認する
  3. 被害者が交渉に応じる場合、弁護士と被害者(又はその代理委任弁護士)との間で交渉を行う
  4. 示談条件がまとまれば示談書を作成する
  5. 示談金を支払うなどし、示談を成立させる

被害者が弁護士限りでの連絡先の開示などを拒否している場合には、交渉自体ができないこともあります。

2 示談書の作成と示談の内容

示談条件について双方が合意した場合には、示談書を作成します。

示談書は、後日のトラブルを防止するための重要な書類です。示談書には、一般的に次のような事項を記載します。

  • 当事者の氏名(被害者の氏名等については被疑者等には開示しない場合もあります。)
  • 対象となる事件
  • 示談金の金額
  • 支払方法・支払期限
  • 示談成立の確認
  • 清算条項(今後お互いに追加請求をしない旨)
  • 宥恕(ゆうじょ)の意思表示(処罰を望まない意思がある場合)
  • 接触禁止条項
  • 口外禁止条項

刑事事件では、被疑者・被告人側としては是非とも「宥恕条項」が盛り込まれるよう交渉を進めていくことになります。

宥恕とは、被害者が加害者を許す意思を示すことをいいます。

もっとも、被害者が必ず宥恕しなければならないわけではなく、「示談には応じるが処罰は望む」という内容で示談に至るケースや、刑事告訴がなされている場合などに取下げを内容とするケース、宥恕からさらに進んで不起訴や執行猶予を求めるという内容とするケースもあります。

示談の私費のみならず、示談書の内容は刑事処分にも大きく影響しうるため、弁護士が内容を十分確認したうえで作成することが重要です。

3 示談交渉の注意点

不同意性交等の事件では、交通事故や金銭トラブルとは異なり、被害者への配慮が特に重要になります。

(1)本人が直接連絡しない

加害者本人が

  • 電話をする
  • SNSで連絡する
  • 自宅へ行く
  • 職場へ行く

などの行為は避けるべきです。

被害者に恐怖心を与えたり、「圧力をかけられた」と受け取られたりする可能性があります。

また、接触方法によっては別の犯罪が成立する可能性や、罪証隠滅を試みたとして逮捕等に繋がるおそれもあります。

そのため、被害者との連絡は弁護士を通じて行うべきでしょう。

(2)示談金だけで解決できるとは限らない

「高額な示談金を支払えば示談できる」と考える方もいますが、そのような単純なものではありません。

被害者の中には

  • 加害者からお金を受け取りたくない
  • 金銭ではなく処罰を望む

という考えを持つ方もいます。

そのため、示談交渉では金額だけではなく

  • 真摯な反省
  • 謝罪の姿勢
  • 被害回復への誠実な対応

が重要になります。

また、接触禁止や口外禁止など、二次被害などを生まないための条項を盛り込むことも検討すべきでしょう。

(3)早期に弁護士へ相談する

示談交渉は早ければ早いほど有利になる場合があります。

逮捕されている事件では、送致や起訴までの期間が限られています。

起訴前に示談が成立すれば、不起訴(起訴猶予)処分となる可能性が高まることもあります

また、起訴されて裁判となっている場合にも、判決内容が決まるまでに示談をした上、示談書を証拠として請求するなどの対応が必要となります。

いずれにせよ、できるだけ早く弁護士へ相談することが重要です。

(4)事実関係に争いがある状況での示談もありうる

不同意性交等といっても、その態様は様々であり、アルコールの影響があった、社会的立場の影響があったなどの類型では、加害者側は有効な同意があったと誤信していたなどのケースもあります。

また、被害者の実際の年齢を誤解していたなどのケースもあるでしょう。

こういったケースでは、同意の有無や年齢について誤信していたとして、故意が否定され不同意性交等罪は成立しないという評価もありえます。

他方で、客観的には同意があるとはいえない、年少者であったといった場合には、故意がなかったことは主張しつつ、謝罪と示談は試みるという選択肢もあります。

もちろん、否認していることを原因として被害者側が示談に応じないというリスクもありますが、反対に示談成立のために主張を曲げるということもリスキーです。

どのような前提で示談交渉に及ぶかなどは、事件の内容や証拠関係、相手方の意向等も踏まえ慎重に検討する必要があります。

同意の有無等に争いのある事案での示談等については(【冤罪】同意があったのに不同意性交だと言われている場合の対処法を元検事の弁護士が解説)もご参照ください。

第4 示談金の支払い方法

1 一括払い・分割払い

示談金は、一括で支払うケースが多いものの、必ずしも一括払いでなければならないわけではありません

当事者双方が合意すれば

  • 一括払い
  • 分割払い
  • 頭金としてまとまった額を支払い、残金は分割とする方法

など、様々な支払方法を選択できます。

もっとも、被害者としては確実に支払いを受けたいと考えるため、一括払いを希望するケースが少なくありません。

分割払いを希望する場合には、支払能力や支払計画について十分説明し、理解を得ることが重要です。

2 示談金が支払えない場合

示談金をすぐに用意できないケースもあります。

その場合でも、無理に高い金額を約束することは避けるべきです。

支払えない約束をすると、示談が解除されたり、民事上の責任を負ったりする可能性があります。

資力に不安がある場合には

  • 分割払いを提案する
  • 親族から援助を受ける
  • 金融機関から借入れを検討する

などの方法が考えられます。

もっとも、借入れによって生活が著しく困窮するような場合には慎重な判断が必要です。

弁護士に相談すれば、支払能力も踏まえた現実的な示談条件を提案できることがあります。

3 示談成立後に不起訴(起訴猶予)や執行猶予を目指す流れ

起訴される前に示談が成立した場合には、示談書を検察官へ提出し、処分を判断する際の資料としてもらいます。

検察官は

  • 犯行態様
  • 被害結果
  • 示談の有無
  • (示談を踏まえた)被害者の処罰感情
  • 前科前歴
  • 反省状況

などを総合的に考慮して、起訴するかどうかを判断します。

示談が成立していることだけで不起訴が保証されるわけではありませんが、示談が成立し、被害回復が十分に図られていることは起訴不起訴の判断において有利な事情として評価される可能性があり、被害者が宥恕しているなどの事情もあればなおさらです

不起訴(起訴猶予)の獲得については( 起訴猶予とは?元検事の弁護士が不起訴との違いや前科・前歴との関係、起訴猶予処分獲得のポイントについて解説 )もご参照ください。

また、起訴はされてしまい、刑事裁判を受けることとなって以降に示談が成立した場合、示談書を弁護側の証拠として裁判で請求することとなります。

判決では、起訴不起訴の判断と同様の事情を考慮して、執行猶予の有無や量刑(刑の長さ)が判断されます。

特に、執行猶予となるか、実刑となって長期間刑務所に収監されることとなるかでは、今後の人生にも極めて大きな差が生じえます

執行猶予(初回の執行猶予)が付されるのは拘禁刑3年までであり、不同意性交等の法定刑は5年以上の有期拘禁刑ですから、刑の減軽がない限り実刑となってしまいます。

執行猶予獲得のためには、示談が非常に重要な要素となります。

執行猶予の獲得については(執行猶予を獲得するには?元検事の弁護士が執行猶予となるための弁護活動や条件について解説)もご参照ください。

第5 示談成立によるメリット

1 不起訴になる可能性が高まる

不同意性交事件で示談が成立した場合、検察官が起訴・不起訴を判断する際に、有利な事情として考慮されます。

検察官は、単に犯罪が成立するかどうかだけでなく、次のような事情を総合的に検討します。

  • 犯行の態様や悪質性
  • 被害の程度
  • 被害者の処罰感情
  • 示談の成否とその内容
  • 加害者の反省状況
  • 前科・前歴
  • 再犯のおそれ

示談が成立している場合、少なくとも被害回復に向けた対応が行われたことを示せます。さらに、被害者が処罰を望まない旨を示している場合には、その点も重要な事情となります。

もっとも、不同意性交等罪は、被害者が告訴を取り下げれば必ず処罰されなくなる犯罪ではありません。現在は、被害者の告訴がなくても捜査や起訴が可能です。

そのため、示談が成立したからといって、当然に不起訴になるわけではありません。

しかしながら、起訴前に適切な示談が成立していることは、不起訴処分を目指すうえで非常に重要です。

2 執行猶予の有無や量刑への影響

すでに起訴されている場合でも、示談をする意味がなくなるわけではありません。

起訴後に示談が成立した場合、刑事裁判では次のような事情として考慮される可能性があります。

  • 被害者に対して一定の被害弁償が行われたこと
  • 被害者の精神的・経済的な被害回復が図られたこと
  • 被告人が事件と向き合い、反省していること
  • 被害者が寛大な処分を求めていること
  • 再犯防止に向けた具体的な取り組みが行われていること

裁判所は、犯行内容だけでなく、犯行後の対応も含めて執行猶予の有無や量刑(刑の長さ)を判断します。

そのため、起訴後であっても、被害者に対して誠実に対応し、示談の成立を目指すことには大きな意味があります。

ただし、裁判が始まってから急いで示談交渉を始めるよりも、捜査の早い段階から対応した方が、被害者の理解を得やすい傾向にあるといってよいでしょうし、不起訴となれば裁判自体を避けることができます。

また、判決までに示談が成立しなければ、量刑判断には反映されません。

いずれにせよ、できるだけ早期に弁護士へ相談し、交渉を進めることが重要です。

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その他のご相談は原則有料相談となりますので、ご了承ください。
※刑事事件の無料相談は一部対象を限定しておりますので、予めご了承ください。詳細は弁護士費用ページをご覧ください。

第6 弁護士へ相談するメリット

1 被害者と直接交渉しない方がよい理由

不同意性交事件では、加害者本人が被害者へ直接連絡することは避けるべきです。

本人としては謝罪したいだけであっても、被害者からすれば、加害者から連絡が来ること自体が大きな恐怖や負担になる場合があります。

また、直接の連絡によって、次のような問題が生じる可能性があります。

  • 被害者への威迫や圧力と受け取られる
  • 証言を変えるよう求めたと疑われる
  • 証拠隠滅を図ったと判断される
  • 被害者の処罰感情が一層強くなる
  • 示談交渉が困難になる
  • 逮捕等の身柄拘束の理由となる

さらに、そもそも被害者の連絡先等を知らない場合には、捜査機関を通じて連絡先の開示等を打診する必要があるところ、加害者本人や関係者への開示は望まない被害者がほとんどです。

弁護士であれば、捜査機関を通じ、弁護人限りという前提で被害者の連絡先の開示を求め、被害者の意思を確認したうえで示談交渉を進められる場合があります。

ただし、被害者が連絡先の開示を拒否した場合には、弁護士であっても直接交渉できないことがあります。

被害者の意思を尊重しながら慎重に進める必要があります。

2 弁護士に依頼するメリット

不同意性交事件の示談交渉を弁護士へ依頼する主なメリットは、次のとおりです。

適切な方法で被害者へ連絡できる

弁護士は、警察や検察官を通じて、被害者が示談交渉に応じる余地があるかを確認します。

加害者本人に連絡先を伝えず、弁護士に限って連絡先を開示するという条件で示談交渉を進めることが一般的です。

このように、弁護士が間に入ることで、当事者間では交渉を開始すらできない場合でも、示談交渉を進めていける可能性があります。

被害者への負担を抑えながら交渉できる

性犯罪の示談交渉では、被害者の心理的負担への配慮が欠かせません。

弁護士が窓口となり、連絡の頻度や方法に注意しながら交渉を進めることで、被害者への二次被害を防ぎやすくなりますし、そのような配慮をすることが示談成立の可能性を高めることにも繋がります。

事案に応じた示談条件を検討できる

示談金の金額だけでなく、示談書にはさまざまな条件が盛り込まれる場合があります。

例えば、次のような条件です。

  • 今後被害者へ接触しない
  • 被害者の住所や勤務先へ近づかない
  • SNSなどで事件に言及しない
  • 被害者に関する情報を第三者へ漏らさない
  • 転居や退職など一定の対応を行う

弁護士であれば、履行可能性や法的な問題を確認しながら、適切な内容に調整できます。

また、同意の有無やその認識などについて争いつつ示談交渉と行うというパターンもありえ、より慎重な判断が必要となるケースもあります。

同意の有無等に争いのある事案での示談等については( 【冤罪】同意があったのに不同意性交だと言われている場合の対処法を元検事の弁護士が解説)もご参照ください。

捜査機関や裁判所へ示談成立を的確に伝えられる

示談が成立した後は、示談書や送金記録などを捜査機関または裁判所へ提出します。

また、単に書類を提出するだけでなく、示談成立の経緯、反省状況、再犯防止策などをまとめた意見書を提出することもあります。

これにより、不起訴(起訴猶予)や執行猶予、刑の軽減を求めるための弁護活動につなげることができます。

不起訴(起訴猶予)の獲得については(起訴猶予とは?元検事の弁護士が不起訴との違いや前科・前歴との関係、起訴猶予処分獲得のポイントについて解説)もご参照ください。

執行猶予の獲得については(執行猶予を獲得するには?元検事の弁護士が執行猶予となるための弁護活動や条件について解説 )もご参照ください。

示談以外にも様々な弁護を受けられる

示談の成否やその内容は非常に重要な要素ですが、不起訴(起訴猶予)となるか、執行猶予となるかの判断はその他の事情も含めた総合考慮です。

真摯な反省や更生への決意が必要なことはもちろん、意見書や上申書、被告人質問などで検察や裁判所に的確にアピールすることも必要ですし、再犯防止のために、家族の指導監督やカウンセリング・プログラムへの参加など、環境を整備して証拠化することも重要です。

もし同意の有無や誤信等を争うべき事案であれば、そもそも不同意性交等罪が成立しない旨主張し、反対に不用意な供述等はしないよう、弁護人と綿密に打合せ等を行う必要があります。

このように、示談交渉と示談以外にも、弁護人によるサポートは非常に重要なものとなってきます。

3 弁護士費用等

不同意性交事件で弁護士へ依頼する場合、弁護士費用は事件の状況や進捗によって異なります。

一般的には、次のような費用が必要となってくることが想定されます。

  • 法律相談料(一部無料相談の対象ともなります。)
  • 着手金
  • 示談金
  • 身柄解放に関する成功報酬
  • 不起訴や執行猶予となった場合の成功報酬
  • 出張日当や交通費などの実費

逮捕されている身柄事件か在宅事件か、被害者が複数いるか、事実関係を争うかなどによっても費用は変わります。

上原総合法律事務所の弁護士費用等については下記をご参照ください。

なお、記載の弁護士費用は一例であり、実際の費用等はご相談の上ご案内差し上げることとなります。

第7 不同意性交の示談金に関するよくある質問

1 示談金の支払い期限はいつですか

示談金の支払い期限に法律上の決まりはなく、当事者間の合意によって決められます。

もっとも、刑事処分への影響を考える場合には、起訴・不起訴の判断が行われる前に支払いを完了することが望ましいでしょうし、示談成立の段階で全額ないし一定の金額を支払うことが一般的です。

逮捕・勾留されている事件では、処分までの時間が限られているため、示談成立後すぐに送金できるよう準備しておく必要があります。

示談金の準備に時間がかかる場合には、弁護士へ早めに相談し、分割など現実的な支払方法を検討することが重要です。

2 初犯なら示談金は安くなりますか

初犯であることが、直ちに示談金を低くするとは限りません。

示談金は、双方の交渉、特に被害者側が納得できるかという観点から決まるものであり、具体的には主に被害者が受けた被害や精神的苦痛、事件の態様などが影響します。

前科がないからといって、被害が軽くなるわけではありません。

しかしながら、初犯であることや、真摯に反省していることや再犯のおそれが低いことは、被害者が示談に応じるかどうかや、検察官が処分を判断する際に考慮される可能性があります。

3 示談金は分割払いにできますか

被害者が同意すれば、分割払いも可能です。

ただし、被害者としては、途中で支払いが止まるリスクも想定します。そのため、一括払いや一定の頭金、なるべく短期間での支払いを求められることが多いでしょう。

分割払いにする場合には、次の事項を明確にする必要があります。

  • 毎月の支払額
  • 支払日
  • 支払回数
  • 振込先
  • 支払いが遅れた場合の対応
  • 分割払いを怠った場合の残額一括請求

いずれにせよ、現実に支払える内容で合意することが重要です。

刑事処分との関係では、示談書を作成しただけでなく、実際にどの程度支払いが行われているかも考慮される可能性があります。

4 示談が成立すれば必ず不起訴になりますか

示談が成立しても、必ず不起訴になるわけではありません。

検察官は、示談以外にも、犯行態様、被害結果、証拠関係、前科・前歴、反省状況などを総合的に判断します。

一方で、示談が成立し、被害回復が図られ、被害者が処罰を望んでおらず、本人が反省して再犯防止に取り組んでいる場合には、不起訴処分となる可能性は高まります。

示談は非常に重要ですが、不起訴を目指すためには、示談以外の弁護活動も必要です。

5 示談を断られた場合はどうすればよいですか

被害者には示談に応じる義務はありません。

被害者が示談を拒否している場合、繰り返し連絡を求めると、かえって被害者の負担を大きくし、処罰感情を強めるおそれがあります。

弁護士を通じて一度、謝罪や被害弁償の意思を伝えたうえで、被害者の意向を尊重することが大切です。

示談が成立しない場合でも、次のような活動を行うことが考えられます。

  • 謝罪文を作成する
  • 被害弁償金を準備する
  • 贖罪寄付を検討する
  • 再犯防止プログラムを受講する
  • 医療機関やカウンセリング機関へ通う
  • 家族による監督体制を整える
  • 生活環境を見直す

ただし、贖罪寄付を行ったとしても、被害者への直接的な被害回復と同じ評価になるわけではありません。

示談ができない状況でも、反省と再犯防止の姿勢を具体的に示すことが重要です。

まとめ

不同意性交事件の示談金には、法律で決められた一律の相場はありません

金額は交渉によって定まるものであり、基本的には被害者の意向次第であって、具体的には犯行態様、被害の程度、被害者の精神的苦痛、処罰感情、当事者の関係などが影響してきます。

示談金が高額になることもありますが、金額を支払えば必ず不起訴や執行猶予になると決まっているわけではありません。示談の成立状況や被害者の意向は重要な事情であるものの、検察官や裁判官は事件の悪質性や前科・前歴、反省状況なども含めて判断します。

また、加害者本人が被害者へ直接連絡すると、被害者に恐怖や負担を与え、示談交渉や刑事処分に悪影響を及ぼすおそれがあります。

不同意性交事件で示談を希望する場合には、できるだけ早い段階で刑事事件に詳しい弁護士へ相談することが重要です。

弁護士が被害者への配慮を徹底しながら示談交渉を行い、示談書の作成、捜査機関や裁判所への提出、不起訴や執行猶予の獲得に向けた意見書の作成、再犯防止策の構築まで一貫して対応することで、より適切な解決を目指すことができます。

上原総合法律事務所は、元検事の弁護士8名(令和8年7月31日現在) を中心とする弁護士集団で、迅速にご相談に乗れる体制を整えています。

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