不法投棄で通報され警察から呼び出し?元検事の弁護士が逮捕の可能性や罰則、対処法を解説

[投稿日]2025.02.13
[更新日]
弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。捜査・公判の両面で多数の刑事事件 を担当。検事退官後、都内法律事務所を経て個人事務所を開設。2021年に弁護士法人化し、新宿・ 横浜・立川に展開。元検事(ヤメ検)として、捜査機関の思考・動き方を熟知した立場から、逮捕前 の対応・示談交渉・公判弁護まで一貫してサポートしている。

「私有地にゴミを捨てたら通報された」「不法投棄で警察から呼び出された」など、いわゆる不法投棄は刑事事件に発展しうる行為です。
そもそも不法投棄とはどのような行為を指し、どのような罰則が定められているのでしょうか。
また、不法投棄をしたとして警察から呼び出された場合、初犯であればどのような処分になるのでしょうか。
この記事では不法投棄(廃棄物処理法違反)の成立要件や罰則、想定される処分や弁護活動等について、刑事事件を熟知している元検事(ヤメ検)の弁護士が詳しく解説します。

不法投棄とは?

不法投棄とは、法律に基づき適切に処理すべき廃棄物を、みだりに山林や河川、道路等へ捨てる行為を指します。
主に廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」といいます。なお、実務では「廃掃法(はいそうほう)」などと呼称することもあります。)に違反する行為とされ、厳しい罰則が定められています。

具体的には、廃棄物処理法16条は

(投棄禁止)
第十六条 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。

と定めており、同法25条1項頭書、同項14号は

第二十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
十四 第十六条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者

と定めています。

また、同条2項は不法投棄について、未遂も処罰される旨定めています。

不法投棄の対象となる「廃棄物」は多岐にわたり、廃棄物処理法2条1項で

ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう

と定められています。
さらに、同条では、「廃棄物」を一般廃棄物、特別管理一般廃棄物、産業廃棄物、特別管理産業廃棄物などに分類しており、類型ごとに規制がなされています。

このように、不法投棄は廃棄物処理法16条に反してみだりに「廃棄物」を捨てる行為であり、同25条で罰則が定められている犯罪です。また、不法投棄の対象となる「廃棄物」にはいわゆるごみは全て含まれると考えてよいでしょう。

こうした不法投棄は、廃棄物の処理費用を節約したいという動機から捨ててしまうケース、正しい処分方法が分からず安易に捨ててしまうケース、法律により厳しい罰則が定められていることを知らず違法行為であるという認識が希薄で「これくらいならいいだろう」という思いから捨ててしまうケース等様々な背景からなされていると考えられます。

また、「バレることはないだろう」「まさか通報まではしないだろう」という考えから不法投棄に及んでいるというケースもあるかもしれませんが、防犯カメラの映像や不法投棄されたごみの内容から犯人の特定につながったり、店舗なども家庭ごみの持ち込みに苦慮した結果通報に至るといった場合も想定されるところであり、道徳的にはもちろん、リスクという観点からも、安易な気持ちで不法投棄に及ぶべきではありません。

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不法投棄の罰則は?

不法投棄に対する罰則は、廃棄物処理法25条以下で定められています。

例えば、個人が不法投棄をした場合、同条により以下の罰則が科されます。

・5年以下の拘禁刑(従前は懲役)
・1000万円以下の罰金

※上記の拘禁刑及び罰金刑が併科される(両方科される)ケースもあります。

また、法人による不法投棄には更に厳しい罰則が定められています。

例えば、法人の代表者や従業員等が、その法人等の業務に関して不法投棄をした場合、行為者自身に上記の罰則(5年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方)が科されるだけでなく、法人に対しても廃棄物処理法32条1項により以下の罰則が科されます。

・3億円以下の罰金

実際に行われた不法投棄の事例では、法令等で定められた廃棄物処理のルールに従わず、大量の産業廃棄物を山中や河川沿い等に放置するようなケースが多く見られます。

特に法人がこうした不法投棄に関与した場合、上記のような巨額の罰金刑を科されるだけでなく、報道等により社会的信用を大きく失墜する可能性があるほか、行政処分を受けるなどのリスクもあります。

不法投棄となるケース・事例等

私有地や公有地などへの不法投棄

他人の家の敷地や田畑などの私有地にみだりにごみを捨てるといった場合は、典型的な不法投棄のケースといえるでしょう。
また、私有地に捨てる場合のみならず、路上や山林、川や海岸といった公有地に廃棄物をみだりに捨てるといったケースも同様に不法投棄となり、廃棄物処理法違反の犯罪です。

コンビニやスーパーのゴミ箱への家庭ごみの持ち込みなど

コンビニやスーパーなどの商業施設、あるいはファストフード店などの飲食店やサービスエリアにゴミ箱が設置されていることがあります。このようなゴミ箱に家庭ごみなどを持ち込んだケースでも、やはり不法投棄となり、廃棄物処理法違反として刑事事件化する可能性があります。
これらのゴミ箱は、店側がその後適切に処分するという前提で、その店で買った商品のごみなどを受け入れているに過ぎません。
店側が明確に拒絶している家庭ごみの持ち込みなどは、廃棄物処理法16条で禁じられている「みだりに廃棄物を捨て」る行為として犯罪となりうるものです。

ゴミ捨て場、ごみステーションへの不法投棄?

いわゆるゴミ捨て場、ごみステーションへ捨てる場合も、何をいつ捨てるかという状況次第では不法投棄となりえます。
ごみステーション等へのゴミ捨ては、自治体ごとに曜日や出し方などが定められていますし、粗大ごみなどは事前に申込をしたり費用を支払ったりといった手続が必要なケースが多いでしょう。
分別を間違っているくらいでは刑事事件化までするリスクは乏しいと考えられますが、「ゴミ捨て場」に捨てる場合であっても、本来定められた時期、方法でないものを大量に捨てる、何らの手続を踏まないで粗大ごみを捨てる、産業廃棄物を通常のゴミ捨て場に捨てるなどすれば、「みだりに廃棄物を捨て」る行為として犯罪となりうると考えられます。

その他廃棄物処理法に違反する行為など

廃棄物処理法は、不法投棄以外にも様々な罰則を設けています。
例えば、廃棄物処理法16条の2は、一定の基準や法令等によるもの以外の廃棄物の「焼却」を禁じており、これに違反して不法焼却を行った場合は不法投棄と同様の刑に処される可能性があります。
軽微なたき火などは除外されるものと解されますが、家庭ごみなどを勝手に河原や田畑などで焼却した場合や、農家などが野焼きをする場合なども、この規制により犯罪となる可能性があります。
廃棄物処理法はその他にも廃棄物に関連する規制を行っており、許可なく廃棄物の収集や処分を行う無許可営業や無許可の業者への廃棄物の処理の委託、行政からの命令違反などについても罰則が設けられています。

不法投棄で逮捕される可能性は?

不法投棄は、その態様や規模によっては重大な環境破壊や社会に与える悪影響も大きいものとなりうることもあり、警察が逮捕に踏み切るケースもあります。
特に以下のような場合には、警察により逮捕が検討される可能性が高いと言えます。

・大量の廃棄物が投棄された場合
・爆発性、毒性、感染症等を含む有害物質が投棄された場合
・計画的、反復継続的に投棄された場合
・複数名が関与しており口裏合わせなどが懸念される場合
・不法投棄をした者の特定等に係る証拠が多くなく、罪証隠滅のおそれがある場合

不法投棄で警察から呼び出しされた場合の対処法

もし不法投棄について通報されるなどし、警察から不法投棄をした疑いで呼び出された場合、基本的には協力的に対応することが重要です。
こうした警察からの呼出しを無視してしまうと、逮捕・勾留により身柄が拘束されてしまう可能性があります。
こうした事態を避けるためにも、投棄した物品や投棄に至った経緯等について正確に伝えられるよう準備を尽くした上で、警察の呼出しに応じることが望ましいでしょう。

※捜査機関から呼出しを受けた際の注意点等については事情聴取(取調べ)とは?元検事の弁護士が呼出しを受けた際の注意点やその後の流れを解説の記事もご参照ください。

また、取調べの際には、不正確なこと、不用意なことを言わないよう留意する必要があるほか、特に供述調書を作成する際にはニュアンス含め自身の記憶や認識に沿った内容となっているかの確認も重要です。
供述調書は、その後の起訴不起訴の判断や裁判における判断でも重要な証拠資料となる可能性があります。
もし認識と異なる点や気になる点があれば、きちんと申し出て修正してもらうことも重要です。

※取調べ・供述調書対策については元検事の弁護士が取調べにどのように対応すべきか解説の記事もご参照ください。

初犯なら不起訴?処罰されても罰金で済む?

不起訴の可能性

不法投棄が通報されるなどして刑事事件化した場合でも、不法投棄の内容(廃棄物の性質)や量が軽微である、実害を受けた方(不法投棄された場所の所有者など)と示談が成立する、不法投棄の原状回復ができているなど、様々な有利な事情があるケースでは起訴猶予という形で不起訴処分となる可能性もあります。
また、もしごく早期の段階で刑事事件化の可能性を察知できたような場合では、自首なども選択肢のひとつになり、これも処分が判断されるに当たって被疑者にとって有利な事情となります。
いずれにせよ、早期の段階で刑事事件に精通した弁護士のサポートを受けることが重要です。

※不起訴(起訴猶予)処分の獲得については起訴猶予とは?元検事の弁護士が不起訴との違いや前科・前歴との関係、起訴猶予処分獲得のポイントについて解説もご参照ください。

また、自分ではないのに不法投棄の疑いをかけられているなど、冤罪であるといった場合には嫌疑不十分などの形で不起訴を目指していくこととなります。

※不起訴(嫌疑不十分)の獲得については嫌疑不十分とは?不起訴となるためのポイントや処分までの流れについて元検事の弁護士が解説もご参照ください。

処罰される場合の量刑や罰金の相場等

上記のとおり、不法投棄の罰則としては拘禁刑だけでなく罰金刑も定められています。
しかしながら、例え初犯であったとしても、特別管理廃棄物の不法投棄である、あるいは量が非常に多いなど、内容が悪質であれば罰金刑では済まず拘禁刑が科される可能性も十分にあります。
特に以下のような場合には、刑事罰が厳しくなる可能性が高いと言えます。

・大量の廃棄物が投棄された場合
・特別管理廃棄物の不法投棄の場合
・犯行が長期間にわたる場合
・不法投棄により環境や人の健康に重大な被害を与える場合
・同種前科などがある場合

また、仮に罰金刑になったとしても、罰金の額が数十万円から数百万円、法人であれば数千万円と非常に高額になる場合もあります。

初犯であることは同種前科がある場合と比べれば有利な事情ではありますが、廃棄物の内容や量といった事情がより重視される傾向にあり、事件の内容によっては初犯であっても高額な罰金刑が科される場合もあります。

他方、裁判所は、量刑を決める際、前科の有無や犯行内容はもちろん、原状回復の有無や示談成立の有無、反省の態度なども踏まえた再犯のおそれなど、事後的な事情も量刑に反映させることがあります。
このため、不法投棄をしてしまった場合、早期に適切な弁護活動を行い、より軽い量刑となるよう手を尽くすことが必要です。

示談について詳しくは刑事事件で示談する方法を元検事の弁護士が解説をご覧ください。

不法投棄の弁護活動

不法投棄に対する弁護活動としては、以下のようなものがあります。

・事実関係を確認、整理し、制度や廃棄物の性質等の誤解によるものといえる面がないか等を検討する
・原状回復の方法等を検討の上、実行する
・被害者(実害を受けた方など)との間で示談交渉を行い、損害賠償や謝罪をする
・特に法人や事業者の場合、再犯防止策を策定するなどし、整理して捜査機関や裁判所に主張する

これらのうち、原状回復や投棄された土地の所有者や被害を受けた住民との示談は、量刑の軽減に重要な役割を果たします。

示談を成立させることで、刑事責任の追及を免れることができる可能性もあります。

不法投棄に関与した可能性がある場合は、早急に弁護士へ相談することをお勧めします。
早い段階から法律の専門家の助言を受けることで、最悪の事態を回避しやすくなります。
特に被害者との示談交渉については、経験豊富な弁護士が対応することにより、示談成立の可能性を高めることができます。

不法投棄は、環境や社会に大きな影響を及ぼす違法行為です。
警察からの呼出しや逮捕に備えて冷静に対応し、必要であれば弁護士に相談しましょう。
適切な対処を行うことで逮捕・勾留を免れることができたり、罪を軽減し社会復帰をスムーズにしたりすることが可能です。

不法投棄でお悩みの方は、元検事の弁護士にご相談ください

上原総合法律事務所は、元検事の弁護士7名 を中心とする弁護士集団で、迅速にご相談に乗れる体制を整えています。
刑事事件のご相談、ご依頼については、元検事の弁護士が担当し、直接対応させていただいております。
刑事事件に関するお悩みがある方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

経験豊富な元検事の弁護士が、迅速かつ的確に対応いたします。

弁護士費用例【不法投棄事件を起こしたが示談できて前科を避けられた】

着手金:55万円

成功報酬(不起訴・立件なし):66万円

日当(出張1回):3万3000円

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