万引き・盗難事件・窃盗の違いとは?元検事(ヤメ検)の弁護士が解説

[投稿日]2022.07.07
[更新日]
弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

万引きと窃盗の違いとは?

結論から言えば、「万引き」は「窃盗」の類型のひとつです。
万引きという言葉は法律にはなく、万引きは窃盗罪にあたります
「窃盗」とは、他人の物を盗む犯罪です。

窃盗罪
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪として、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処する。(刑法235条)

「窃取」とは「盗む」こと「財物」とは「もの」を意味します(※)。
「万引き」は、お客さんがお店で商品を盗むことを意味する言葉です。
お店からすると万引きをしに来た人はお客さんではありませんから、厳密には「お客さんのふりをした人」です。
お店は万引きをする目的で店舗に入ることを認めていませんので、万引きをする目的でお店に入る行為自体は、窃盗とは別に建造物侵入罪になる可能性もあります。

「財物」については専門的には複雑な議論がありますが、「もの」と理解していただいて差し支えありません。また、電気については刑法第245条で「財物とみなす」と規定されており、電気を盗むことも窃盗罪になります。

窃盗事件一般については窃盗について元検事(ヤメ検)の弁護士が徹底解説:想定される処分や刑罰、対応方法等の記事もご参照ください。

万引き以外で窃盗罪にあたるもの

一口に窃盗罪と言っても、色々な種類があります。
万引きの他に、以下のようなものも窃盗にあたります。

  • 空き巣(家に侵入して物を盗む行為)
  • スリ・ひったくり
  • 自動車盗自転車盗
  • ロッカー荒らし職場

窃盗罪を犯したと言っても、必ずしも万引きをしたということを意味するものではありません。

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盗難と窃盗の違いとは?

「盗難」とは、物を盗まれる被害にあうことを意味する言葉です。盗難も刑法には記載がありません。
盗難は、被害にあったことを意味する被害者側の視点の言葉です。法律用語を使って言えば、盗難にあったというのは、窃盗の被害にあったということになります。
お店の視点からすると、盗難に遭うことは、お店の経営に大きな悪影響を与えます。
そのため、盗難被害に対し、お店はとても厳しい姿勢を見せます。

窃取と窃盗の違いとは?

刑法235条は「他人の財物を窃取 」することを「窃盗」の罪としており、「窃取」窃盗罪における盗む行為のことを言います。より厳密に言えば、「窃取」とは、「財物の占有者の意思に反して、その占有を侵害し、自己または第三者の占有に移すこと」です。
ここにいう占有という用語は最高裁判所判例において「人が物を実力的に支配する関係」と説明されています。

万引きで立件や逮捕をされたらどうすればいいのか

身柄の解放や不起訴、略式手続や執行猶予になるための活動が必要

窃盗事件一般の弁護等については窃盗について元検事(ヤメ検)の弁護士が徹底解説:想定される処分や刑罰、対応方法等の記事もご参照ください。

身柄の解放を目指した弁護活動

万引きで捕まったら、窃盗事件として立件され、被疑者という立場になってしまう可能性も高く、場合によっては逮捕されてしまう場合もあります。
もし逮捕されて身柄拘束されている場合には、心身にとても負担がかかりますので、まずは釈放に向けた活動をする必要があります。
具体的には、身柄引受人の準備と引受書の作成や提出、勾留等されないための捜査機関や裁判所への意見書提出準抗告などを行っていくこととなります。

※身柄の解放については釈放、保釈について元検事の弁護士が解説の記事もご参照ください。

不起訴や略式手続へ向けた弁護活動

窃盗事件として立件された場合万引きをして捕まったら、警察の捜査を経て検察官に事件が送致され、検察官は、自らも捜査をし、起訴・不起訴の決定をします。

※刑事事件の流れについては刑事事件の流れについて元検事の弁護士が解説もご参照ください。

逮捕されず、あるいは早期に釈放されていわゆる在宅事件として捜査が進む場合にも身柄拘束が継続している場合にも共通ですが、示談交渉をするなど、不起訴に向けた活動をしていくこととなります。
万引きを含めた窃盗罪はいわゆる財産犯であり、被害弁償がなされているかや示談が成立しているかは重要な情状事実となります。
また、再犯率が高い類型でもあるため、後に詳述しますが、家族の指導監督や通院など再犯防止や更生のための環境等が整えられていることも重要となってきます。

※不起訴(起訴猶予)の獲得については起訴猶予とは?元検事の弁護士が不起訴との違いや起訴猶予獲得のポイントを解説の記事もご参照ください。

不起訴とはならず、起訴される場合についても、略式手続による場合と公判請求されて正式裁判を受ける場合では大きな差があり、略式起訴の場合は公開の法廷で裁判を受ける必要はなく、刑罰も罰金に留まります。

※略式手続については略式起訴・略式命令でも前科?手続の流れ、罰金の相場等を元検事の弁護士が解説の記事もご参照ください。

万引きを含む窃盗の場合、まずは不起訴を目指し、そうでなくとも略式手続による罰金に収まるよう情状関係を整えるような弁護活動が必要となってきます。

執行猶予や減刑を目指した公判弁護

万引きの場合、いきなり公判請求されたり、実刑となることは稀です。
事案の内容や件数、前科関係にもよりますが、不起訴から罰金、公判請求といった形で次第に厳しい処分となっていくことが一般的です。
とはいえ、再犯を繰り返したような場合、被害額が大きくはない万引きなどであっても、公判請求され、実刑となり実際に刑務所に服役しなくてはならなくなる可能性もあります。
公判請求されたという場合には、執行猶予や罰金刑、減刑を目指した公判弁護活動が必要となってきます。
示談や再犯防止策の策定を行うほか、情状証人として家族等に出廷してもらう診断書等を取得し証拠として請求するなどの主張立証が必要ですし、被告人質問において被告人本人にきちんと更生への決意等を語ってもらえるよう、準備した上で裁判に臨まなくてはなりません

※執行猶予の獲得については執行猶予を獲得するには?元検事の弁護士が執行猶予となるための弁護活動や条件について解説の記事もご参照ください。

無実だという場合

万引き事件は現行犯の場合が多いとは考えられますが、実際は盗んだものではない、病気の影響などで自分の意思ではなく窃取してしまったといった場合には、嫌疑不十分等での不起訴や無罪を目指して争っていくべき状況もありえます。
捜査段階では取調べにどう対応していくかも重要であり、不利な供述調書が作成されないようにも留意しなくてはなりません。
また、起訴されてしまった場合には、検察側の証拠を吟味し、事案と証拠関係を踏まえた的確な主張立証をしていく必要があります

※不起訴(嫌疑不十分)の獲得については嫌疑不十分とは?不起訴となるためのポイントや処分までの流れについて元検事の弁護士が解説の記事もご参照ください。

※無罪の獲得については無罪を勝ち取りたいの記事もご参照ください。

万引きの再犯防止について

万引き事件の場合、不起訴になればそれで終わりと思ってはいけません。
ご家族からすると信じたくないことですが、万引きの再犯率は高く、捕まった方の多くはそもそも何度も万引きを繰り返した上で捕まっていますし、不起訴や罰金、執行猶予となった上で万引きを繰り返してしまうケースも少なくありません。

この特殊性から、万引きをして捕まった場合には、もう二度と万引きをしないための仕組み作り(再犯予防体制の構築)を徹底する必要があります。
万引きが癖になっている方が捕まった場合、「これから先の人生においてもう二度と万引きをしない」という目標を達成しなくてはなりません。この目標は、一見すると当たり前で簡単なものです。しかし、万引きを繰り返した末に捕まった人にとっては簡単ではありません。

捕まった直後は、みなさん「もう二度と万引きをしない」と思っています。
また、捕まっていない場合でも、万引きをした後に「もう次は万引きをしないようにしよう」と思っています。
多くの方は、捕まる前から、万引きをした後や家に帰った時などに色々なことを思い、後悔しています。万引きをするたびに「もうやめよう」と思っています。
それにもかかわらず万引きを繰り返したため、捕まるに至ってしまったのです。

このように、万引きを繰り返して捕まった方の中には、自分では万引きをやめられない方がいます。
そのような方は、窃盗癖(クレプトマニア)などと言われます。

こうなると、医師などの専門家の力を借りる必要があります。医師などの専門家の力を借りる必要がある、ということを、ご本人が受け入れることは簡単ではありません。誰しも自分が疾患を抱えているとは認めにくいものです。
また、医師などの専門家の力を借りる必要があることをご本人が理解できても、ご家族などの周辺者が理解できるとは限りません。ご家族の中には、「医師などの専門家の力を借りる必要がある」という事実を受け入れたくないという気持ちがあります。多くの方は、できれば「普通である」と思いたいのです。そのため、適切な治療を受けるためには、ご本人とご家族の理解・納得という大きなハードルを超える必要があります。

また、医師などの専門家の力を借りる際には継続的に通って治療していく必要がありますが、継続的に通うということも簡単ではありません。家族などが、継続的に通うサポートをすることが必要です。
万引きをもう二度としないためには、個別具体的な事情に応じ、しっかりとした仕組みを作る必要があります。

窃盗癖(クレプトマニア)とその弁護について、詳しくはクレプトマニア(窃盗症・窃盗癖)とは?弁護活動や再犯予防の要点について元検事(ヤメ検)の弁護士が解説をご参照ください。

万引きで逮捕や立件をされたら、すぐに元検事の弁護士にご相談ください

万引きをして捕まったけれどもどうして良いかわからない、という方は沢山います。
そのような方は、お気軽に上原総合法律事務所にご相談ください。

上原総合法律事務所は元検事弁護士8名を中心とする弁護士集団で刑事事件について熟知しています。
また、その豊富な経験から、法律知識のみならず、ご相談者の求めていることを達成するために何がベストかをアドバイスします。

家族にも相談できず困っている方も少なくありません。弁護士に相談することで、少しでも楽になってもらえればと思っています。
必要があれば、ご本人やご家族に治療の必要性をご説明することも行っています。
万引きをして苦しんでいる方は、お気軽に上原総合法律事務所にご相談ください。

ご相談の流れについてはこちらをご覧ください。
窃盗罪の一般論について詳しくは窃盗について元検事(ヤメ検)の弁護士が徹底解説:想定される処分や刑罰、対応方法等をご覧ください。
示談交渉について詳しくは刑事事件で示談する方法を元検事の弁護士が解説をご覧ください。

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