ご注意ください
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弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。捜査・公判の両面で多数の刑事事件 を担当。検事退官後、都内法律事務所を経て個人事務所を開設。2021年に弁護士法人化し、新宿・ 横浜・立川に展開。元検事(ヤメ検)として、捜査機関の思考・動き方を熟知した立場から、逮捕前 の対応・示談交渉・公判弁護まで一貫してサポートしている。
他人名義のクレジットカードを使って買い物をしたり、他人のカード番号などのカード情報を使ってインターネット上で商品を購入したりすると、詐欺罪などの犯罪として捜査され、逮捕・起訴される可能性があります。
「一度だけだから逮捕されないだろう」「家族や知人のカードだから大きな問題にはならないだろう」と考える方もいるかもしれません。
しかし、クレジットカードは原則として名義人本人しか利用できないものであり、家族や知人のカードであっても、利用方法などに応じて詐欺罪をはじめとする犯罪が成立する可能性があります。
また、不正利用がすぐには発覚しなかったとしても、カード会社の調査や利用履歴、防犯カメラ、配送先などを手掛かりとして、後から警察の捜査を受ける場合もあります。
この記事では、クレジットカードの不正利用で成立する犯罪と刑罰、逮捕される可能性、発覚する経緯や逮捕された後の流れ、逮捕や起訴を避けるために考えられる対応について、元検事(ヤメ検)の弁護士が解説します。
目次
他人名義のクレジットカードやカード情報を承諾なく利用した場合、後述のとおり、詐欺罪などの犯罪が成立し、警察の捜査対象となる可能性があります。
もっとも、クレジットカードを不正利用したからといって、すべてのケースで直ちに逮捕されるわけではありません。
逮捕には法律上の要件があり、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由に加えて、逃亡や証拠隠滅のおそれなどから逮捕の必要性があると認められる場合に、裁判官が発付する逮捕状に基づいて行われるのが原則です(刑事訴訟法199条1項2項)。
そのため、逮捕の可能性については
など、具体的な事情を踏まえて判断する必要があります。
一般的には、不正利用の回数が多い、被害額が大きい、カード情報を不正に入手している、共犯者がいるといった事情がある場合には、逮捕される可能性が高まると考えられます。
※逮捕については( https://keiji-kaiketsu.com/soudan/58/ )もご参照ください。
刑事事件として立件されれば、逮捕されない場合でも、自宅で生活しながら警察の呼び出しに応じて取調べを受けるなど、いわゆる在宅事件として捜査が進められることがあります。
在宅事件であっても、警察が一定の捜査を遂げると事件は検察官に送致(いわゆる書類送検)され、検察官が起訴するかどうかを判断します。逮捕されなかったからといって、刑事責任を問われないわけではない点に注意が必要です。
※捜査機関からの呼出し、任意での聴取への対応等については( https://keiji-kaiketsu.com/soudan/7215/ )もご参照ください。
クレジットカードの不正利用では、そのカードをどのように入手し、どのような方法で利用したのかなどによって、成立する可能性がある犯罪が異なります。
他人名義のクレジットカードを、あたかも正当な利用権限があるかのように装って店舗で使用し、商品などを受け取った場合には、詐欺罪が成立する可能性があります。
判例も、クレジットカードの名義人に成りすましてカードを利用し、従業員を誤信させて商品の交付を受けた行為について、詐欺罪の成立を認めています(最高裁平成16年2月9日決定)。
さらに同判例は、仮に名義人からカードの使用を許されており、利用代金は名義人が支払うものと誤信していたとしても、詐欺罪の成立は左右されない(言い換えれば、名義人の承諾を得ていたとしても詐欺罪が成立しうる)と判断しています。そのため、「家族の許可を得ていた」「後で返すつもりだった」といった事情があっても、それだけで犯罪が成立しないとはいえません(もっとも、実際に刑事事件として立件されるかどうかは、名義人の意向や被害の状況などによって異なってくるものと考えられます)。
また、他人のカード情報を利用してインターネット通販などで入力して商品を購入した場合や無人の精算機などで他人名義のクレジットカードを使用した場合などには、取引が人の判断を介して処理されるのか、システムで自動的に処理されるのかといった決済の仕組みに応じて、詐欺罪や電子計算機使用詐欺罪の成否が問題となります。
※詐欺罪については( https://keiji-kaiketsu.com/keiji-column/14483/ )もご参照ください。
クレジットカード自体を他人の財布などから盗んだ場合には、カードの不正利用とは別に窃盗罪(刑法235条)が成立する可能性があります。
また、落とし物の財布などに入っていたクレジットカードを持ち去った場合には、遺失物等横領罪(刑法254条。占有離脱物横領罪とも呼ばれます)の成立が問題となることがあります。
※遺失物等横領罪については( https://keiji-kaiketsu.com/keiji-column/13282/ )もご参照ください。
カードをどのように入手したかによって成立する犯罪が変わるため、「カードを使った行為」だけではなく、入手した経緯も重要です。盗んだカードを使って買い物をした場合には、窃盗罪と詐欺罪の両方が成立し、併合罪として刑が重くなる可能性があります。
なお、配偶者や同居の親族のカードを盗んだ場合、窃盗罪については刑が免除される特例(親族相盗例。刑法244条)があります。しかし、そのカードを店舗で使用した詐欺罪については、被害者は親族以外(加盟店等)となるため、通常はこの特例は適用されないと考えられます。
※窃盗については( https://keiji-kaiketsu.com/keiji-column/4843/ )もご参照ください。
他人のカード情報を入力して、インターネット上で電子マネーやデジタルコンテンツなどを購入した場合や、実店舗であっても無人精算機で他人名義のクレジットカードで精算した場合のように、人を介さずにコンピュータで決済が処理される取引では、人を欺く行為がないため、詐欺罪ではなく電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)の成立が問題となります。
判例も、窃取したクレジットカードの名義人の氏名や番号等を冒用し、インターネットを介して電子マネーを購入した行為について、電子計算機使用詐欺罪の成立を認めています(最高裁平成18年2月14日決定)。
また、カード情報を不正に取得した方法によっては、その他の法律違反が問題になる可能性もあります。カード情報を不正に取得したり、偽造カードを作成したりした場合には、不正利用とは別に、次のような犯罪が問題となる可能性があります。
具体的にどの犯罪が成立するかは、不正利用の方法や決済の仕組みなどによって異なるため、個別の事案ごとに弁護士に確認することが重要です。
上原総合法律事務所へのご相談として、しばしば、「知り合いから頼まれてクレカ(やその情報)で買い物したが、不正利用になるとは思わなかった」「ネットで知り合った人から荷物の受け取りを頼まれたがクレカの不正利用とは知らなかった」などといった内容のものがあります。このような場合、犯罪とはならないのではないかと考えられる方もいるかもしれません。
ただ、このような主張が受け入れられ、犯罪が成立しないと判断される可能性は低いと言わざるを得ません。
まず、前提として、クレジットカード(やその情報)は、その名義人の承諾があっても、名義人以外が使用すれば詐欺が成立しうると解されています(前述の最高裁平成16年2月9日決定参照)。
そのため、「名義人の承諾があると認識していた」と主張したとしても、その主張を前提としても詐欺罪は成立すると評価される可能性があります。また、「犯罪にはならないと思っていた」としても、そのことは基本的には犯罪の成否には影響しません。
さらに、報酬を得てクレカの不正利用や荷物の受け取りをしたといった場合には、詐欺などに関与しているのではないか、受け取ったりするのは犯罪の被害品ではないかといった「未必的な認識」があったと評価される可能性も大です。
犯罪の成立には「故意」が必要となりますが、「○○かもしれない」といった未必的な認識でも故意があるものと判断されることとなります。
もちろん、故意がないとして不起訴となるケースもありますが、具体的な事情や認識からどのように判断されるのかは千差万別であり、安易に楽観視せず、刑事事件に精通した弁護士に相談すべきでしょう。
※無料相談は警察が介入した事件の加害者側ご本人、逮捕勾留されている方のご家族・婚約者・内縁関係の方が対象となります。
その他のご相談は原則有料相談となりますので、ご了承ください。
※刑事事件の無料相談は一部対象を限定しておりますので、予めご了承ください。詳細は弁護士費用ページをご覧ください。
クレジットカードの不正利用そのものについて、一律に「クレジットカード不正利用罪」という犯罪が規定されているわけではありません。
具体的な行為に応じて、詐欺罪や窃盗罪などが成立する可能性があります。
そのため、科される可能性のある刑罰についても、成立する犯罪によって異なります。主な犯罪の法定刑は、次のとおりです。
| 犯罪 | 法定刑 |
|---|---|
| 詐欺罪(刑法246条) | 10年以下の拘禁刑 |
| 電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2) | 10年以下の拘禁刑 |
| 窃盗罪(刑法235条) | 10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 遺失物等横領罪(刑法254条) | 1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料 |
| 支払用カード電磁的記録不正作出等罪(刑法163条の2) | 10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 支払用カード電磁的記録不正作出準備罪(刑法163条の4) | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 割賦販売法違反(49条の2) | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
※2025年(令和7年)6月1日施行の改正刑法により、懲役刑と禁錮刑は「拘禁刑」に一本化されています。
特に注意が必要なのは、詐欺罪と電子計算機使用詐欺罪には罰金刑が定められていない点です。
そのため、起訴された場合には略式手続による罰金で終わることはなく、正式な裁判を受けることになります。
被害額が大きい場合や余罪が多い場合、同種の前科がある場合などには、執行猶予が付かずに実刑となる可能性もあります。
クレジットカードの不正利用が発覚した場合でも、その後の対応は重要です。
犯罪事実を認める場合には
などが、検察官が起訴・不起訴を判断する際や、裁判所が刑の重さを判断する際に考慮される可能性があり、これらの事情を可能な限り整えた上、検察や裁判所に的確に主張していく必要があります。
クレジットカードの不正利用の場合、基本的には被害は金銭的なものですし、被害弁償や示談は特に重要なものとなってきますし、早期に弁護士を通じて示談交渉を行うことで示談成立の可能性も高まります。
※不起訴(起訴猶予)処分の獲得については( https://keiji-kaiketsu.com/keiji-column/7198/ )もご参照ください。
※執行猶予の獲得については( https://keiji-kaiketsu.com/keiji-column/10862/ )もご参照ください。
クレジットカード会社では、不審な決済を検知するための仕組みが設けられています。
また、カード名義人が利用明細を確認し、身に覚えのない取引に気づくことで不正利用が判明することもあります。
不正利用が疑われれば、利用日時、利用店舗、金額などが確認され、さらに調査が行われる可能性があります。カード会社の調査で犯罪の疑いがあると判断されれば、カード名義人や加盟店などによる警察への相談や被害届の提出につながります。
警察は、例えば次のような情報を手掛かりとして捜査を進めることが考えられます。
店舗でクレジットカードを不正利用した場合には、決済時刻と連動した防犯カメラの映像、周囲の防犯カメラの記録からの移動経路等の特定などが捜査の手掛かりとなる可能性があります。
インターネット上で不正利用した場合には、購入履歴や配送先の住所、IPアドレスなどの通信記録などが捜査の手がかりとなることがあります。
不正利用から時間が経過しているからといって、発覚しない、逮捕されないとは限りません。
公訴時効の期間は、詐欺罪・電子計算機使用詐欺罪・窃盗罪では7年、遺失物等横領罪では3年とされています(刑事訴訟法250条2項)。この期間内であれば、後から捜査が進み、証拠を固めた警察から連絡を受けたり、突然、警察が捜索差押令状等を持って自宅に訪れ、いわゆる家宅捜索を受けたり逮捕されたりする可能性があります。
そのため、「長期間警察に呼ばれなかったからもう大丈夫」と判断することはできません。
すでにクレジットカードを不正利用してしまい、逮捕されないか心配だという場合には、不安なままただ待つのではなく、早い段階で弁護士に相談すべきでしょう。
弁護士に相談することで
などについて、具体的な事情に応じた助言を受けることができます。
被害が発生している場合には、被害弁償や示談が重要な弁護活動となります。
もっとも、本人が直接被害者や関係者に連絡すると、トラブルになったり、証拠隠滅を疑われたりするおそれもあり、そもそも、連絡先を知ることすらできないのが通常です。
そのため、被害弁償や示談を希望する場合には、弁護士を通じて、捜査機関を介して示談を打診し、弁護人限りで連絡先の開示を受けるなどして交渉等を進める必要があります。
加えて、示談書の作成等についても、過不足のない内容となるよう、弁護士のサポートが必要でしょう。
また、クレジットカードの不正利用では、カード名義人、利用された店舗(加盟店)、カード会社など複数の当事者が関係します。店舗での不正利用の場合、法律上の詐欺罪の被害者は加盟店と考えられる一方で、実際の損害は、カード会社の補償制度などを通じてカード会社や加盟店が負担していることもあれば、名義人に負担が生じていることもあります。
具体的な事件で「法的に誰が被害者となり、誰にどのような実害が生じており、被害弁償や示談を誰との間で行うべきか」については、弁護士が事件の構成を分析した上で個別に検討する必要があります。
※示談については( https://keiji-kaiketsu.com/soudan/56/ )もご参照ください。
罪を犯した者が、捜査機関に発覚する前に自ら犯罪事実を申告した場合には、刑法上の自首が成立し、刑が減軽される可能性があります(刑法42条1項)。
犯罪事実だけでなく犯人が誰であるかまで警察がすでに把握している場合には、出頭しても刑法上の「自首」には当たりません。ただし、その場合でも、自ら出頭したことが、逃亡や証拠隠滅のおそれが低いことを示す事情や反省していることを示す事情として考慮され、逮捕の回避や不起訴、執行猶予に繋がる可能性はあります。
自首をするべきかは事件ごとの事情によって判断が異なるため、事前に弁護士へ相談することをおすすめします。
また、上原総合法律事務所では、弁護士が出頭に同行するなどの自首サポートも提供しています。
※自首については( https://keiji-kaiketsu.com/soudan/64/ )もご参照ください。
クレジットカードの不正利用について警察から連絡を受けた場合、安易に無視することはおすすめできません。逃亡や証拠隠滅の恐れがあると判断され、逮捕状を請求されるリスクが高まります。
もっとも、取調べでどのような説明をするかは、その後の刑事手続にも影響する可能性があります。取調べの内容は供述調書にまとめられ、後の裁判で証拠として使われることもあります。
事実関係について争いがある場合には、特に慎重な対応が必要です。
警察から呼び出しを受けた段階で弁護士に相談し、事件の見通しや取調べへの対応について確認しておくことが重要です。
逮捕された場合には、その後、勾留されて身柄拘束が続く可能性があります。
具体的には、警察は逮捕から48時間以内に事件を検察官に送致し、検察官は送致から24時間以内に勾留を請求するかどうかを判断します。裁判官が勾留を認めると原則10日間、延長されると最長20日間、身柄拘束が続く可能性があります。検察官は、この勾留期間中に起訴するか不起訴にするかを判断します。
逮捕から勾留が決まるまでの間は、家族であっても本人と面会できないのが通常であり、勾留後も接見禁止が付されて面会できない場合があります。これに対し、弁護士は立会人なしで本人と接見することができます。
弁護士は本人と接見し、取調べへの対応について助言するとともに、身柄解放に向けた活動を行います。
また、犯罪事実を認めている事件では、被害弁償や示談などを進め、不起訴処分やより軽い処分を目指して検察官に働きかけることも考えられます。
刑事事件では早い段階での対応がその後の手続に影響する場合があるため、本人が逮捕された場合には、家族から弁護士へ相談することも検討してください。
上原総合法律事務所では、ご家族等からのご依頼による緊急接見も対応しております。
※上原総合法律事務所の緊急接見については( https://keiji-kaiketsu.com/keiji-column/14649/ )をご参照ください。
クレジットカードの不正利用は、利用方法やカードを入手した経緯などによって、詐欺罪や窃盗罪、電子計算機使用詐欺罪など複数の犯罪が成立する可能性があります。特に詐欺罪には罰金刑がないため、起訴されると公開の法廷で審理されることとなります。
また、当初は不正利用が発覚しなかったとしても、利用履歴、防犯カメラ、配送先などを手掛かりとして後から捜査が進み、警察から呼び出しを受けたり、逮捕されたりする可能性が十分にあります。
すでにクレジットカードを不正利用してしまった場合には、警察から連絡が来るまで待つのではなく、被害弁償や示談、自首の要否などを含め、早い段階で今後の対応を検討することが重要です。
上原総合法律事務所は、元検事の弁護士7名(令和8年9月30日現在)を中心とする弁護士集団で、刑事事件のご相談、ご依頼には元検事の弁護士が直接担当させていただいております。
クレジットカードの不正利用による逮捕や刑事処分についてご不安な方は、一人で抱え込まず、警察が自宅に来る前に、一刻も早く上原総合法律事務所へご相談ください。迅速かつ的確に対応いたします。
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