窃盗罪とは、他人のものを盗むことです。
もっとも頻繁に行われている犯罪で、刑法の総認知件数の半分以上を占めます。
窃盗には以下のような色々な手口があります。
・ 空き巣やピッキングなどの侵入窃盗
・ 車上狙い
・ 下着泥棒
・ スリ・ひったくりなど
いわゆる「万引き」も窃盗にあたります。
Contents
窃盗罪に対する検察官の処分(起訴するのか不起訴にするのか)や裁判官の量刑(どのような刑罰にするのか)は、以下のようなことが考慮されます。
☑ どのような窃盗だったのか
・ 何を盗んだのか
・ 盗んだ被害品の金額はいくらか
・ どのような方法で窃盗をしたか
(万引きなのか?侵入盗なのか?)
☑ 被害者と示談できているか
☑ 再犯(犯罪を繰り返してしまうこと)なのか
☑ 初犯であるのか
☑ 再犯防止のための環境が整っているのか
なお、窃盗を繰り返し犯してしまう方の中には、必要でないものや必要以上の量を盗んだり、スリルや緊張感を求めて、物ではなく盗むこと自体が目的になっている方がいます。
このような方は、窃盗癖(クレプトマニア)と診断されることがあります。
クレプトマニアかもしれないと思われている方は、「クレプトマニア(窃盗癖)とは」のページをご覧ください。
警察に発覚した事件のうちの約32%が逮捕されます(令和3年版犯罪白書より)。
逮捕された場合、「一刻も早く身柄解放して欲しい」という希望を持ちます。
特に、長期間身柄拘束されて会社等を欠勤することを避けたい、会社に捕まったことを知られるのを防ぎたい、として一刻も早い身柄の解放を望まれる方が多いです。
窃盗については、罪を認めて謝罪する意思があることを弁護士経由で警察に伝えるなどすることで早期に身柄が解放される場合があります。
検察官や裁判官が身柄拘束を続けるべきだと考えますのは、証拠隠滅の恐れがあるときです。
「罪を認めて謝罪・弁償をする」と伝える際、詳細に記載した上申書を作成することが有益です。
証拠隠滅の余地をなくすとともに、証拠隠滅するつもりがないことを伝えることができます。
検察官が勾留請求かどうかの判断や、裁判官が勾留するかどうかの判断をする前に上申書を提出できれば、上申書を考慮して判断をしてくれるため、釈放される可能性が高まります。
できるだけ早く手を打つことで、長期間の身柄拘束を避けることができます。
また、示談することも重要です。
窃盗には必ず被害者がいます。
被害者に盗んだお金や物を弁償したり、慰謝料を支払ったり、反省文を書いたりし、謝罪の意思を伝えることで示談ができることがあります。
この交渉は、弁護士を介して行った方がスムーズですし、示談が成立しやすいです。
示談交渉は、被害者や捜査機関に被害者側の氏名や連絡先をお聞きすることから始まります。
連絡先について「弁護士限り(被疑者やその家族に伝えない)」という約束のもとで弁護士に教えてくれることが多いためです。
被害者との示談の結果、被害届を取り下げてもらえれば、早期の身柄解放を獲得することができます。
示談に関しては 「示談を成立させたい」をご参照ください。
また、仮に起訴までは勾留されるとしても、起訴後には保釈申請が可能となります。
起訴後は速やかに保釈の申請ができるようにあらかじめ保釈金や身元引受人の準備をしておくことが重要です。
勤務先への対応もとても大切になりますが、事件の見通しと勤務先の状況を考慮し、個別の対処をしていくこととなります。
釈放、保釈に関しては、「釈放、保釈してほしい」 をご参照ください。
ほとんどの事案では、被害者と示談して被害届を取り下げてもらえれば、不起訴処分を獲得することができることが多いです。
示談ができない場合は、窃盗を行った理由を掘り下げ、二度と窃盗をしないためにどうするのかを医師や弁護士と考え、反省を深めるとともに、再犯防止体制を作ることも重要です。
示談ができなくても、何を盗んだか、過去に窃盗の前科があるかなどの事案にもよりますが、反省と再犯防止体制を示すことで不起訴処分を獲得できることがあります。
また、不起訴にならない場合でも、窃盗罪には罰金刑があるので、弁護活動としては、懲役刑ではなく罰金刑を目指します。
示談するためには、多くの場合、被害金額の弁償に加え、精神的苦痛を負わせてしまったことに対する慰謝料を併せて支払うことになります。
どのような方法で窃盗をしたのか、被害金額はいくらなのか、相手方の処罰感情はどのようなものなのか等の事案によって示談金には大きな差が出ます。
ただ、被害金額が高額でない場合、10ー20万円で示談ができることが多いです。
個別の事案の示談金については弁護士にご相談ください。
令和2年における窃盗に関して、以下のような統計が出ています。
公判請求され、令和2年に第一審が終局した事件約1万1000人のうち、
約3%が罰金刑
約47%が執行猶予判決
となっています。
前科があるかどうか、被害弁償や示談ができているかなど、個別の事情で判断されますが、公判請求されたうちの半数は執行猶予判決となります。
また、実刑判決の多くは、何度も窃盗を繰り返し行っている被告人による事件、被害額が多額な事件です。
略式手続となり、罰金刑となった者は約5100人います。
そのうち、罰金額が30万円以下だったのは全体の約53%を占めています。
刑事事件の流れに関しては「刑事事件の流れ」をご参照ください。
窃盗は、他の犯罪に比べ、再犯率が高い犯罪です。
令和2年度では、窃盗罪で検挙された者のうち、約20%が窃盗の前科を持っている人でした。
このように何度も窃盗を繰り返してしまう人の中には、物ではなく「盗むこと」そのものが目的となっている、いわゆるクレプトマニアである可能性の人がいます。
再犯を繰り返せば、実刑判決を免れることは難しくなっていきます。
もし、窃盗の衝動を抑えられないなど、不安なことがありましたら、医師に相談することをおすすめします。
弊所にご相談いただいた場合、ご相談者の状況に応じて適切な病院をご案内させていただくことも可能です。
窃盗をしていない場合、容疑を否定して不起訴や無罪を勝ち取る必要があります。
このような場合、「自分はやっていないのだから正直に話をしていれば大丈夫だ。」と考えてしまうのは危険です。
取調べにおいてどのように話をし、どのような調書が作られるかによっては、本当は窃盗をしていなくても有罪判決を受けてしまうことがあります。
本当は窃盗をしていないのだからそのうち真実が明らかになるだろう、と考えて臨んでしまうと、冤罪で前科をつけられてしまう可能性があるのです。
容疑がかかっている以上、積極的に容疑を晴らす証拠を収集したり、取調べに対する対応をしっかり準備する必要があります。
冤罪を起訴されたり有罪にされたりしないようにするための手段は事案によって大きく異なるため、個別のご相談が必要です。
特に逮捕されている事案では、日々調書が作られていきますので、可能な限り早く弁護士にご相談ください。
無実の罪については「無実の罪についての弁護士上原幹男の思い」をご覧ください。
当事務所では、元検事の経験を活かし、それぞれの事案に即して
・ 早期の身柄解放
・ 示談交渉
・ 勤務先への対応
・ 取調べ・自首など
刑事事件に伴う困りごとへのアドバイスも行います。
上原総合法律事務所では、迅速にご相談を受けられる体制を作り、丁寧にお話を伺います。
まずはお気軽に弁護士に相談してください。
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※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。
窃盗の解決事例
・本被害額1000万円以上の窃盗事案を不起訴とした事例
窃盗(クレプトマニア・窃盗症)の解決事例
・示談成立により立件なしとなった事例
窃盗(クレプトマニア・窃盗症)の解決事例
・クレプトマニアであることを主張して不起訴を獲得した事例
弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
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