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弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
宅地建物取引業法(宅建業法)上の欠格事由とは。
不動産業界や金融機関で重宝される宅建士。
正式名称は、宅地建物取引士と言います。
宅建士の主な仕事は、不動産取引の際の重要事項の説明、重要事項説明書や契約書への記名押印です。
毎年約20万人が受験する人気資格であり、10月の試験に向けて勉強に励まれている方も多いのではないでしょうか。
宅建には受験資格は特になく、誰でも受験は可能ですが、合格したとしても一定の欠格事由が存在します。
欠格事由とは、該当してしまうと宅建業免許や宅建士登録を受けられなかったり、又は取り消されたりする事情のことを言います。
さまざまな事由が規定され、そのなかに刑事事件に関するものが存在します。
そこで、元検事(ヤメ検)である弁護士が、主に刑事事件に関わる宅建業法の欠格事由について詳しく解説いたします。
この欠格事由は、宅建試験でも問われる箇所でもありますので、今年受験される方の参考にもなればと思います。
目次
宅建士が逮捕されるとどうなる?
逮捕されると、まず警察署に身柄を拘束され、取調べを受けることになります。
その後、検察に送致され、勾留請求されるかどうかが判断されます。
ごくごく軽微な事案の場合や証拠上問題がある場合には、検察に送致される前に釈放される可能性もありますが、例外的な場合です。
勾留請求後、裁判所の判断で勾留が認められた場合、最長でそこから20日、身柄拘束が続く可能性があります。
この間、勤務先に行くことはできず、周囲に事件が知られてしまうリスクは高まることとなります。
そして、送致を受けた検察官は、最終的に、起訴するか(起訴するとして公判請求か略式起訴か)、不起訴とするかを判断します。
逮捕された場合の流れの詳細については、逮捕から起訴までの流れと期間を元検事の弁護士が図でわかりやすく解説の記事もご参照ください。
なお、刑事事件として立件されても、必ず逮捕されるとは限らず、いわゆる在宅事件として捜査が進んでいく場合もあります。
在宅事件の場合には適宜警察から呼び出しを受けて取調べが行われ、一定の捜査の経た上で検察庁に事件が送致され(いわゆる「書類送検」)、検察庁でも取調べ等が行われた上で検察官が起訴不起訴を判断するといった流れになります。
刑事事件の一般的な流れについては、刑事事件の流れについて元検事の弁護士が解説もご参照ください。
宅建業免許の欠格事由(要件)とは
宅建業法では、宅建業免許(第3条)と宅建士登録(第18条)について、欠格事由が規定されています。
これらの規定には、破産して復権を得ない者や暴力団員など、さまざまなことが規定されています。
このうち、刑事事件と関係するのは、以下の2つの規定です。
- 拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり・・・・5年を経過しない者
- 宅建業法又は一定の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり・・・5年を経過しない者
どちらも「刑に処せられ」と定められていることから、逮捕、勾留、裁判を受けることになっただけでは、欠格事由に該当することはありません。
有罪となり、拘禁刑や罰金刑に処せられた場合に初めて欠格事由に該当することとなります。
以下では、これらの刑事事件に関する欠格事由を定める2つの規定を1つずつ説明します。
拘禁刑以上の実刑に処せられた場合
刑法では刑罰の種類として、「死刑、拘禁刑、罰金、拘留、科料、没収」が規定されています。
宅建業法では「拘禁刑以上の刑」と規定されていますので、死刑、拘禁刑(執行猶予を含む)の刑に処せられた場合、「拘禁刑以上の刑」に該当することになります。
次に「その刑の執行が終わり」とは、拘禁刑で実刑判決を受けて刑期を満了したことを意味します。
また、この規定では「●●の罪を犯した」と罪の種類は定められていません。
そのことから、詐欺罪であろうと、窃盗罪であろうと、なんらかの罪を犯して拘禁刑以上の刑に処せられると該当することになります。
たとえば、詐欺罪で拘禁刑1年の実刑に処せられた場合では、刑務所を出所してから(刑期を終えてから)5年間は宅建業免許や宅建士登録はできないことになります。
罰金の刑に処せられた場合
宅建業法では、第5条1項6号や18条1項6号において、罰金となった場合にも欠格事由となりうる一定の罪として、傷害罪、現場助勢罪、暴行罪、凶器準備集合罪、脅迫罪、背任罪等が定められています。
なお、過失により傷害をした過失傷害罪がありますが、こちらは含まれません。
また、宅建業法違反、暴力行為等処罰法違反で罰金刑となった場合も欠格事由に該当しえます。
次に「罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わり」とは、罰金を払い終わった日又は罰金を払えずに労役場に留置され、労役場を出た日を指します。
たとえば、傷害罪で罰金の刑に処せられた場合では、罰金を払い終わった日から5年間は、宅建業免許や宅建士登録は得られないことになります。
そして、これらの2つの規定に該当する個人が宅建業免許等を受けられないのはもちろんのこと、法人の役員(非常勤も含む)又は政令で定める使用人に該当する者がいる場合、法人は宅建業の免許を受けることができませんので注意が必要です。
執行猶予でも欠格事由に該当するのか
拘禁刑以上の執行猶予判決を受けた場合はどうなるのでしょうか。
執行猶予付判決を受けた場合も「拘禁刑以上の刑に処せられ」に当たるため、執行猶予付判決を受けると、宅建業免許等を受けられなかったり、取り消されたりします。
ここで、勘違いしがちなのが「刑の執行が終わり=執行猶予期間が経過」と考え、執行猶予期間経過後から5年間、宅建業免許等を受けられないと考えてしまうことです。
執行猶予の場合、期間が経過すれば、刑の言い渡しの効果は将来に向かって消滅します(刑法第27条)。
そのため、期間が経過すれば、そもそも「拘禁刑以上の刑に処せられ」に該当しないこととなります。
したがって、執行猶予が取り消されるなどしない限り、執行猶予期間経過後はすぐに宅建業免許等を受けることができます。
なお、罰金の場合には執行猶予が付されることがまずないといってよいでしょう。
宅建業者、宅建士が気をつけるべき刑事事件
一般的な刑事事件による逮捕
欠格事由の観点から、気をつけるべき刑事事件は傷害罪と暴行罪ではないかと考えます。
暴力的犯罪は、日常生活を営む中の些細な言動で発生しやすいものです。
事実、毎年数万件の事件が発生しています。
特に、不動産業界の方はお酒を飲む機会が多く、お酒を飲んだ後、会社の方やお客様と別れた後に気が緩み、通行人やタクシー運転手とトラブルになり、暴行・傷害事件を起こしてしまう、という事件は頻繁にあります。
そして、暴力的犯罪には当然のことながら、被害者が存在します。
被害者のいる刑事事件は、被害者と示談ができれば不起訴処分になる可能性が高い一方、できなければ起訴される可能性が高いものです。
宅建業法では、傷害罪や暴行罪で罰金刑に処せられるだけで、宅建業免許や宅建士登録が取り消されます。
そのため、これらの刑事事件を起こしてしまったという場合は、速やかに刑事事件に精通した弁護士にご相談ください。示談成立に向けて、全力で交渉をいたします。
宅建業法違反による立件や逮捕
宅建業法では、欠格事由のほか、一定の違反には罰則も定められています。
刑事罰の対象となる宅建業法への違反は多岐に及びますが、免許の不正取得、名義貸し、無免許営業といった明らかに重大な違反はもちろん、誇大広告や帳簿の不備等、一定の書面の不交付などでも罰金となりえ、前記のとおり、宅建業法違反の場合、罰金であっても欠格事由に該当してしまいます。
宅建業法違反で逮捕にまで至る可能性は高いとはいえませんが、無免許で多数と取引を行っていたなど、重大な事案では実際に逮捕されているケースもあり、逮捕リスクも否定できません。
元検事の弁護士チームにできること
上原総合法律事務所は、元検事8名を中心とする弁護士集団で、迅速にご相談に乗れる体制を整えています。
元検事の弁護士らが、豊富な刑事事件に関する知識等はもちろん、現に捜査や裁判に従事してきた知見も活かし、宅建士その他の有資格者、公務員、上場企業の従業員など、社会的地位や資格を有し、どうしても刑事事件を解決したいという方の多数のご相談を受け、解決しています。
刑事事件に関するお悩みがある方は、ぜひ当事務所にご相談ください。経験豊富な元検事の弁護士が、迅速かつ的確に対応いたします。
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