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警察官から職務質問を受けた際の対処法について元検事の弁護士が解説

公開日:2024年10月10日

警察官に職務質問を受けて、その根拠や対応方法に疑問を持った方もいるかもしれません。

この記事では、元検事の弁護士が、警察官が行う職務質問の法的性質や限界、職務質問を受けた場合の対処法等について解説します。

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1 職務質問とは

職務質問とは、警察官が通行人等に対し質問等を行うもので、通常は犯罪の予防や犯罪捜査のきっかけを得るために行われるものであり、警察官の職権職務の遂行における手段等を定めた警察官職務執行法(以下「警職法」といいます。)第2条に規定されています。

同条は、「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。」と定めており、要約すると

・警察官は

・行動や周辺の状況から合理的に判断して

・犯罪を犯している、あるいは犯罪をしようとしているのではないかと疑わしい人物や

・既に発生した犯罪や今後起こる犯罪について知っていると思われる人物を

・停止させて質問することができる

 

なお、実際には、警察官が質問をする場合には

・警職法第2条に規定する職務質問としてではなく、完全な任意で(警職法に定められているような疑わしい事情もなしに)単に質問等をする場合

・既に捜査が始まっている事件につき、捜査のためにその被疑者等に質問等をする場合

もありえますが、ここでは基本的に警職法第2条にいう職務質問について解説していきます。

2 職務質問ではどんなことがされるのか

「職務質問」では、その名のとおり警察官から質問を受けることになりますが、警察官ができる行為は単に質問を発するに留まるものではありません

まず、警職法第2条は、第1項で「停止させて質問することができる。」と定めており、警察官は対象者を停止させることもできます。

とはいえ、どのような場合でも力ずくでその場に留まらせることまでできるわけではなく、実質的に逮捕とみなされるような拘束まではできませんし、そこまでに至らない場合であっても、警察官は、その場で生じている疑いの強さや疑われる内容の重大さに比例した限度の行為しか許されません

その状況において許容される限度を超えた行為に及べば、警察官の行為が違法となり、その結果得られた証拠が裁判で使えなくなったり、国家賠償の対象となったりする場合もあります。

具体的な内容は状況次第ですが、止まらない対象者を追いかけたり、その進行方向に回り込んだり、身体に手を添えるといった程度であれば許容される場合が多いのではないかと思われます。

反対に、対象者の衣服や身体をつかんだり、大勢で完全に取り囲んでしまうなどといった行為に及べば、状況次第では職務質問に伴って認められる範囲を超えた違法なものと判断される可能性もあります。

警職法第2条第2項は、「その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。」と規定しており、路上等のその場で質問するのが対象者にとって不利益である、あるいは単に邪魔になるという場合には、警察署や交番まで同行するよう求めることもできるとされています。

これも、多くの場合において、人目のありうる場所で警察官から質問を受けている状況はその対象者にとって不利益といえ、実際はほとんどの場合において、警察官は対象者に同行を求めることができると考えてよいかと思われます。

また、警職法に明確な規定はないものの、職務質問に当たっては、いわゆる所持品検査を行うことも認められています。

この所持品検査も、基本的には対象者の承諾を得た範囲で認められるものですが、疑いが強い、あるいは疑われる内容が重大な場合については、それらの事情と比例する限度で、承諾なしにバッグを開けるなどの行為が認められる場合もあります

3 どんな時に職務質問をされうるのか

警職法第2条は、「異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して」、対象者自身が犯罪を犯し、あるいは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由があること、あるいは対象者が既発生またはこれから発生する犯罪について知っていると認められることを要件としており、誰にでも職務質問を行うことができるわけではありません

簡単に言えば、犯罪を犯した犯人である、犯罪を犯そうとしている、犯罪について知っていると、合理的な根拠をもって思われる人物に対してのみ職務質問を行うことができます。

一定の根拠をもって疑わしいといえる場合であるからこそ、先に述べたような行為が認められるのです。

職務質問を行う根拠となるこれらの事情について、実務上「不審事由」などと表現することもあります。

とはいえ、どの程度でこのような不審事由が認められるかの線引きは非常に難しく、特に薬物事犯等では、一般の方にはおよそ分からないような薬物使用者の特徴につき、警察官がその豊富な経験等に基づくいわば「職人技」で気付いて職務質問を開始し、検挙に繋がるといった場合もあります。

不審事由は、「誰がどう見ても怪しい」といった露骨な場合にのみ認められるものではなく、経験と知識を有する警察官であるからこそ感知できる場合も含むと考えるのが通常ですし、現に職務質問を行っている以上、何らかの不審事由が認められる場合がほとんどであると思われます。

4 職務質問は拒否できるのか?具体的な対処法は?

結論から言いますと、職務質問はあくまで任意であり、拒否することが可能です

また、警察署等への任意同行や所持品検査についてもこれに応じるかは任意であり、拒否することが可能です

警察官が説得や引き留め等を行うことももちろん可能ですが、度を超えた対応をすれば警察官の行為が違法なものともなりえます。

とはいえ、実際には職務質問を拒否することは困難な場合が多く、対処法を誤ればより大きなトラブルに繋がりかねません

職務質問を拒否する場合、まず任意の職務質問である旨確認し、これを拒否する姿勢を明確にすべきです。

職務質問の手法は千差万別ですが、あたかも強制であって拒否することはできないと誤解させかねない物言いをされる場合もあるかもしれません。

とはいえ、明確に任意なのか、拒否もできるのかと問われれば警察官が偽りを述べることはまずないだろうと思われますし、その上で明確に拒否する姿勢を示せば、少なくともそれ以上を誤解を生じさせるような説得等は避けるのではないかと思われます。

また、拒否する際には、拒否する理由も明確に述べるのが望ましいでしょう。

本来そうあるべきか、という問題はありますが、事実上、「職務質問を拒否するのはなにか後ろめたいことがあるからではないか」と考える警察官もいることは想像に難くないかと思います。

より疑いを強めることとなってしまえば、より強硬な説得等の手段に出てくることが多いでしょうし、結局のところ初めから応じていた方が早かったということもありえます。

もし、仕事の約束があり急いでいるなど、警察官にとっても「なるほど」となりうるような具体的理由があれば、その理由も含め毅然とした態度で告げた上で立ち去るのがベターかと思われます。

また、職務質問を拒否するという場合には、公務執行妨害という犯罪を犯さないように留意する必要があります。

疑い等が強ければ、警察官も懸命に引き留めようとしてきます。

そのような中、過度に身体が接触するなどすれば、公務執行妨害の現行犯として逮捕されたりする可能性があります

立ち去ろうとする場合にも、身体的な接触等はないよう十分注意する必要があります。

警察署等に任意同行された場合や、多数の警察官に囲まれた場合、職務質問を拒否して(あるいは切り上げて)立ち去ろうとすることは極めて困難です。

そのような状況にいたっている時点で、警察側は強い疑いを抱いていて懸命に留めおこうとしますし、先述のとおり公務執行妨害のおそれもある中、身体的接触を避けることも難しい状況がありえます。

このような場合には弁護士の助力を求めることもひとつの選択肢となろうかと思われます。

また、身もふたもない話ではありますが、何も後ろ暗いところがないという場合、最も迅速に解放される手段は、職務質問に素直に応じてしまうことです。

職務質問は、犯罪者の検挙や犯罪の予防、ひいては治安の維持にも繋がるものですし、多少わずらわしいと感じる程度であれば素直に応じることが無難です。

反対に、何か犯罪に関与してしまっているという場合にも職務質問等には誠実に応じることをおすすめします

実際に犯罪への関与等があれば、何らかの理由で警察官も強い疑いを抱いている場合も多いでしょうし、令状を請求しての強制捜査へ発展していくといった可能性もあります。

警察官も人間ですから、職務質問への対応の誠実さにより、その後の対応も変わり得ます。

もちろん、違法な職務質問等であれば争うべき場合もありますし、そうでなくとも、有利な情状をきちんと主張し、行った犯罪の内容に見合った処分を獲得するためには、刑事事件の経験豊富な弁護士への相談、依頼をおすすめします

5 お気軽にご相談ください

職務質問で困ったという方のなかには、何らかの事件を起こしている方もいるかと思います。

中には自首を検討している方もいるかもしれません。

上原総合法律事務所は、元検事8名(令和6年10月10日現在)を中心とする弁護士集団で、迅速にご相談に乗れる体制を整えています。

刑事事件に関するお悩みがある方は、ぜひ当事務所にご相談ください。経験豊富な元検事の弁護士が、迅速かつ的確に対応いたします。

 

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