偽計業務妨害罪とは?威力業務妨害との違いや具体例、成立要件、罰則、逮捕時の対応等について元検事の弁護士が解説

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弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。捜査・公判の両面で多数の刑事事件 を担当。検事退官後、都内法律事務所を経て個人事務所を開設。2021年に弁護士法人化し、新宿・ 横浜・立川に展開。元検事(ヤメ検)として、捜査機関の思考・動き方を熟知した立場から、逮捕前 の対応・示談交渉・公判弁護まで一貫してサポートしている。

SNSに投稿した内容が偽計業務妨害罪になると言われた」「悪ふざけで送ったメールが犯罪になるのだろうか」「警察から連絡があったが逮捕される可能性はあるのか」と不安を抱えている方もいるかもしれません。

近年は、SNSやインターネットの普及に伴い、虚偽の情報や犯行予告を投稿したり、企業や店舗へ大量の虚偽の問い合わせや注文などを行ったりすることによって業務が妨害される事件が増えています。こうした行為は、内容によっては刑法上の偽計業務妨害罪に当たる可能性があり、実際に逮捕や起訴に至る事例も少なくありません。

この記事では、偽計業務妨害罪とはどのような犯罪なのか、成立要件や罰則、具体例や威力業務妨害罪との違い、逮捕後の流れや弁護活動について、元検事(ヤメ検)の弁護士が分かりやすく解説します。

第1 偽計業務妨害罪とは何か

偽計業務妨害罪は、刑法第233条に規定されている犯罪であり、「偽計」を用いて他人の業務を妨害する行為を行った場合に成立します。

「業務妨害罪」と聞くと、店舗へ押しかけて騒いだり、暴力的な行為を行ったりする、威力業務妨害に該当しうるような場面を想像する方も多いかもしれません。しかし、暴力を用いなく、虚偽の情報や巧妙な策略によって相手の業務に支障を生じさせた場合などには、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります

近年では、インターネットやSNSを利用した事件が増えており、匿名であっても投稿内容や通信記録などから発信者が特定され、刑事事件へ発展するケースも少なくありません。

1 偽計業務妨害罪の定義

偽計業務妨害罪とは、人を欺いたり、相手の錯誤や誤信を利用したり、虚偽の情報を流布するなどの「偽計」を用いて、他人の業務を妨害する犯罪です。

刑法第233条では、信用毀損罪と併せて規定されており、信用を毀損するような行為を行った場合だけでなく、偽計を用いて業務を妨害する場合が処罰の対象とされています。

ここでいう「偽計」とは、人を欺く行為だけを指すものではありません。

例えば

  • 虚偽の情報を流すこと
  • 他人になりすまして連絡すること
  • 相手の勘違いを利用すること
  • 大量の架空予約や虚偽注文を行うこと
  • 虚偽の通報や犯行予告を行うこと
  • 大量の無言電話やメール送信などを行うこと

なども、状況によっては偽計に当たる可能性があります。

条文上、虚偽の風説の流布は偽計とは別途挙げられていますが、これについても「偽計」に含まれ得るものと解されています。

業務妨害については、「暴力を使っていないから犯罪にはならない」と考えるのは適切ではありません。

むしろ、「威力」すなわち「人の意思を制圧するに足りる勢力」以外の不正な手段は「偽計」に含まれ、偽計業務妨害が成立する可能性があると考えておいたほうがよいでしょう。

2 偽計業務妨害罪の構成要件

偽計業務妨害罪が成立するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。

⑴ 偽計を用いたこと

最も重要なのが、「偽計」を用いたことです。

偽計とは、人を欺く行為や虚偽の情報を利用する行為などをはじめ、「威力」以外の不正な手段をいいます。

例えば、企業へ架空の苦情を繰り返し送ったり、虚偽の情報をSNSへ投稿して店舗へ問い合わせが殺到する状況を作り出したりした場合には、この要件を満たす可能性があります。

⑵ 他人の業務を対象としていること

妨害の対象が他人の業務であることも必要です。

ここでいう「業務」とは、職業その他の社会生活上の地位に基づいて継続して行われる事務・業務をいいます。

典型的なものは営利目的の企業活動ですが、これに限られるものではなく、病院や学校、政党などの事務や事業も含まれます。

そのため、民間企業だけでなく、学校などの公的な機関の業務を妨害した場合でも、偽計業務妨害罪が成立することがあります。

業務の主体としては、犯人以外の者であればよく、法人も個人も含みます。

他方、個人生活上の趣味や娯楽の活動や家事などについては偽計業務妨害の対象には含まれません。

「継続」という点ですが、繰り返されるような業務はもちろん、イベントなど、1回限りではあってもそれ自体がある程度継続した期間行われるものも該当しうるものと解されています。

⑶ 妨害行為について

偽計業務妨害罪の成立に、実際に業務遂行が妨害されたことは必要ありません。

妨害の結果を発生させるおそれのある行為がなされれば足りると解されています(このような類型を抽象的危険犯といいます。)。

とはいえ、実際に立件される可能性や情状という面からすると、実際に業務が妨害された事案、中でも重大な影響、損害が生じた場合の方が、悪質、重大と判断されるのは当然でしょう。

⑷ 故意・主観面について

偽計業務妨害罪の故意・主観的要件としては、他人の業務を妨害しうる偽計を用いることの認識があれば足りるとされています。

積極的に業務を妨害しようという目的がない場合でも犯罪が成立するため、この点も留意が必要です。

第2 偽計業務妨害罪の罰則等

偽計業務妨害罪は、軽い気持ちで行った行為であっても成立する可能性がある犯罪です。

もっとも、事件の内容や被害の程度、犯行後の対応などによって処分は大きく異なります。

1  偽計業務妨害罪の罰則

⑴ 法定刑

刑法第233条では、偽計業務妨害罪について、

3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金

と規定されています。

極めて重い犯罪とまではいえませんが、悪質な場合は公判請求されたり、実刑となる可能性もあります。

⑵ どのような事情が処分に影響するのか

検察官や裁判所は、次のような事情を総合的に考慮して処分や判決の内容を判断します。

  • 業務妨害の内容・程度
  • 被害額や社会的影響
  • 犯行の計画性
  • 反省の有無
  • 被害者への謝罪や示談の状況
  • 前科や前歴の有無

例えば、悪質な虚偽情報をSNSで拡散し、多数の利用者が誤った情報を信じた結果、企業の営業に大きな支障が生じたような場合や、交通などの社会的インフラに関する行為で広範な影響が生じたような場合には、重い処分となる可能性があります。

一方で、初犯であり、深く反省していることや、被害者との示談が成立していることなどは、有利な事情として考慮されることがあります。

※不起訴(起訴猶予)処分の獲得については( 起訴猶予とは?元検事の弁護士が不起訴との違いや前科・前歴との関係、起訴猶予処分獲得のポイントについて解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。

※執行猶予の獲得については( 執行猶予を獲得するには?元検事の弁護士が執行猶予となるための弁護活動や条件について解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。

2 逮捕される可能性

⑴ 必ず逮捕されるわけではない

偽計業務妨害罪が疑われた場合でも、必ずしも逮捕されるとは限りません。

逃亡や証拠隠滅のおそれがない場合には、在宅事件として捜査が進められることも多くあります。

そのため、呼び出されて警察署へ任意で出頭し、事情聴取を受けながら捜査が続くケースも少なくありません。

⑵ 逮捕されるケース

もっとも、次のような事情がある場合には、逮捕される可能性があります。

  • 犯行を繰り返している場合
  • 証拠を削除したり隠したりするおそれがある場合
  • 警察からの呼出しに応じない場合
  • 被害者へ脅迫や共犯者との口裏合わせを行うおそれがある場合
  • 事件の社会的影響が極めて大きい場合

特に、SNS上で大規模なデマを拡散した事案や、公共交通機関、病院、学校などの業務に重大な支障を生じさせた事件では、事案の重大性も踏まえ、逮捕されるケースもあります。

※逮捕については( 逮捕(たいほ)の種類や逮捕されたらどうすべきかを,元検事の弁護士がわかりやすく解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。

4 不起訴となる可能性

偽計業務妨害罪が疑われた場合でも、すべての事件で起訴されるわけではありません

検察官は、証拠関係だけでなく、犯行後の対応や被害回復の状況なども考慮して、起訴するかどうかを判断します。

例えば

  • 初犯であること
  • 被害者へ誠実に謝罪していること
  • 示談が成立していること
  • 深く反省し、再発防止策を講じていること

などは、不起訴(起訴猶予)処分となる方向で考慮される場合があります。

もっとも、不起訴になるかどうかは事件ごとに異なり、被害の程度や社会的影響によって判断されます。

そのため、警察から事情聴取を受けた段階であっても、できるだけ早く弁護士へ相談し、今後の対応について助言を受けることが重要です。

※不起訴(起訴猶予)処分の獲得については(起訴猶予とは?元検事の弁護士が不起訴との違いや前科・前歴との関係、起訴猶予処分獲得のポイントについて解説|上原総合法律事務所 )の記事もご参照ください。

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第3 偽計業務妨害罪と他の犯罪との違い

偽計業務妨害罪は、「業務妨害罪」と呼ばれることもありますが、実際には業務を妨害する犯罪にはいくつかの種類があります。

特に、威力業務妨害罪や信用毀損罪とは混同されることが多く、同じ行為で複数の犯罪の成否が問題となる場合もあります。

ここでは、それぞれの違いについて解説します。

1 偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪の違い

⑴ 妨害の手段が異なる

偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪の最も大きな違いは、業務を妨害する手段です。

威力業務妨害罪は、人に恐怖心を与えるような言動や有形力、「人の意思を制圧するに足りる勢力」 を用いて業務を妨害する犯罪です。

他方、偽計業務妨害罪は、人を欺いたり、虚偽の情報を流したりするなどをはじめとした「威力」以外の不正の手段である「偽計」を用いて業務を妨害する犯罪です。

つまり

・暴力や威迫などによる妨害は
威力業務妨害罪

・虚偽の情報や策略など、「威力」以外による妨害は「偽計業務妨害罪

という違いがあります。

⑵ 具体例

例えば、飲食店について「食中毒が発生した」「不衛生な管理をしている」などという虚偽の投稿をSNSへ掲載し、多数のキャンセルが発生した場合には、偽計業務妨害罪が問題となる可能性があります。

これに対し、店舗へ押しかけて大声で怒鳴り続け、営業を継続できない状態にした場合には、威力業務妨害罪が成立する可能性があります。

区別が難しいパターンとして、虚偽の犯行予告を行うようなケースがあります。犯行予告の内容が、爆破や通り魔など暴力的な内容である場合には「威力」とも評価しうると思われますし、他方で虚偽の犯行予告であるという点で「偽計」という評価もありうると解されます。現に犯行予告の場合、威力業務妨害として処理される場合も偽計業務妨害として処理される場合も見受けられ、厳密な区分はやや困難かもしれません。

実際の事件では、どちらの犯罪が成立するかは個別具体的な事情によって判断されますし、いずれが成立するかで法定刑にも違いはなく、重要なのは、いずれに該当しうると考えられるような行為もしないということに尽きます。

2 信用毀損罪との違い

⑴ 信用を害することが目的となる犯罪

信用毀損罪も刑法第233条に規定されています。

信用毀損罪は、虚偽の風説を流布したり、偽計を用いたりして、人や企業の経済的信用を害した場合に成立する犯罪です。

例えば

  • 会社が倒産するという虚偽情報を流した
  • 金融機関について根拠のないデマを拡散した
  • 企業の商品に危険物が混入しているという虚偽情報を流布した

などの場合には、信用毀損罪が問題となる可能性があります。

⑵ 偽計業務妨害罪との関係

信用毀損罪は、相手の社会的・経済的信用を毀損する行為が中心となる犯罪です。

一方、偽計業務妨害罪は、業務そのものを妨害する行為が中心となります。

もっとも、虚偽の情報を流した結果として、企業の信用が低下するとともに営業活動にも支障が生じた場合には、信用毀損罪と偽計業務妨害罪の両方が問題となることがあります。

3 名誉毀損罪との違い

名誉毀損罪は、公然と事実を摘示して他人の社会的評価を低下させる犯罪です。

そのため、問題となるのは個人や法人の「名誉」であり、「業務」ではありません。

例えば、インターネット上で個人について虚偽の事実を投稿し、その人物の社会的評価を低下させた場合には、名誉毀損罪が成立する可能性があります。

これに対し、その投稿によって会社へ大量の問い合わせが殺到し、通常業務が行えなくなったような場合には、名誉毀損罪だけでなく、偽計業務妨害罪が問題となることもあります。

4 複数の犯罪が成立することもある

一つの行為について、一つの犯罪しか成立しないとは限りません。

例えば、企業について虚偽の情報をSNSで拡散し、その結果として企業の信用が低下し、通常業務にも大きな支障が生じた場合には

  • 偽計業務妨害罪
  • 信用毀損罪

が問題となる可能性があります。

また、企業へ脅迫的な電話を繰り返しながら虚偽の情報も流していたような事案では、威力業務妨害罪や脅迫罪など、他の犯罪が成立することもあります。

このように、事件の内容によっては複数の犯罪が同時に適用されることもあるため、警察から事情聴取を受けた場合には、自分だけで判断せず、早い段階で刑事事件に詳しい弁護士へ相談すべきでしょう。

第4 偽計業務妨害罪の具体例

偽計業務妨害罪は、日常生活のさまざまな場面で成立する可能性があります。

特に近年は、SNSやインターネットの普及によって、一度の投稿やメール送信が短時間で多くの人へ拡散し、企業や店舗の業務へ大きな影響を与えるケースが増えています。

「悪ふざけだった」「冗談のつもりだった」という理由であっても、結果として業務を妨害したと評価されれば、刑事責任を問われる可能性があります

ここでは、偽計業務妨害罪が問題となりやすい具体例を紹介します。

1 インターネット上での偽計業務妨害

⑴ SNSで虚偽の情報を投稿する行為

近年、最も多く見られるのがSNSを利用した偽計業務妨害です。

例えば

  • 飲食店で食中毒が発生したという虚偽の投稿をする
  • 店舗が営業停止になったというデマを拡散する
  • 企業の商品に異物が混入していると虚偽の情報を投稿する

といった行為は、店舗や企業に多数の問い合わせやキャンセルを発生させ、営業活動へ大きな影響を及ぼすことがあり、偽計業務妨害罪や信用毀損罪が成立する可能性があります。

このような類型の偽計業務妨害については、未成年者が軽い気持ちで行ってしまいがちという側面があるように思われます。

しかしながら、無知な面もあるがゆえの安易な犯行であったとしても犯罪となりうることは変わりませんし、ひとたび立件されれば将来への影響も甚大なものとなりかねず、業務妨害等となりうる行為をしない、させないという平時からの注意が重要です。

⑵ 口コミサイトへの虚偽投稿

飲食店やホテルなどの口コミサイトへ、事実に反する内容を繰り返し投稿する行為も問題となることがあります。

例えば

  • 実際には利用していないにもかかわらず「店員の対応が最悪だった」と投稿する
  • 衛生状態が悪いという虚偽の口コミを投稿する
  • 複数のアカウントを利用して低評価レビューを繰り返す

などの営業を妨害しうる行為が行われた場合には、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。

もっとも、実際に利用した上で正当な感想を投稿することまで違法となるわけではありません。

問題となるのは、虚偽の事実を意図的に投稿し、業務へ影響を与えるようなケースです。

⑶ 大量の架空注文や予約

インターネット通販や飲食店の予約システムを利用して、大量の架空注文や架空予約を行う行為も典型例です。

例えば

  • 他人名義で大量の商品を注文する
  • ホテルや飲食店へ架空予約を繰り返す
  • イベントへ虚偽の申込みを大量に行う

などの行為は、本来利用したい顧客が利用できなくなるなどすることもありえし、業務妨害として処罰される可能性があります。

2 その他偽計業務妨害罪が成立する具体例

⑴ 虚偽の通報・犯行予告

警察や消防、病院などへ虚偽の通報や犯行予告などを行い、本来必要のない出動や対応をさせた場合や、イベントの中止や施設の閉鎖などに至ったようなケースで、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。

例えば

  • 爆発物を仕掛けたという虚偽の通報
  • 病院に感染症患者が多数いるという虚偽の連絡
  • 架空の事件や事故を110番通報する行為

などは、実際に職員が対応を余儀なくされ、通常業務に大きな支障が生じるため、悪質な事案として取り扱われることがあります。

なお、犯行予告等については、内容次第では威力業務妨害が成立する可能性もあります。

⑵ 企業への虚偽の問い合わせ・連絡等

企業や店舗へ、事実ではない苦情や問い合わせを繰り返し送ることも、業務妨害となる可能性があります。

例えば

  • 存在しない事故について何度も苦情を申し立てる
  • 他人になりすまして問い合わせを繰り返す
  • 対応できないほど大量のメールを送信する

といった行為は、従業員が通常業務を行えなくなる原因となります。

このような行為についても、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。

⑶ イベントや業務を混乱させる行為

イベント会場や公共施設に対して虚偽の情報を伝え、運営を混乱させた場合も処罰の対象となることがあります。

例えば

  • コンサート会場へ虚偽の危険情報を伝える
  • 試験会場へ爆破予告を送信する
  • イベントの中止を目的としてデマを拡散する

などの行為は、多数の利用者へ影響を及ぼすため、重大な事件として捜査されることがあります。

こちらについても、犯行予告等の内容次第では威力業務妨害が成立する可能性もあります。

3 軽い気持ちで行った行為でも成立することがある

偽計業務妨害罪では、「冗談だった」「注目を集めたかっただけだった」という弁解は通用しません。

重要なのは、業務を妨害しうる行為が行われたか否かであり、実際に妨害されたか否かも、妨害の目的があったか否かも関係なく、偽計業務妨害は成立しえます。

近年では、SNSへの投稿や匿名掲示板への書込みであっても、通信記録やアクセスログなどから投稿者が特定されるケースが増えています。

また、投稿を削除したとしても、それだけで刑事責任を免れるわけではありません。

インターネット上での発言は、多くの人が閲覧し、短時間で拡散する可能性があります。

そのため、軽い気持ちで投稿した内容が、企業や店舗へ大きな損害を与え、刑事事件へ発展することも十分に考えられます。

情報を発信する際には、その内容が事実に基づいているか、不当に業務を妨害しうるものでないかを十分確認し、安易な投稿をしないことが重要です。

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第5 逮捕後の手続と対応

偽計業務妨害罪が疑われた場合、事件の内容によっては逮捕されることがあります。

もっとも、すべての事件で逮捕されるわけではなく、証拠隠滅や逃亡のおそれがない場合には、在宅事件として捜査が進められることも少なくありません。

ここでは、逮捕後の一般的な流れと、注意すべきポイントについて解説します。

1 逮捕後の流れ

⑴ 逮捕から勾留まで

逮捕された場合、警察は原則として48時間以内に事件を検察官へ送致します。

その後、検察官は24時間以内に勾留請求を行うかどうかを判断します。

裁判官が勾留を認めた場合には、原則10日間、さらに必要がある場合には最大10日間延長され、最長20日間身体拘束を受ける可能性があります。

この間は、仕事や学校へ行くことができず、接近禁止となり家族との面会が制限されることもあります。

※逮捕については(逮捕(たいほ)の種類や逮捕されたらどうすべきかを,元検事の弁護士がわかりやすく解説|上原総合法律事務所 )の記事もご参照ください。

⑵ 起訴・不起訴の判断

勾留期間の満期まで、あるいは在宅捜査を終えた段階で、検察官は事件を起訴するか不起訴にするかを判断します。

不起訴(起訴猶予など)となれば刑事裁判は行われず、前科も付きません。

※不起訴(起訴猶予)処分の獲得については( 起訴猶予とは?元検事の弁護士が不起訴との違いや前科・前歴との関係、起訴猶予処分獲得のポイントについて解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。

起訴される場合であっても、略式手続による場合には、罰金の前科はつくものの、公開の法廷で審理を受けることはありません。

※略式手続については(略式起訴・略式命令でも前科?手続の流れ、罰金の相場等を元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所 )の記事もご参照ください。

一方、公判請求された場合には刑事裁判へ進み、裁判所が有罪・無罪や量刑について判断することになります。

この場合、特に重要なのは執行猶予がつくか実刑となるか(現に刑務所に服役することなるか)であり、今後の人生にも大きく影響しうる重大な分かれ道となります。

※執行猶予の獲得については(執行猶予を獲得するには?元検事の弁護士が執行猶予となるための弁護活動や条件について解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。

2 取調べを受ける際の注意点

警察や検察による取調べでは、事件の経緯や投稿・送信の目的、被害者との関係などについて詳しく質問されます。

また

  • なぜその投稿をしたのか
  • 虚偽であることを認識していたのか
  • 業務へ影響が出ると考えていたのか

などについても確認されることがあります。

取調べで供述した内容は、その後の裁判でも重要な証拠となる可能性があります。

そのため、事実と異なる説明をしたり、その場の雰囲気に流されて安易に認めたりすることは避けるべきです。

取調べへの対応に不安がある場合には、事前に弁護士へ相談し、適切な助言を受けることをおすすめします。

※取調べへの対応については( 元検事の弁護士が取調べにどのように対応すべきか解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。

3 早期対応が重要

偽計業務妨害罪では、事件発覚後の対応がその後の処分に影響することがあります。

例えば、被害者へ誠実に謝罪し、被害回復に努めることや、再発防止策を講じることは、検察官や裁判所が処分を判断する際の事情として考慮される可能性があります。

そのため、警察から連絡があった段階や、事情聴取を求められた段階で、できるだけ早く弁護士へ相談することが重要です。

4 自首という選択肢と自首サポート

偽計業務妨害の相手方が大規模な企業や公的な機関であるといったケースでは、相手方の方針として、示談はしない、被害弁償も受け取らないといったパターンもあります。

こういったケースでは、本来情状面で大きなウエイトを占める示談については如何ともしがたく、有利な情状関係を整える手段が限定的な場合もあります。

その中でも、家族の指導監督等の再犯防止策と共に重要なものとなりうるのが自首ないし自主的な出頭です。

刑法42条は「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」と規定されており、法律上の自首が成立した場合は刑の減軽事由となりえます。

法律上の自首となるためには、犯罪の事実や犯人が捜査機関に判明していない段階で自首することが必要ですが、これに該当すれば刑が軽くなりうるほか、執行猶予がつくか、そもそも起訴するか否かという観点でも有利な情状となりえます。

もし、既に捜査機関に発覚している場合、残念ながら法律上の自首には該当しません。

しかしながら、自主的な出頭であっても、反省や更生の意欲のあらわれなどとして、執行猶予が付くか否か、起訴するか否かなどといった判断において、被疑者・被告人にとって有利な情状となります。

また、自首や自主的な出頭は「罪証隠滅」や「逃亡」の意思がないことの顕れともいえ、逮捕の回避という観点からもプラスになりえます。

いずれにせよ、なるべく早い段階での自首・出頭がより望ましいところであり、当事務所では自首のサポートも行っています。

※自首サポートについては(自首サポートの内容について|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。

第6 偽計業務妨害罪で弁護士へ相談する理由

偽計業務妨害罪では、「偽計」に当たるかどうかや、業務妨害が生じうる行為であったのかなど、法律的な判断が重要になります。

また、現にどの程度の影響があったのかについては重要な情状事実になりえますし、損害が大きいほど、被害弁償や示談の情状事実としての重要度も増してきます。

そのため、早い段階から弁護士が関与することで、より適切な対応に行える可能性が高まります

1 事件の内容を法的に分析できる

弁護士は、証拠や取調べの内容を確認し、本当に偽計業務妨害罪が成立する事案なのかを検討します。

例えば、投稿内容が単なる正当な意見の表明にすぎないともいえる場合や、業務妨害となりうるような行為ではないといえる場合などには、その点を踏まえた主張を行うことができます。

他方、独善的な見解を主張しても、それが通るとは限りません。

まずは、事案の内容や証拠関係を踏まえ、法的に意味のある主張がありうるか、実際にその主張を行うメリットやデメリットはどうかなどを刑事事件に精通した弁護士と検討すべきでしょう。

※不起訴(嫌疑不十分)処分の獲得については(嫌疑不十分とは?不起訴となるためのポイントや処分までの流れについて元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。

2 示談交渉を進められる

被害者に損害が生じているる事件では、示談が成立しているかどうかが処分に大きく影響することがあります。

もっとも、加害者本人が直接被害者へ連絡すると、新たなトラブルへ発展する可能性もあります。

弁護士が代理人として示談交渉を行うことで、円滑な解決が期待できます。

通常、示談交渉を行う場合には、弁護人から捜査機関に対し、弁護人限りで連絡先の開示を受けられないか相手方の以降を確認してもらうよう打診し、開示を受けられてから本格的に示談交渉を行うというパターンが一般的です。

※示談については(刑事事件で示談する方法を元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。

3 不起訴や略式手続、執行猶予を目指す

事件が検察庁へ送致された後は、弁護士が反省の状況や再発防止策、示談の成立などを整理し、必要に応じて検察官へ意見書などを提出し、不起訴(起訴猶予)処分や、事案によっては略式手続で済むよう主張します。

※不起訴(起訴猶予)処分の獲得については(起訴猶予とは?元検事の弁護士が不起訴との違いや前科・前歴との関係、起訴猶予処分獲得のポイントについて解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。

※略式手続については(略式起訴・略式命令でも前科?手続の流れ、罰金の相場等を元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所 )の記事もご参照ください。

また、起訴された場合には、裁判所へ有利な事情を丁寧に主張・立証し、執行猶予付き判決、適切な量刑となるよう弁護活動を行います。

※執行猶予の獲得については(執行猶予を獲得するには?元検事の弁護士が執行猶予となるための弁護活動や条件について解説|上原総合法律事務所 )の記事もご参照ください。

第7 偽計業務妨害罪に関するよくある質問

1 悪ふざけでも犯罪になりますか

悪ふざけや軽い気持ちで行った行為であっても、他人の業務が妨害されうる行為を行った場合には、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。

「冗談だった」「実際に妨害する目的はなかった」という理由だけで刑事責任を免れることはできません。

2 SNSの投稿を削除すれば大丈夫ですか

投稿を削除したとしても、それまでに多くの人へ拡散されていた場合や、通信記録などによって投稿内容が確認できる場合には、捜査が行われる可能性があります。

削除したことだけで責任がなくなるわけではありません。

3 示談が成立すれば前科は付きませんか

示談が成立したとしても、必ず不起訴になるわけではありません。

もっとも、示談の成立は検察官や裁判所が処分を判断する際の重要な事情となるため、不起訴や量刑の判断に影響する可能性があります。

4 未成年でも処罰されますか

未成年者が刑事事件を起こした場合、基本的には少年事件として家庭裁判所へ送致されることがあります。

重大な事案では、家裁から検察に事件が逆送され、刑事処罰が問題となる場合もあるため、保護者も含めて早期に弁護士へ相談することが重要です。

※少年事件については(少年事件について元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。

第8 お気軽にご相談ください

偽計業務妨害罪は、インターネットやSNSが身近になった現在、誰もが関係する可能性のある犯罪です。

軽い気持ちで投稿した内容や悪ふざけで行った行為であっても、企業や店舗の業務へ大きな影響を与えた場合には、逮捕や起訴につながることがあります

もっとも、事件発覚後の対応や反省の状況、示談の成立などによって、その後の処分が変わる可能性もあります。

上原総合法律事務所は、元検事8名を中心とする弁護士が在籍し、刑事事件について豊富な経験を有しています。

偽計業務妨害罪で警察から事情聴取を受けている方や、ご家族が逮捕された方からのご相談にも迅速に対応しております。

一人で悩まず、まずはお気軽に当事務所までご相談ください。経験豊富な元検事の弁護士が、ご事情を丁寧にお伺いし、今後の見通しや適切な対応について分かりやすくご説明いたします。

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