収賄罪とは?成立要件や類型、罰則や対処法について元検事の弁護士が解説

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弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。捜査・公判の両面で多数の刑事事件 を担当。検事退官後、都内法律事務所を経て個人事務所を開設。2021年に弁護士法人化し、新宿・ 横浜・立川に展開。元検事(ヤメ検)として、捜査機関の思考・動き方を熟知した立場から、逮捕前 の対応・示談交渉・公判弁護まで一貫してサポートしている。

公務員が職務に関して金銭や利益を受け取るなどする「収賄罪」は、公務の公正さに対する国民の信頼を損なう重大な犯罪です。

ニュースなどで政治家や公務員の贈収賄事件が報道されることがありますが、「どのような行為が収賄罪になるのか」「現金以外でも賄賂になるのか」「贈賄罪との違いは何か」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

また、収賄罪は刑法上複数の類型が定められており、事案によって成立する犯罪や刑罰の内容が異なります。そのため、正しい知識を持つことが重要です。

この記事では、元検事(ヤメ検)の弁護士が、収賄罪の概要、各類型の成立要件や罰則、贈賄罪との違い、対処法や弁護活動について分かりやすく解説します。

第1 収賄罪とは?

1 収賄罪の概要

収賄罪とは、公務員などがその職務に関して賄賂を受け取り、または要求したり受け取る約束をすることなどによって成立する犯罪です。

刑法は、公務員が国民全体の利益のために公平・中立に職務を行うことを前提としています。そのため、公務員が金銭や利益を受けて職務を行うようになると、公務の公正性が失われ、社会全体の信頼が大きく損なわれることとなりかねません。

このような事態を防ぎ、公務員の職務の公正及びそれに対する社会の信頼を保護するため、刑法は収賄罪を設け、公務員による不正な利益の受領などを厳しく処罰しています。

ここでいう「公務員」とは、国家公務員や地方公務員だけではなく、法律上公務員とみなされる者も含まれるほか、類型によっては「公務員となろうとする者」や「公務員であった者」も対象となりえます。

また、収賄罪にはいくつかの類型があり、類型によっては、実際に職務上便宜を図るなどしたかどうかにかかわらず、職務との関係で賄賂を受け取った場合には収賄罪が成立する可能性があります。

したがって、「お金を受け取っただけで何もしていないから犯罪にはならない」というわけではありません

2 贈賄罪との違い・関係

収賄罪とよく比較される犯罪が「贈賄罪」であり、あわせて贈収賄などと表現されることもあります。

両者は一連の贈収賄事件として扱われることが多いものの、処罰される対象が異なります。

収賄罪は、公務員側が賄賂を受け取るなどの行為を処罰する犯罪です。

一方、贈賄罪は、公務員に対して賄賂を供与したり、供与を申し込んだり、約束したりする側を処罰する犯罪です。

例えば、行政上の許認可を有利に進めてもらうために担当公務員へ現金を渡した場合、公務員には収賄罪が、現金を渡した側には贈賄罪が成立する可能性があります。

つまり、一つの贈収賄事件では、受け取る側と渡す側の双方が刑事責任を問われることがあります。このように一定の行為が行われた場合に、その行為に関与した双方に犯罪が成立する場合を対向犯といいます。

※贈賄罪については(贈賄とは?処罰される条件や贈賄罪の予防法・対処法について弁護士が詳しく解説)の記事もご参照ください。

第2 収賄罪の類型と成立要件

1 収賄罪の成立要件の概要

収賄罪が成立するためには、主に次のような要件を満たす必要があります。

まず、主体が「公務員」、「公務員となろうとする者」又は「公務員であった者」であることです。各主体ごとに、どのような場合に収賄罪が成立するかは異なります。

収賄罪は公務員の職務の公正さやそれに対する信頼を守るための犯罪であるため、一般の会社員などには成立しません。

次に、「職務に関して」利益を受け取ることが必要です。

ここでいう職務とは、現在担当している業務だけではなく、法律上の権限や職務と密接な関係がある事項も含まれると考えられています。

また、賄賂を受け取るだけでなく、将来受け取る約束をした場合や要求をした場合にも収賄罪が成立することがあります。

さらに、実際に便宜を図った結果が生じていなくても、賄賂の授受が認められれば犯罪が成立する場合があります。

実際の事件では

  • 職務との関連性があるか
  • 提供された利益が賄賂に当たるか
  • 職務に関する依頼について承諾をしたか(請託)があったか
  • 収賄と関連して不正な行為などがあったか

などが重要な争点となることが少なくありません。

2 「公務員」とは

収賄罪の主体は基本的に「公務員」です。

後記のとおり、事前収賄罪については「公務員となろうとする者」、事後収賄罪については「公務員であった者」が主体となりますが、「公務員」の意義としては同様です。

日本の一般的な国家公務員、地方公務員、議員などはもちろん、国公立であれば病院の医師や学校の教員、みなし公務員となる独立行政法人や国立大学法人の職員なども収賄罪の主体となりえます。

なお、外国の公務員については収賄罪の主体とはなりませんが、外国公務員への贈賄については不正競争防止法で定められている外国公務員贈賄罪となる可能性があります。

また、会社の取締役等については、会社法967条で取締役等の贈収賄罪が規定されています。

3 「賄賂」とは

賄賂とは、公務員の職務に関して提供等される不正な利益をいいます。

賄賂というと現金を思い浮かべる方が多いですが、それだけではなく、有形無形を問わず、重要や欲望を満たす一切の利益を含み、経済的な価値があるものに限られません。

例えば

  • 商品券
  • 高価な贈答品
  • 接待や飲食
  • 旅行費用
  • ゴルフの接待
  • 借金の免除
  • 無償でのサービス提供
  • 特定の地位やポストの提供

なども、職務との関係や利益の内容によっては賄賂に該当する可能性があります。

つまり、「お金ではないから問題ない」という考え方は誤りです

なお、社交儀礼の範囲であれば賄賂には当たらないとされていますが、金額等による明確な線引きがありわけでもなく、賄賂性が争点となるケースも少なくありません。

いずれにせよ、公務員が職務に関連して何らかの利益を受ける場合には、賄賂に当たるものではないか、その利益の内容や提供の経緯を慎重に判断する必要があります。

4 職務関連性(「職務に関し」)とは 

収賄罪が成立するのは、賄賂の収受等が「職務に関し」なされた場合、職務関連性がある場合です。

ここにいう「職務」とは、公務員がその地位に伴って職務として取り扱うべき一切の職務を意味すると解されています。

その公務員が自分だけで意思決定して実際に行うものに限らず、上司の決裁が必要な場合や部下を指揮して行わせる場合も含みますし、判例では「職務と密接な関係にある行為(密接関連行為などとも呼ばれます)」や「準職務行為」、「事実上所管する職務行為」などについても職務関連性が認められるとされていますが、その趣旨や範囲については必ずしも明確とは言い難く、基本的には広く解釈されがちでもあるため、職務関連性の有無については慎重な検討が必要であり、刑事事件に精通した弁護士のアドバイスを受けるのが望ましいでしょう。

5 「請託を受け」とは 

事前収賄罪や事後収賄罪、受託収賄罪などでは「請託」を受けることも成立要件のひとつとされています。

「請託を受け」とは、公務員が、その職務に関する事項について依頼を受けて承諾することをいいます。

黙示や暗黙の依頼・承諾でも請託が認められることもあり、不正な職務行為についてのみでなく、正当な職務行為について依頼・承諾があった場合も含みます。

請託が認められる場合、より重く処罰されたり、請託があって初めて犯罪となる類型もあります。

6 収受、要求、約束とは 

「収受」とは、賄賂として提供された金品等を受け取ったり利益を得ることをいいます。

職務行為の後に受け取る場合も含みますが、後で返還するつもりで一時的に預かった場合(突然送り付けられて返還するまで保管していた場合などが想定されます。)については収受とはならない可能性があります。

「要求」とは、賄賂を提供するよう求めることであり、相手方が応じなかった場合や認識していない場合、誤認した場合なども「要求」自体は認められることがあります。

「約束」とは、賄賂の提供の申出に対し承諾することをいいます。一度約束をした場合には、後に約束を破棄しても収賄罪は成立しえます。

なお、要求や約束に引続き実際に収受がなされた場合にも、まとめてひとつの収賄罪が成立します。

7 収賄罪の類型と成立要件、法定刑

刑法では、収賄罪を一つの犯罪だけではなく、複数の類型に分けています。

以下、各類型ごとに簡単に解説します。

収賄(単純収賄)罪(刑法197条1項前段)

「公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をした」場合には、収賄の基本類型である収賄罪(単純収賄罪)が成立します。

各要件は上記のとおりであり、単純収賄罪の法定刑は5年以下の拘禁刑とされています。

受託収賄罪(刑法197条1項後段)

収賄(単純収賄)罪の要件に加えて、「請託を受けた」場合には受託収賄罪が成立します。

「請託」により賄賂と職務の対価関係がより明確になり、職務の公正に対する信頼への影響も大きくなることから、法定刑も7年以下の拘禁刑とより重いものとされています。

事前収賄罪(刑法197条2項)

「公務員になろうとする者」が、その担当すべき職務に関し、請託を受けて、賄賂の収受等をし、「公務員となった場合」には事前収賄罪が成立します。

あらかじめ請託と収賄に当たる行為があり、のちに実際に公務員になった場合も補足するものであり、法定刑は単純収賄と同様の5年以下の拘禁刑とされています。

事後収賄罪(刑法197条の3第3項)

「公務員であった者」(退職した者)が、在職中に請託を受けて(依頼を受けてそれを承諾して)、不正な行為をしたこと、あるいはすべきことをしなかったことについて、賄賂を受け取るなどした場合には事後収賄罪が成立します。

請託があり、不正の行為等もあった場合には、退職した後に賄賂を収受等した場合であっても事後収賄罪で捕捉されえます。なお、公務員の身分のある段階で賄賂の約束があれば、その時点で単純収賄が成立します。法定刑は単純収賄、事前収賄と同様の5年以下の拘禁刑です。  

第三者供賄罪(刑法197条の2)

公務員が職務に関する請託を受けた(依頼を受けてそれを承諾した)場合、その公務員自身の収受等でなく、第三者に供与させたり、その要求や約束をしたりといったケースでも第三者供賄罪が成立します。

供与を受けるのが公務員自身でなければよいというわけではなく、単純収賄等と同様に5年以下の拘禁刑となりえます。

加重収賄罪(刑法197条の3第1項、第2項)

単純収賄、受託収賄、事前収賄又は第三者供賄の罪を犯し、さらに、「不正の行為をし、又は相当の行為をしなかった」場合には加重収賄罪が成立します。

また、「不正の行為をし、又は相当の行為をしなかった」ことについて、収受等や第三者供賄に当たりうる行為をした場合も同様です。

「不正の行為をし、又は相当の行為をしなかった」とは、積極的な行為、あるいは行為をしないこと(不作為)によって職務に違反することをいいます。

 実際に職務違反行為があった場合ですので、1年以上の有期拘禁刑というより重い法定刑となっています。

あっせん収賄罪(刑法197条の4)

公務員が、請託を受け、他の公務員に職務上不正な行為をさせるなどのあっせんをする、あるいはあっせんをしたことを報酬として賄賂を収受するなどした場合にはあっせん収賄罪が成立しえます。

ここにいう「あっせん」とは、贈賄者と不正な行為等をする公務員との間で仲介をすることをいい、公務員という立場であっせんをすることが必要と解されています。法定刑は単純収賄等と同様の5年以下の拘禁刑です。

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第3 収賄罪の罰則

1 収賄罪の法定刑

収賄罪は、公務の公正さ及びそれに対する国民の信頼を害する重大な犯罪であるため、刑法では厳しい法定刑が定められています。

もっとも、収賄罪には複数の種類があり、それぞれ法定刑が異なります。

例えば、最も基本的な単純収賄罪は、5年以下の拘禁刑とされており、事前収賄罪、事後収賄罪、第三者供賄罪及びあっせん収賄罪も同様です。

一方、職務上の依頼を受けてこれを承諾し(請託を受けて)賄賂を受け取る受託収賄罪は、7年以下の拘禁刑です。先述のとおり、「請託」により賄賂と職務の対価関係がより明確になり、職務の公正に対する信頼への影響も大きくなることを踏まえてのものと解されています。

さらに、各種収賄に加えて、実際に不正な行為を行ったり、行うべき行為を行わなかった場合については、加重収賄罪となり、1年以上20年以下の拘禁刑という非常に重い法定刑が定められています。

また、収賄罪には罰金刑の定めはありませんが、刑法197条の5で賄賂は没収や追徴のっ対象ともされています。

2 贈賄罪との罰則の違い

収賄罪と対になる犯罪が贈賄罪ですが、贈賄罪(刑法198条)の法定刑は3年以下の拘禁刑又は250万円以下の罰金とされており、法定刑も軽く、一般的には収賄罪の方が重く処罰される傾向があります。

その理由は、収賄罪が公務員という立場を利用して国民の信頼を裏切る行為であるためです。

例えば、公務員に現金を渡した民間企業の担当者には贈賄罪が成立する可能性がありますが、その現金を受け取った公務員には収賄罪(請託や不正行為等があれば受託収賄罪や加重収賄罪)が成立します。

同じ事件であっても、受け取る側と渡す側では適用される犯罪が異なり、法定刑にも違いがあります。

もっとも、贈賄側も処罰を免れるわけではありません。

行政上の便宜を図ってもらう目的で賄賂を渡した場合には、企業の役員や従業員なども刑事責任を問われる可能性があります。

贈収賄事件では、公務員だけでなく、企業や関係者にも大きな影響が及ぶことを理解しておく必要があります。

※贈賄罪については( 贈賄とは?処罰される条件や贈賄罪の予防法・対処法について弁護士が詳しく解説)の記事もご参照ください。

3 刑が重くなるケース

収賄事件では、すべての事件で同じような刑罰になるわけではありません。

例えば

  • 賄賂の金額が高額である
  • 長期間にわたり繰り返し賄賂を受け取っていた
  • 社会的影響が大きい職務に関する事件である
  • 組織的・計画的に犯行が行われている

このような事情がある場合には、重い処分となる可能性があります。

また、請託や不正行為等がある場合には、より重い受託収賄罪や加重収賄罪が成立する場合もあります。

一方で

  • 犯行を認めて反省している
  • 受け取った利益を返還している
  • 職務への影響がない、あるいは乏しい
  • 被害(国や自治体に生じた損害など)の回復に努めている
  • 初犯である

といった事情は、刑事処分を判断する際に考慮されることがあります。

もっとも、最終的な判断は事件全体の事情を踏まえて行われるため、一つの事情だけで処分が決まるわけではありません。

第4 贈収賄事件の例と処罰される理由等

1 贈収賄が社会に与える影響

贈収賄事件が厳しく処罰される最大の理由は、公務の公正性及びそれに対する国民の信頼を守るためです。

行政機関や地方公共団体、公的機関では、公平・中立な判断が求められますし、公正性や中立性への信頼のもとで社会は成り立っています。

しかし、お金や利益によって判断が左右されるようになれば、公平な行政は成り立ちませんし、贈収賄があれば、実際には公務の内容に影響がなくとも信頼は害されます。

例えば

  • 許認可が不当に与えられる
  • 入札が不正に操作される
  • 公共工事の発注がゆがめられる
  • 税務調査や行政処分が不公平になる

といった問題が発生する可能性がありますし、このような問題があるのではないかという疑念が生ずること自体、社会的な損失といえるでしょう。

そのため、刑法は収賄罪や贈賄罪を設け、公務の公正さ及び公正さへの信頼を守ろうとしているのです。

2 贈収賄事件の具体例

贈収賄事件は、政治の世界だけで起こるものではありません。

これまでにも

  • 公共工事の入札に関する事件
  • 自治体職員への現金提供
  • 許認可に関する利益供与
  • 税務調査や行政処分をめぐる事件
  • 公的機関の契約に関する事件

など、さまざまな贈収賄事件が発生しています。

また、賄賂は現金だけとは限らず、高級飲食店での接待や旅行代金の負担、高価な贈答品などが問題となるケースもあります。

さらに、「慣例だった」「お礼のつもりだった」といった説明がされたとしても、それだけで収賄罪や贈賄罪が否定されるわけではありません。

重要なのは、その利益が賄賂に該当するかどうかや、職務との関係で提供されたものかどうか’(職務関連性が認められるかどうか)です。

実際の捜査では、メールやメッセージのやり取り、金銭の流れ、関係者の供述など、多くの証拠をもとに慎重な判断が行われます。

そのため、贈収賄事件では、早い段階から弁護士に相談し、適切な対応を取ることが重要です。

第5 収賄事件で逮捕された場合の弁護活動

1 逮捕後の流れと早期対応の重要性

収賄事件では、少なくとも贈賄側という関係者が存在しますし、それ以外にも部下や上司など、事件に関係している可能性があり、かつ被疑者が容易に接触できるであろう立場の者が複数存在しえます。

それがゆえ、証拠隠滅や関係者との口裏合わせのおそれがあると判断され、逮捕・勾留される可能性が比較的高い類型であるといえるでしょう。

また、公務員側(収賄側)でも企業関係者等の側(贈賄側)でそれぞれ複数人が関与しているとうかがわれる事件では、関係者への事情聴取や証拠収集が並行して進められるため、捜査が長期化するケースも少なくありませんし、余罪があるケースでは再逮捕がなされる可能性もあります。

逮捕されると、まず警察署に身柄を拘束され、取調べを受けることになります。

その後、検察に送致され、勾留請求されるかどうかが判断されます。

勾留請求後、裁判所の判断で勾留が認められた場合、最長でそこから20日、身柄拘束が続く可能性があります。

逮捕後の流れについて詳しくは(逮捕から起訴までの流れと期間を元検事の弁護士が図でわかりやすく解説)の記事をご参照ください。

なお、在宅事件の場合、警察から呼び出されて取調べを受けるなどした後、事件が検察に送致(いわゆる書類送検)され、検察でも取調べを受けるなどした上で処分が決まるという流れが一般的です。

逮捕・勾留された場合には、身体拘束下で警察・検察による取調べなどが行われ、通常、勾留期間の満期までに起訴されるか不起訴となるか、検察官により判断されます。

取調べでは、自分では問題ないと思って話したり、問題ないと思って署名するなどした供述調書が、後に不利な証拠として扱われることもあります。そのため、捜査機関の求めに応じて安易に供述するのではなく、事件の内容を十分に理解した上で対応することが重要です。

また、贈収賄事件では

  • 本当に職務との関係があったのか
  • 提供された利益が賄賂に当たるのか
  • 不正な依頼や約束が存在したのか

などが重要な争点となります。

これらは専門的な法的判断が必要となるため、できるだけ早い段階で刑事事件に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。

取調べや供述調書については(元検事の弁護士が取調べにどのように対応すべきか解説)の記事もご参照ください。

2 不起訴・刑の軽減に向けた弁護活動

贈収賄事件では、事件の内容によっては不起訴となる可能性や、起訴された場合でも刑が軽くなる可能性があります

弁護士は、事件の証拠を精査し、収賄罪や贈賄罪が本当に成立するのかを法的な観点から検討します。

例えば

  • 職務との関連性が認められない
  • 提供された利益が賄賂とは評価できない
  • 賄賂であることの認識が認められない

といった事情がある場合には、犯罪の成立自体を争うことが考えられます。

※不起訴(嫌疑不十分)の獲得については(嫌疑不十分とは?不起訴となるためのポイントや処分までの流れについて元検事の弁護士が解説)の記事もご参照ください。

※無罪の獲得については(無罪を勝ち取りたい)の記事もご参照ください。

また、犯罪の成立を前提とする場合でも

  • 反省の意思を示すこと
  • 不正に得た利益を返還すること
  • 再発防止策を講じること

などの事情を適切に主張することで、不起訴処分や刑の軽減につながる可能性があります。

※不起訴(起訴猶予)の獲得については(起訴猶予とは?元検事の弁護士が不起訴との違いや前科・前歴との関係、起訴猶予処分獲得のポイントについて解説)の記事もご参照ください。

※執行猶予の獲得については(執行猶予を獲得するには?元検事の弁護士が執行猶予となるための弁護活動や条件について解説 )の記事もご参照ください。

さらに、逮捕・勾留された場合には、勾留の必要性がないことを主張し、早期の身柄解放を目指す弁護活動も重要になります。

※身柄の解放については(釈放、保釈について元検事の弁護士が解説)の記事もご参照ください。

贈収賄事件は社会的な注目を集めやすく、本人だけでなく勤務先や家族にも大きな影響を及ぼすことがあります。そのため、事件の初期段階から適切な弁護を受けることが重要です。

第6 収賄罪に関するよくある質問

1 現金以外でも賄賂になりますか?

はい、現金以外でも賄賂に該当する可能性があります。

賄賂は現金に限られず、商品券、高価な贈答品、接待、旅行費用の負担、借金の免除など、経済的な利益と評価できるものであれば賄賂と判断されることがあります。

重要なのは、社交儀礼の範囲に留まるかや、その利益が公務員の職務に関連して提供されたものかどうかです。

2 接待や飲食でも収賄罪になりますか?

接待や飲食が直ちに収賄罪となるわけではありません。

しかし、職務上の便宜を期待して高額な接待や継続的な利益供与が行われた場合には、賄賂と評価される可能性があります。

そのため、金額だけでなく、提供された目的や職務との関係、提供の経緯などを総合的に判断する必要があります。

3 弁護士に相談するタイミングはいつですか?

贈収賄事件では、できるだけ早い段階で弁護士へ相談することをおすすめします。

逮捕された後はもちろん、事情聴取を求められた段階や、捜査対象となっていることが分かった段階でも相談することが重要です。

早期に弁護士へ相談することで、取調べへの対応方法について助言を受けられるほか、事件の見通しや今後の対応について適切なアドバイスを受けることができます。

まとめ

収賄罪は、公務員が職務に関連して賄賂を受け取ることなどによって成立する犯罪であり、公務の公正性と国民の信頼を守るために刑法で厳しく処罰されています。

また、収賄罪には単純収賄罪や受託収賄罪、加重収賄罪など複数の類型があり、事案によって成立する犯罪や法定刑が異なります。さらに、現金だけでなく、接待や贈答品なども賄賂に該当する可能性があるため、具体的な事情に応じた慎重な判断が必要です。

贈収賄事件では、逮捕や長期間の捜査に発展することもあり、社会的な影響も非常に大きい事件です。捜査機関から事情聴取を受けている方や、収賄罪・贈賄罪でお悩みの方は、できるだけ早い段階で刑事事件に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。

上原総合法律事務所は、元検事の弁護士8名(令和8年7月31日現在)を中心とする弁護士集団で、迅速にご相談に乗れる体制を整えています。

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