ご注意ください
弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。捜査・公判の両面で多数の刑事事件 を担当。検事退官後、都内法律事務所を経て個人事務所を開設。2021年に弁護士法人化し、新宿・ 横浜・立川に展開。元検事(ヤメ検)として、捜査機関の思考・動き方を熟知した立場から、逮捕前 の対応・示談交渉・公判弁護まで一貫してサポートしている。
「警察から突然電話があり、出頭するよう言われた」
「刑事から『少し話を聞きたい』と呼び出されたが、何を聞かれるのだろう」
「呼び出しを無視したらある日突然逮捕されてしまうのか」
警察から突然呼び出しを受けると、たとえ身に覚えがなくても、強い不安や戸惑いを感じるものです。しかし、警察からの呼び出しにはさまざまな理由があり、必ずしもあなた自身が「犯罪の犯人(被疑者)」として疑われているとは限りません。
また、何らかの犯罪に関与しているという場合でも、その後刑事事件としてどうなっていくのか、逮捕等の可能性もあるのかは一概には言えません。
重要なのは、その呼出しの理由や趣旨を見極め、適切な初動対応をとることです 。
間違った対応をしてしまうと、本来は逮捕されるはずでなかった事件であるにもかかわらず不利な状況に追い込まれる危といった険性もあります 。
この記事では、警察から呼出しを受ける理由や呼出し後の想定される流れ、拒否の可否とメリットデメリット、逮捕される可能性、そして弁護士へ相談・依頼をする必要性などについて、元検事(ヤメ検)の弁護士8名(令和8年4月30日現在)を中心とする上原総合法律事務所の弁護士が、分かりやすく解説します。
目次
第1 警察があなたを呼び出す「4つの理由」
警察からの呼出しがあった場合、まずは自分がどのような「立場」で呼ばれているのかを把握することが極めて重要です 。主な理由は以下の4パターンに分類されます 。
1 被疑者としての呼び出し
被疑者とは、犯罪を行った疑いがあるとして捜査対象となっている人をいいます。
窃盗や暴行、傷害、詐欺、性犯罪や交通事故など、あらゆる刑事事件で被疑者としての呼出しが行われます。
刑事事件というと、まず逮捕されるというイメージがあるかもしれませんが、いわゆる在宅事件として捜査が進む場合には、呼出しを受けて取調べを受けることとなります。
また、後に逮捕されるケースでも、呼出しての取調べが先行するパターンもあります。
取調べのために呼び出されたという段階では、まだ起訴されるとも有罪となるとも決まったわけではありません。しかし、警察は事件について事情を確認し、証拠を収集するために事情聴取を行います。
このような趣旨での呼出しを受けた際は、「少し話を聞かれるだけ」と軽く考えるのは非常に危険です。
特に、自分に不利な供述をしてしまうと、後から訂正することは容易ではありません。
被疑者として取調べを受ける中での供述内容、特に供述調書に記載された内容は、その後の捜査に大きな影響を与えることを理解しておく必要があります。
※取調べ(事情聴取)の流れや注意点等については( 事情聴取(取調べ)とは?元検事の弁護士が呼出しを受けた際の注意点やその後の流れを解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
2 参考人としての呼び出し
事件を目撃した人や、事件について事情を知っている人が参考人として呼び出されることがあります。
例えば
- 事件現場を目撃した
- 被害者や被疑者と知り合いである
などの場合です。
参考人は犯罪の疑いをかけられているわけではありませんが、事件解決のために重要な証言を求められることがあります。
被疑者や被害者という立場でなくとも、供述内容で誰かの人生を大きく変えてしまうかもしれない可能性もあり、記憶に従って真実を述べることや、供述調書の内容が正しいかきちんと確認することが重要です。
また、取調べの時点ではあくまで参考人であっても、立場や話した内容によっては後に被疑者となってしまうといった可能性も否定できません。
3 重要参考人としての呼び出し
重要参考人とは、法律上の正式な用語ではありませんが、事件との関係が深く、捜査上重要な情報を持っていると考えられる人、特に被疑者となりうると想定される人物を指す際に使われることがあります。
例えば
- 被疑者と事件当日に一緒にいた
- 犯行直前に被害者と最後に会っていた
- 被害品を持っていた
などのケースです。
重要参考人であるとしても、直ちに被疑者や犯人であるという意味ではありません。しかし、事情によっては、その後の捜査の結果、被疑者となる可能性が比較的高い立場にあるといえ、特に注意が必要です。
4 その他の理由
犯罪捜査とは関係なく、落とし物(遺失物)に関する確認といった理由で連絡が来ることもあります 。
他方、かなりレアなケースですが、逮捕をすることを前提に、警察署などへ呼び出した上で逮捕状を執行されるというパターンもゼロではありません。
なお、検察が逮捕をする場合には、むしろ呼出しをして、これに応じて出頭した被疑者を逮捕するというケースの方が多いとかんがえられます。
もし呼び出しの理由に心当たりがなく不安な場合は、電話口で「どのような件(罪名や事件)でしょうか」と警察官に直接確認しても全く差し支えありません 。
どこまで明確に説明されるかは状況次第ですが、少なくとも犯罪捜査と直接関係ない場合や、被疑者(あるいはそれに準ずるような立場)でなければある程度の説明がなされるものと思料されます。
第2 警察からの呼出しは拒否できるのか?拒否や無視のリスク
警察から呼び出された場合、「必ず行かなければならない」と思われがちですが、基本的には呼出しに応じる義務があるわけではありません。逮捕状を持たずに警察が自宅に来たり電話をしてきたりする通常の呼び出しは、法律上、強制力を持たない「任意捜査(にんいそうさ)」に分類されます 。
1 任意の呼出しを拒否することは可能か
任意捜査である以上、法律上は、日時の変更を求めることはもちろん、呼出しを拒否することも可能です。
もっとも、任意だからといって安易に拒否することはおすすめできません。
呼び出しに応じないことで
- 逃亡のおそれがある
- 証拠隠滅のおそれがある
と判断され、裁判所に逮捕状を請求される原因となってしまう可能性があるからです 。 そのため、まずは弁護士へ相談し、呼出しの趣旨や想定される今後の流れについても踏まえ、どのように対応すべきか判断することが重要です。
※逮捕やその後の流れについては(逮捕から起訴までの流れと期間を元検事の弁護士が図でわかりやすく解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
2 仕事や事情を踏まえた対応方法
仕事や家庭の事情により指定された日時に行けない場合は、そのまま放置するのではなく、事情を説明して日程変更を相談しましょう。
例えば
- 仕事を休めない
- 出張予定である
- 入通院している
- 家族の介護や看病がある
など、正当な理由があれば、別の日程で調整してもらえることは珍しくありません。
拒否したり無断で欠席するなどすれば、立場次第では前記のとおり逮捕に繋がるリスクも否定できませんし、誠実に事情を説明した方が良いでしょう。
3 呼出しに応じない状況が続くとどうなるのか
任意の呼出しを一度無視しただけで、直ちに逮捕されるわけではありません。
しかし
- 何度も連絡を無視する
- 出頭の約束を守らない
- リスケを繰り返し、取調べの応じない
といった状況があると、逮捕の必要性があると評価される可能性があります。
もちろん、逮捕するためには法律上の要件を満たす必要がありますが、呼び出しを繰り返し無視するなどの対応ことは決して望ましい対応ではありません。
また、被害者との示談や証拠の提出など、早期に対応できたはずの機会を失うことにもつながります。
そのため、警察から呼び出しを受けた場合は、無視するのではなく、一度弁護士へ相談した上で適切な対応を検討することをおすすめします。
第3 警察からの呼出し後の流れ
警察から呼出しを受けた場合、どのような流れで手続きが進むのでしょうか。被疑者として呼出された場合を中心に、一般的な流れをご紹介します。
※取調べ(事情聴取)の流れや注意点等については(事情聴取(取調べ)とは?元検事の弁護士が呼出しを受けた際の注意点やその後の流れを解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
1 受付・本人確認等
警察署へ到着すると、まず受付で呼び出されて出頭した旨や氏名等を伝えます。
そうすると担当の警察官が迎えにきて、取調べ(事情聴取)を行う部屋(「取調室」「調べ室」などといいます。)へ移動するというパターンが多いでしょう。
また、受付あるいは取調室に入った段階で、運転免許証やマイナンバーカードなど、本人確認書類の提示を求められて本人確認がなされることもが多いでしょう。
その後、担当の警察官の案内に従い、事情聴取を行う部屋へ移動します。
2 取調べ(事情聴取)と供述調書の作成
事情聴取では、事件について詳しい話を聞かれます。
例えば
- 当日の行動
- 被害者との関係
- 現場にいた理由
- 事件について知っていること
などについて質問されます。
特に被疑者として取調べを受ける場合には、自分に不利にならないよう留意するとともに、取調官の誘導などに惑わされないことも重要です。
黙秘権を行使することも選択肢のひとつですが、黙秘が常に最善の選択というわけではありませんし、事案の内容や想定される証拠関係を踏まえ、的確に対応していくことが重要です。
※取調べへの対応方法等については( 元検事の弁護士が取調べにどのように対応すべきか解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
被疑者の場合はもちろん、参考人であっても供述内容が供述調書としてまとめられることがあります。
供述調書は刑事手続の中で重要な証拠となる可能性があるため、内容を十分確認し、事実と異なる記載がある場合は修正を求めることが大切です。微妙なニュアンスの違いであっても、毅然と修正を求めてください。
内容に納得できない場合は、無理に署名・押印する必要はありません。一度署名・押印して完成してしまった供述調書は、後から裁判で「あれは警察に言わされた」などと主張しても、覆すことは極めて困難になります 。
※供述調書やその注意点については(供述調書とは?元検事の弁護士が作成の流れや注意点について解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
3 証拠の確認
事件によっては
- 防犯カメラ映像
- 写真
- メールやSNSのやり取り
- ドライブレコーダーの映像
などの証拠を提示され、その確認を求められることもあります。
記憶が曖昧な事項について、推測で答えることは避けましょう。
分からないことや記憶にないことについては無理に供述を繕うのではなく、正直に「分かりません」「記憶がありません」と回答することも適切な対応です。
4 今後の説明等
事情聴取が終わると
- 再度呼び出す可能性
- 必要書類の提出要請
- 今後の捜査予定
などについて説明を受けます。
事件によっては一度で終わる場合もありますが、複数回呼び出されることも少なくありません。
また、特に被疑者という立場である場合などは、今後の予定等については明言されないというケースもあります。
事件の見通しという点については、捜査機関の手法や捜査の流れなどについても知見を有する弁護士に相談するのが望ましいでしょう。
第4 呼出し後の逮捕の可能性
「警察から呼び出されたら逮捕されるのではないか」と不安になる方は多くいらっしゃいます。
しかし、呼び出されたからといって、必ず逮捕されるわけではありません。
1 逮捕されるケース
逮捕は、法律上の要件を満たす場合に限って認められる強制処分です。
一般的には、次のような事情がある場合には逮捕の必要性が認められる可能性があります。
※逮捕やその後の流れについては(逮捕から起訴までの流れと期間を元検事の弁護士が図でわかりやすく解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
⑴ 逃亡のおそれがある場合
定まった住居がない場合や警察からの連絡を避け続けている場合、事件の内容や前科関係などから重大な処罰は見込まれる場合などは、逃亡のおそれがあると判断される可能性があります。
⑵ 罪証隠滅(証拠隠滅)のおそれがある場合
例えば
- 共犯者がおり、口裏合わせが可能な状況にある
- 証拠が被疑者の手元にあり、処分される可能性がある
- 被害者の連絡先等を把握しており、働きかけを行う可能性がある
などの事情がある場合です。
また、事実関係について争っている場合のほうが、罪証隠滅のおそれがあると判断される可能性が高い傾向にあります。
⑶ 犯罪の疑いが強い場合
刑事訴訟法199条2項は、逮捕状の発布について「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるとき 」などと定めています。客観的な証拠が十分にあり、犯罪の嫌疑が強い場合には、逮捕状が発布される可能性が高いといえます。
もっとも、同項は「明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。 」とも定めており、嫌疑があるだけでは足りず、前記のとおり、逃亡や証拠隠滅のおそれなども総合的に判断されます。
2 逮捕されないケース
一方で、次のような場合には、逮捕されずに在宅事件として捜査が進むことも少なくありません。
- 呼び出しに誠実に応じている
- 住所や勤務先が安定している
- 隠滅の対象となる証拠があまりない
- 被害弁償や示談が進んでいる
- 比較的軽微な事件である
在宅事件の場合は、通常どおりの生活を送りながら捜査が進められます。
ただし、在宅事件であれば起訴される可能性が低いといった関係にあるわけではありませんので、軽く考えることは禁物です。
第5 弁護士に相談するメリット
警察から呼び出しを受けた場合には、できるだけ早い段階で 刑事事件に強い弁護士へ相談することをおすすめします。
早期に相談することで、その後の手続や結論に大きな違いが生じることがあります。
1 元検事の視点による「警察の狙い」や「事件の見通し」を踏まえた的確なアドバイス
事情聴取では、何を話すかによって事件の見通しが大きく変わることがあります。
特に、状況次第では被疑者という立場になりうるような場合や、被疑者として事実関係を争うような場合には、取調べにおいてどのような主張をするのかなどは非常に重要です。
元検事の弁護士であれば、事案の内容や捜査機関の手法に関する知見に基づき、捜査機関がどのような点を重視して事情聴取を行うのかを踏まえた上で、適切なアドバイスを行うことが可能です。
また
- 黙秘権を行使すべきか
- どのような点に注意して話すべきか
- 示談を進めるべきか
など、事件に応じた対応方針を検討できます。
2 取調べのサポート
弁護士は事情聴取の部屋へ同席することはできません。
しかし、事情聴取の前後に十分な打ち合わせを行い、
- 想定される質問
- 回答する際の注意点
- 今後の見通し
などについて具体的な助言を受けることができます。
また、事情聴取終了後も供述内容を確認し、今後の対応について継続的なサポートを受けることが可能です。
場合によっては、取調べを中断して相談するといった対応もありえ、不利な状況とならないよう最善のサポートを受けることができます。
3 不当な取調べからの保護
本来、捜査機関には適正な取調べが求められているところですが、長時間に及ぶ取調べや強い圧力を感じる取調べが行われるケースもありのが実情です。
弁護士へ依頼していることが捜査機関に伝わることで、適正な手続がより意識されることも期待できます。
また、不適切な取調べが疑われる場合には、弁護士が速やかに対応し、必要に応じて警察や検察へ申し入れを行うこともあります。
4 逮捕の回避と「不起訴処分」に向けた迅速な示談交渉
もしあなたに犯罪の心当たりがある場合、最も重要なのは被害者との「示談交渉」です 。
警察から呼び出しを受けている段階で、弁護士を介して迅速に被害者への謝罪や被害弁償(示談)を進めることで、被害届の提出が見送られたり、警察や検察官が「わざわざ身柄を拘束して捜査を進めるまでの必要はない」「裁判にかけて刑罰を与えるまでの必要はない」と判断し、逮捕の回避や「不起訴処分(前科がつかない解決)」を勝ち取れる可能性が高まります 。
※逮捕とその回避にについては(逮捕されたくない|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
※不起訴(起訴猶予)処分の獲得については(起訴猶予とは?元検事の弁護士が不起訴との違いや前科・前歴との関係、起訴猶予処分獲得のポイントについて解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
第6 お気軽にご相談ください
警察から呼び出しを受けた場合、多くの方が「どう対応すればよいのか分からない」「このまま逮捕されるのではないか」と大きな不安を抱えます。
しかし、呼び出しを受けた理由や事件の内容によって、取るべき対応は大きく異なります。
警察からの呼び出しは、あなたの今後の人生を行方を分けることともなりかねない刑事手続の「スタートの合図」です 。
自己判断で不用意なまま出頭し、警察官の誘導に乗って不利な供述調書にサインをしてしまったり、あるいは対応を誤って逮捕されるに至ってからでは、後になって後悔しても手遅れとなりかねません 。
当事務所には、元検事(ヤメ検)の弁護士が多数在籍しており、各刑事事件について直接対応させていただいております。捜査側の手の内や実務を熟知しているからこそ、あなたやご家族の不安に寄り添い、逮捕の回避や前科をつけないための最善の解決策をスピーディーに講じることができます 。
上原総合法律事務所は、元検事8名を中心とする弁護士が在籍し、刑事事件について豊富な経験を有しています。
刑事事件に関するお悩みがある方は、ぜひ当事務所にご相談ください。経験豊富な元検事の弁護士が、迅速かつ的確に対応いたします。
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