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詐欺とは、「人を騙して財物を交付させること」です。
「オレオレ詐欺」や「振り込め詐欺」と呼ばれる特殊詐欺、持続化給付金等の助成金の不正受給など被害金額が多額に上る詐欺が代表例です。また、無銭飲食やキセル乗車なども詐欺にあたります。
特殊詐欺の被害総額は、令和元年は約196億円であり、前年から比べると30%減っているものの、依然として多くの方が多額の被害に遭っていることが分かります。
近年、オレオレ詐欺や持続化給付金詐欺など組織的な犯罪では、「簡単にお金を稼ぐことができる安全な仕事」などと謳うSNSでの募集に安易に応募し、詳細に理解しないまま詐欺に加担してしまった大学生や会社員が逮捕されるというニュースが相次いで発表されています。
以下で述べるように、詐欺は重い犯罪ですし、被害額も高額となります。ことの重大さに気が付かずに軽い気持ちで行っただけだとしても、最悪の場合刑務所に行くことになります。
詐欺罪の法定刑は、「10年以下の懲役」です。罰金刑は規定されておらず、起訴されて有罪判決を下されれば必ず懲役刑となる重い犯罪です(詐欺罪の時効は7年です)。
詐欺罪に対する処分(起訴にするのか不起訴にするのか)や量刑(どのような刑罰にするのか)は、まず、何をしたのかによって変わります。
例えば、オレオレ詐欺のような組織的な詐欺であれば、組織の末端であるいわゆる「受け子」と呼ばれる現金受取役なのか、組織の上位である指示役等なのかなどによって大きく変わってきます。また、特殊詐欺は、お金に困っていたからなど安易に犯罪に手を染めてしまう人が多い犯罪です。二度と犯罪に手を染めないよう再犯防止のための環境が整っているかどうかも重視されます。
詐欺の場合、警察に発覚した事件のうち約56%が逮捕されます(令和3年版犯罪白書より。以下同じ)。
また、警察で逮捕された状態で検察庁に送検された場合、約97%が勾留請求をされ10日間勾留をされることになります。
詐欺で逮捕されるとほとんどの場合引き続き勾留されることが分かります。
詐欺で逮捕・勾留された場合、その手口によって対応すべきことが大きく変わりますが、いずれにしても早急に行動を起こす必要があります。
以下、代表的な手口ごとに説明します。
無銭飲食の場合、被害者(被害店舗)に対して、被害弁償をしたり、慰謝料を支払ったり、反省文を書いたりし、謝罪の意思を伝えることで示談ができることがあります。また、被害に遭った店舗に二度と行かないなどと誓約することで、示談がスムーズに成立することも多いです。詐欺罪の中では被害額が少額であるため、示談ができることにより、早期に身柄が解放される場合がありますし、不起訴処分となり前科がつかなくなることも期待できます。
被害弁償や示談交渉は早ければ早いほど釈放される可能性が高まるため、できるだけ早く手を打つ必要があります。
オレオレ詐欺などの組織的な犯行を行った場合、逮捕された後に勾留を避けることは現実的に極めて困難です。
そのため、起訴後にいかに早く保釈されるのか、というのが身柄解放に関する目標になります(逮捕されたけれども実際には詐欺をしていない、という場合は別です。)。
組織的な犯行を行った場合、起訴後に保釈を得られるかどうかは、起訴前に警察官・検察官にどのような説明をしていたかによって変わってきます。嘘をついて真実を隠そうとしているように見えてしまうと、保釈により解放されることが難しくなります。そのため、起訴前の段階において、依頼者(被疑者)と弁護士とでよく話し合い、どのような説明をするのか検討する必要があります。状況に応じて、弁護士において検察官と話をしますし、依頼者(被疑者)に上申書を作成してもらって正直に包み隠さず話をしていることをアピールしていきます。
また、組織的な犯行の場合、勾留に加えて接見禁止決定も付される可能性があります。接見禁止とは、逃亡又は罪証隠滅すると疑われた場合、裁判所が認めた人以外とは面会ができなくなるというものです。接見禁止は、家族との接見も禁止されることがあるため、何か伝えたいことがあっても伝えることができなくなります。ただし、弁護士は接見禁止の対象ではないため、唯一の外部との窓口になることになります。そのため、自分のために迅速に動いてくれる弁護士を選ぶことが重要となります。
なお、上原総合法律事務所では、家族などの事件に関わっていない人との面会について、可能な限り面会を実現させるよう裁判所に働きかけ、実際に一部解除を多数得ています(接見禁止の一部解除、と言います。)。
また、示談が成立することにより、早期に身柄が解放される場合があります。
オレオレ詐欺等の特殊詐欺についても、被害者に対して、被害弁償をしたり、慰謝料を支払ったり、反省文を書いたりし、謝罪の意思を伝えることで示談ができることがあります。
しかし、特殊詐欺の被害に遭った方は、電話に出るのを怖がったり、また騙されてお金を取られるのではないかと強い恐怖心を抱いています。このような恐怖心を抱いている被害者との示談交渉は、弁護士を介して行った方がスムーズですし、示談が成立しやすいです。というのは、被害者との示談交渉は、捜査機関に被害者側の氏名や連絡先をお聞きすることから始まりますが、連絡先を「弁護士限り(被疑者やその家族に伝えない)」という約束のもとで弁護士に教えてくれることが多いのです。
また、警察や検察から被害者に対して「被疑者の弁護士が被害弁償したいから連絡先を知りたいと言っている」などと、弁護士に連絡先を教えていいか確認をした上で弁護士側に開示されるため、被害者としても警察や検察経由で名前を知った弁護士であれば騙される恐怖心等を抱くことなく安心して連絡を取ることができます。
示談は早ければ早いほど釈放される可能性が高まるため、できるだけ早く手を打つ必要があります。
なお、受け子のような末端の役割の場合、被害額よりも少ない額の報酬しか受け取っていないため、被害額全額を弁償することは難しいことが多くあります。そうだとしても、返せる額を返し、反省していることや謝罪の気持ちを伝えることはとても大切になります。
持続化給付金も組織的な犯行であることが多いため、逮捕された後に勾留を避けることは困難で、起訴後にいかに早く保釈されるのか、というのが身柄解放に関する目標になります。
また、勾留に加えて接見禁止も付される可能性があります。
上原総合法律事務所では、「⑵ オレオレ詐欺など組織的な犯行の場合」において記載したように、保釈や接見禁止の一部解除を求めていきます。
持続化給付金のように被害者が国である場合は、全額返済したとしても示談を行うことはできません。しかし、示談が行えないからと言って釈放されないわけでもありませんし、仮に起訴された際に、全額返金していることを裁判所に証拠として提出することはとても有益ですし、執行猶予判決につながる大きな証拠となります。そのため、不正受給した額は早急に全額返金する必要があります。
詐欺罪は懲役刑しかないため、不起訴又は執行猶予付き判決を獲得することが目標となります。
無銭飲食の場合は、被害弁償や慰謝料を支払ったり、二度と店舗に行かないなどと誓約することで示談が成立しやすいですし、初犯の場合は、不起訴(起訴猶予)処分となりやすい犯罪です。早期に被害弁償や反省の意思を伝えることが大切です。また、被害者側が示談や被害弁償に応じなかったとしても、弁償する気持ちがあったことや反省していることを捜査機関に伝えることで、不起訴や執行猶予付き判決を獲得することが期待できます。
オレオレ詐欺や持続化給付金詐欺などは、逮捕されるほとんどの人が末端の役割の人ですし、このような末端の役割の人は、SNSでの募集や友人の紹介などで「簡単に高額の給料がもらえる」「安全な仕事」などと甘い言葉に唆され、お金欲しさと軽い気持ちで安易に犯罪組織に手を貸してしまう若者が多いです。
このような形で特殊詐欺に加担した人は、ほとんどが初犯であり、報酬も多くは貰っていません。
そのため、そのような情状に併せ、被害弁償を行うこと、反省の意思を示すこと、二度と犯罪に関わらないことなどを検察官や裁判官に伝えていくことで、不起訴や執行猶予付き判決を目指します。
また、オレオレ詐欺のような組織的な犯罪の場合、司法取引という制度を利用することができることもあります。様々な要件に該当し、かつ検察官との合意が必要になるため、事案によって利用できるか否かが変わりますが、司法取引を行うことができた場合、捜査へ協力する見返りとして不起訴等の処分をしてもらうことができます。
さらに、当事務所では、詐欺に関わってしまったけれども後悔している、という方について、依頼者と一緒に自首する業務を行なっています。適切な方法により証拠を整えて自首することにより、起訴されずに済んでいる依頼者が多数いらっしゃいます。
※自首については、詳しくはこちらをご覧ください
※上原総合法律事務所の自首サポートの内容については、詳しくはこちらをご覧ください
※メディアにも多数取り上げられている上原総合法律事務所の持続化給付金詐欺案件の自首サポートの内容については、詳しくはこちらをご覧ください
示談をするためには、多くの場合、被害金額の弁償に加え、精神的苦痛を負わせてしまったことに対する慰謝料を併せて支払うことになります。
どのような事案なのか、被害金額はいくらなのか、相手方の処罰感情はどのようなものなのか等にも左右されるため、事案によって示談金には大きな差が出ます。
無銭飲食などのように、被害者が店舗などの場合、被害金額を弁償することで示談に応じてくれる場合もありますし、店の方針によっては示談や被害弁償に一切応じないこともあります。
また、オレオレ詐欺の場合、被害額が数百万円など高額になることも多く、被害者が示談に応じてくれたとしても、一度に全額を返金することが難しい場合もあります。その場合は、分割での支払いをお願いするなどの対応も必要になります。
国の助成金を不正受給した場合は、示談ではありませんが、不正受給した額を国に返還することで量刑が左右されますので、全額返還することをおすすめします。
※示談については、詳しくはこちらをご覧ください
令和2年における詐欺に関して、以下のような統計が出ています。
公判請求され、令和2年に第一審が終結した事件約3000人のうち、約53%が執行猶予判決となっています。
懲役の長さで見てみると、懲役3年以上の実刑判決が言い渡されたのは約14%、懲役3年以下の判決が言い渡されたのは約86%でした。懲役3年以下の判決が言い渡された者のうち、約38%が実刑判決、約62%が執行猶予付きの判決となっています。
前科があるかどうか、被害弁償や示談ができているか、組織的な犯罪の場合はその役職がどの程度なのか等、個別の事情で判断されますが、被害弁償ができていて初犯の場合は多くは執行猶予の判決が言い渡されます。
懲役が3年を超える場合は、前科があったり、組織的な犯罪の上位者であったり、被害額が多額であったり、示談ができていなかったりなど、情状が悪いことが多いです。
量刑の相場については、個別具体的な事情に応じて決まりますが、上原総合法律事務所では、検察官としての経験を有する弁護士集団ですので、弁護士内で議論することにより、量刑相場がわかります。
当事務所では、元検事の経験を活かし、それぞれの事案に即して、自首、示談交渉、早期の身柄の解放などの弁護士活動に加え、刑事事件に伴うお困りごとへのアドバイスも行います。
上原総合法律事務所では、迅速にご相談を受けられる体制を作っています。
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※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。
弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
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