雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金の最前線ー不正受給として公表されないためにー

不正受給
[投稿日]
弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

1 雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金の不正受給対応は日に日に厳しくなっています

雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金の不正受給が多発しています。
これに応じ、雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金を所管している厚生労働省が対応を進めています。

厚生労働省は、令和3年12月9日に「雇用調整助成金等の不正受給への対応を強化します」という書面を公表していました。
さらに、令和4年に入ってから、厚生労働省は3月4日に「雇用調整助成金不正受給の対応を厳格化します 不正受給は「刑法第246条の詐欺罪」等に問われる可能性があります」という書面を公表しました。

この書面には

・不正受給した事業所名等を積極的に公表すること
・不正「指南役」の氏名等も公表の対象となる場合があること
・都道府県労働局が不正受給対応について都道府県警察本部との連携を強化すること

などが書かれています。

また、不正受給に関する情報を把握している従業員に対して「ご一報ください」 「情報提供者のプライバシー保護には十分配慮いたします」などとも記載されており、内部通報も促されています。

これらにより、都道府県労働局による調査が増え、不正の発覚、公表が増えましたし、逮捕事案も頻繁に報道されています。

上原総合法律事務所には、日々、「雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金の不正受給をしてしまったけれどもどうすればいいか」「不正受給したつもりではないのだが、間違えて、本来受給できない雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金を受給してしまった」というご相談をいただいています。

ご相談者様の中には、とにかく刑事事件を避けたいという方もいますし、公表はどうしても避けたいという方もいます。
また、とにかく混乱していて、自分がどうしたいのか、を整理するところから考える必要がある状況の方も少なくありません。

本記事では、不正受給として公表されたくない、という方がどうすべきかについて説明します。

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2 公表を避けるにはどうすればよいか

(1)不正の場合、返金が必須

雇用調整助成金、緊急雇用安定助成金を不正受給した場合、不正をした時以降の助成金を全て返金しなければならず(受給額)、かつ、その返金額の2割に相当する金額(ペナルティ)と受給日から年3%の割合で計算した利息(延滞金)も返金しなければなりません。

上原総合法律事務所が雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金の不正受給案件を取り扱う中で把握している情報からすると、これらの受給額、ペナルティ、延滞金の全てを返せない場合には公表されます。

(2)不正に至る経緯の説明

返金できるからといって、必ず公表されないとは限りません。
どのようにして不正に至ったのかも情状として考慮されると考えられます。

一概に不正受給と言っても、不正に至った経緯には様々あります。
経営者が浪費をするために助成金を騙し取った、と言える場合には悪質性が高まりますが、事業を継続して雇用を維持するために行ったという場合には、情状酌量の余地がありえます。
また、いわゆる指南役に騙されていたり、組織的に詐欺を行っている者に事業所名を利用されてよくわからないうちに不正に加担させられていた、ということもありえます。

有利な情状の部分は見えづらく、会社側から積極的に伝えないと理解されない危険があります。
ほとんどの事案には、不正をした理由の中に、理解できる事情があるはずです。
不正に至る経緯のうち、有利な事情を適切に伝える必要があります

(3)不正(故意)ではないと理解してもらう

本来受給できない助成金を受給してしまった、という事例の中には、実際には過失(間違い)による受給であっても、労働局が調査をし始めた段階では不正(故意)に見える、というものが少なくありません。
このような場合、過失(間違い)による受給であると理解してもらう必要があります。

雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金の不正受給とは、本来受給できない助成金だとわかりながらわざと(故意で)申請をした場合のことで、過失(間違い)による受給の場合には不正にはならず、公表もされません。

例えば、経営者の「休業してください」という指示があったにもかかわらず、従業員が経営者に隠れて出勤していたという場合、不正ではなく過失(間違い)による受給であると言える可能性が十分にあります。

ですが、タイムカードなどの客観的な資料だけを見ると、不正である場合と見分けがつかないこともあります。
このような場合、誤りであることを労働局に理解してもらえないと、不正扱いされて公表されてしまう可能性があります。

不正(故意)ではないという場合、どのような経緯で誤った申請をしたのか、適切に労働局に伝え、理解してもらう必要があります

3 お気軽にご相談ください

公表を避けるために以上のことをすれば良いのですが、自分ではどうやって良いかよくわからないという方も多いと思います。
また、雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金について労働局や会計検査院から調査が来ていて不安で仕方ない、という方も少なくありません。

このような方は、お気軽に上原総合法律事務所にご相談ください。
上原総合法律事務所では、雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金の不正受給が社会に広く知られる前からこの問題に取り組んでいます。
100件を優に越えるお問い合わせをいただき、多数の案件を処理し、独自のノウハウを有しています。

上原総合法律事務所では、迅速にご相談に乗れる体制を整えています。
お気軽にご相談ください。

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