教員(教師)が刑事事件を起こしたらどうなる?逮捕や懲戒、欠格事由を回避するには?元検事の弁護士が解説

職業別解説
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弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

刑事事件を起こしてしまい、捜査対象となったり、時には逮捕されてしまうといった可能性はどのような立場の方であっても否定できませんし、社会的立場のある方ほど、そのような場合の影響は重大なものとなりかねません。

近年、学校の先生(教員・教師)が逮捕されたなどの報道を目にすることもありますが、このような立場の方の場合、刑事事件の結果そのものも重大な影響を及ぼしますが、逮捕等に伴う報道等によって大きな社会的制裁を受けてしまうこともあり、さらには教員としての資格にも大きな影響がありえます。

この記事では、教員・教師の方が刑事事件を起こした場合の手続の流れ逮捕や懲戒等を回避するためのポイント等について、元検事(ヤメ検)の弁護士が詳しく解説します。

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教員(教師)が刑事事件を起こした場合の流れ

教員・教師が刑事事件を起こした場合であっても、手続の流れは通常どおりです。

以下、刑事手続の流れの外観を、特に逮捕される場合を念頭に解説します。

※逮捕から起訴までの詳細については逮捕から起訴までの流れと期間を元検事の弁護士が図でわかりやすく解説の記事もご参照ください。

どのような場合に逮捕されるのか

逮捕にもいくつかのパターンがあるところ、以下では主な2パターンについて解説します。

現行犯逮捕

現行犯逮捕は、今まさに犯罪が行われている場合や、犯罪が終わってすぐの場合にのみ、逮捕状なしでできる逮捕です。
また、警察官や検察官でない一般の方でも逮捕状なしに逮捕(いわゆる私人逮捕)をすることができます(刑事訴訟法第213条)。
万引きの犯人を被害店舗の店員さんが捕まえたり、痴漢や盗撮の犯人を被害者や目撃者が捕まえることがありますが、これが現行犯逮捕です。
この場合、事件の発覚と逮捕は極めて近接しており、発覚から逮捕までの間に逮捕を回避するためにとりうる手段等は乏しいと言わざるを得ません。ただ、実際には発覚後、逮捕はされる前に警察署への任意同行や取調べを行う場合もあり、そこでの状況次第では、逮捕はせずに自宅に帰され、在宅事件として捜査を受けていくことになる場合もあります。

通常逮捕

通常逮捕とは、裁判官が発付する逮捕状によって捜査機関が逮捕する場合を言い、最も一般的な逮捕の類型といってよいでしょう。
逮捕状は、捜査機関が証拠と共に逮捕状請求書を裁判官に対して提出し、書類を見た裁判官が逮捕する必要があると考えた場合に発付されます(刑事訴訟法第199条1項,2項※)。
逮捕状は、どのような事件でも発布されるわけではなく、犯罪の疑いはもちろん、逃亡のおそれや罪証隠滅(証拠隠滅)のおそれなどがあることが必要であり、捜査機関はそれらの要件があることを示す証拠を裁判官に提出して発布を得ます。
逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれの有無や程度は状況次第で変化しえます。例えば逃亡のおそれについても、定職があるのか、監督してくれる家族がいるのかなどで変わってきますし、自首や自発的な申告、証拠の提出等を行うことで、証拠隠滅の意図や可能性がないことをアピールすることもでき、逮捕されないために採りうる手段は複数あります。 
※逮捕や逮捕後の対応等の詳細については逮捕(たいほ)の種類や逮捕されたらどうすべきかを,元検事の弁護士がわかりやすく解説の記事もご参照ください。
※自首については自首したいの記事もご参照ください。

逮捕後の流れ

検察への送致

極めて例外的な場合を除き、逮捕をするのは警察ですし、私人逮捕の場合も警察が引き継ぎますが、逮捕後は警察は48時間以内に検察官への送致をします(いわゆる「送検」です。)。
逮捕直後は警察の弁解録取や諸々の手続もあり、弁護士以外は面会もできない状況です。事案がそこまで重大でなく、身元もしっかりしているという場合には、例外的に検察に送致せずに釈放されることもあります。

弁解録取と勾留請求

検察への送致後、まず検察官による弁解録取の手続があります。これは、被疑事実に対する被疑者の言い分を聞くという手続ですが、取調べとしての性質もあり、弁解録取書という供述調書の一種が作成され、それは刑事事件の証拠ともなります。この手続は否認する場合はもちろん、検察が勾留請求するか否かや、その後の裁判官の勾留決定の判断にも影響する場合があり、早期に刑事事件に精通した弁護士のアドバイスを受け、適切に対応することが重要です。
検察官は、事件の記録や弁解録取の内容等を踏まえ、勾留請求をするかの判断をします。この段階で、弁護人から勾留請求をしないように申し入れたり身元引受人を用意するなどの活動が効を奏し、身柄拘束を回避できる場合もあります。

勾留質問と勾留決定

勾留請求された場合、裁判官から話を聞かれる勾留質問があり、それも踏まえ、裁判官は勾留決定をするか否かの判断をします。
勾留決定された場合、まず10日間勾留されて身体拘束が続くことになります。この段階でも、弁護人から裁判官に意見書を提出したり面談を申し入れるなどの活動がありえます。また、勾留決定がなされた場合にも、その決定に対する準抗告をし、異議を申し立てることもできます。

※逮捕から勾留決定等までの対策のポイント等については逮捕された直後にやるべきこと【概略】の記事もご参照ください。

勾留延長

勾留の期間は10日間ですが、検察官がさらに10日間の延長を請求することがあります。この延長請求がなされないよう、あるいは裁判所が延長決定をせず、あるいは延長の期間が請求より短くなるように、意見書の提出や準抗告等を行っていく場合もあります。

※勾留延長の阻止については勾留の延長とは?元検事の弁護士が延長阻止の方法等について解説の記事もご参照ください。

起訴不起訴の決定

身柄事件の場合、基本的に勾留の満期までに検察官が起訴するか否か、起訴するとして公判請求か略式手続かを決定することになります。不起訴や略式手続での罰金を目指す場合、勾留満期前までに適切な主張等をする必要があります。
※不起訴(起訴猶予)については起訴猶予とは?元検事の弁護士が不起訴との違いや起訴猶予獲得のポイントを解説の記事もご参照ください。

※不起訴(嫌疑不十分)については嫌疑不十分とは?不起訴となるためのポイントや処分までの流れについて元検事の弁護士が解説の記事もご参照ください。

再逮捕等

勾留が終わり釈放された場合でも、その直後に別件で再逮捕されたり、あるいは起訴された後に再逮捕されたりする場合もあります。例えば盗撮等で逮捕された後、スマホやパソコン、記録媒体等から児童ポルノや盗撮の余罪のデータ等が発見された場合などが想定されます。

※再逮捕については再逮捕とは?元検事の弁護士が、何回まで可能かや罪は重たくなるのかなどについて解説の記事もご参照ください。

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釈放されうるタイミング

逮捕されてしまった場合でも、刑事手続が進行していく中で釈放されうるタイミングは多々あります。それぞれの場面で刑事事件に精通した弁護士のサポートを受け、適切な対応を行うことが重要です。

※一連の身柄の釈放については釈放、保釈について元検事の弁護士が解説の記事もご参照ください。

送致前釈放

いったん逮捕はされたものの、警察において身柄のまま検察に送致せず、釈放されて在宅事件として捜査が続くような場合もあります。ただ、これは例外的な場合であり、身元がかなりしっかりしていて逃亡や証拠隠滅のおそれもない、被害申告がすぐに取り下げられたなどといった事情がある場合に限られます。

勾留請求の有無

警察から検察に送致はされたものの、検察が勾留請求せず、釈放されて在宅事件となる場合もあります。早期に弁護士が接見に行った上、勾留の必要がない旨の意見書を提出したり実際に検察官と話したりしてそのような判断に繋がるケースもあります。

勾留の判断

勾留請求がなされても、裁判官が勾留請求を却下する場合もあります。勾留するか否かについてメインとなる問題は逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれであるところ、これらがないことについて弁護人から意見書を提出したり、裁判官と話したりすることで勾留請求の却下を目指します。

勾留決定に対する準抗告

裁判官が勾留決定をした場合にも、その決定が不服であるとして準抗告をし、裁判官3名による合議体での判断を求める場合もあり、勾留決定の判断が覆って釈放となる場合もあります。

延長等

勾留期間は10日間であるところ、検察がさらに10日間の延長を請求することはままあります。この延長請求がされないよう、あるいは延長請求が認められない(延長されるとしてより短い期間となる)よう、検察や裁判官に意見書の提出等を行ったり、延長決定に対して準抗告を行い、釈放につながることもあります。

勾留満期

検察官は、基本的に勾留期間の満期までに起訴するか否か、起訴するとして略式手続か公判請求かなどを判断します。不起訴の場合、勾留満期で釈放された後、しばらく経ってから正式に不起訴処分がなされる場合が多いです。身柄事件で略式手続となった場合、勾留満期当日に略式命令がなされ、釈放後に罰金の納付まで済ませて検察庁を後にするという流れが一般的です

保釈

起訴された場合、被告人としての勾留が続くことになりますが、保釈請求をして認められれば保釈となります。この場合、身元引受人がいるか、保釈保証金が用意できるか(保釈支援協会から支援を受けるという場合もあります。)なども問題となってきます。

逮捕されない在宅事件の場合の流れ

警察による捜査

逮捕等されずに手続が進むいわゆる在宅事件の場合、取調べ等の必要があれば、警察から電話等で呼出しがあります。日程等については相談も可能ですが、身柄拘束の可能性をなるべく抑えるためにはできるだけ協力等すべきでしょう。

検察への送致

警察がひととおり捜査を終えると、事件は検察に送致されます(いわゆる「書類送検」です。)。送致後、担当検察官において事件記録を検討し、必要があれば警察に補充捜査を依頼したりもします。

検察での取調べ

検察においても、処分を決める前に検察官が被疑者等の取調べを行い、供述調書を作成することが一般的です。事実関係の確認、供述調書という重要な書証の作成という観点のほか、略式手続の場合、その手続によることに同意する書面の作成がなされる場合もあります。

起訴不起訴の決定

警察が捜査した記録や検察における取調べの内容等も踏まえ、検察官が起訴不起訴(起訴する場合には略式手続か公判請求か)を判断します。在宅事件の場合、その判断がなされるタイミングは推測が難しい場合もありますが、判断がなされるまでに的確に主張等をしておかなくてはなりません

そもそも逮捕されないために

教員・教師の場合、逮捕されたり、その旨報道されることが致命的なものとなりかねません。だからこそ、そもそも逮捕されずに済むように早期に対応することが必要です。
当然ですが、逮捕されるのは突然であり、事前に逮捕の連絡があったりするわけではなく、犯罪を犯してしまったという場合には逮捕等のリスクも念頭に行動すべきでしょう。

逮捕状による逮捕の場合、逃亡のおそれや罪証隠滅(証拠隠滅)のおそれがその要件となります。
逮捕を回避するためには、これらの要件が認められないよう、あるいはこれらのおそれが低減するような対応を行う必要があり、具体的には被害者との示談、関係証拠の自発的な提出や捜査協力、身元引受人による誓約、自首などがこれに当ります。

※逮捕されないための対応等については逮捕されたくないの記事もご参照ください。

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教員(教師)が逮捕されたらどのような問題が起きるのか?

個人の犯罪は、業務と関係しない限り、仕事に関係がありません。

ですが、生徒の身近にいる存在であることや生徒に模範を示して指導すべき立場にあることから、社会は、一般の方による犯罪よりも教師による犯罪をより厳しく非難するように思われます。

また、文部科学省の調査によると、令和元年に懲戒処分を受けた教職員は4677人(そのうちわいせつ行為等273人、体罰550人)となっており、前年の5978名よりは減ったとはいえ、多くの教職員が懲戒処分を受けています。

こうした中、懲戒免職の処分歴を検索できる「官報情報検索ツール」の情報期間が40年に延長され、今年にはわいせつ行為により懲戒免職となった教師が免許の再交付を申請した際の拒否権限を教育委員会に与える「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が成立するなど、教師の不祥事に対する処分はより厳しくなっています。

また、こども性暴力防止法、いわゆる日本版DBSが成立したことにより、性犯罪の前科を有する場合、今後は再就職等の際にも照会で前科等が判明するといったことも考えられます。

そのため、有罪判決や懲戒免職を受けた場合、再び教師として復帰することは難しくなるどころか、再就職すら難しくなり、ご本人はもちろんのこと、ご家族の生活にも大きな影響を与えることになります。

ですが、教師といえども職場を離れれば一個人です。誤りも犯しますし、犯罪を犯してしまったために生活ができなくなってしまっては困ります。

犯罪を犯した教師やそのご家族からは、教師としての特殊性に基づいた似通った質問をいただきます。

この記事では、犯罪を犯してしまった教師やそのご家族からよくいただく質問について、ご説明します。

1 学校に連絡が行くのか

多くの場合、刑事事件を起こしてしまった教師やそのご家族からは、学校に連絡が行くのか、という質問を受けます。
通常、警察からすぐに学校に連絡が行くことはありません。

ただ、職務と関係のある犯罪(例えば職場の児童に対するわいせつ行為や盗撮など)では当然職場へも連絡されると考えられますし、その他の事件でも捜査上の必要があれば、警察官は学校に連絡します。

捜査の必要性がある場合といっても個々の事案によりケースバイケースですが、例えば、「事件の日時には学校で勤務していたため犯罪をしていない」と弁解したなどの場合には、アリバイの有無を明らかにするため、学校への連絡が必要になります。

2 報道されるのか

報道がなされる可能性があるか、という質問もよくなされます。

どのような場合に実名報道がなされるのかについては、明確な基準が定められているわけではありません。

一般に、警察は逮捕したときに公表すべき事案をメディアに伝える、検察は逮捕された被疑者が送致されてきた時や起訴したときに、公表すべき事案をメディアに伝えている、と考えられます。しかしながら、どのような事案について、どのような範囲の情報をメディアに伝えるかは必ずしも明確な基準があるわけではありませんし、捜査機関から情報を得られたとして、どういった内容を報道するかもメディアの判断というほかありません。

しかしながら、教師の場合は、社会的関心が高く話題性があり、生徒の模範となるべき存在の教師による犯罪は重大性もあり、教師でない一般の方と比べて実名報道がなされる恐れが高いと言えます。

上原総合法律事務所では、残念ながら、報道を「確実に」防ぐ方法があるわけではないと考えています。

ですが、報道されることによる不利益やその根拠を具体的に伝え、メディアに氏名等を伝えないように弁護士から警察官や検察官に申し入れをする事は、一定の意味があると考えられます。

警察や検察は自身の権限と判断で行動しますし、公表等についての法令上の基準等があるわけでもないため、弁護士の意見を必ず聞き入れるわけではありませんが、説得力のある意見には理解を示してくれます。
実際に、申し入れをした結果、報道されてもおかしくない事案が報道されなかった事案は多々存在します。

また、報道のタイミングは逮捕時、送検時、及び起訴時が多いため、逮捕、送検時に報道がされていない場合、弁護活動により起訴を避けることで、報道リスクを最小限に抑えることは可能です。

仮に実名報道された場合には、ネット記事についてインターネットの管理者に対し削除請求を行うことができます。
※ネット上での誹謗中傷、名誉棄損等については、誹謗中傷のページをご参照ください。

ただ、教師は、警察や検察がメディアに情報を流さなくとも、実名報道される可能性が否定できません。

それは、都道府県の教育委員会において懲戒処分や公表の指針等が定められており、これに則って懲戒処分について公表されるという可能性もあるためです。

東京都の例
原則:地方公務員法に基づく懲戒処分や管理監督者に対し分限降任処分がなされた場合のほか、特に関心の大きい事案や社会に及ぼす影響の著しい事案については被処分者の所属や年齢等を公表、免職の場合や社会に及ぼす影響が大きい事案は氏名等も公表される場合あり
例外:被害者や関係者のプライバシー等を侵害するおそれがある場合等は公表を控える場合あり

とされています。

懲戒免職である場合は、原則実名公表となるため、懲戒免職処分を避けるための活動が必要となります。

実際、東京都においては、懲戒免職処分者は例外を除き実名公表され、停職以下の処分では実名公表が避けられているものと思われます。

3 仕事を失うことになるのか

刑事事件を理由として教師がその仕事を失う場合については、以下の2つのパターンが考えられます。

  • 欠格事由に該当した場合
  • 懲戒処分により免職(解雇)となった場合

一方が他方の理由ともなりうるところであってやや複雑ですが、以下、それぞれについて解説します。

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教員(教師)が刑事事件を起こし、教員免許や仕事を失うことになるケース

教員が欠格事由に該当する場合

欠格事由とは、教師になることができない条件のことです。

学校教育法第9条は、拘禁以上の刑に処せられた場合には「教員となることができない」と規定しています。

そのため、「拘禁以上の刑に処せられた」教師は、公立学校、私立学校の教師を問わず、教師として仕事をすることができなくなりますので失職します。

「拘禁以上の刑に処せられた場合」とは、裁判で死刑、拘禁の判決を受けたという意味です。執行猶予付も含まれますが、罰金刑は含まれません。

そして、これら判決を受けると、教師となる資格を失うと共に、教員免許も失うことになります(教育職員免許法5条1項3号)。

また、公立学校の教師であれば、地方公務員の資格も失います(地方公務員法16条1号)。

そのため、当然、他の学校でも教師を続けることはできなくなります。

更に、拘禁以上の刑に処せられることは、他の国家資格の欠格事由であることも多いです。そのことから、他の国家資格を取得した上で、再出発を図ることも難しくなります。

では、再び教壇に立つことも、他の国家資格で仕事をすることもできないのでしょうか。

この点、一定期間経過後は、教員免許の再取得や国家試験の取得を行い、教師に戻ることも他の国家資格者として仕事をすることも、法律上可能です。

例えば、執行猶予付きの拘禁の判決を受けた場合であれば、執行猶予期間経過後は、刑の言い渡しの効果が将来に向かって消滅します(刑法27条)。

経過後は「拘禁以上の刑に処せられた者」に該当しなくなるため、教員免許の再取得が可能となります。

ただ、通常、執行猶予は年単位で付されるため、その間、教員免許が失われる影響から生活に様々な支障が生じることは容易に予想されます。
また、日本版DBSの運用が開始されれば、性犯罪の前科を有する場合には教育関係の職に復帰することは困難になるものと考えられます。

そのため、まずは拘禁以上の刑を避けられるように対処することが重要です。

懲戒免職処分を受けた場合

罰金刑や不起訴処分となり、拘禁刑以上の刑は回避できたとしても、懲戒処分を受ける場合があります。

公立学校と私立学校、それぞれについて解説します。

➀ 公立学校の場合

公務員である教師が罪を犯せば、信用失墜行為に該当するものと考えられます(地方公務員法33条)。
信用失墜行為とは、全体の奉仕者として、職務に関連した非行はもちろんのこと、職務に関係ない非行も含めて、公務員全体として不名誉な行為を意味します。

刑事事件になるような行為は、まさに不名誉な行為に該当するものと考えられます。

信用失墜行為自体には罰則規定はありませんが、このような行為は同時に「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行があった場合」にも該当するものと考えられ、懲戒処分を受けることとなりえます(地方公務員法29条1項3号)。

懲戒処分には、重い順に、免職、停職、減給、戒告の4種類があります。

教師の場合、都道府県教育委員会から懲戒処分を受けることになります。

懲戒処分の種類をどのように決めるかについては、文部科学省から「令和元年度公立学校教職員の人事行政状況調査結果等に係る留意事項について(通知)」が発出されています。

この通知では、他校を含む児童生徒へのわいせつ行為に対し、原則として懲戒免職、退職手当は不支給という厳しい対処方針が示されています。

そして、通知に基づき各教育委員会では具体的な「懲戒処分の基準」を定めています。
東京都の「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定」に基づき説明します。

これによると、交通事故や占有離脱物横領(道端で拾った財布を拾った)などを除き、刑法犯を犯した場合、ほとんどで懲戒免職又は停職になることが示されています。

あくまでも目安とはいえ、何も対処しなければ、厳しい処分が下される可能性は高いと考えられます。

公立学校の教師が懲戒免職処分を受けた場合、当然仕事を失いますし、教員免許も失効することになります(教育職員免許法10条1項2号)。

つまり、他の学校においても教師として仕事をすることができなくなります。

次に、どのようにして懲戒処分が決定されるのでしょうか。

懲戒処分基準によれば、処分量定の決定に当たっては、

  1. 態様、被害の大きさ及び司法の動向など社会的重大性の程度
  2. 職責、過失の大きさ及び信用失墜の度合い
  3. 勤務態度及び職員固有の事情のほか、非違行為後の対応等も含めて、総合的に判断する

と定められています。

これらに記載された懲戒処分で考慮される事項は、おおむね刑事処分が決まる際にも考慮されるものです。

そのため、刑事処分が軽くなるように対処することが、懲戒免職等の重大な懲戒処分を避けるためにも重要と言えます。

② 私立学校の場合

私立学校の場合はそれぞれの学校法人が定めた就業規則に基づき懲戒処分が決められることになります。

公立学校の教師の懲戒基準がそのまま適用されることはないと思われますが、参考にした上で処分が決められると考えられます。

また、私立学校の教師であっても、公立学校の教師において懲戒免職処分となる理由(例えば、性犯罪など)で解雇された場合には、教員免許が取り上げられることになります(教育職員免許法11条1項)。

私立学校の教師においても、公立学校の場合と同様に、懲戒解雇を避けることが重要です。

公立学校、私立学校の教師を問わず、懲戒免職(解雇)の処分を受けると教員免許を失います。そのため、教師の仕事も失うことになります。

なお、懲戒免職による失効等の場合、失効等から3年後に再取得が可能となります(教育職員免許法5条1項4号、5号)。

ただ、3年後に法律上は再取得が可能となるものの、前に述べたとおり、公立学校の教師であれば「官報情報検索ツール」で懲戒免職処分歴の照会が行われることから、再度、教師として採用されることは難しいと考えられます。
また、日本版DBSが運用されるようになれば、性犯罪の前科も照会されうることとなるものと思われます。

一度懲戒免職処分を受けることになれば、再び教壇に戻ることは難しいため、懲戒処分に当たる行為を行ったのなら、懲戒免職とまではならないよう、またそのためにまず刑事処分がより軽いものとなるよう、対処を講じる必要があります。

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教員(教師)が刑事事件で仕事を失わないための対応方法

欠格事由を防ぐには?

学校教育法第9条は「拘禁刑以上の刑に処せられた者」「教育職員免許法第十条第一項第二号(公立学校の教員であつて懲戒免職の処分を受けたとき)又は第三号に該当することにより免許状がその効力を失い、当該失効の日から三年を経過しない者」等は「校長又は教員となることができない。」と定めています。
また、教育職員免許法第5条は「拘禁刑以上の刑に処せられた者」「(公立学校の教員であつて懲戒免職の処分を受けるなどして)免許状がその効力を失い、当該失効の日から三年を経過しない者」「(私立学校の教員が、公立学校の教員の場合における懲戒免職の事由に相当する事由により解雇されたと認められて)免許状取上げの処分を受け、当該処分の日から三年を経過しない者」等には教員免許を授与しない旨定めています。
懲戒免職の成否とも関係しやや複雑ですが、要約すれば

  • 拘禁刑以上の刑に処された場合(執行猶予含む)
  • 懲戒免職の処分等を受けた場合

等は欠格事由に該当したり免許状取り上げとなるなどし、3年間は免許を受けたり教員となることはできません。

従って、まずは「拘禁刑以上の判決を受けないこと(不起訴か罰金となること)」が必要ですし、さらに「懲戒免職(私立の場合それに相当する解雇)にならないこと」も必要です。

懲戒免職を防ぐには?

懲戒処分等の基準において、「免職」の可能性がある非行の多くは、性的行為、セクシャル・ハラスメント、傷害、横領、詐欺、窃盗、傷害など、被害者が存在するものです(なお、酒酔い運転など、被害者がいない場合でも免職に相当するものもあります。)。

そして、処分の量定を決めるにあたっては、刑事事件の結果も考慮されると考えられること、また、刑事処分は事後的な示談の有無や被害者の意向等によっても結果が変わりうることから、被害弁償を行うなどして示談を成立させることで、不起訴処分を獲得し、厳しい懲戒処分を避けられる可能性があります。

また、懲戒処分の指針上も「非違行為後の対応等も含め総合的に考慮」するものとされており、事後的な被害弁償や示談、それを受けての被害者の意向等は懲戒処分の内容に直接的にも影響しうると考えられます。

懲戒免職を回避できれば、欠格事由への該当、免許の取り上げ等も回避しうるところですし、公表に関する基準によれば、懲戒免職を避けられれば、懲戒処分時の実名公表も避けることができると考えられ、免職となるか否かは今後の生活にとって非常に大きな岐路となりえます

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教員(教師)が刑事事件について、元検事の弁護士に相談するメリット

教員の方が刑事事件で捜査対象となっている場合、逮捕等されうる事件でもそうでなくとも、刑事事件に精通した弁護士に相談し、サポートを受けることがとても重要です。

逮捕を免れるために

刑事事件を起こした場合も必ず逮捕されるとは限らず、いわゆる在宅事件として、日常生活を送りつつ取調べに応じていくなどして手続が進む場合もあります。逮捕された場合、20日間の勾留となる可能性も低くなく、例え不起訴等となっても、職場に迷惑をかけたり噂になるなどして事実上職務の継続が困難になることもあり、また逮捕と同時に報道がなされると私生活にも大きな影響がありえます。
 そこで、まずは逮捕を避けるために、逮捕の要件である「逃亡」や「罪証隠滅」のおそれがなく、逮捕する必要がないことを捜査機関等にアピールする場合もあります。
 その最たる手段が自首であり、弊所が関与する場合、自首と同時に上申書や関係証拠も提出するなどして、罪証隠滅等のおそれがないことを積極的にアピールすることもあります。
 さらに、逃亡のおそれがないことを示すために、実家に協力を依頼して両親に身元引受人となってもらい、監督する旨の誓約書も捜査機関に提出するような場合もあります。

※逮捕されないための対応等については逮捕されたくないの記事もご参照ください。

早期の釈放を目指す

もし逮捕されてしまったという場合も、早期に釈放を実現するための方策があります。行うべきことは段階によって様々で、勾留請求されないように検察へ意見書を提出する、あるいは勾留請求却下を求め裁判所へ意見書の提出や準抗告をする、迅速な示談で釈放を目指す、勾留延長の阻止や短縮を目指すなどが想定されます。いずれについても、事案の内容と被疑者自身の置かれている環境等を踏まえた適切な主張をなすことが重要ですし、刑事事件についてはもちろん、検察官や裁判官の考え方までも熟知した弁護士のサポートを得ることが望ましいでしょう。

※逮捕後の流れと各段階での釈放を目指した対策等については逮捕から起訴までの流れと期間を元検事の弁護士が図でわかりやすく解説の記事もご参照ください。

不起訴を目指す

実際に刑事事件を起こしてしまったという場合には起訴猶予での不起訴処分を、冤罪だという場合には嫌疑不十分や嫌疑なしといった不起訴処分をそれぞれ目指していくことになります。被害者がいる事件の場合、起訴猶予のためには示談交渉が非常に重要ですし、冤罪であると主張して理解を得るためには、取調べにおける対応から注意が必要な上、処分が決まる前に証拠関係も踏まえた適切な主張をする必要があり、刑事事件や検察官の判断のポイントについて熟知した弁護士のサポートを得ることが非常に有効です。これは在宅事件であっても同様であり、やはり弁護士からのサポートが不可欠でしょう。

※不起訴(起訴猶予)については起訴猶予とは?元検事の弁護士が不起訴との違いや起訴猶予獲得のポイントを解説の記事もご参照ください。

※不起訴(嫌疑不十分)については嫌疑不十分とは?不起訴となるためのポイントや処分までの流れについて元検事の弁護士が解説の記事もご参照ください。

略式罰金を目指す

前記のとおり、欠格事由に該当してしまうか否か等については「拘禁以上の刑」に処せられないことが極めて重要です。例え起訴されてしまうという場合であっても、いわゆる略式手続でしたら罰金刑としかなりませんし、身柄事件であっても略式手続であれば被疑者としての勾留満期で釈放されることになります。他方、略式手続は被疑事実を認めている場合しか使えないところ、認めた場合にも必ずしも略式罰金とならない場合ももちろんあるため、この結末を目指して認めていくのかなどは弁護士と入念に相談すべきでしょう。

※略式手続・罰金については略式起訴・略式手続でも前科?元検事の弁護士が手続の流れ、罰金額の相場等を解説の記事もご参照ください。

執行猶予や無罪、保釈を目指す

公判請求された(通常の起訴で、公判廷で刑事裁判を受けることになった)場合、基本的には検察は拘禁刑を求刑してくるところ、これに対しては、無罪や執行猶予、あるいは罰金判決を目指して裁判を行っていくことになります。また、裁判は長期に及ぶ可能性もあるところ、保釈が認められるかどうかが重要になってくることもあります。
裁判においては、どのような主張をするか、検察官の請求証拠に対する証拠意見をどうするかなど戦略的な検討が必要ですし、反対尋問の対策も含め、被告人質問等で的確な主張をしていくことも必要です。やみくもに自らの主張を述べればそれが通るというわけではもちろんありませんし、刑事裁判にも精通した弁護士のサポートを受け、裁判官の判断に影響を与えうる内容と伝え方をしていかなくてはなりません。

※執行猶予の獲得については執行猶予を獲得するには?元検事の弁護士が執行猶予となるための弁護活動や条件について解説の記事もご参照ください。

※無罪の獲得については無罪を勝ち取りたいの記事もご参照ください。

実名報道を避けるために

教員が刑事事件を起こした場合、その立場に起因するニュースバリューから、大々的に報道され、時には刑事罰そのものより重大な影響を受けることもあります。捜査機関が報道発表するか、またそれを受けてマスコミがどのように報道するかなどについては法的な定めはなく、裁量による部分が大きいです。ですが、特に冤罪の可能性がある場合や不起訴の可能性がある場合などについては、弁護士から捜査機関に申入れを行うことで報道発表を回避できる可能性もあります。法的に主張できる明確な根拠があるわけではありませんが、合理的な主張であれば捜査機関の判断にも影響しうるでしょう。

※実名報道とその回避については実名報道を避けたいの記事もご参照ください。

懲戒手続に関する活動

教員が刑事事件を起こした場合、刑事手続のみでは終わらず、多くは懲戒手続がこれに続く(時には並行することもあります。)こととなります。これに当り、通常は学校長等から事情を聴取され、それが教育委員会に報告され、本人からの聴取等も経た上で処分が決まっていきます。ここで留意すべきは事実関係はもちろん、刑事手続の顛末についても正しく伝える必要があるほか、被懲戒者にとって酌むべき事情も適切に伝えなければならないという点です。この点も、どのように伝えるべきかなどは弁護士のサポートを受けることが望ましいほか、もし処分を争うという場合にもやはり弁護士のサポートが不可欠です。特に刑事事件が懲戒事由となっている場合、対応していく弁護士は刑事事件にも精通している必要があるでしょう。

※懲戒手続については公務員の懲戒処分について元検事の弁護士が解説の記事もご参照ください。

上原総合法律事務所は元検事の弁護士が複数在籍しています。

それぞれの事案に即して、自首、身柄拘束からの解放、示談交渉、執行猶予や無罪の獲得、減刑など、迅速かつ的確な弁護活動を行いますし、刑事事件に伴う困りごとへのアドバイスも行っています。

さらに、教師に対する懲戒処分は一般の公務員よりも重い傾向があるため、早期に対処する必要があります。これまで、多くの教師や公務員の方からご相談を受けています。

教員(教師)の刑事事件でお困りの方は上原総合法律事務所へ

上原総合法律事務所では、迅速にご相談をお受けできる体制を整えています。刑事事件で捜査等を受けている本人やご家族などお困りの方、懲戒処分の検討でお困りの学校関係者の方は、お気軽にご相談ください。

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