悪意なしでも不法侵入?逮捕の可能性及び対処法

現代社会の刑事事件
[投稿日]
弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

不法侵入罪は悪意がなくても成立するのか?住居侵入罪の成立要件等について元検事の弁護士が詳しく解説します。

第1 不法侵入で問われる罪名は

不法侵入は、刑法130条前段が定める住居侵入罪・邸宅侵入罪・建造物侵入罪により処罰されます。

刑法130条

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物・・・(中略)・・・に進入し・・・(中略)・・・た者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

「住居」とは、人の日常の生活に使用される場所をいいます。
人の住む一軒家や賃貸マンションの部屋等がこれに該当します。

「人の看守する邸宅」とは、人が事実上管理・支配している建物であって、日常の生活に使用されていない状態にある住居用の建物をいいます。
空き家やシーズンオフで使われていない別荘等がこれに該当します。

「人の看守する建造物」とは、屋根があり壁や柱で支えられて土地に定着し、人の起居出入りに適した構造を持った工作物のうち、「住居」・「邸宅」以外のものであって、人が事実上管理・支配しているものをいいます。
官公庁の庁舎、学校の校舎、会社事務所等がこれに該当します。

また、これらの「住居」等の周囲の敷地であって塀で囲われている部分を「囲繞地(いにょうち)」と呼び、この塀で囲われた囲繞地に侵入した場合にも、住居侵入罪等が成立します。

第2 悪意がなくても処罰を受けるのか

住居侵入罪等は、故意、すなわち、人の住居等であることを認識しながら敢えてそこに侵入する意思がなければ、成立しません

逆に言えば、自分の家であると勘違いして人の家に入ってしまった場合などには、故意がなく住居侵入罪は成立しないのです。

もっとも、他人の家を自分の家と勘違いするなどということは通常考え難く、真に勘違いをしたと言えるのかについては、侵入態様・侵入後の行動・発見されたときの言動等を総合的に考慮しつつ、慎重に判断されます。

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第3 正当な理由ある場合とは

先に引用した刑法130条の条文に「正当な理由がないのに」と書かれているとおり、広く行われる住居等に立ち入る行為の中で、特に正当な理由のない違法なものだけが住居侵入罪等により処罰されます。

当然ながら、管理者の承諾を得て立ち入った場合には住居侵入罪等は成立しませんし、警察官が職務遂行のため法令に基づいて(例えば捜索差押令状に基づいて)住居等に立ち入った場合等にも住居侵入罪等は成立しません。

なお、関係者以外の立入りやビラ配り等の宣伝活動を禁ずる旨を管理者が1階出入口等に掲示していた防衛庁宿舎の共用部分(共用廊下)に、「自衛隊のイラク派兵反対」などと記載したビラを各室玄関ドアの新聞受けに投函する目的で立ち入るなどした行為について、被告人らが表現の自由の行使であるなどと主張したのに対し、最高裁が、

本件で被告人らが立ち入った場所は,防衛庁の職員及びその家族が私的生活を営む場所である集合住宅の共用部分及びその敷地であり、自衛隊・防衛庁当局がそのような場所として管理していたもので、一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではない。たとえ表現の自由の行使のためとはいっても、このような場所に管理権者の意思に反して立ち入ることは、管理権者の管理権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない。

として、邸宅侵入罪(集合住宅の共用部分に侵入する行為は、(共用部分であるが故に「住居」とは言い難いため)邸宅侵入罪が成立するとされています。)の成立を肯定した事例があります(最判平成20年4月11日)。

第4 不法侵入で逮捕される可能性はあるのか

住居侵入罪等は、当該住居に居住している者や当該建造物等を看守している者が存在し、そうした者に対して危害を加えるおそれがあるとみなされることが多いため、逮捕される可能性が高い犯罪です。

第5 不法侵入で逮捕された場合の対処法

不法侵入で逮捕されてしまった場合でも、起訴前に被害者(居住者や看守者)と示談ができ、被害者が宥恕して(許して)処罰を求めないなどの意向となれば、検察官がこれを尊重して不起訴処分とする可能性が十分にあります。

したがって、弁護人としては、不起訴を目指し、被害者との示談成立に向けて交渉することが重要な活動となります。

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第6 お気軽にご相談ください

上原総合法律事務所は、元検事 8名を中心とする弁護士集団で、迅速にご相談に乗れる体制を整えています。

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着手金:55万円

成功報酬(不起訴・立件なし):66万円

日当(出張1回):3万3000円

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