2023年に不同意性交等罪が制定されて以降、多数の事件が立件されています。
実際に不同意性交等罪を犯した事件もありますが、中には、冤罪かもしれない事件も報道されています。
上原総合法律事務所にも、行為当時は同意があった(と思っていた)のに不同意性交等(レイプ)だと言われている、というご相談をいただいています。
密室で性交をした場合、目撃者がいなければ、不同意性交をしていないことの証拠を提出することはとても難しいです。
ですが、何もせずにいれば、状況が不利になったり、逮捕されたりするリスクもあります。
この記事では、被害申告されるとどうなるか、警察の考え方、警察への相談方法や上申書作成上の注意点などを説明します。
不同意性交等罪・不同意性交等致傷罪とは何か、これらの罪を犯したらどうなるか、について詳しくはこちらをご参照ください。
不同意性交等罪をしたらどうすれば良いか、について詳しくはこちらをご参照ください。
Contents
自分は性交に同意していないと主張する人が性交の後、すぐに警察に行くとは限りません。
もともとの関係性が友人だったり行きつけの飲み屋で知り合った場合など、全くの他人ではない場合、まずは、直接もしくは共通の知人を介して不満を伝えることがあります。
また、風俗店での行為であれば、店舗の人間を通して被害弁償を申し入れてくることもあります。
この段階で話し合ってトラブルを解決することができれば、警察沙汰を避けることができます。
示談して終了することもありますし、謝罪などの話し合いだけで終わることもあります。
この場合、示談しなければいけないのか、どうやったら示談できるのか、などの疑問が生じるかと思います。
やっていないのに示談すべきなのか、示談のメリットデメリット、示談する方法などについて詳しくはこちらをご参照ください。
示談が成立して終了した事案についてはこちらをご参照ください。
示談や話し合いで解決ができなかったり、そもそも自称被害者が話し合いを選択しなかったりした場合、警察への被害申告がなされます。
被害届が受理されると、加害者とされている人は「被疑者」という立場になります。
警察は「被疑者」が本当に不同意性交等をしたのかどうかを明らかにするために捜査をします。
捜査は、自称被害者から提供されたメッセージアプリの履歴を調べたり、現場付近の防犯カメラ映像を集める、ということから始まり、場合によっては被疑者の行動確認をします。
この際、逮捕するかどうかを視野に入れながら検討します。
不同意性交等罪は重大犯罪ですので、犯罪の嫌疑が濃厚であると考えた場合には、逮捕に向けた準備をします。
逮捕は、警察官が必要だと考えた場合に、裁判官の発付する令状(逮捕状)を請求して行われます。
警察官が「不同意性交をした疑いが濃厚だ」と考えるだけの根拠となる証拠があれば、逮捕状は発布されると考えられます。
逮捕は、逮捕された人にとってとても大きな意味を持ちます。
特に、不同意性交等罪で逮捕すると、本当に不同意性交等をしたのかという真実はどうあれ「不同意性交等で逮捕された人」という色眼鏡で見られてしまいます。
警察官もこのことをよく理解しており、不同意性交等で逮捕して不用意に逮捕された人の人生に悪影響を与えないよう、逮捕するかどうかは慎重に判断します。
場合によっては、警察官が検察官に事前に相談することもあります。
そのため、被害申告者が警察に逮捕してほしいと言ってもすぐに逮捕するとは限りません。
特に、知人型の事件(マッチングアプリで知り合った相手や以前からの友人などの知っている人による事件)で性行為の行われたホテルや家に一緒に行っているのであれば、同意の上で行為をしていたり、加害者とされている人が同意があると誤解していた可能性があります。
警察官は、事件前後のメッセージ履歴や防犯カメラ映像などの客観的な証拠から行為前後の行動や行為者同士の関係を考慮し、逮捕に踏み切るべきかを慎重に検討します。
そして、実際に不同意性交等罪を犯したと思われる場合に逮捕します。
なお、他人型の事件(見知らぬ人の家に押し入って犯行に及んだり路上や暗がりにいる他人を襲った場合)について犯人が誰なのかが明らかになった場合、更なる犯行が行われることを防ぐため、捜査機関はなるべく早く逮捕するのが通常です。
不同意性交等罪で逮捕されたらほぼ確実に勾留請求され(令和3年犯罪白書によると強制性交等罪の勾留請求率は99.6%)、身柄拘束が継続する可能性が高いです。
自称被害者が被害申告する場合、その話の内容が真実であろうとそうでなかろうと、警察官は、はじめに聞いた自称被害者の話をベースに事件のことを認識します。
このことは、とても大きな影響を与える可能性があります。
自称被害者の話の内容がしっかりしている場合、警察官は、その話を一応確からしいと感じます。
そうすると、加害者とされた人にとっては不利になり得ます。
自称被害者の話を聞いた後に、加害者とされた人から話を聞く際には、自称被害者の話と異なる内容を、疑いを抱きながら聞く可能性が高いからです。
そのため、自称被害者と話し合いで解決できそうにない場合、加害者とされている側は、自分から警察に相談に行くことを検討すべきです。
なお、警察に相談する場合、事情聴取(取調べ)がなされます。
取調べを受けるときは、注意すべきことがありますので、詳しくはこちらをご参照ください。
自分から警察に相談に行く場合、上申書を作成して持っていくことが有効です。
警察に相談に行っても、警察官が話を聞くだけで、書類を作成してくれないかもしれません。
しかし、上申書を用意していけば、確実に、相談した内容を書類に残すことができます。
また、警察官が書類を作成してくれるとしても、その内容がどのようなものになるかは分かりません。
上申書は、あらかじめ自分で作成するものなので、事件に関する自分の認識を正確に伝えることができます。
自分から警察に行くのであれば、よほど緊急で上申書を作成する時間がないという例外的な場合を除き、上申書を作成していくべきです。
上申書は、自分の認識を書面にして証拠にし、警察官に伝えるためのものです。
そのため、まず
一義的に明確に
正確に
分かりやすく
記載することが大切です。
一義的に明確であるとは、正確に伝えるために、誰がどのように読んでも同じ意味になるような文章を書くことです。
事実を正確に記載することも容易ではありません。
特に内心の描写は、「誤っていないけれども少し違う」という描写も多く、的確な記載をするには技術を要します。
また、正確な記載という観点からは、「現在の認識か過去の認識かの区別」(例えば、今は相手が結婚していると知っているが、当時は知らない)と「記憶と推測の区別」(覚えていることなのか、覚えていることから推測したことなのか)も大切です。
このような記載は、よほど文章を書くトレーニングを受けていなければできません。
せっかく上申書を記載して警察に相談するのに、不正確な書類が作成されては効果が減ってしまいます。
上申書の記載でベストを尽くすには、経験豊富な弁護士に依頼することをお勧めします。
上原総合法律事務所には、元検察官の弁護士が多数在籍しており、刑事事件のご相談をお受けしています。
検察官は、1年間に100件以上の刑事事件を担当することも稀ではなく、当事務所の弁護士は、非常に豊富な刑事事件の経験を有しています。
冤罪被害を避けるために、誠心誠意寄り添います。
お困りの方はお気軽にご相談ください。
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※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。
弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
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