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上場企業の会社員が逮捕されたらどうすれば良いのか、元検事の弁護士集団が解説します

1 上場企業の社員が逮捕されたらどのような問題が生じるのか

個人の犯罪は、業務と関係しない限り、勤務先に関係がありません。

しかし、コンプライアンスが重視される昨今、社員個人が業務と関係なく罪を犯した場合でも、インターネットなどを介して企業不祥事と結びつけられる可能性があり、勤めている企業にも様々なリスクが生じます。

特に上場企業は知名度が高く、何らかの形で罪を犯した個人の会社名が世間に発覚して大きく報道等された場合、ブランドイメージが棄損し、会社の信用が傷つき、業績にまで影響を与える恐れがあります。
そのため、上場企業は、社員に対して「事件を起こしたらすぐに報告するように」という指示を出していることも多いです。

しかし、社員の立場からすると、事件を起こしたことを会社に知られるとどうなるのかわからない、クビになるかもしれないから会社に知られたくない、という気持ちを持ちます。
このように、逮捕された上場企業の会社員の方からは、勤務先が上場企業であるという特殊性から、弁護士に対し、似通ったご質問をいただくことが多々あります。

この記事では、上場企業の会社員が逮捕された場合によくいただく質問について、ご説明します。

2 懲戒解雇になるのか

会社が従業員を解雇するのは簡単ではありません。

労働契約法15条は「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」と規定しています。
ここにいう「使用者が労働者を懲戒することができる場合」とは、就業規則等に規定がある場合のことです。

逮捕・勾留されただけの状況下では推定無罪の原則(犯罪を行ったと疑われて捜査や裁判の対象となった人について、「刑事裁判で有罪が確定するまでは『罪を犯していない人』として扱わなければならない」とする原則)が働くので、会社員が逮捕・勾留されたというだけでは罪を犯していない人として扱う必要があります。
そのため、逮捕・勾留されただけで懲戒解雇にすることは、労働契約法15条にいう「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当なものであると認められない場合」として懲戒が無効になると考えられます。

また、逮捕・勾留された後に起訴されて有罪となったとしても、懲戒解雇できるとは限りません。
犯罪行為の性質及び態様その他の事情からして、懲戒解雇をすることに客観的に合理的な理由があり、懲戒解雇することが社会通念上相当であると認められる場合に、初めて懲戒解雇できることとなります。
懲戒解雇できるかどうかは、事件の内容や会社の業務内容等に応じた個別具体的な判断が必要となります。
例えば、殺人、強盗などの重大な犯罪行為は、懲戒解雇が許されると考えられます。
また、横領や背任などの会社を被害者とする犯罪については、雇用の前提となる信頼関係が失われているため、懲戒解雇が許されると考えられます。

他方、中学校の教員が酒気帯び運転をした事案で懲戒解雇が無効とされたり、駅の係員が電車内で痴漢をした事案で諭旨解雇が無効とされた事案もあり、犯罪行為をしても解雇されない可能性があります。

3 会社にどのように報告すれば良いのか

逮捕・勾留された場合、会社に行けなくなるため、無断欠勤とならないように会社に対して何らかの説明をする必要があります。

逮捕された方と弁護士が初めて面会をしたときに、多くの方が「会社に正直に話すべきか、会社にどう言うべきか」ということを質問します。

これについては、「どうしても会社に知られたくない」という方もいますし、会社に対して真実を伝えるとしてもその伝え方やタイミングは工夫した方が良い、という事案もあります。
そのため、上場企業の会社員が逮捕・勾留された場合に会社にどのように説明すべきかはケースバイケースですが、確実に言えることがあります。

まず、事件のことを報告する場合には、正確に状況を伝えることを心がけることが大切です。
逮捕された場合、ご家族から会社に状況を報告することがあります。
ですが、会社の方は今後の見通しを含めて状況説明を求めることが多く、刑事事件に熟知していないご家族が正確に状況を伝える事はとても難しいといえます。
せっかく状況を会社に報告して誠実に対応しようとしているのに、正確な情報が伝わらない事は避けるべきです。
可能であれば、弁護士から直接、会社の方に説明してもらうべきです。
上原総合法律事務所の弁護士は、ご入用であれば、会社の方に直接ご連絡をいたします。実際に、弁護士から会社の方に連絡をしたことにより会社の方が情報を正確に把握でき、いたずらに事態が混乱することを避けられたということがあります。

例えば、酒に酔って起こす犯罪としていわゆるタクシー強盗(酒に酔っている状態で乗車したタクシーの運転手と料金について揉め、運転手に暴力を振るったような事案のこと。)というものがあります。
※タクシー強盗についてはこちらをご覧ください。

これは逮捕や勾留罪名で「強盗」ですが、その実態はいわゆる強盗ではなく、酔っ払いと運転手のトラブルであり、強盗で起訴されることは多くありません。

このような場合に、会社に「強盗で逮捕されている」とだけ伝えると、極めて不正確な情報の伝わり方をしてしまいます。
会社としては、社員が強盗という重大な犯罪を犯したのだと考え、懲戒解雇を有力な選択肢とする処分案を考え始めることでしょう。
しかし、タクシー強盗は、その実態は暴行や障害であり、強盗ほどに重い犯罪を犯した者ではないことがほとんどです。会社に対してはそのような実際の状況を正確に報告する必要があります。

また、今後も会社に勤め続けたいのであれば、不誠実な対応を避けるべきです。
会社は、懲戒処分をするかどうか、懲戒処分をするとしてどのような処分にするべきかどうかを検討するために、時間をかけて事案を調査します。
その際に、不誠実な対応があると、誠実な対応自体が会社からの信用を損なわせ、不利益な処分につながってしまいます。
逮捕されたり勾留されたりすると、混乱して目の前の事しか考えられなくなり、ついつい不誠実な対応をしようとしてしまうことがありますが、弁護士のサポートを受けながら誠実な対応を心がけるべきです。

4 報道されるのか

上場企業の会社員が逮捕・勾留された場合、犯罪事実と氏名に加えて会社名が報道されることがあります。
どのような場合に報道がなされるのかについて、明確な基準は公表されていません。
一般に、警察は逮捕したときに公表すべき事案をメディアに伝える、検察は逮捕された被疑者が送致されてきた時や起訴されたときに、公表すべき事案をメディアに伝えている、と言われます。
上原総合法律事務所では、残念ながら、報道を確実に防ぐ方法は無いと考えています。
ですが、報道されることによる不利益やその根拠を具体的に伝え、メディアに氏名等を伝えないように弁護士から警察官や検察官に申し入れをする事は、一定の意味があると考えられます。
警察官や検察官は自身の権限と判断で行動するため、弁護士の意見を必ず聞き入れるわけではありませんが、説得力のある意見には理解を示してくれます。
実際に、申し入れをした結果、報道されてもおかしくない事案が報道されなかった事案は多数存在します。

5 元検事集団である当事務所にできること

当事務所では、元検事の経験を活かし、依頼者様のお話をじっくり聞き、私生活への影響を最小限にする弁護活動を行っております。

早期の身柄解放、不起訴処分の獲得、お勤めの企業への対応アドバイスなどを行っております。また、個人の弁護活動のほか、企業の危機管理分野にも力を入れており、企業側の視点を熟知していることを活かした個人の弁護活動も行っています。
迅速に対応できる体制を整えておりますので、お気軽にご相談ください。

なお、突然社員が逮捕された場合の企業側の対応についても、元検察官の経験を活かしてサポートを行っております。
お困りの方は是非お気軽にご相談ください。

刑事事件の流れについてはこちらをご参照ください

釈放・保釈についてはこちらをご参照ください

示談についてはこちらをご参照ください

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