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SNSで知り合った相手と同意の上で性的関係を持ったつもりだったが「性的関係を持つつもりはなかった。被害を受けた。」と言われている、というご相談が増えています。
このようなトラブルが生じた場合、加害者だと言われている方は「同意を取ったつもりだったのになぜこのようなことになってしまうのか」という理不尽さを感じるとともに、「警察に逮捕されてしまうのか」、「どうすれば良いのだろうか」、「自分の社会的な信用が失われてしまうのか」などという思いを抱き、とても不安になります。
そこで、この記事では、元検察官として刑事事件を熟知している弁護士集団である上原総合法律事務所が、この種事案の特徴や対処法を解説します。
なお、以下の特徴については、すべての事案に当てはまるわけでは無いことを予めご了承ください。
また、この種のトラブルは、一般に、男性側が加害者とされ、女性側が被害者とされることが多いため、以下では「男性が加害者とされた側」、「女性が被害者とされた側」と仮定して説明します。
同意なしに性的行為をすると、強制わいせつ罪(不同意わいせつ)や強制性交等罪(不同意性交等罪)という罪に問われます。
どちらの罪も、本当にこのような罪を犯したのであれば、逮捕勾留された上で起訴されて、刑務所行きになりかねない重い罪です。
詳しくは、強制わいせつ罪(不同意わいせつ)についてはこちら、強制性交等罪(不同意性交等罪) についてはこちらをご覧ください。
なお、性的行為をした相手が18歳未満であれば、いわゆる淫行条例(詳しくはこちらご覧ください)となり別の罪が成立します。
淫行条例違反の場合、性的行為をすることについて女性の同意があったかどうかは関係がなく、性行為をしたこと自体が問題となりますので、この記事では淫行条例違反は度外視し、「女性が18歳以上であること」を前提とします。
男性は「女性が性的行為をすることを拒否していなかった(または拒否していることに気がつかなかった)から同意があるのだと思っていた」、女性は「怖かったなどの何らかの理由で性的行為を拒否できなかった(または拒否していたけれどもわかりにくい拒否だったため男性が気が付かなかった)」という誤解によりトラブルが発生したと思われる事案がたくさんあります。
このような場合、男性は同意があると誤解していたのですから、男性が性的行為をした事は犯罪にはなりません。
しかし、女性が警察に相談したり民事裁判を起こしたりすれば、それに対応しなければいけないという負担があります。
不特定多数の男性と頻繁に性的関係を持つ女性の中には、精神的な問題を抱えていると思われる方がいます。
そのような方は、性的行為をする当時は明確に同意をしていたり積極的に性的行為をしたりしていても、事後的に「嫌だったのに性的行為をされた」などと本心から言っているように見えることがあります。
また、女性が「性的関係を持てば本格的な交際ができる」と期待していたのにそうならなかった場合に、事実をねじ曲げて合意のない性的行為があったように主張して被害申告していると思われる事案もあります。
このような事案は、女性が精神的な問題を抱えているためと思われ、どんなに説得しても女性の発言を変える事はできないと考え、それを前提に対処方法を考えるべきです。
あえて明確な同意をせずに性的行為を持ち、事後的に「同意なしに性的行為をされた」という被害を訴えて示談金名目でお金を取ろうとしていると疑われる事案もあります。
このような事案は、社会的な地位が高い男性に目をつけて行われていると考えられます。
SNSの中には、男性側の収入が明示されているものや高収入の男性しか登録できないものもあり、お金目的の女性がお金を持っている男性を狙って出会います。
女性側が性的行為をすること自体は受け入れている(事後的にお金を請求するためではありますが)ため、男性側に犯罪が成立することはなく、本来であれば、男性は「同意のない性的行為をしていない」と毅然と対応すれば良いことになります。
ですが、社会的地位が高い男性の中には、「お金で済むのであればとにかくお金を支払って終了したい」、と考える方もいます。
女性の目的がお金ですので、お金を払えばトラブルからは解放されますが、そのお金は高額になることが見込まれます。
また、一度「カモ」だと思われるといろいろな理由をつけて何度もお金を要求される可能性がありますので、示談で終了にする際には弁護士を入れて確実にその1回で終了にすべきです。
SNSで知り合った相手とトラブルになる事案の多くは、「共通の知人がいない」、「本名なども知らない」など、関係性が希薄な状態であることが多いです。
そのためトラブルになった後、自分で相手のSNSの連絡先を消してしまうと、相手がどこの誰なのかがわからなくなってしまい、連絡のつけようがなくなってしまうことがよくあります。
このような場合、加害者とされている側の人は、相手がどのような動きをしているのかを知る手段がなくなってしまい、とても不安な気持ちになります。また示談をしようにも相手に連絡ができないため、動けなくなってしまいます。
このような場合にできることは、証拠の保全と警察への相談ですので、下の【対処法】にて説明します。
SNSで出会った相手とのトラブルの多くは、実際に会った回数が3回以下です。
これは、相互理解や信頼関係が十分に育まれる前の性的関係であったためと思われます。
このような場合、女性側が「出会ってからまだ日が浅いのだから性的関係に同意するはずがない」ということを言ってくることがありますが、一般的に、出会ったその日に本心から同意して性的行為を持つことがないとは言えず、同意があったかどうかは、その他の諸般の事情を考慮して判断されることになります。
例えば、ラブホテルに入ることについて女性が同意していたのであれば、「性的行為を行うことを女性が同意していた」という判断を基礎づける1つの事情になると考えますし、女性が「性的行為をするなら避妊具をつけてほしい」と言う発言をしたのであれば、仮定の話であっても、性的行為をすることに同意があったと言い得るのではないかと考えます。
出会いがSNSかどうかにかかわらず、性的関係にまつわるトラブルはお酒が入った状態で行われていることが多いです。
SNSで知り合った相手とのトラブルも、お酒が入っている状態で行った性的関係についてのものが散見されます。
「SNSで知り合った相手としばらくSNS上でやりとりをした後、初めて会った日に一緒にお酒を飲んで性的行為を持ったらトラブルになった」というご相談は顕著に多いです。
このような事案では、ご相談者の記憶がはっきりしない部分があることもありますし、お酒を飲んでいるので男性女性ともに正確に事実を認識していない可能性があるという特徴があります。
そのため、具体的な事案に応じてどのように対処すべきかを臨機応変に決めていく必要があります。
トラブルになった場合、まず何より、今残っている証拠を探し、保存していく必要があります。
例えば、まだSNS上で相手とつながっていれば、その状況をスクリーンショットを撮るなどの方法で保存します。
そうすることで、今後相手と連絡を取ろうとした時に相手が誰だかわかるかもしれませんし、「まだSNS上でつながっている」と言うこと自体が有利な証拠になるかもしれません。
また、例えば飲食店から性的行為を行った場所に行くまでの間に防犯カメラがあるような事案であれば、その映像を可能な限り入手することが有益です。
これにより、2人で移動しているときの状況が明らかになり、例えば手を繋いでいたりキスをしている状況が明らかにできるかもしれません。
このような証拠を探す作業は、警察官や検察官が事件を捜査する手法と同様であり、専門的な知識や経験が必要となります。
また、一般的な問い合わせでは回答してもらえないことも、弁護士が弁護士会照会することで回答してもらえることがあります。
証拠保全をしっかり行いたい方は、経験豊富な弁護士に依頼することが有益です。
「自分は同意を得て性的行為をしたのだ」と確信がある場合、妥協せずにご自身の立場を貫いていただくのが、最もシンプルな対処法です。
この場合、女性が被害届を出せば警察官や検察官からの取調べを受けることになりますが、「自分は同意を得て性的行為をした、そう言えるのは〇〇だからです。」と正直にご自身の認識を説明していただくことになります。
ただ、この立場をご自身のみで貫くのは簡単ではなく、また、リスクがあります。
多くの人は警察官や検察官の取調べを受けた経験はなく、自分が悪いことをしたのではない場合でも、取調べに際してはとても緊張します。
そうすると、取調べで聞かれたことに正確に答えることができないことがありますし、あまりに緊張すると、何を聞かれているのかすらわからなくなることがあります。
その結果、意図せずに思っていることと違うことを話してしまったり、客観的な証拠と矛盾することを言ってしまったり、不必要に警察官や検察官に誤解され、疑われてしまうことがあり得ます。
また、取調べの結果作成される調書についても、ご自身の認識と異なるものが作成されてしまい、その結果、ご自身の認識と異なる内容を「実際にしゃべった」と記載された証拠を作成されてしまうこととなります。
取調べ対応の一般論についてはこちらをご覧ください。
そのため、毅然とした対応を取るのであっても、経験のある弁護士のアドバイスを受けておくことが有益です。
相手が「性的行為をする同意をした事はない」と主張している目的がお金を得ることであれば、お金を払えばトラブルが終結します。
また、相手が本心から「性的行為をする同意をした事は無い」と考えている場合であっても、刑事手続や民事裁判を進める際に発生する負担を考えると示談をした方が良い、と考える女性もいます。
そして、男性側も、このままトラブルを抱えて精神的に苦しみ続けたり社会的信用が失われるリスクを考えるのであれば、トラブルを終了させるためにお金を支払う事は仕方がない、と考えることがあります。
このような場合、男女間で示談をして、刑事事件や民事裁判にすることなく(すでに刑事事件や民事裁判をしている場合にはそれらを終了させ)、トラブルを終結させることができます。
示談をしようとする場合、自分のトラブルを自分で的確に状況判断し対応するのは極めて難しいことですので、よほど法律及び交渉に精通して経験豊富な方でなければ、弁護士の関与は必須であると考えます。
また、実際にご自身でやってみるとわかりますが、法律及び交渉に精通して経験豊富な方でも、他人の事件の交渉することと自分の事件の交渉する事は全く違うことですので、可能であれば弁護士を入れることが有益だと考えます。
経験豊富な弁護士は、ご自身の口からは立場上言いづらいことでも堂々と言えますし、示談金額やその他の条項についても適切な意見をお伝えします。
SNSでのつながりがなくなってしまい、相手がどこの誰だかわからなくなってしまった、などの場合には、示談をしようにも相手に連絡ができません。
このような場合、こちらから何もできずにいる間に相手が警察に行き、突然逮捕されたりしないか、ということが懸念されます。
事案により逮捕される可能性が高かったり低かったりしますが、逮捕される可能性自体を否定することはできません。
このような状況下でできるのは、警察に自分から相談をしに行くということです。
警察に自分から相談をした場合、警察官、検察官や裁判官に「わざわざ自分から警察に来ているのだから証拠隠滅や逃亡をしないだろう」と考えてもらえる可能性が上がります。
逮捕や勾留は、証拠隠滅や逃亡をする恐れがあると警察官や検察官が考えた場合に請求され、裁判官が同様に判断した場合に決定されます。
そのため、相手方がどこの誰かが分からない状況下では、収集した証拠を持って警察に行き、トラブルが生じたことやご自身の認識を正直に伝えることが大切です。
なお、性的関係を持つことについて同意があった場合、性的行為をした事は犯罪ではありませんので、厳密には「自首」にはあたりませんが、相談することで証拠隠滅や逃亡の恐れが減るなどの議論は警察に相談する場合についても同じことが行えます。
これらについて詳しく記載してありますので、自首についてはこちら、上原総合法律事務所で行っている自首サポートについてはこちらをご覧ください。
同意の上で性的行為をしたつもりなのにトラブルになってしまった方は、理不尽な仕打ちを受けている気持ちになるでしょうし、これからどうなっていくのか・逮捕されてしまうのかなどと考え、とても不安だと思います。
そのような方は、お気軽に上原総合法律事務所にご相談ください。上原総合法律事務所では、刑事事件に精通した元検察官の弁護士が迅速にご相談を受けられる体制を整えています。
多くの方から、ご相談前に「自分1人で悩んでいてとても辛い、夜も眠れない、食欲もない」などとおっしゃるとともに、ご相談後に「相談して気が楽になった、眠れるようになった、食べられるようになった。トラブルについてはとりあえず弁護士に任せておけば良いと考えることで、仕事にエネルギーを割けるようになった。」などというありがたいお言葉をいただいています。
ご相談者の個別の事情に応じて最も良い解決が何なのかを共に考え、その実現に向かって力を尽くすことをお約束します。
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※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。
弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
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