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留置場とは?1日の流れや拘置所との違いについて元検事の弁護士が解説

公開日:2024年10月11日

逮捕されると、留置場に入れられます。

刑事事件を犯した方や逮捕された方の家族、さらには被害者側の方も、留置場とはどのような場所なのか気になるかと思います。

 

この記事では、元検察官の弁護士が、留置場とは何か、留置場内での生活や面会・差し入れ等についてを解説します。

この記事は、警察の留置業務(https://www.npa.go.jp/about/overview/ryuchi/toppage.html 警察庁)を元に弁護士法人上原総合法律事務所において作成しています。

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1 留置場(留置施設)とは(拘置所・刑務所との違い)

刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(以下「刑事収容施設法」といいます。)は、「刑事施設」、「留置施設」及び「海上保安留置施設」の3つを総称して「刑事収容施設」としています(刑事収容施設法1条)。

刑事施設」については、次に掲げる者らを収容し、これらの者らに対し必要な処遇を行う施設をいうとされており(刑事収容施設法3条)、具体的には、刑務所少年刑務所及び拘置所(いずれも法務省の所管する施設)のことを指します。

・ 懲役、禁錮又は拘留の刑の執行のため拘置される者(受刑者)

・ 刑事訴訟法の規定により、逮捕された者であって、留置されるもの(被逮捕者)

・ 刑事訴訟法の規定により勾留される者(被勾留者)

・ 死刑の言渡しを受けて拘置される者(死刑確定者)

 

他方で、「留置施設」については、次に掲げる者らを留置し、これらの者らに対し必要な処遇を行う施設をいうとされており(刑事収容施設法14条2項)、具体的には、警察署の留置施設(いわゆる留置場)のことを指します。

・ 警察法及び刑事訴訟法の規定により、都道府県警察の警察官が逮捕する者又は受け取る逮捕された者であって、留置されるもの(被逮捕者)

・ 前号に掲げる者で、次条第1項の規定の適用を受けて刑事訴訟法の規定により勾留されるもの(被勾留者) 

 

ところで、裁判官は、被疑者に対して勾留状を発付するに当たっては、勾留状に「被疑者を勾留すべき刑事施設」を記載しなければなりません(刑事訴訟法64条1項・207条1項)。

そのため、勾留状を発付する裁判官は、その被疑者を勾留する「刑事施設」を指定することとなります。

この点、刑事収容施設法15条は、受刑者・死刑確定者等を除いては、「刑事施設」(具体的には拘置所のこと)に収容することに代えて、留置施設に留置することができるとしています(これを「代替収容制度」といいます)。

そのため、勾留状を発付する裁判官は、法律上、被疑者の勾留場所については、刑事施設(拘置所)を指定することもできるし、留置施設(留置場)を指定することもできることになっています。

そして、裁判官は、事件の性質、被疑者の年齢、心身の状況、被疑者の供述態度、拘置所と留置施設の所在地、交通事情、引き当たりや面通しの必要性、証拠品の数量等の諸般の事情を総合考慮した上で、裁量により勾留場所を刑事施設(拘置所)とするか留置施設(留置場)とするかを決定することになります

ただし、実務上は、多くの裁判官は、捜査が継続している起訴までの間は、留置施設(留置場)を勾留場所とし、起訴後は刑事施設(拘置所)に勾留場所を変更するという判断を行っており、起訴前の段階ではほぼすべての被疑者が留置施設(留置場)に勾留されることになるのが実情です。 

なお、東京地方検察庁特別捜査部(特捜部)など検察官が独自に捜査を行って被疑者を逮捕する例がありますが、そのような被疑者については「警察官が逮捕する者」(刑事収容施設法)に当たらないため、留置施設(留置場)ではなく、刑事施設(拘置所)に勾留されることになります。

2 捜査と留置の分離

留置施設(留置場)は、捜査機関である警察に置かれるものであるため、自白強要などの違法な捜査が行われやすく、えん罪の温床になるという批判があります。

そのため、日本の警察では、捜査員が留置施設に留置されている被疑者の処遇をコントロールすることを禁止しており、留置業務の主管は捜査を担当しない総務(警務)部門とされています。

これを「捜査と留置の分離」といい、この考え方を基本として、次のような具体的な措置が行われています。

1.留置開始時の告知

・被留置者に対しては、留置開始時に、処遇に関することはすべて留置担当官が行い、捜査員は関与しないことが告知されます。

 

2.留置施設出入場時のチェック等

・留置施設は、被留置者にとっての生活の場であるため、取調べ等の捜査活動はすべて留置施設の外で行われます(留置施設の中に取調室はなく、留置施設と捜査員が出入りする取調室と は壁や扉で明確に分けられています)。

・捜査員は、被留置者の取調べ等を行うに当たっては、留置主任官に要請してその承認を得た上で被留置者を留置施設から外に出さなければなりません。

捜査員は、留置施設内に入ることはできないことになっており、昔の刑事ドラマであるように、捜査員が被疑者を檻の中に入れるというようなことは禁止されています。

 

3.日課の時間割の尊重

・取調べ等の捜査活動は、食事や就寝などの日課の時間割を尊重して、通常であれば午前8時30分から午後5時15分までの間に行われるのが一般的なようです。

・夕方以降に被疑者を逮捕した場合など被疑者を取り調べる必要がある場合であっても、就寝時刻(午後9時頃)以降まで取調べが続いているようであれば、留置担当から捜査担当に取調べの打ち切り要請がされることとなります。

・このように、捜査員が被疑者を真夜中まで取り調べるということが生じないようにする制度となっており、この点でも昔の刑事ドラマとは異なっています。

 

4.食事の提供

・食事は、被留置者の処遇の上で最も重要なものの1つとされており、被留置者は、留置施設において食事を摂ることになります。

・捜査員は、取調室で被留置者に食事を摂らせることはできず、昔の刑事ドラマにあるような、カツ丼を食べさせて取り調べるということもありません。

 

5.差入れ、面会、信書の取扱い

・被留置者から捜査員に対して、差入れや面会や信書(手紙)の授受に対する申入れがされることがありますが、その場合であっても、捜査員は留置担当官にその旨を引き継ぐことになっています。

・警察署から弁護士事務所に対して、被留置者が接見を求めている旨の連絡が入ることがありますが、その場合も、捜査員ではなく留置担当官から連絡が入る仕組みとなっています。

 

6.被留置者の身体検査、所持品の保管

・留置施設での身体検査は、原則として、肌着は着用したままで行われます。

 ただし、危険物を隠匿している可能性が高い場合には、浴衣を着せた上で肌着を脱がせて行うことがあります。

・捜査員が被留置施設の身体検査や所持品検査を行うことはなく、留置担当者が身体検査や所持品検査を行うことになります。

 

7.被留置者の護送

・被留置者は、検察官の取調べがある日には、検察庁に出向くことになりますが、その護送の際の戒護員についても、原則として留置部門の警察官が指定されることになります。  

 

3 留置場(留置施設)での生活(1日、食事、入浴)

1.居室について

・居室は、被留置者のプライバシーを保護するため、居室の前面を不透明な板で遮断して、留置担当者から常時監視されることがないようにされています。

・居室のトイレは、周囲を壁で囲ったボックス型とされています。

・留置施設では、冷暖房設備によって快適な温度・湿度が保たれるようになっています。

・夜間は、減光されるものの、人によっては明るくて眠れないといったこともあるようです。

 

2.日課について

・あくまで標準的な日課ですが、午前6時30分起床、午前7時30分朝食、午前8時運動、午後0時昼食、午後6時夕食、午後9時就寝といった生活リズムです。

・被留置者は、取調べがある場合などを除いて、無料で新聞や備え付けの本を閲覧することができますし、毎日一定の時間にニュース等のラジオを聴くこともできます。

 

3.食事について

・食事については無料で支給され、栄養士が定期的に栄養バランスをチェックしたものが支給されることになります。

・被留置者は、「自弁」といって、食事や菓子類や乳製品等を自己の負担で購入することもできますが、購入した日に検察官の取調べが入ってしまうと、せっかく購入した物が食べられなくなるといったこともあるようです。

 

4.医療や保健衛生について

・被留置者は、月2回、医師による定期健康診断を受けます。

・被留置者は、負傷・病気の場合には、速やかに施設外の病院での治療を公費で受けることができます。

・被留置者は、平日1日当たり30分、留置施設内に設けられた運動場(戸外)で運動をすることができます。

・被留置者は、少なくとも5日に1回以上、原則として週2回以上入浴ができることとされています。

 

5.外部との面会などについて

 ⑴ 弁護人との接見について

・被留置者は、いつでも、留置担当官に弁護士又は弁護士会を指定することにより、弁護人の選任を申し出ることができます

・被留置者は、弁護人又は弁護人になろうとする者とは、立会人なく面会することができるほか、逃走、罪証隠滅の防止等に支障がない範囲で、書類又は物の授受をすることができます

・被留置者と弁護人等との面会については、その重要性にかんがみ、休日や夜間でも、管理運営上支障があるときを除き、応じることとなっています。

 そのため、弁護人が土日の夜に接見に訪れるということも珍しくはありません。

 ⑵ 家族等との面会や差入れについて     

家族等との面会や書類・物の授受についても、裁判所が逃走や罪証隠滅を防止するために特に制限する場合を除き(いわゆる接見禁止が出ている場合を除き)、原則として保障されています

・家族等との面会については、留置担当者が立ち会っており、事件の内容に関する話をすることはできません

・家族等との面会については、平日の午前と午後に限定されているので、あらかじめ警察署の留置係に確認をする必要があります。

 また、家族等との面会は、1日1回3人まで、時間は15分以内などと限定されており、この点もあらかじめ警察署の留置係に確認をしておいたほうがいいでしょう。

・家族等から現金の差入れをすることもでき、被留置者は、差入れを受けた現金で食事等を購入したりすることができるようになります。

4 お気軽にご相談ください

身柄拘束は、とても大きな負担になります

ご家族が身柄拘束されている場合、早く出してあげたいと思う方が多いです。

そのような方は、お気軽にご相談ください。

 

上原総合法律事務所は、元検事8名(令和6年8月7日現在)を中心とする弁護士集団で、迅速にご相談に乗れる体制を整えています。

刑事事件に関するお悩みがある方は、ぜひ当事務所にご相談ください。経験豊富な元検事の弁護士が、迅速かつ的確に対応いたします。

 

ご相談の流れについてはこちらをご参照ください。 

弁護士費用について詳しくはこちらをご参照ください

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※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。

弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

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