逮捕・監禁罪とは?成立要件や逮捕された場合の対処法について

暴力事件
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弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

第1 逮捕・監禁罪とは

逮捕・監禁罪とは、個人の行動の自由を保護するため、他人の移動の自由を不法に奪う行為を処罰するものです。

刑法第220条において、以下のように規定されています。

不法に人を逮捕し、又は監禁した者は3月以上7年以下の懲役(2025年6月16日までには拘禁刑となります。以下同じです。)に処する

「不法に」と規定されていますが、これは逮捕・監禁行為が適法に行われる場合(刑事手続としての逮捕・勾留等)が少なくないために注意的に規定したものです。

いわゆる私人逮捕が適法となる場合もありますが、どのような場合に適法となりうるのかの判断は難しい場合が多いですし、私人逮捕をなしうる状況でも手段が行き過ぎればやはり犯罪となりえます。

リスクを避けるという観点からは、捜査機関等が行うもの以外、逮捕・監禁に該当する行為は原則として犯罪となるものと考えておくべきでしょう。

※私人逮捕についてはこちらの動画もご参照ください。

第2 逮捕・監禁罪の成立要件

「逮捕」とは、人の身体に対して直接的な拘束を加えてその行動の自由を奪うことを言います。
法的な根拠なく、相手をロープ等で緊縛する行為などが逮捕罪に該当します。

「監禁」とは、人が一定の区域から出ることを不可能又は著しく困難にしてその行動の自由を奪うことを言います。法的な根拠なく相手を部屋に閉じ込めて鍵をかける行為などが監禁罪に該当する典型例と言えます。

ただし、「監禁」は必ずしも物的施設を要するものではありません。

相手をバイクの荷台に乗せて運転する行為、相手を多数人で取り囲む行為等も、相手の脱出を不能又は著しく困難にする場合には監禁罪が成立し得ます。

また、物理的には脱出が容易でも

暴行・脅迫によってその場を立ち去ることを困難にした場合
恐怖心、羞恥心等を利用してその場を立ち去ることを困難にした場合
相手を騙して一定の区域から立ち去ることを困難にした場合

などにも監禁罪は成立することがあります。

監禁罪が成立するには、人が一定の区域から出ることを不可能にするまでの必要はなく、著しく困難にしてその行動の自由を奪ったことでも成立することに注意が必要です。


また、逮捕・監禁罪は、行動の自由を侵害する犯罪ですので、その成立には、行動の自由を侵害したといい得る程度の時間の継続が必要とされています(瞬時の拘束であれば、逮捕・監禁罪ではなく暴行罪が成立し得ると思われます。)。

なお、被害者が逮捕・監禁されていることを認識している必要があるかについては、判例は不要としていますので、被害者が逮捕・監禁されている認識がなくとも、逮捕・監禁罪は成立し得ます。

第3 刑罰と逮捕等致死傷罪について

逮捕・監禁罪の法定刑は、刑法第220条に基づき「3月以上7年以下の懲役」とされており、罰金刑はありません。

この法定刑の範囲内で、様々な情状(犯行に至る経緯、犯行態様、被害状況、反省状況等)が考慮され、実際の刑が決定されることとなります。


また、相手を逮捕・監禁した行為により、相手に傷害や死亡の結果が発生した場合には、逮捕等致死傷罪が成立し得ます。
逮捕等致死傷罪は、刑法221条において、以下のように規定されています。

前条(※逮捕・監禁罪を規定した刑法220条を指します。)の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する


逮捕・監禁行為により

・傷害の結果が生じた場合には「3月以上15年以下の懲役」
・死亡の結果が生じた場合には「3年以上の有期懲役」

という重い刑に処されることとなります。
また、死亡の結果が生じた場合には、裁判員裁判の対象ともなってしまいます。

逮捕等致死傷罪が成立するためには、逮捕・監禁行為と人の死傷との間に因果関係が存在することが必要です。

逮捕・監禁行為そのもの、又はその手段である行為から死傷の結果が生じた場合に因果関係ありとされるのは当然ですが、裁判例上

・監禁されていた走行中の自動車から飛び降りて死亡した事案
・監禁されていた3階の部屋の窓から飛び降りて死亡した事案
・停車中の自動車のトランク内に監禁されていた被害者が、後方から来た自動車に追突されて死亡した事案

について監禁行為との因果関係が認められています。

第4 逮捕・監禁罪が適用された具体的なケース

逮捕・監禁罪が成立する要件は上に記載したとおりですが、裁判で争われたものの、逮捕・監禁罪が適用された著名なケースとしては

①いわゆる「しつけ」のためとして、9歳の実子の両手を針金で拘束して押し入れ内に閉じ込めて、トイレや食事の時以外はその拘束を解かず、十数時間以上も継続して閉じこめたまま放っておいた事案

②会社のいわゆるリストラ等を不服とした被告人らが、会社の上司を約7~10キロメートル離れた場所まで連行し、約3時間にわたって、数百名で円陣を作って取り囲んで釈明を要求した事案

が挙げられます。


①の事案は、実子への懲戒権の行使の範囲を超えているか、②の事案は、労働争議行為として正当行為となるかが問題となりました。

裁判所は、①については「懲戒権行使の限界を超えている」、②については「労働争議の目的達成のためにする正当行為であると認めることはできない」として、いずれについても逮捕・監禁罪の成立を認めました。

第5 逮捕の可能性について

逮捕・監禁罪は、法定刑が比較的重く、被害者の生命・身体に危険を及ぼし得る重大な犯罪ですので、捜査機関に発覚した場合、逮捕・勾留される可能性は高いと言えます。

この点、逮捕のリスクを避けるための方法として自首をすることが有効な場合があります。

自首とは「捜査機関が犯人を特定する前に、自ら罪を申告して処罰を求めること」をいいます。

自首をすることで「逃亡するおそれ」や「犯罪の証拠を隠滅するおそれ」が低いと捜査機関に判断してもらい、逮捕・勾留のリスクを減らすのです。

逮捕を避ける方法について詳しくはこちらをご覧ください。

自首する方法について詳しくはこちらをご覧ください。

第6 逮捕・監禁罪における弁護活動

逮捕・監禁罪について想定される弁護活動は、多岐にわたります。

逮捕・勾留のリスクを減らすために、自首を検討しなければならない場合もあるでしょうし、不起訴を求めたり刑を軽くしたりするために、被害者と示談交渉しなければならない場合もあるでしょう。

この点、示談交渉は、相手方が警戒して被疑者本人と連絡をとるのを拒むことが多いこと、そもそも被疑者本人が相手方の連絡先を知らなければ進めることは不可能なことなどから、被疑者本人で行うことは非常に困難ですし、示談交渉自体がトラブルの種になりかねません。

しかし、弁護士であれば、相手方が警戒を解いて連絡をとってくれる可能性が高まりますし、捜査機関は、相手方の承諾を得られれば、弁護士限りでその連絡先を開示してくれますので、安心してください。

示談する方法について詳しくはこちらをご覧ください。

第7 お気軽にご相談ください

上原総合法律事務所は、元検事8名(令和7年2月14日現在)を中心とする弁護士集団で、迅速にご相談に乗れる体制を整えています。

所属弁護士全員が刑事事件について熟知し、独自のノウハウを有しており、逮捕・監禁罪で検挙されたとき又は検挙されそうなときの具体的な対応につきアドバイスをすることが可能です。

刑事事件に関するお悩みがある方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
経験豊富な元検事の弁護士が、迅速かつ的確に対応いたします。

弁護士費用例【逮捕・監禁事件を起こしたが示談できて前科を避けられた

着手金:55万円
成功報酬(不起訴・立件なし):66万円
日当(出張1回):3万3000円

※費用は一例です。
弁護士費用は具体的な事案によって異なることがありますので、法律相談時にお尋ねください。

弁護士費用について詳しくはこちらをご覧ください。

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