大麻の使用(施用)も犯罪に!CBDも?元検事の弁護士が12月施行の法改正のポイントを解説

薬物犯罪
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弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

第1 大麻使用(施用)罪はいつから?どのような刑になる?

令和6年12月12日、「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の一部が施行され、日本においても大麻の使用(法律上、正しくは「施用」とされています。)が犯罪となりました

改正の背景としては、近年若年層を中心に大麻の使用が増加傾向にあること、大麻の使用について罰則がなかったことが大麻使用のハードルを下げる要因となっているとの調査結果があること、いわゆるCBDや様々な製品に含まれるTHCの規制が不明確であったことなどが挙げられています。
インターネットやSNSを通じて「依存性が低い」「安全」といった誤った認識が広がり、大麻が社会問題化していたところ、使用そのものを取り締まることで大麻乱用を抑止し、薬物の害から国民を守ることなどが目的とされています。

大麻に関する規制は各国にばらつきもあり、大麻の有害性等については議論も存在するところではありますが、少なくとも日本においては、大麻の使用(施用)も犯罪として処罰の対象となっています

具体的には、麻薬及び向精神薬取締法第2条第1号で「大麻」も「麻薬」と定義されており、免許を受けた医師等以外による「麻薬」の施用(使用)は7年以下の懲役に処する(同法66条の2,第27条第1項)とされています。

大麻の使用(施用)が発覚すれば、最大で懲役7年の刑となる可能性があるのです。

第2 大麻の所持等も厳罰化!

大麻が「麻薬」となったことにより、所持や譲受、栽培等も厳罰化されました。

その具体的な内容は下記のとおりです。

改正前(大麻取締法違反) 改正後麻薬及び向精神薬取締法違反
使用 7年以下の懲役
使用(営利目的) 1年以上10年以下の懲役
所持・譲受・譲渡 5年以下の懲役 7年以下の懲役
所持・譲受・譲渡
(営利目的)
7年以下の懲役又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金 1年以上10年以下の懲役、又は情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金
輸出入・製造・栽培 10年以下の懲役 1年以上10年以下の懲役
輸出入・製造・栽培
(営利目的)
10年以下の懲役又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金 1年以上の有期懲役、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金

いずれの態様についても、刑の上限や下限が重くなっており、全体として厳罰化されたといえます。
裁判における実際の量刑の動向は今後明らかになっていくところですが、実際の判決も重くなる可能性が高そうです。

第3 CBD製品の規制は?

今回の改正により、いわゆる大麻そのもののみでなく、一定の量を超えるテトラヒドロカンナビノール(△9-THC等)を含有する製品等も麻薬及び向精神薬取締法条の「麻薬」となり、その使用(施用)や所持、製造、譲渡、輸入等も犯罪となっています。

※詳細は厚生労働省のサイトもご参照ください(令和6年12月12日に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の一部が施行されます|厚生労働省

具体的には、CBDオイルやCBDパウダー、ヘンプシードオイル、クッキーやキャンディ、飲料といった食料品、シャンプーや化粧水といった化粧品なども、含有されているテトラヒドロカンナビノール(△9-THC)の量によっては「麻薬」に該当します。

そして「麻薬」に該当するCBD製品については、その使用(施用)や所持も犯罪として処罰されます。

※全てのCBD製品等が「麻薬」に該当するというわけではありません。また、成分により、残留限度値が設定されているかなど規制の内容は異なります。

また、上記のような製品に含有されているテトラヒドラカンナビノールの量は一見して分かるものではありませんし、製品の種類等によって「麻薬」とされる基準値も異なっているため、およそ判断は難しいのではないかと思われます。

ましてや海外製品などは日本の規制基準を想定して製造等されていませんし、そもそも同じ製品でも含有量にバラつきもあるかもしれません。

いずれにせよ、合法とうたわれているものであっても実際には「麻薬」とされる基準以上にテトラヒドラカンナビノールを含有しているおそれは否定しがたいところですし、「合法だと聞かされていた」などといった弁解が通るとは限らず、注意が必要です。

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第4 大麻使用(施用)や所持等の弁護活動等

今回の法改正等を受け、おそらくは大麻使用(施用)等の犯罪に対する取り締まり、捜査もより激化するものと思われます。
また、社会情勢や法定刑が重くなったことからすると、検察官の求刑や裁判官の判決も、より重いものとなっていくと予想されるところです。

そのような中で不起訴や執行猶予、身柄の解放を勝ち取るためには、早期の段階から適切な弁護活動等を行っていくことが必要です。

不起訴処分の獲得

大麻に限らず薬物事犯では、単純な所持で量が極めて少ないなどといった例外的な場合を除き、起訴猶予となる可能性は乏しいのが実情です(※不起訴の類型等についてはこちらの記事も参照ください。)。

他方で、口にしたものに知らないうちに混入させられた、大麻等であることは全く認識していなかったといった場合には、適切に主張していくことで捜査機関の理解を得て(あるいはそこまでは行かなくとも少なくとも有罪と立証できるかに疑念を抱かせて)、故意が認められないとして嫌疑不十分等で不起訴となる可能性はあります。

とはいえ、鑑定の結果、客観的には大麻等を施用や占有していたことが明らかとなれば、施用や所持の故意がないことを積極的に主張していかなければ不起訴処分を獲得することは難しいでしょうし、合理的かつ的確な主張をしていくためには刑事事件について知見を有する弁護士のサポートを得ることが必要となってきます。

弁護士が作成した意見書を提出したり、検察官と面談をすることもありますし、取調べ対応についても、弁護士としっかり打ち合わせをする必要があります。

警察官や検察官は「無実なら事実を正直に言えば良い」といって話をさせようとすることがありますが、そう思って取調べに応じていると、思わぬ形で揚げ足を取られる可能性が否定できません(※取調べの注意点等についてはこちらの記事もご参照ください。)。

身柄を拘束されているような事案では、弁護士が警察署に行って接見を繰り返す中、取調べの対応方針等について打ち合わせを重ねます。
なお、弁護士との打ち合わせには警察官の立ち会いはなく、誰にも聞かれることがないので安心して相談ができます。

不起訴について詳しくはこちらをご覧ください

起訴を避ける方法について詳しくはこちらをご覧ください

身柄の解放

大麻に関する犯罪を犯した場合、基本的には逮捕、勾留される可能性が高いと考えられますし、勾留された場合、初めに10日間、勾留が延長されれば更に10日間、最長20日間、警察の留置所から出られない状態になってしまいます。

一般論として早期に身柄の解放を目指すには、勾留請求の段階や延長の段階等で、検察官に意見を述べる、準抗告をするなどすることになりますが(※次の記事もご参照ください。逮捕された後の流れについて元検事の弁護士がわかりやすく解説|上原総合法律事務所)、大麻の場合、捜査段階で身柄が解放される可能性は低いのが実情ですし、起訴される可能性もかなり高いと言わざるを得ません。

大麻に関する罪を犯してしまったという場合により現実的に身柄の解放を目指す方法として、起訴後の保釈を目指すという手段があります。

保釈は起訴後にしか認められませんので、大麻の使用等で逮捕された場合(かつ実際に犯罪を犯したという場合)、なるべく早く釈放されるためには、なるべく早く起訴されて、なるべく早く保釈される、ということが必要になります。

なるべく早く起訴されるためには、取調べに対する対応が必要です。
検察官は、必要な捜査を終えなければ起訴・不起訴の決定ができません。

そして、必要な捜査とは、大麻の鑑定などに加え、どのようにして施用等の行為が行われたかを解明する必要があります。

そのため、警察官や検察官に対し、取調べで直接伝える形や弁護士経由で伝える形で、捜査上必要なことを伝えるべきです。
また、このように捜査上必要なことを伝えることで、反省していることや罪証隠滅のおそれがないことも示せるため、その観点からも保釈が認められやすくなると考えられます。

逮捕を避ける方法について詳しくはこちらをご覧ください

釈放について詳しくはこちらをご覧ください

執行猶予の獲得や刑の減軽

公判請求されてしまった場合にも、弁護士は執行猶予の獲得や量刑の減軽を目指して活動していくこととなります。

従前であれば、単純な施用や所持で前科前歴もないとなれば執行猶予が付されるのが一般的でした。
しかし、薬物関連の前科等がある場合のほか、営利目的での製造、譲渡、輸出入や大量の所持、強い常習性がうかがわれる場合には実刑のおそれも大きくなってきますし、法定刑自体が重くなり、厳罰化の傾向にあることは前記のとおりです。

執行猶予や減軽を得るためには、本人が反省している状況などに加えて、再び薬物を使用するおそれがないことを、裁判所にいかに伝えるかが重要になってきます。

そのため、仕事の有無、監督者の有無などが重要になりますので、関係者と予め打合せをして、証人として出廷してもらうなど協力を得ることが必要です。

さらに、大麻には依存性があり、自分の意思ではなかなかやめることができないものと考えられているので、二度と大麻を使用しないために治療・更生プログラムに参加したり、回復施設に入所する必要があります。

当事務所では、信頼できる病院をご紹介できますし、最適な施設を選んで治療等を受けていただくとともに、そのような再犯防止の取り組みを行っていることを裁判でも主張していくこととなります。

執行猶予について詳しくはこちらをご覧ください

自首等について

警察から連絡が来ていなかったり逮捕されていない場合でも、「後悔している」「夜も眠れない」「逮捕されたらと考えると不安で不安でしかたない」という方も多いかと思います。

このような方には自首をすることを強くお勧めします。

薬物は自分の意思では使用をやめることも難しい場合が多いと言わざるを得ませんし、放っておけばいずれ逮捕される可能性も高いといってよいでしょう。

心から使用等を後悔し、薬物を止めたいと考えているのであれば、あるいは不安で日常生活もままならないという状況であれば、自首をきっかけとして状況を変えられる場合もありますし、自首したことは、処分や求刑、判決でも有利に働きます

当事務所では自首のサポートも行っており(※自首についてはこの記事もご参照ください)、更生への第一歩を踏み出す手助けもしております。

また、家族や友人、交際相手等が大麻の所持や施用をしているようだ、という場合にも、大麻を使っている本人自身のためにも、自首を勧めるべきかもしれません。

薬物の依存性は想像以上であり、再犯率も極めて高いと言わざるを得ません
本当に本人のためを思い、更生させたいのであれば、その第一歩として、厳しいようですが自首を勧めるべき場合が多いと考えられます。

自首について詳しくはこちらをご覧ください

第5 お気軽にご相談ください

上原総合法律事務所は、元検事 8名を中心とする弁護士集団で、迅速にご相談に乗れる体制を整えています。

大麻やCBD製品の施用、所持などの刑事事件に関するお悩みがある方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

経験豊富な元検事の弁護士が、迅速かつ的確に対応いたします。

弁護士費用例【大麻使用事件を起こして逮捕されたが保釈を得て、再犯防止措置を講じて実刑を避けられた】

着手金:88万円

成功報酬(執行猶予):66万円

成功報酬(釈放):33万円

日当(出張3回):9万9000円

※費用は一例です。弁護士費用は具体的な事案によって異なることがありますので、法律相談時にお尋ねください。

弁護士費用について詳しくはこちらをご覧ください

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