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弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
自動車保険を契約したことがある方なら、一度は耳にしたことがある「弁護士費用特約」。
この特約は、自動車保険の被保険者(保険の対象になっている人)等が交通事故や日常生活上の事故などに際して、弁護士を利用した場合、その費用を保険会社が負担してくれるというものです。
交通事故を起こしてしまった場合でも、相手方との交渉は保険会社が行ってくれることが多いため、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は、元検事の弁護士が、刑事事件における弁護士費用特約を中心に詳しく説明します。
目次
交通事故の加害者の刑事事件でも弁護士費用特約を使える場合がある
弁護士費用特約とは
弁護士費用特約とは、自動車保険などの損害保険に追加されるオプションで、前述のとおり、被保険者等が交通事故などに際して弁護士を利用した場合、その費用を保険会社が補償してくれるという特約です。
補償の範囲などは、保険会社や商品によって異なりますが、多くの保険では、交通事故で被害に遭った時に、相手方に損害賠償請求を行う際の弁護士費用や法律相談費用を補償してくれる特約となっています。
交通事故の際には自身が契約している保険会社が代わりに示談交渉を行ってくれると思われている方が多いと思いますが、実は、自身に過失が全くない、いわゆるもらい事故に遭ってしまった場合、自身が契約している保険会社は示談交渉をできないことになっています(こうした場合に代行してしまうと弁護士法違反になるためです)。したがって、もらい事故に遭ってしまった場合、示談交渉等を代行できるのは弁護士等のみであるため、特にこのような場合等に、上記特約を使って弁護士費用等を補償してもらうことが多いでしょう。
さらに、かつては上記のような民事事件に関する弁護士費用等しか補償されない弁護士費用特約が多かったのですが、近時、それのみならず、弁護士に刑事事件の対応(弁護活動)等を依頼する際の弁護士費用等も補償してくれる保険が増えてきています。
交通事故で刑事事件化する場合
自動車の運転中に過失で人を死傷させる交通事故を起こした場合、民事上の相手方への損害賠償責任のほか、過失運転致死傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条。7年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金。)となり、刑事事件の対象となります(なお、通常の運転から逸脱した危険な運転を行って人を死傷させる交通事故を起こした場合には、格段に刑罰が重い危険運転致死傷罪(同法律2条、3条)となります)。
※ 過失運転致死傷罪については、人身事故・死亡事故について元検事の弁護士が解説 の記事もご覧ください。
※ 危険運転致死傷罪については、危険運転致死傷罪とは?初犯でも実刑になる?元検事の弁護士が該当する行為・量刑・弁護活動を解説 の記事もご覧ください。
刑事事件で弁護士費用特約を利用するメリット
交通事故を起こして刑事事件になってしまった場合、今後どうなっていくのか、どのように行動していけばよいのかなど、不明な点も多いかと思います。
また、交通事故における刑事処分(起訴・不起訴、起訴されて有罪判決が下される場合の量刑)は、不注意の内容(わき見、赤信号看過など)及び相手方の怪我の程度のほか、示談の有無なども考慮して決められます。
任意保険に加入している場合、通常、相手方との交渉は保険会社が行いますが、保険会社任せにしてしまった結果、相手方やご遺族の感情を逆なでしてしまい、示談交渉がうまくいかなくなったといったケースも散見されます。
保険会社としてはあくまで民事上の賠償責任等の観点から示談交渉等を行うものであり、刑事事件の結果にまでは関知する立場にないため、処罰感情など刑事事件への影響まで強く意識しないのはある意味当然かもしれません。
刑事事件で弁護士費用特約を使えば、少ない費用負担で、交通事故に詳しい弁護士に依頼して、刑事事件への影響を前提としたサポートを受けたり、示談交渉や刑事裁判の対応等を任せたりすることができます。
ご自身の負担なく、あるいは大部分を保険会社の負担で専門的な弁護活動を受けられる可能性があるわけですから、対象となる場合には是非とも弁護士費用特約を利用して刑事事件に精通した弁護士に依頼すべきでしょう。
逮捕等されたという場合には早期の釈放、起訴された場合には執行猶予の獲得など、最善の結果を獲得するためのサポートを受けられます。
※逮捕後の身柄の釈放等については釈放、保釈について元検事の弁護士が解説の記事もご参照ください。
※執行猶予の獲得については執行猶予を獲得するには?元検事の弁護士が執行猶予となるための弁護活動や条件について解説の記事もご参照ください。
刑事事件における弁護士費用とは?
刑事事件における弁護士費用としては以下のようなものがあります。
各弁護士事務所によって異なりますが、数十万円から数百万円の費用が発生します。
- 相談料(数千円~数万円)
- 着手金(弁護士に委任する際の費用)
- 報酬金(不起訴や執行猶予などの結果に応じて発生するもの)
- 日当(事務所外に出張する場合(示談交渉や裁判への出廷等)の費用)
- その他(書類コピー代、郵便切手代、交通費、通信費など)
刑事事件における弁護士費用を補償してくれる保険
補償条件等
現在、損害保険ジャパン株式会社(損保ジャパン)や東京海上日動火災保険株式会社等が、刑事事件の対応等に関する弁護士費用についても補償対象とする損害保険を販売しているようです。
記名被保険者のほか、配偶者・同居の親族・別居している未婚の子供などが運転していた場合でも補償を受けられるようですが、補償対象となるのは、逮捕された場合、被害者が死亡した場合又は公判請求(起訴)等された場合のみであり、補償額についても1事故1被保険者につき150万円までといった補償額の上限も定められています。
また、無免許運転、酒気帯び運転、故意又は重大な過失による事故などの場合にも、補償の対象外であるとされています。
今の保険は対象?今すぐできる確認方法
刑事事件の弁護士費用についても補償されるのか(そうした弁護士費用特約がついているか)、特約がついていたとしても補償される条件があるのかといった点は、各保険(契約)ごとに異なります。
ご自身が加入する保険の約款等を確認するか、あるいは、代理店や保険会社に直接問い合わせるのがよいでしょう。
現在の条件では弁護士費用特約が付されていない、あるいは刑事事件は対象となっておらず不安だという場合には、特約の追加や保険会社の変更等も選択肢になってくるかもしれません。
弁護士は自分で選べる(保険会社が指定するわけではない)
弁護士費用特約を使う場合でも、ご自身で弁護士を選べるというのが一般的です(通常、保険会社が指定する弁護士に依頼しなければならないということはありません)。
ご利用の流れとしては、保険会社に弁護士費用特約を利用したい旨をご連絡いただいた後、弁護士(事務所)を選んでいただき、ご依頼していただくことになります。
ご依頼後の費用については、(上限額までは)保険会社から直接弁護士事務所に支払われます。
交通事故加害者の刑事事件について、元検事の弁護士にお気軽にご相談ください。
刑事事件では、まずは事案に応じた適切な対応を速やかにとるよう努めることが大切です。
弊所には、刑事事件・裁判の知識・経験が豊富な元検事の弁護士が8名在籍しております。ご依頼者様が安心して刑事事件に対応できるようサポートをさせていただいております。
弁護士費用特約を利用されるご依頼についても承っておりますので、お気軽にご相談ください。
また、弁護士費用特約を利用されない(補償対象外である)場合も、もちろんご依頼を承ります。
交通事故で示談交渉が難航している、裁判に向けて不安があるなど、お困りの方はお気軽にご相談ください。
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