オンラインカジノはなぜ違法?罰則と不起訴になる場合を元検事の弁護士が解説

現代社会の刑事事件
[投稿日]2022.05.18
[更新日]
弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

オンラインカジノとは

インターネット上には、実際にお金をかけてカジノのゲームをすることができるウェブサイトが存在します。

これをオンラインカジノネットカジノなどと呼びます。

カジノは、ポーカーなどのトランプゲームやスロットなどでお金をかけて遊び、勝てばお金が増えるし、負ければお金を失う、という賭け事をする場所です。

カジノで行われているのは賭博行為(※)であり、日本では賭博行為が禁止されているため、オンラインカジノを 利用した場合に罪に問われないかが問題になります。

この記事では、元検事(ヤメ検)の弁護士が、オンラインカジノが違法である理由や罰則、不起訴の獲得や逮捕等の回避のための対応策等について解説します。

※ 賭博行為とは、偶然の事情に関して財物(お金など)をかけ、勝敗を争うことをいいます。

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オンラインカジノはなぜ違法なのか?

日本のオンラインカジノを利用して問われる罪名

日本では賭博行為が禁止されていて、お金をかけるオンラインカジノを合法に運営することはできません。

このような違法なオンラインカジノにお客さん(プレーヤー)として参加することも違法です。

具体的には、以下のような犯罪に該当し、処罰される可能性があります。

・ネットカジノの主催者側賭博開帳図利罪(刑法186条2項、3月以上5年以下の懲役

お客さん単純賭博罪(刑法185条、50万円以下の罰金または科料

お客さんが 常習的に賭博を行っていた場合、常習賭博罪(刑法186条1項、3年以下の懲役

海外のオンラインカジノを利用して問われる罪名

それでは、日本のオンラインカジノではなく、海外のオンラインカジノを利用した場合にはどうなるのでしょうか。

海外のサイトでも、日本人向けに日本語サイトがあったりするオンラインカジノがあるようです。
刑法は、賭博開帳図利罪を、日本国内で行われた場合にのみ罰せられる犯罪としています。
そのため、これらのサイトの運営が海外で行われているのであれば、サイト運営者には賭博開帳図利罪が成立しません

ですが、このことから直ちにお客さん(プレーヤー)に単純賭博罪・常習賭博罪が成立しないということにはなりません。

単純賭博罪・常習賭博罪は「賭博をした者」を処罰すると規定されているだけです。
お客さん(プレーヤー)として海外のオンラインカジノを利用することは「賭博をした」にあたるため、単純賭博罪・常習賭博罪が成立し得ます。

なぜかというと、オンラインカジノのサイトや運営主体は海外であったとしても、日本国内からそのサイトにアクセスしているのであれば、「日本国内で賭博をした」ものと評価されてしまう場合があるからです。
オンラインカジノのサイトや広告、またオンラインカジノについて解説しているかのようなサイト等で、「海外のサイトなので安心」「著名な人物も使用したり広告に出ているから安心」「違法ではない」などとされていることもありますが、これは誤りであり、日本国内から利用すれば犯罪となりうることに注意が必要です。

警察庁も、下記のようなサイトでオンラインカジノの日本国内からの利用が犯罪である旨注意喚起しています。

https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/onlinecasino/onlinecasino.html

オンラインカジノで罪に問われた場合の流れ

事件の発覚

オンラインカジノはパソコンやスマホで簡単にアクセスでき、利用しているだけでは中々警察に発覚することはないように思われるかもしれません。
ですが、オンラインカジノはネット等で大々的に広告を出すなどしており、捜査機関もそのことは把握しています。
また、オンラインカジノを利用する際には、決済代行業者を通じるなどして送金するなどもしていると思われます。
警察は、ネットのアクセスや金融機関の資金の動き等について捜査することも可能ですし、特に近年はタレントやスポーツ選手等も検挙されるなど、オンラインカジノが社会問題化し、警察も捜査に力を入れているものと考えられますし、いつオンラインカジノの利用が発覚し、刑事事件化してもおかしくはありません。

逮捕・勾留/在宅事件として捜査

オンラインカジノの利用は、事実関係次第では常習賭博罪で3年の懲役ともなりうる重大な犯罪であり、逮捕・勾留される可能性も否定できません。
逮捕・勾留されると、延長等もされれば20日以上、再逮捕や起訴後の勾留も含めるとさらに長期間の身柄拘束もありえます。
逮捕・勾留中は自由には家族等とも会えませんし、長期間社会から隔離されることとなり、学校や職場、家族等にも知られてしまう可能性が高くなります。
ただ、全ての刑事事件が逮捕・勾留となるわけではなく、いわゆる在宅事件として捜査が進められる場合もあります。
その場合も、都度警察等から取調べのために呼出を受けるなどはしますし、場合によってはいわゆる家宅捜索などを受ける可能性もあります。
※刑事事件の流れ一般については下記の記事や動画もご参照ください。
https://keiji-kaiketsu.com/flow/

起訴・不起訴等の判断

オンラインカジノの利用等の場合、基本的にはまず警察が捜査をしますが、一定の捜査を終えると事件は検察庁に送致されます。
そして検察官が事件の証拠や取調べ等を踏まえ、起訴するのか不起訴にするのか起訴するとして公判請求するのか略式手続で済ませるのかなどを判断します。
不起訴となる場合としては、犯罪に該当する事実を認めるに足りる証拠がないという嫌疑不十分のほか、犯罪は認められるものの、処罰までは不要といった判断による起訴猶予処分もありえます。
※ 不起訴処分については下記の記事もご参照ください。
https://keiji-kaiketsu.com/keiji-column/7198/

また、起訴される場合にも、正式な裁判を受けることとなる公判請求と、裁判官が書面を確認して罰金額が決まる略式手続があります。
略式手続であれば裁判所に行く必要はありませんし、刑の内容も罰金に限定されるところ、公判請求されてしまう場合と比べ負担は大きく違います。
※略式手続については下記の記事もご参照ください。
https://keiji-kaiketsu.com/keiji-column/7129/

裁判

公判請求された場合、裁判所の公開の法廷で裁判を受けることになります。
検察官が犯罪を証明するための証拠を請求し、他方で被告人・弁護人側は無罪との主張を支える、あるいは酌量の余地があることを示す証拠を提出するなどするほか、被告人も法廷で話をすることになります。
証拠や裁判での話も踏まえ、最終的に裁判官が有罪・無罪や量刑を決めて判決を言い渡します。
※裁判や執行猶予については下記の記事もご参照ください。
https://keiji-kaiketsu.com/keiji-column/3503/

オンラインカジノの事例

報道されているだけでも、海外のオンラインカジノを利用していたお客さん(プレーヤー)が摘発されたり、略式罰金になったが見当たります。

著名な人物に関するものだけでも、読売ジャイアンツのプロ野球選手やM1グランプリ優勝のお笑い芸人が捜査機関の取調べを受けたり検察庁へ送致されるなどしているほか、東京オリンピックのメダリストが罰金刑となったといった報道もあります。

また、遺憾なことですが、警察官が海外のオンラインカジノを利用して賭博したとして検察へ送致されたといった事件も発生しています。

警察庁での発表でも、オンラインでの賭博事犯の検挙人数は年々増加しており、オンラインカジノが社会問題化するとともに、捜査機関もその捜査に注力していることがうかがわれます。

オンラインカジノで自首すべきか

すでにオンラインカジノを利用してしまったという場合(もちろん海外のサイトだけでなく、日本国内のオンラインカジノやいわゆる裏カジノを利用した場合も同様です)、どうすれば良いのでしょうか。

報道によれば、オンラインカジノの利用者は日本国内でも約337万人に及ぶとも言われており、すぐには自分自身が捜査の対象になるとは考えにくいかもしれません。

しかし、現実に捜査が行われ、発覚して検挙される、ましてや実名で報道されるという事案も毎日のようにあり、決してなにもせずにいてよいというわけではありません。

既に利用してしまった以上、賭博という犯罪を犯してしまった過去を変えられるわけではありません。しかし、今後捜査対象となった場合に逮捕や勾留、いわゆる家宅捜索などを避けるべく、あるいは不起訴処分を獲得したり、正式な裁判を回避すべくできることはあり、その最も重要なものが自首です。

自首とは、刑法42条第1項に規定されており、捜査機関が事件の存在を知らなかったり誰が犯人なのか分かっていなかったりする段階で、犯人自らが、自分の犯した罪を警察に申し出ることです。

その効果としては、以下のようなものがあります。

  • 刑の減軽
    刑法上の自首に当たる場合、刑を減軽することができると法律上明記されています。実際の減軽の有無や程度は裁判官の判断にはなりますが、どのような刑罰となるかという観点から、自首は有利に働きます。
  • 起訴・不起訴の判断において有利な情状に
    自首が有利な事情となるのは、裁判となった段階だけではありません。検察官は、起訴するか不起訴とするか、また起訴するとして略式手続とするか正式な裁判とするかの判断においても、様々な事情(情状)を考慮します。その中でも自首は被疑者にとって有利な事情として考慮されます。
  • 逮捕・勾留や家宅捜査の可能性を低減
    逮捕・勾留やいわゆる家宅捜索は、警察が自由にできるものではなく、原則、裁判所の発布する令状が必要です。また、逮捕状が発布される要件としては、逃亡のおそれや罪証隠滅(証拠隠滅)のおそれがありますし、捜索差押え(いわゆる家宅捜索)についても必要性等がなくてはなりません。しかし、事前に自首して、かつ関係する証拠等も提出するなどしていれば、逃亡や証拠隠滅のおそれは認めがたく、また家宅捜索をするまでの必要性も認められにくくなり、これらの強制的な捜査を受ける可能性を低減することができます。

※ 自首については下記の記事や動画もご参照ください。
  https://keiji-kaiketsu.com/soudan/64/

とはいえ、自首するのには勇気も必要ですし、そもそもどこへ行ってどうすればいいのかも分からないかと思います。
また、自分が本当に自首すべきなのか、メリットやデメリットを踏まえて検討されたいという方もいるかもしれません。
そのような方のために、上原総合法律事務所では、自首サポートやご相談も行っています。

まずはご相談いただければ、相談者様の行為が犯罪に該当するか否かや今後ありうる可能性、自首すべきかやそのメリットデメリット等についてアドバイスいたします。

また、自首サポートのご依頼をいただければ、警察に提出する証拠資料の整理や報告書の作成、経緯等を記載した上申書の作成等を行った上、警察署まで同行し、自首をサポートいたします(遠方の場合、オンライン等でのサポートも可能です。)。

自首サポートについては、下記で詳しくご説明しております。
https://keiji-kaiketsu.com/keiji-column/1315/

お気軽にご相談ください

気軽にカジノを利用していたけれども犯罪だとわかって不安になっている、という方は少なくないかと思います。
不安なのでどうすれば良いかを弁護士に相談したいという方は、上原総合法律事務所にご相談ください。
上原総合法律事務所では、元検事で刑事事件を熟知している弁護士が迅速にご相談にのれる体制を整えています。
一人で悩むのではなく, 専門家に相談し,ベストの対応をすることをお勧めします。
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