強盗致傷罪とは?執行猶予の可能性と対策について元検事の弁護士が解説

強盗
[投稿日]
弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

強盗致傷」と聞くと、非常に重大な犯罪であるという印象を抱く方がほとんどだと思います。

もし強盗致傷で逮捕されたなどとなると「このまま刑務所に行くことになるのだろう」と、未来を悲観してあきらめてしまいたくなる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、強盗致傷と言ってもその重大さは様々であり、法律を正しく理解し、正しい対処を取ることで、結果は大きく変えられます。

本記事では、強盗致傷罪の特徴や執行猶予となる可能性について、元検事(ヤメ検)の弁護士が、刑事弁護の視点から詳しく説明していきます。

第1 強盗致傷罪の基本理解

1 強盗致傷罪とは何か

強盗致傷については、刑法240条前段に規定されています。条文は以下のとおりです。

(強盗致死傷)

第240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の拘禁刑に処し、死亡させたときは死刑又は無期拘禁刑に処する。

簡単に説明しますと、強盗犯(事後強盗等を含みます。)が、強盗の機会において、相手方を負傷させたときには、強盗よりも更に重く処罰するという規定です。

強盗の機会においてしばしば被害者の殺傷という残虐な行為を伴うことが少なくないことに着目し、これらの行為を重く処罰しようとしたものです。

相手を殴って財布を奪った」という典型的なケースはもちろん、ひったくりの際に相手を転倒させて怪我をさせたり、万引きなどの窃盗が発覚して逃走する際に店員などと揉み合いになって怪我を負わせた場合でも、強盗致傷罪として扱われる可能性は十分にあります

ケガをさせようと意図していた場合はもちろんですが、脅すつもりで示した刃物が被害者に当ってしまった場合など、ケガをさせるつもりがなくとも、強盗の機会になされた行為によって障害が生じた場合には強盗致傷が成立しえます

強盗致傷における「負傷」は、重篤なものには限られず、軽い擦過傷等も含まれますので、強盗行為が行われた場合や窃盗が発覚して無理に逃走しようとした場合などでは、強盗致傷罪が成立するケースは多くあるのです。

強盗致傷罪は重大犯罪ですので、法定刑は重く、無期又は6年以上の拘禁刑となっております。

後に詳述しますが、強盗致傷で裁判になった場合、執行猶予となる(実際に刑務所に収監されずに済む)のは拘禁3年以下となった場合であり、強盗致傷の場合、刑の減軽がなされない限り、実刑となってしまいます。 

また、強盗致傷罪として起訴された場合には、裁判員裁判により審理されることとなります。

強盗については、以下の記事でも説明しておりますので参考にしていただければと思います。

窃盗と強盗の違いとは?元検事の弁護士が関連する犯罪や刑罰の違い等について解説|上原総合法律事務所

強盗について元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所

2 負傷の結果と強盗の機会

強盗の手段である暴行脅迫によって負傷の結果が発生した場合には、もちろん強盗致傷罪が成立します(財布を奪うために相手を殴ったところ、それにより相手が負傷した場合など)。

そのほか、負傷の結果が「強盗の機会」に生じたと認められる場合には、広く強盗致傷罪が成立し得ます。

判例上

被害者に短刀を突き付けて脅迫中にたまたま被害者が短刀を握ったため傷害を負った場合(最判昭24.3.24)

路上で被害者に暴行・脅迫を加えて現金を強取し、なお逃げる被害者を追い掛けて被害者に約70メートル先の民家にガラス戸を割って飛び込ませ、ガラスの破片で負傷させた場合(最判昭32.10.18)

について強盗致傷罪の成立を認めています。

つまり、負傷の結果が「強盗の機会」に生じたものであれば、犯人の暴行から直接負傷結果が生じた場合でなくとも、強盗致傷罪は成立し得るということです。

3 窃盗が強盗や強盗致傷に発展する場合も

典型的な強盗は、金品などを奪う目的で暴行を加えたり、脅したりといった類型ですが、刑法238条は

「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。」

として、事後強盗の罪を定めています。

例えば、空き巣が犯行の最中、帰宅した住人に見つかってしまい、逃げるために刃物で脅迫した場合や、万引き犯が捕まり、逃げるために店員等に暴行を加えた場合などにはこの事後強盗が成立する可能性があり、強盗と同じ法定刑となってしまいます

さらに、その際にケガをさせてしまえば、強盗致傷という極めて重い犯罪にまで発展してしまう可能性もあるのです。

元検事弁護士に無料相談(刑事事件の相談予約窓口)元検事弁護士に無料相談(刑事事件の相談予約窓口)

\今すぐ電話する/

03-6276-5513

03-6276-5513

[受付時間] 9:00~21:00

[電話受付時間]9:00~21:00

※無料相談は警察が介入した事件の加害者側ご本人、逮捕勾留されている方のご家族・婚約者・内縁関係の方が対象となります。
その他のご相談は原則有料相談となりますので、ご了承ください。
※刑事事件の無料相談は一部対象を限定しておりますので、予めご了承ください。詳細は弁護士費用ページをご覧ください。

第2 強盗致傷罪における執行猶予の可能性

1 強盗致傷罪と執行猶予

強盗致傷罪の法定刑は、無期又は6年以上の拘禁刑です。

刑法25条は

「3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる」

と規定しており、執行猶予付きの判決を受けるためには、判決内容が「3年以下の拘禁刑」でなければなりませんので、強盗致傷罪で有罪となれば、原則として執行猶予は付かず、実刑となって刑務所に服役することになります。

しかし、強盗致傷罪において有罪となったとしても執行猶予が付される場合があります。

それは、刑が減軽された場合です。

典型的な減軽については、刑法42条と刑法66条に規定されており、

・刑法42条では

「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」

・刑法66条では

「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を軽減することができる」

とされています。

刑が減軽されると、法定刑の短期の2分の1が、科すことができる刑の下限とされます。

強盗致傷の法定刑の短期は6年ですから、減軽されることにより下限が3年となり、この下限の判決であれば、執行猶予が付される可能性が生まれることになります。

※執行猶予についてはこちら(執行猶予を獲得するには?元検事の弁護士が執行猶予となるための弁護活動や条件について解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。

2 実際の量刑傾向

法務省のホームページにおいて公表されている、「令和6年版犯罪白書」における「裁判員裁判対象事件 第一審における判決人員(罪名別、裁判内容別)」によれば、令和5年に強盗致傷で第一審において判決を受けた総人員は、141名(うち無罪1名)で、そのうち、執行猶予が付されたのは、41名でした。

つまり、強盗致傷罪で有罪判決を受けた人のうち、30パーセント弱が執行猶予を付されたこととなります。

3 執行猶予が付されるケースとは

量刑判断においては、犯行態様、犯行による結果、動機や犯行に至る経緯、計画性の有無、被害者の落ち度、犯罪の社会的影響、被害者側の事情、犯罪後の態度、前科等の多くの事情が総合的に考慮されることとなりますので、どのようなケースにつき、執行猶予が付されるのかを明確に線引きすることはできません。

この点、刑事事件に精通した弁護士であれば、具体的な各事情を考慮することで、そのケースが執行猶予が付され得るケースなのかを判断することができるでしょう。

第3 強盗致傷罪における弁護活動の役割

強盗致傷罪の法定刑は、無期又は6年以上の拘禁刑と非常に重く定められており、有罪となれば実刑となる可能性が高い犯罪と言えます。

そのため、初期段階からの弁護活動が非常に重要になってきます。

強盗致傷罪において想定される弁護活動は、多岐にわたります。

強盗致傷罪の成立を否認する場合には、当然、証拠関係等を正確に把握、分析した上で、裁判官に理解してもらえるような的確な弁護活動を行っていく必要があります。

また、自身の犯罪行為を認める場合であっても、執行猶予獲得のためには弁護士の適切なサポートが不可欠であり、中でも最も重要な弁護活動と言えるのが、被害者との示談交渉でしょう。

示談交渉は、相手方が警戒して被疑者本人と直接連絡をとることは拒否されるのが通常ですし、そもそも被疑者本人が相手方の連絡先を知らなければ進めることは不可能なことなどから、被疑者本人で行うことは非常に困難であり、示談交渉自体が新たなトラブルの種にもなりかねません

しかし、弁護士であれば、相手方が警戒を解いて連絡をとってくれる可能性が高まりますし、弁護士から捜査機関に打診して被害者に連絡をしてもらい、相手方の承諾を得られれば、弁護士限りでその連絡先を開示してくれますので、安心してください。

示談する方法について、詳しくはこちら(刑事事件で示談する方法を元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。

そのほか、捜査機関に事情を説明するために、弁護士から意見書を提出すべきケースもあるでしょうし、更生可能性を示すため、弁護士を介して家族や関係機関と連携しなければならないケースもあるでしょう。

同じ強盗致傷であっても、意図的にケガをさせてしまったのか否かや、強盗(あるいは事後強盗に先行する窃盗)に及ぶに至る経緯等に斟酌すべき事情があるかなどによっても評価は変わってきますし、社会内で更生し、再犯を繰り返さないための環境があるのか、家族の協力が得られるのかなどの事情も重要になってきます

また、これらの事情について、適切に捜査機関や裁判所にアピールすることも必要です。

強盗致傷罪で適正な処分を受けるためには、どのような事情が検察や裁判官に考慮されるのか、どのような伝え方がベストなのかなども熟知した弁護士による適切な弁護活動を受けることが必要不可欠と言えます。

第4 まとめ

上原総合法律事務所は、元検事8名を中心とする弁護士集団で、迅速にご相談に乗れる体制を整えています。

元検事の弁護士として、強盗致傷含む多様な刑事事件について熟知しているほか、独自のノウハウを有しており、強盗致傷罪で検挙されたとき又は検挙されそうなとき、さらには起訴されてしまった場合も、不起訴や執行猶予に向けた具体的な対応につきアドバイスをすることが可能です。

刑事事件に関するお悩みがある方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

経験豊富な元検事の弁護士が、迅速かつ的確に対応いたします。

弁護士費用については、詳しくはこちら(弁護士費用|上原総合法律事務所)をご覧ください。

■LINEでのお問い合わせはこちら
■メールでのお問い合わせはこちら
※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。

元検事弁護士に無料相談(刑事事件の相談予約窓口)元検事弁護士に無料相談(刑事事件の相談予約窓口)

\今すぐ電話する/

03-6276-5513

03-6276-5513

[受付時間] 9:00~21:00

[電話受付時間]9:00~21:00

各事務所へのアクセス

※無料相談は警察が介入した事件の加害者側ご本人、逮捕勾留されている方のご家族・婚約者・内縁関係の方が対象となります。
その他のご相談は原則有料相談となりますので、ご了承ください。
※刑事事件の無料相談は一部対象を限定しておりますので、予めご了承ください。詳細は弁護士費用ページをご覧ください。