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「クライアントから提供された資料に基づいて給付金を申請したけれども、その資料の内容が虚偽だったことを後から知った。」
「給付金の申請を手伝ったけれども、受給要件を満たさないことに後から気がついた。」
といった悩みを抱えている方がいらっしゃると思います。
実は、このような悩みを抱えている方はたくさんいらっしゃいます。専門家といえども間違いを犯すことがあり、犯してしまった間違いにどう対処すればいいか悩んでいらっしゃいます。
ところが、信用問題に関わるため、なかなか身近な人には相談できません。
特に、コロナ関係の助成金については、制度がどんどん変わっていったり、社会が混乱している中で申請をしたため、誤りがたくさんあります。
上原総合法律事務所には、このような専門家の方から、助成金の不正受給や過誤受給について、たくさんのご相談をいただいております。
持続化給付金の不正受給に関わってしまったという税理士の方からのご相談を受けております。
持続化給付金は、前年比の収入が大きく下がった方に対して給付されましたが、収入の裏付け資料の提出を必要としなかったため、前年及び当年の収入について虚偽の内容を記載した申請が多発しました。
持続化給付金申請を手伝っていた税理士の中には、クライアントの提出した資料や口頭での発言を信じ、不正な内容虚偽の申請を手伝ってしまった方がいます。
これは、税理士という専門家がクライアントに騙されてしまったケースですが、クライアントには不正受給の意思があります。
そのため、当局の視点から見ると、税理士の方にも不正受給をしようとする意思があったのかも知れないという疑いが生じます。
また、農業等をしている方は、仕事の性質上、農産物の収穫がない月には収入がありません。このような方は、持続日給付金の申請要件の家、収入減少の要件を満たすことがあります。
ですが、「コロナウイルスの蔓延による影響による収入減少」、という要件を満たしません。
税理士の中には、収入減少原因の要件が満たされていないことを見過ごし、農業従事者に持続化給付金を申請するように勧めてしまった方がいます。
これは、数字に着目するあまり他の要件を見落としてしまったという過失の事例です。
この場合、客観的にはコロナウイルスの蔓延による影響による収入減少ではない事は明らかですので、当局の視点から見ると、税理士の方にも不正受給をしようとする意思があったのかも知れないという疑いが生じます。
不正受給をしようとする意思があったということになると、税理士の方にも詐欺罪が成立することとなってしまいます。
社会保険労務士の方は、雇用調整助成金の不正受給に関わってしまった可能性がある、そしてご相談にいらっしゃることが多いです。
顧問先の会社の方が社会保険労務士の方に虚偽の勤務状況等を伝え、社会保険労務士の方がその裏付けを調査したりせずに雇用調整助成金を申請しその結果として不正事件に加担してしまったというものです。
これは、社会保険労務士という専門家がクライアントに騙されてしまったケースです。
このような場合、社会保険労務士の方には不正受給しようと言う意思はありませんでしたが、クライアントには不正受給をしようとする意思があります。
そのため、当局の視点から見ると、社会保険労務士の方にも不正受給をしようとする意思があったのかも知れないという疑いが生じます。
不正受給をしようとする意思があったということになると、社会保険労務士の方にも詐欺罪が成立することとなってしまいます。
また、そこまでいかなくとも労働局が社会保険労務士の方についてまで不正受給の故意があったと考えてしまうと、社会保険労務士の方が他のクライアントについても給付金の申請業務をできなくなるという不利益を受けます。
不正受給に関わってしまったと分かった場合、どのような対処をすれば良いのでしょうか。
順にご説明していきます。
不正受給に関わってしまった可能性があると考えた場合、
「本当に不正なのだろうか」
「放っておけばバレずに何も起きないかもしれない」
などと考え、対応をせずに放置してしまうことがあります。
しかし、放置せずに調査・対応することが大切です。
国に不正受給が発覚する前に対応できたかどうかで、結果が大きく変わる可能性があります。
そして、給付金の不正受給については、大きな社会問題となっており、国はどんどん調査を進めているため、労働局の担当者は、雇用調整助成金の不正の有無について「全件を調査する」と言っています。
そのため、不正の可能性を放置しておくことは危険です。
また、証拠は時間が経つにつれてどんどん失われていきますし、不正受給をしたクライアントが証拠隠滅してしまい、さらに情状が悪化するかもしれません。
調査・対応した結果として不正ではなかったとなれば何も問題は生じず、むしろ、クライアントは、おかしいと思ったことをしっかり調べる専門家だと理解して信頼してくれるはずです。
不正受給にかかってしまったと疑われる場合、まず、「調査・対応する」と速やかに決定することが大切です。
不正の可能性に気がついて対応すると決めたら、まずは、証拠を収集し、事案を調査します。
事案の調査は、有利な事情も不利な事情も全て調査します。
有利な事情を調査するのは、その事情を当局に対して適切にアピールするためです。
不利な事情も調査するのは、不利な事情を把握していなければなにが最悪の事態なのかを想定することができないためです。
なお、どんな悪質な事案でも、必ず、有利な事情が存在します。
そのような事情を示すための証拠を収集し、保存することで、後の当局対応において利用できる状態を作ることも大切な仕事です。
証拠収集と事案調査を終えたら、報告書や上申書という調査内容を記載した書面を作成し、当局対応に移ります。
具体的には、当局に連絡し、アポを取った上で出向き、事案の概要やなぜこのようなことになったのかを説明します。
特に、不正受給に関わってしまったことが過失による場合には、そのことが理解してもらえるように、詳細な資料を用意した上で丁寧に説明をします。
なお、事案によっては、事案調査中に当局に一報だけ入れ、誠実に対応することを約束した上で調査の時間をもらうこともあります。
不適切な申請があった場合、
「クライアントは不正とわかってやっていたけれども、専門家(社会保険労務士や税理士など)の方は知らなかった」
「クライアントも専門家も不正とわかっていた」
「クライアントも専門家も不正とわかっていなかった」など、
事案によってさまざまな事情があります。
事情によっては、クライアントと専門家の利益相反が生じることもあります。
このような場合、守秘義務違反等が発生するため、慎重に行動する必要があります。
また、利益相反が生じる場合でも、不正の内容・実態については情報共有しておくことが有益なことがあります。
そのため、不正に関わってしまった専門家は、クライアントと適切な関係を維持する必要があります。
どのような関係が「適切か」やどのように事案調査・労働局対応すべきかの詳細については、事案によって異なりますので、個別に弁護士にご相談ください。
不正受給事案の対応をしている上原総合法律事務所の弁護士は元検事の集団です。
我々は、検事として犯罪という不正を取り扱っていました。
ですので、不正を調査する側の気持ちがよくわかります。
不正を調査する側の気持ちを考えると、不正をした側は、真実を誠実に報告するとともに、自分に有利な事情を正確に伝える必要があります。
と言うのは、不正を調査する側としては、不正をした人に不利な点は非常によく気がつくことができます。ですので、調査される側が不正を隠そうとすれば、隠そうとしていることにすぐに気がつきます。そのため、自分に不利なことを隠したりごまかしたりしようとすると、印象がどんどん悪くなります。真実を誠実に報告することが重要です。
他方、調査をする側は調査される側に有利な事情については、気が付きにくいです。ですので、調査される側は、自分に有利な事情をしっかりと伝えていく必要があります。そして、有利な事情はご自身で言うのは簡単ではありませんので、弁護士が伝えていくことになります。
不正受給に関わってしまった専門家の方は、多くの方が過失であったり、深く考えなかったりして、不正受給に関わってしまっています。
専門家といえども、不正に対する調査をされる側と言う立場になるのははじめての方がほとんどで、適切なサポートがなければ適切な対応ができない可能性が高く、場合によっては故意の不正受給だったと認定されてしまう可能性すら存在します。
故意の不正受給をしたとして専門家としての信用を失ってしまっては仕事を継続していくことができなくなりかねません。
上原総合法律事務所は、そのような形で専門家が仕事をできなくなってしまうような状況になる事は、社会にとって大きな損失だと考えます。
そのため、上原総合法律事務所は、不正受給に関わってしまった専門家について、必要以上に不利益な処分を受けないように、しっかりとした弁護を提供する必要があると考えています。
不必要な不利益を被ることがないよう、最善の活動をすることをお約束します。
給付金の請求にかかってしまった可能性があるとしてご不安な専門家の方は、遠慮なくご相談ください。
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※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。
上原総合法律事務所にご相談いただく際の流れはこちらの記事をご参照ください。
弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
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