「窃盗」とは、他人の物を盗むことです。
「窃取」とは「盗む」こと、「財物」とは「もの」を意味します(※)。
「万引き」は、お客さんがお店で商品を盗むことを意味する言葉です。
お店からすると万引きをしに来た人はお客さんではありませんから、厳密には「お客さんのふりをした人」です。
万引きという言葉は法律にありません。
法律上でいえば、万引きは窃盗罪にあたります。
また、お店は万引きをする目的で店舗に入ることを認めていませんので、万引きをする目的でお店に入る行為自体は、窃盗とは別に建造物侵入罪になる可能性があります。
一口に窃盗罪と言っても、色々な種類があります。
万引きの他に、以下のようなものも窃盗にあたります。
・ 空き巣(家に侵入して物を盗む行為)
・ スリ・ひったくり
・ 自動車盗
窃盗罪を犯したからと言って必ずしも万引きをしたということにはなりません。
※厳密に言うと、「窃取」とは「財物の占有者の意思に反して、その占有を侵害し、自己または第三者の占有に移すこと」のことです。
ここにいう占有という用語は最高裁判所判例において「人が物を実力的に支配する関係」と説明されています。
「財物」については専門的には複雑な議論がありますが、「もの」と理解していただいて差し支えありません。また、電気については刑法第245条で(窃盗などの罪)「財物とみなす」と規定されています。電気を盗むことも窃盗罪になります。
「盗難」とは、物を盗まれる被害にあうことを意味する言葉です。盗難も刑法には記載がありません。
盗難は、被害にあったことを意味する被害者側の視点の言葉です。法律用語を使って言えば、盗難にあったというのは、窃盗の被害にあったということになります。
お店の視点からすると、盗難に遭うことは、お店の経営に大きな悪影響を与えます。
そのため、盗難に対し、お店はとても厳しい姿勢を見せます。
万引きで捕まったら、まずは刑事事件としての対応をする必要があります。
もし逮捕されて身柄拘束されている場合には、心身にとても負担がかかりますので、すぐに釈放に向けた活動をする必要があります。
ご家族が逮捕された方がどうすれば良いかについて、詳しくはこちらをご参照ください。
すでに釈放されている場合には、示談交渉をするなど、不起訴に向けた活動をする必要があります。
万引きをして捕まったら、警察の捜査を経て検察官に事件が送致され、検察官は、自らも捜査をし、起訴・不起訴の決定をします。
検察官が事件を起訴し、有罪判決が下されると、懲役刑または罰金刑で処罰され、前科がつくことになります。
場合によっては実刑となり刑務所に行かなくてはならなくなる可能性もあります。
そのため、刑事事件として適切な対応をし、なるべく不起訴や執行猶予などの軽い処分になるように活動するべきです。
処分を軽くするためには、以下のようなことを検察官伝えるなどする必要があります。
・被害弁償
・なぜ犯行に及んだのか有利な情状を提出
また、一見すると悪質な手口に見える事件でも、そのような方法で万引きをしたことに同情できる理由があることもあり、しっかりと捜査機関に理解できるように説明する必要があります。
不起訴とは何か、不起訴に向けてどのような活動があるのかについては、詳しくはこちらをご参照ください。
万引き事件の場合、不起訴になればそれで終わりと思ってはいけないことがあります。
ご家族からすると信じたくないことですが、万引きで捕まった方の多くは、何度も万引きを繰り返した後に捕まっています。
この特殊性から、万引きをして捕まった場合には、もう二度と万引きをしないための仕組み作り(再犯予防体制の構築)を徹底する必要があります。
万引きが癖になっている方が捕まった場合、「これから先の人生においてもう二度と万引きをしない」という目標を達成する必要があります。
この目標は、一見すると当たり前で簡単なものです。しかし、万引きを繰り返した末に捕まった人にとっては簡単ではありません。
捕まった直後は、みなさん「もう二度と万引きをしない」と思っています。
また、捕まっていない場合でも、万引きをした後に「もう次は万引きをしないようにしよう」と思っています。
多くの方は、捕まる前から、万引きをした後や家に帰った時などに色々なことを思い、後悔しています。
・ 次は捕まるかもしれない
・ 警察が後から家に来るかもしれない
・ こんなもの要らないのになど
そして、万引きをするたびに「もうやめよう」などと思っています。
それにもかかわらず万引きを繰り返したため、最後に捕まるのです。
このように、万引きを繰り返して捕まった方の中には、自分では万引きをやめられない方がいます。
そのような方は、窃盗癖(クレプトマニア)などと言われます。
こうなると、医師などの専門家の力を借りる必要があります。
医師などの専門家の力を借りる必要がある、ということを、ご本人が受け入れることが簡単ではありません。
ご本人は「もう二度とやらない」と思っているので、自分の意思だけでやれると思ってしまいがちです。
また、医師などの専門家の力を借りる必要があることをご本人が理解できても、ご家族などの周辺者が理解できるとは限りません。
ご家族の中には、「医師などの専門家の力を借りる必要がある」という事実を受け入れたくないという気持ちがあります。多くの方は、できれば、「普通である」と思いたいのです。
そのため、適切な治療を受けるためには、ご本人とご家族の理解・納得という大きなハードルを超える必要があります。
また、医師などの専門家の力を借りる際には継続的に通って治療していく必要がありますが、継続的に通うということも簡単ではありません。
家族などが、継続的に通うサポートをすることが必要です。
万引きをもう二度としないためには、個別具体的な事情に応じ、しっかりとした仕組みを作る必要があります。
窃盗癖(クレプトマニア)とその弁護について、詳しくはこちらをご参照ください。
万引きをして捕まったけれどもどうして良いかわからない、という方は沢山います。
そのような方は、お気軽に上原総合法律事務所にご相談ください。
上原総合法律事務所は元検事弁護士9名を中心とする弁護士集団で刑事事件について熟知しています。
また、その豊富な経験から、法律知識のみならず、ご相談者の求めていることを達成するために何がベストかをアドバイスします。
家族にも相談できず困っている方も少なくありません。弁護士に相談することで、少しでも楽になってもらえればと思っています。
必要があれば、ご本人やご家族に治療の必要性をご説明することも行っています。
万引きをして苦しんでいる方は、お気軽に上原総合法律事務所にご相談ください。
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※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。
弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
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