公開日:2024年11月20日
メンズエステが摘発される理由とは?経営者や客が逮捕される可能性、注意すべきポイント等を確認しましょう。
メンズエステとは、女性従業員(「セラピスト」と呼ばれます。)が男性客にリラクゼーション目的のマッサージやエステ等のサービスを提供する店のことをいいます。
店が設けた個室でサービスを提供する店舗型と、セラピストを男性客の自宅やホテルに派遣してサービスを提供する無店舗型があります。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」といいます。)により、店舗型・無店舗型を問わず、客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務(サービス)を提供する場合には、いわゆる風俗店(性風俗特殊営業)として公安委員会への届出をしなければなりません(その場合には、学校や図書館等の周囲200メートル以内において営んではならないなど、風営法等による規制を遵守しなければなりません)。
「客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務」とは、当該客の性的な感情に応えて接触するサービスのことであり、通常のマッサージ等はこれに該当しないとされています。
したがって、提供するマッサージ等の具体的な態様によるところではありますが、少なくともセラピストが男性客の性器に触るサービスを提供する場合には、公安委員会への届出が必要な性風俗特殊営業に該当します。
逆に言えば、届出をしていないメンズエステ店では、そのような性的サービスを提供してはならないということになります。
上記のとおり、性風俗特殊営業としての届出をしていないメンズエステ店が性的サービス(「客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務」)を提供していれば、風営法違反により摘発されます。
経営者が店の方針としてセラピストに性的サービスを提供させていた場合には当然経営者に風営法違反が成立し、逮捕される可能性がありますし、セラピストが勝手に性的サービスを提供していたとしても経営者がそれを黙認していたなどの場合にも、同様に経営者に風営法違反が成立し逮捕される可能性があります。
また、いずれの場合でも、セラピストにも風営法違反が成立し逮捕される可能性があります。
真に経営者の関知しないところでセラピストが勝手に性的サービスを提供していた場合には、経営者に風営法違反が成立することはありませんが、警察に経営者の方針によるものではないかと疑われて摘発される可能性は否定できず、注意が必要です。
セラピストへの指導を徹底すべきです。
店が性風俗特殊営業としての届出をしていたとしても、未成年(18歳未満)の女性をセラピストとして働かせて性的サービスを男性客に提供させるなどしていれば、経営者等が風営法違反や児童福祉法違反等により摘発されます。
客が、性風俗特殊営業としての届出をしていないメンズエステ店でセラピストから性的サービスを受けた場合であっても、店が届出をしていないことを知っていたかいなかったかに関わらず、風営法違反となることはありません。
風営法は飽くまで性風俗特殊営業等を営む者を規制する法律であり、客が共犯であるとは言い難いからです。
ただし、警察から店の摘発のための捜査協力を求められて事情聴取を受けるなどすることとなる可能性はあります。
他方、当然ながら、客が、性風俗特殊営業としての届出をしておらず性的サービスを提供できないメンズエステ店のセラピストに性的行為を強要したり、性風俗特殊営業としての届出をしてはいるものの店として予定していない性的行為をセラピストに強要したりした場合には、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪となり、逮捕される可能性があります。
店として、セラピストに性的行為を強要するなどした客がいた場合には、被害者であるセラピストの意向を十分に尊重し、セラピストが警察に被害を届け出るサポート(把握している当該客の情報を提供するなど)をすることになろうかと思います。
セラピストが警察に届け出るのではなく示談で済ませたいとの意向を有しているのであれば、セラピストに対して弁護士に依頼するよう勧めるのがよいです。
他方、客として、セラピストと性的行為を行った後、これをセラピストから聞くなどして察知した店から咎められ、高額な慰謝料を要求されたり、これを拒絶してセラピストに警察へ被害届を出されたりする場合があります。
セラピストが真に同意をして性的行為に応じていたのであれば、後になって「あのときの性的行為は同意していなかった」と主張されたとしても、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪が成立することはありません。
もっとも、警察がセラピストから不同意わいせつ罪や不同意性交等罪の被害申告を受けた場合、セラピストの話だけを聞いて捜査を開始せざるを得ません。
そのため、上記のようなあらぬ嫌疑を掛けられることになってしまった場合には、警察がまだセラピストの話しか聞くことができていない状態であることを念頭に置き、まずは、こちら側の言い分をしっかりと警察に話し、それに沿った証拠を提示するというのが、ベストな選択となることが多いです。
上原総合法律事務所は、元検事8名(令和6年11月20日現在)を中心とする弁護士集団で、迅速にご相談に乗れる体制を整えています。
風営法違反等を含む刑事事件について熟知しており、風俗店でのトラブルも多く取り扱っています。
経験豊富な元検事の弁護士が、迅速かつ的確に対応いたします。
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弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
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