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弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
ご家族が起訴され、勾留されている場合、「保釈はされるのか」「保釈申請はどのように行うのか」と不安に感じる方も多いでしょう。
刑事事件で逮捕・勾留され、起訴されてしまった場合でも、一定の要件を満たせば保釈が認められ、裁判が終わる前に身柄拘束から解放される可能性があります。
もっとも、保釈は誰でも認められるわけではありません。保釈請求のタイミングや事件の内容、保釈後の生活環境が整っているかなどが考慮されますし、保釈が許可された場合でも保釈保証金の準備が必要です。
本記事では、保釈請求の基本知識から手続の流れ、認められるための要件やポイント、保釈保証金の相場まで、元検事(ヤメ検)の弁護士が分かりやすく解説します。
※起訴前も含めた身柄の解放についてはこちら( 釈放、保釈について元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
目次
第1 保釈請求(保釈申請)の基本知識
1 保釈とは何か
保釈とは、勾留されている「被告人」について、一定の条件のもとで身柄拘束を解く制度です。
刑事事件では、逮捕後に勾留(起訴されるまでの「被疑者」としての勾留)され、そのまま起訴されると、裁判が終わるまで「被告人」としての勾留で身柄拘束が続くのが原則です。
また、裁判が終了するまでには数か月かかることも珍しくなく、否認事件や裁判員裁判などでは年単位で時間がかかることもあります。
※刑事事件の流れについてはこちら( 刑事事件の流れについて元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
そこで、逃亡や証拠隠滅のおそれが低い場合などには、保釈保証金を納付することなどを条件として、一時的に身柄を解放する制度が設けられています。
これが保釈であり、保釈が認められると、自宅等で生活しながら裁判に臨むことができます。
2 保釈の種類と特徴
保釈が認められる場合には、次の3つの類型があります。
(1)権利保釈
刑事訴訟法89条は以下のように定めています。
第八十九条 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える拘禁刑に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
同条頭書のとおり、各号の除外事由に該当しない限り、保釈が認められることとなります。
。
(2)裁量保釈
刑事訴訟法90条は以下のように定めています。
第九十条 裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。
同法89条の除外事由に該当し、権利保釈は認められない場合にも、種々の事情を考慮して裁判所が保釈を認める場合があります。
(3)義務的保釈
刑事訴訟法91条は以下のように定めています。
第九十一条 勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、裁判所は、第八十八条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。
「勾留による拘禁が不当に長くなったとき」は、勾留の取消又は保釈許可をしなければならないとされており、実務ではそれほど多くありませんが、長期間勾留が続いている場合などに検討されることがあります。
3 起訴前の釈放や仮釈放について
保釈の対象となるのは被告人のみであり、まだ起訴される前の段階における被疑者としての勾留や逮捕をされている間は保釈の対象とはなりません。
その段階で身柄の解放を目指す場合には、勾留請求がされないよう、あるいは勾留決定がされないように検察や裁判所に意見を述べる、勾留決定に対して準抗告を行う、勾留の延長についても同様に意見書の提出や準抗告を行うなどがあります。
※起訴前も含めた身柄の解放についてはこちら( 釈放、保釈について元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
また、被疑者として勾留されていても、その満期までに起訴されなければ釈放されることとなります。
ですので、身柄の解放と並行して不起訴を獲得するための弁護活動を受けることが重要です。
※不起訴(起訴猶予)の獲得についてはこちら(起訴猶予とは?元検事の弁護士が不起訴との違いや起訴猶予獲得のポイントを解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
※不起訴(嫌疑不十分)の獲得についてはこちら(嫌疑不十分とは?不起訴となるためのポイントや処分までの流れについて元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所 )の記事もご参照ください。
さらに言えば、起訴されるとしても、正式起訴(公判請求)でなく略式起訴(略式命令の請求)であれば、やはり勾留期間の満期に釈放されることとなります。この場合、前科はついてしまうこととなりますが、身柄の解放を重要視するのであれば、略式手続を目指した活動を行うべき場合もあります。
※略式手続についてはこちら( 略式起訴・略式命令でも前科?手続の流れ、罰金の相場等を元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
もし余罪があるという場合には、不起訴が見込まれても安心はできません。
今勾留されている事実については満期で釈放となっても、再逮捕のおそれもあります。
また、再逮捕され、余罪で被疑者としての勾留がなされている場合には、仮に被告人としての勾留については保釈されたとしても、それだけでは結局のところ身柄は解放されません。
※再逮捕についてはこちら( 再逮捕とは?罪が重くなる?何回まで可能?元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
なお、保釈としばしば混同されがちな制度として「仮釈放」があります。
仮釈放は、実刑となり現に刑務所に服役している受刑者について、その態度等を踏まえて認められるものであり、保釈とは全く別のものですのでご注意ください。
第2 保釈請求(保釈申請)の流れ
1 保釈請求とは
刑事訴訟法88条1項は次のように定めています。
第八十八条 勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。
しばしば「保釈申請」などと表現されることもありますが、法令上正しくは「保釈の請求」です。
法令上は被告人本人や一定の親族等も保釈の請求ができますが、保釈が許可されるべき理由について説得的に論じる必要があるため、弁護士から行うのが一般的です。
保釈は弁護人等からの請求があった場合に許可されるのが一般的ですが、法令上、裁判所が職権で(請求なしで)保釈を許可する場合も定められており、「職権保釈」と呼ばれます。
2 保釈請求の流れ
保釈請求の一般的な流れは次のとおりです。
- 起訴される(被告人として勾留される)
- 弁護人が保釈請求書を作成する
- 裁判所へ保釈請求を行う
- 裁判所が検察官の意見を求め、意見が提出される
- 裁判所が保釈の可否を判断する
- 保釈保証金を納付する
- 保釈される
保釈は請求すれば必ず認められるわけではなく、検察側の意見(保釈されるべきでないという意見であることが多いと思料されます。)を踏まえ、裁判所(裁判官)が判断をします。
2 保釈決定までの期間
捜査段階から起訴されることが見込まれる場合、事前に保釈請求の準備をしておき、早ければ起訴の当日に保釈請求を行う場合もあります。
ただ、早ければそれでよいというわけではなく、保釈が許可されるよう、生活環境を整える、身元引受書等を用意する、説得的な保釈請求書を作成するといった準備は必要です。
保釈請求から決定までの期間は比較的短く、数日程度で判断されることが多いです。
事件の内容や裁判所の状況にもよりますが、最短では保釈請求の当日、遅くとも翌々日くらいまでには判断がなされることが一般的です。
もっとも、否認事件や重大事件では、検察からの意見が提出されるまでに時間がかかったり、裁判所においても慎重な審査が行われるため、時間がかかることもあります。
第3 保釈の要件や保釈の条件等
1 保釈請求の内容等
保釈請求を行う場合、一般的には弁護人が保釈請求書を作成し、権利保釈が認められる(除外事由には該当しない)と主張しつつ、そうでなくとも裁量保釈が認められるべきと主張するケースが多いと考えられます。
他方、権利保釈の除外事由に該当してしまうことが明らかな場合(刑訴法89条1~4号に該当するような重大な罪で起訴されている場合など)は裁量保釈が認められるべきという主張をしていくことになります。
権利保釈についても裁量保釈についても、実務上、ほぼ全ての事案で問題になるのが「罪証隠滅」と「逃亡」のおそれです。
特に「罪証隠滅」については、権利保釈の除外事由としても、裁量保釈の考慮事情としても刑訴法に明記されており、その事件の証拠関係を踏まえ、罪証隠滅のおそれがないことをできるだけ具体的かつ説得的に主張する必要があります。
また、罪証隠滅や逃亡のおそれなどがないこと、反対に身体拘束の継続により重大な不利益があることを、被告人本人の上申書、家族等の身元引受書などの疎明資料で明らかにする場合もあります。
いずれにせよ、権利保釈の除外事由の有無や、裁量保釈の可否について考慮すべきとして挙げられている事情を踏まえ、以下のような事情について論じて保釈請求を行う必要があります。
- 隠滅の対象となる証拠がないこと
- 被告人に証拠隠滅の意思がないこと
- 逃亡の意思もないこと
- 家族等が監督を誓約していること
- 事件関係者と接触しない旨誓約すること
- 通院の必要など健康上の問題があること
- 休職等による収入減や失職のおそれなどがあること
- 家族の生活等に影響があること
- 裁判へ向けた準備のため保釈の必要があること
2 起訴内容や想定される刑罰との関係
保釈は、起訴された後、被告人として勾留されている場面の問題であり、どのような罪で起訴されたかによって保釈が許可される可能性は変わってきます。
感覚的にも理解いただけるかと思いますが、基本的には重い罪であるほど、保釈は認められ難くなります。
例えば殺人罪や強盗致傷罪、不同意性交等致傷であれば、法定刑として無期の拘禁刑があるため、刑事訴訟法89条の1号に該当し、権利保釈は認められません。
また、重大な犯罪であるほうがその罪による刑罰を免れたいという動機も強くなるであろうという前提の下、罪証隠滅や逃亡のおそれも大きいと判断されがちです。
有罪となった場合にどの程度重い刑罰となるか、という観点からは、同じ罪名でもより悪質な事案であったり、被告人に前科等がある場合のほうが保釈は許可されにくいという関係にあると言ってよいでしょう。
3 認否や共犯などの問題
起訴された犯罪の類型や有罪の場合に想定される刑罰のみならず、公訴事実(起訴された内容)を認めているか否か、共犯がいるか否かなどによっても保釈の許可されやすさは変わってきます。
公訴事実を否認していたり、あるいは重要な情状事実について争いがあるような場合には、罪証隠滅を図るおそれがあると判断されがちですし、証拠の一部について不同意としている(書証については、相手方がその書面を証拠とすることに同意するか不同意とするかで、証人尋問の要否など裁判の進行も変わってきます。)場合はなおさらです。
また、罪証隠滅の対象として、客観的なものよりも生身の人間のほうが影響を受けやすいと考えられるところ、被害者や目撃者も働きかけの対象として考慮されますし、口裏合わせという観点からは共犯者がいる場合も罪証隠滅のおそれが大きいと判断されがちです。
4 裁判の進行による変化
当初は罪証隠滅のおそれなどが大きいと判断されるなどし、保釈が認められなかった場合も、裁判が進行していくことで状況が変化し、罪証隠滅等のおそれの減少、ひいては保釈許可に繋がる可能性もあります。
罪証隠滅のおそれなどがある場合に保釈が認められないのは、証拠が隠滅されてしまうことによって、裁判での立証ができなくなる、真実を明らかにすることができなくなることを防止するためです。
また、既に裁判で証拠調べをされたり、争いがなくなった点に関する証拠についてはもはや被告人としても隠滅等する理由もなくなります。
このような観点から、裁判が進行していき、同意された証拠や証拠調べが済んだ証拠が増えたり、否認から認めに変わったり争点が絞られてきたりすることで、保釈が許可されやすくなることがあります。
5 身元引受人の必要性
法律上、身元引受人は保釈に必要不可欠ではありません。
しかし実務上は、身元引受人がいる方が保釈許可を得やすくなります。
一般的には
- 両親
- 配偶者
- その他の親族
- 職場の上司など
が身元引受人となることが多いです。
身元引受人であれば誰でも同じではなく、罪証隠滅や逃亡を防止するだけの実効的な監督等ができる立場の方が望ましいといえます。
その意味では同居で、かつ被告人と親しく、被告人が指導等に従うであろう人物が望ましいでしょう。
また、身元引受人は1人のみでなく、複数であっても問題ありません。
実効的な監督等が規定できる身元引受人を確保すること、その上で説得的な身元引受書を準備することなどが重要です。
※身元引受人についてはこちら(身元引受人とは?なれる人と役割、引き受ける際のデメリットについて元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
6 保釈保証金の設定と相場
保釈保証金とは、確実に被告人を裁判に出頭させるためなどの目的で裁判所へ納付させておくお金です。
定められた保釈保証金が納付されない限り、実際に身柄は解放されません。
万が一、被告人が裁判に出頭せず逃亡したり、罪証隠滅を行ったりした場合には、保釈が取り消されるとともに、保釈保証金の全部又は一部が没取(「ぼっしゅ」と言い、付加刑としての「没収」とは異なります。)
保釈保証金の金額は事件ごとに異なり、その案件、その被告人にとって没取されるリスクが逃亡等を防止するのに十分であろうという額が定められます。
刑事訴訟法93条
第九十三条 保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない。
② 保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。
一般的な事件であれば
150万円~300万円程度
が多いとされています。
もっとも
- 罪名
- 事案の重大性
- 被告人の前科前歴
- 被告人の職業や資産状況
- 逃亡のおそれの程度
などによって増減します。
有罪の場合に重い刑罰が想定される事案であるほど、保釈保証金が没取されるリスクを踏まえても逃亡等するおそれがあると考えられますし、同じ金額でも被告人の経済状況次第では十分な抑止力にならない場合もあり、事案によっては億単位の保釈保証金が定められることもあります。
保釈保証金は、裁判が終了し、条件違反等がなければ返還されます。
そのため、罰金とも異なりますし、通常は戻ってくるはずのお金です。
保釈保証金については被告人本人の資産や親族等が用意する場合のほか、保釈支援協会から立替を受けられる場合もあります。
※保釈保証金についてはこちら(保釈金は返ってくる?金額や没収される場合などについて元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
7 保釈条件
保釈が許可される場合、保釈中の住居(保釈制限住居といいます。)のほか、様々な条件が定められることがあります。
この条件に違反した場合、保釈が取り消されたり、保釈保証金が没取されることがあります。
具体的な条件は事案によって様々ですが
- 保釈制限住居の設定
- 特定の日数を超える旅行等の禁止
- 許可のない海外旅行の禁止
- 特定の人物との接触禁止
などがありえます。
必要があって保釈制限住居を離れる場合などは、予め裁判所から許可を得るなどの対応が必要です。
第4 保釈請求のメリットとデメリット
1 保釈のメリット
保釈には多くのメリットがあります。
まず、家族と生活できるようになります。
また
- 職場への復帰や説明
- 被害弁償や示談の原資準備
- 裁判へ向けた弁護士との打合せ等の準備
がしやすくなります。
精神的な負担も大きく軽減されるでしょう。
2 保釈のデメリット
一方で、保釈には一定の制約があります。
例えば
- 住居制限
- 裁判所への出頭義務
- 被害者や関係者への接触禁止
などの条件が付されることがあります。
また、条件に違反した場合には保釈が取り消されたり、保釈保証金が没取される可能性があります。
保釈が許可されたからといって、制約が課されていることの意識は持っておく必要があります。
なお、保釈されていながら、正当な理由もなく公判期日に出頭しない場合には、そのこと自体で不出頭罪が成立し、2年以下の拘禁刑となる可能性もあります。
第5 保釈請求が却下された場合の対処法
1 準抗告等による不服申立て
保釈請求が却下された場合には、準抗告などの不服申立てを行うことができます。
裁判所の判断に誤りがある場合には、上級裁判所などに判断を求めることになります。
もっとも、準抗告等が認められ、判断が覆る可能性は大きいとはいえないのが実情です。
弁護士と相談しながら、準抗告等で争うのか、あるいは以下のように改めて保釈請求をしなおすのか、適切に対応方針を決めることが重要です。
2 改めての保釈請求
保釈請求は一度却下されたら終わりではありません。
回数の制限等もなく、何度も保釈請求をすることができますし、事情が変われば、当初は認められなかった保釈が許可されることもあります。
例えば
- 被害者と示談が成立した
- 身元引受人が見つかった
- 証拠調べが終了した
- 否認から認めに方針が変わった
など事情が変化した場合には、再度保釈請求を行うことにより、許可されることも期待できるかもしれません。
実際の刑事事件でも、再度、あるいは再々度やそれ以上の保釈請求によって保釈が認められるケースは少なくありません。
第6 保釈請求に関するよくある質問
1 保釈請求はどのような場合にできる?
保釈請求ができるのは、起訴され、被告人として勾留されている場合です。
起訴前の被疑者として勾留や逮捕については保釈請求はできません。
早ければ起訴された当日や翌日にも保釈請求は可能ですので、これを目指す場合には弁護人とも相談の上予め準備を進めておくなどの必要があります。
2 保釈請求は何度でもできるか?
保釈請求に回数制限はありません。
複数回申請することが可能です。
そのため、一度却下されたからといって諦める必要はありません。
ただ、闇雲に保釈請求を繰り返しても許可される可能性は高くないと言わざるを得ず、認められなかった請求の時点とは何かしらの事情変更等がある場合に行うべきでしょう。
3 否認事件や重大事件でも保釈される?
否認事件や重大事件だからといって、絶対に保釈が許可されないわけではありません。
ただ、こういった事件の方が一般的には罪証隠滅や逃亡のおそれは大きくなるものと考えられるところ、そうでない事件に比べて保釈が認められにくいのは事実ですし、保釈が認められる場合にも保釈保証金は高額になることが予想されます。
4 再逮捕されたり、複数の事件で勾留されている場合はどうなる?
保釈はひとつの勾留ごとに必要となるものであり、例えば2回起訴され、2つの事実で勾留されている場合には、釈放されるためにはその双方について保釈が許可される必要があります。仮にその一方だけ保釈されても、別件の勾留が残っていれば実際には留置施設や拘置所に拘束されている状況は続きます。
また、これは別件で逮捕されたり被疑者として勾留されている場合も同様であり、起訴されて被告人として勾留されている点について保釈されたとしても、被疑者として勾留されているなどすれば結局のところ身柄は解放されません。
ですので、余罪が見込まれる場合については、それも起訴された時点で2件について保釈請求を行うなど、保釈請求のタイミング等についても弁護人と相談の上、検討しなくてはなりません。
5 保釈保証金やその相場は?
保釈保証金の額については、刑事訴訟法93条2項で「犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。」とされています。
明確な相場があるわけではありませんが、一般的な事件でも150万円ほどにはなることが多く、300万円くらいまでがボリュームゾーンかという印象です。
ただ、あくまで事件や被告人次第であり、億単位の金額になることもあります。
6 保釈保証金の準備や納付はどうする?
保釈が許可されても、保釈保証金が納付されない限り実際には釈放されないため、事前に準備をしておくことが望ましいといえます。
具体的には、弁護人が親族等に連絡するなどして準備することが多く、保釈支援協会から立替を受けるという手段もあります。
納付については弁護人を介して行うのが一般的です。
7 保釈中の注意点とは?
保釈中は社会内で生活を送ることができる一方で、裁判所の定めた条件を守らなければなりません。
条件に少しでも違反すればただちに保釈が取り消されるとは限りませんが、特に注意すべきなのは
- 被害者への接触
- 共犯者や関係者との連絡
- 証拠隠滅行為
などの罪証隠滅行為です。
これらの行為が発覚すると、保釈の取消しや保釈保証金の没取の対象となる可能性があります。
8 保釈が取り消されるのはどのような場合?
公判期日に出頭しない、逃亡や罪証隠滅行為を行う、その他保釈の条件に違反した場合には、保釈が取り消され、保釈保証金が没取される可能性があるほか、不出頭罪など新たな犯罪に該当する可能性もあります。
第九十六条 裁判所は、次の各号のいずれかに該当する場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定で、保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。
一 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。
二 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
四 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
五 被告人が、正当な理由がなく前条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
六 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。
② 前項の規定により保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で、保証金の全部又は一部を没取することができる。
8 有罪となり、実刑だった場合はどうなる?
保釈中に実刑判決を受けた場合、その時点で保釈は効力を失います。
このような事態が想定される場合には、判決宣告の際に検察庁職員が法廷に控えており、宣告後そのまま拘束されるという流れが一般的です。
もし控訴するなどして争う場合、改めて保釈請求して認められなければ身体拘束が継続することになるため、実刑が想定される場合には改めての保釈請求の準備をしておくべき場合もあるでしょう。
第7 専門家に相談する重要性
1 弁護士の役割
刑事訴訟法上、保釈請求は被告人本人や一定の親族等でも可能ではありますが、実際には弁護人が行うことがほとんどであり、許可される可能性を高めるためにもそうすべきであると考えられます。
保釈請求を行う前提として、被告人本人は勾留されていますし、一般の方であれば面会にも制限などがあります。
弁護士は
- 保釈請求書の作成
- 身元保証人との調整や身元引受書の作成
- 裁判所への保釈請求書の提出
- 事案によっては裁判官との面談
- 必要に応じて準抗告等
といった活動を行います。
保釈が認められる可能性を高めるためには、刑事事件に精通した弁護士のサポートを得て、事案に応じた適切な資料や事情を裁判所へ伝えることが重要です。
2 相談のタイミングと方法
ご家族が逮捕された場合には、できるだけ早く弁護士へ相談することをおすすめします。
保釈請求だけでなく
- 勾留阻止
- 示談交渉
- 不起訴獲得
- 略式手続での終結
など、早期対応によって有利な結果につながる可能性があります。
※起訴前も含めた身柄の解放についてはこちら(釈放、保釈について元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
※不起訴(起訴猶予)の獲得についてはこちら( 起訴猶予とは?元検事の弁護士が不起訴との違いや起訴猶予獲得のポイントを解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
※不起訴(嫌疑不十分)の獲得についてはこちら( 嫌疑不十分とは?不起訴となるためのポイントや処分までの流れについて元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
※略式手続についてはこちら( 略式起訴・略式命令でも前科?手続の流れ、罰金の相場等を元検事の弁護士が解説|上原総合法律事務所)の記事もご参照ください。
また、なるべく早いタイミングでの保釈を目指すという場合、起訴される前から保釈請求に備えておくことも重要になってきます。
第8 お気軽にご相談ください
保釈請求は、被告人やそのご家族にとって非常に重要な手続です。
もっとも、保釈が認められるかどうかは事件内容や証拠関係、生活状況などによって大きく左右されます。
保釈許可を勝ち取るためには、刑事事件の経験が豊富な弁護士によるサポートが重要です。
当事務所には、検察官として数多くの刑事事件を担当してきた経験を有する弁護士が在籍しています。
保釈請求をご検討中の方、ご家族が勾留されてどうすればいいかお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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