「企業法務」という言葉がどういう意味なのか質問をいただくことがあります。
会社に関する法務が存在することはわかっていても、その重要性や内容を正確に理解していない方も少なくないと思います。
一般に企業法務は企業の売上を産みません。しかし、企業を安定的に運営するため非常に重要な役割を担っています。
本記事では企業法務について、内容・重要性・弁護士に依頼するメリットなどを解説します。
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「企業法務」とは、企業において、法的な専門知識・経験を用いてトラブル、法令遵守、契約などを取り扱う業務です。
企業活動に際しては、どんなに気をつけても、トラブルを完全に避けることはできません。売掛金が回収できないこともあるでしょうし、どんなに良い仕組みを作っても、ミスにより他者に損害を加えてしまうということがあり得ます。
これらのトラブルには、早期に適切な対応をすることで、損害をより小さくすることができます。
また、企業活動はさまざまな法令によって規制されていますし、企業は日々多数の契約を締結します。
法令を守らなければ、企業はさまざまな制裁を受けますし、安易に契約をしてしまえば自社の不利益になりかねません。
このようなさまざまな出来事に的確かつ迅速に対応することで、安定的に企業を運営できるようにするのが企業法務です。
企業法務ではさまざまな種類の事案・法律を取り扱うため、法務担当者は幅広い法的知識を備えなければなりません。
社内人材だけでは知識や経験が不十分な場合は、外部の弁護士のサポートを受けることが必要になることもあります。
企業法務では、非常に多岐にわたる種類の事案を取り扱います。
以下に挙げるのは、企業法務において取り扱う事案の一例です。
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企業法務では、取り扱う法律も多岐にわたります。
以下に挙げるのは、企業法務において取り扱う法律の一例です。
など |
企業法務は、その性質から、「臨床法務」「予防法務」「戦略法務」の3種類に分けることができます。
「臨床法務」とは、すでに紛争・トラブルが発生した事案につき、企業の損害を最小限に抑えるための法務対応をいいます。
トラブルの相手方との示談交渉・ADR(裁判外紛争解決手続)・訴訟や、その事前検討などは臨床法務の領域です。
<臨床法務の例>
など |
「予防法務」とは、紛争・トラブルを未然に防ぐことを目的とした法務対応をいいます。
契約の締結・管理や社内規程の整備・見直しなどに関する対応が、予防法務の代表例です。
<予防法務の例>
など |
「戦略法務」とは、企業のさらなる発展のサポートを目的とした法務対応です。
臨床法務・予防法務がいわば「守りの法務」であるのに対して、戦略法務は「攻めの法務」といえるでしょう。
<戦略法務の例>
など |
企業法務の役割は、企業を法的リスクから守り、企業の成長を支えることにあります。
大きなトラブルが一つ発生してしまうと、それを処理するために多大な時間・精神的労力・お金が必要となりますし、レピュテーションリスクなどにより会社の存続に関わる事もあります。
そのため、発生したトラブルはなるべく早期に適切に対応して小さく終わらせる必要がありますし、企業活動に適用される法令や契約について綿密な調査を行い、会社にとってのリスクを最小化すること、さらに想定されるリスクを明確化して、経営陣による意思決定をサポートすることが求められます。
従来の企業法務は臨床法務を中心に捉えられていましたが、近年では企業活動の幅が大きく広がったことに伴い、予防法務や戦略法務の重要性がいっそう強調されるに至っています。
企業法務の中心を担うのは、企業に設置された法務部門です。
しかし、専門的な事柄に対応する際には、外部の有資格者のアドバイスを受けることが推奨されます。
企業法務に関わる有資格者としては、以下の例が挙げられます。
など |
ただし、これらの有資格者は、資格を有しているだけで、必ずしも企業法務の専門家というわけではないため、注意が必要です。
また、上で述べてきたように、一口に企業法務と言っても、さまざまな分野があります。
企業法務を取り扱っている弁護士でも、特定の専門分野に特化しているかもしれませんし、企業法務全般を取り扱えるけれども専門特化した分野のことは詳しくないかもしれません。
専門家に依頼する際には、会社が抱えている問題についてその専門家が詳しいのかどうかを確認することが大切です。
企業の法務担当者は、取り扱う業務に関して法的知識を備えているのと同時に、社内事情にも精通しています。そのため、企業法務の中心的な役割は、法務担当者が担うのが一般的です。
これに対して外部の弁護士は、有資格者としての知識と経験を活かして、高度の法律問題の取り扱いを得意としています。
企業にとって新しい種類の法律問題が発生した場合や、複雑な取引の検討を行う場合などには、法務担当者だけで判断するのではなく、外部の専門弁護士にアドバイスを求めてから対応するのが適切であることは少なくありません。
企業としての業績が上向いてくれば、必然的に企業法務の対応事項も増えるため、法務担当者の負担はますます重くなります。
安定的に成長を続けていくためには、トラブルによって大きな損害を被ることがないように、また確実に足場を固めて事業を拡大できるように、企業法務体制の整備が欠かせません。
その一方で、中小企業では人件費等との兼ね合いにより、法務部門に十分な質・量の人材を確保することが難しいケースが多いです。
このような状況にある中小企業では、弁護士と顧問契約を締結することをおすすめします。
顧問弁護士と契約すれば、企業法務に関する疑問やトラブルへの対応方針につき、いつでもスムーズにアドバイスを受けられます。
法務担当者を十分に確保できない場合でも、顧問弁護士の知識と経験を活用することで、事業規模の拡大に耐え得る企業法務体制を構築できます。
特に、今後いっそう事業を拡大しようと考えている企業は、早い段階から顧問弁護士と契約するのが安心です。
上原総合法律事務所には、企業法務全般を広く取り扱うことができる弁護士もおりますし、企業不祥事対応、外国人労働者問題などの専門分野を取り扱っております。
ご入用の方は、お気軽にご相談ください。
顧問弁護士とは何か、顧問弁護士は必要かについてはこちらをご参照ください。
弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
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