2025年風営法改正で何が変わる?「色恋営業」禁止などの規制強化の全貌ついて元検事の弁護士が解説

現代社会の刑事事件
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弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

2025年(令和7年)6月28日、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)の一部を改正する法律(令和7年法律第45号)の大部分が施行されました。

本改正では、いわゆるホストクラブ等を中心に規制が強化されています。

本記事では、本改正の背景や主な改正点を分かりやすく解説します。

第1 本改正の背景

風営法は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする法律です(1条)。

なお、風営法上、ホストクラブやキャバクラ等の接待飲食営業(同法2条1項1号が定める「設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業。以下同じ。)は、「風俗営業」の1類型とされています。

近時、ホストクラブやメンエスにおいて遊興や飲食をした女性客が、売掛金等の名目で多額の債務を負担させられ、ホストやホストクラブ経営者から、その支払のために売春や性風俗店での稼働等を要求されることが社会問題化しました。

こうした背景から、接待飲食営業を中心に規制を強化する本改正に至ったものです。

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第2 2025年の風営法改正の具体的内容

1 ホストクラブ等の接待飲食営業における遵守事項の追加(行政処分対象)

ホストクラブやキャバクラ等の接待飲食営業を営む者がしてはならない行為として、以下のものが新たに追加されました(18条の3)。

これらの行為を行った場合には、公安委員会から営業停止命令等の行政処分を受けます。

  • 料金に関する虚偽の説明(同条1号)

  • 客の恋愛感情等に乗じ(※)、以下のいずれかの旨を告げて客を困惑させ、遊興又は飲食をさせること(同条2号)

・遊興や飲食をしなければ接客従業者(ホストやキャバクラ嬢等)との関係が破綻することになる旨

・接客従業者(ホストやキャバクラ嬢等)が降格等の業務上の不利益を回避するために遊興や飲食が必要不可欠である旨

  • ※「客の恋愛感情等に乗じ」とは

    1. 客が、接客従業者(ホストやキャバクラ嬢等)に対して恋愛感情その他の好意の感情を抱いていること
    2. その客が、その接客従業者(ホストやキャバクラ嬢等)も自分に同様の感情を抱いていると誤信していること

    の両方を知りながら、これに乗じることをいいます。

  • 客が注文していない飲食等の提供(同条3号)

上記のうち2つ目が、巷で「色恋営業が禁止された」と言われている改正になります。
もっとも、上記のとおり、いわゆる「色恋営業」が全て禁止されたというわけではなく、あくまで、(「色恋」の関係に乗じて)ホストやキャバクラ嬢等から“関係が破綻する旨” 又は “降格等を避けるため必要不可欠である旨”を告げること(で客を困惑させ、飲食等をさせること)に限り禁じられたという点に留意する必要があります。

2 ホストクラブ等の接待飲食営業における禁止行為の追加(刑事罰あり)

ホストクラブ等の接待飲食営業を営む者が禁じられる行為として、以下のものが新たに追加されました(22条の2)。

違反した場合には、公安委員会から営業停止命令等の行政処分を受けるほか、6月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金又はその両方が科されます(53条2号。なお、刑事罰は、接待飲食営業を営む者(営業主)に加えて、違反行為をした接客従業者(ホストやキャバクラ嬢等)にも科されます(57条))。

  • 注文や料金の支払等をさせる目的で、客を威迫して困惑させること(22条の2第1号)

  • 客に対し、威迫や誘惑をして、料金の支払等のために売春・性風俗店勤務・AV出演等をするよう要求すること(同条2号)

3 性風俗店によるスカウトバックの禁止(刑事罰あり)

店舗型性風俗特殊営業(ソープランドやヘルス等)・無店舗型性風俗特殊営業(デリヘル等)を営む者について、求職者の紹介を受けた場合に紹介者に対して紹介料を支払うこと(いわゆる「スカウトバック」。)

ただし、紹介者には、スカウトが含まれますが、それだけにとどまらず、例えば友人等、全ての者が含まれます。)が、新たに禁じられました(28条13項、31条の3第1項)。

違反した場合には、公安委員会から営業停止命令等の行政処分を受けるほか、6月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金又はその両方が科されます(53条7号)。

4 無許可営業等に対する刑事罰の強化

無許可で接待飲食営業等の風俗営業を営んだり、禁止区域で性風俗店(店舗型性風俗特殊営業・無店舗型性風俗特殊営業)を営んだりした場合等の罰則が強化されました(49条)。

【改正前】2年以下の拘禁刑 若しくは 200万円以下の罰金 又はその両方

【改正後】5年以下の拘禁刑 若しくは 1000万円以下の罰金 又はその両方

さらに、上記の違反行為をした営業主が法人である場合の罰則はより強化されています(57条)。

【改正前】200万円以下の罰金

【改正後】3億円以下の罰金

5 風俗営業からの不適格者の排除

接待飲食営業等の風俗営業を営むには公安委員会の許可が必要であるところ、その欠格事由が新たに追加されます(4条。この部分の改正は2025年(令和7年)11月28日から施行されます。)。

追加された主な欠格事由は以下のとおりです。

  • 5年以内に親法人・兄弟法人・子法人が風俗営業の許可を取り消されている法人

  • 5年以内に警察による立入調査後に許可証を返納している者

  • 暴力的不法行為等を行うおそれがある者がその事業活動に支配的な影響力を有する者

上記のうち2つ目は、いわゆる行政処分逃れのために(警察の立入調査後に)許可証を返納してから5年が経っていないことを欠格事由とする規定です。

なお、公安委員会は、許可を受けた者が上記を含む欠格事由に該当していることが判明したときには、許可を取り消すことができます(8条)。既に許可を得て風俗営業を営んでいたとしても、上記に該当すれば許可が取り消される可能性がありますので、注意が必要です。

第3 お気軽にご相談ください

上原総合法律事務所は、元検事8名(令和7年6月30日現在)を中心とする弁護士集団で、迅速にご相談に乗れる体制を整えています。

風営法が関係する営業や刑事事件に関するお悩みがある方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

経験豊富な元検事の弁護士が、迅速かつ的確に対応いたします。


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