事業再構築補助金とは?不正受給や詐欺等の犯罪となってしまう場合や調査等への対応策について

不正受給
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弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

事業再構築補助金について不正受給の調査等が行われています。調査への対応や犯罪となってしまう場合等について、元検事(ヤメ検)の弁護士が解説します。

1 事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金は、正式名称を「中小企業等事業再構築促進補助金」といい、中小企業がその事業を再構築する際の資金援助として設けられた補助金制度です。新製品・新サービスの開発、業態転換、設備投資など幅広い目的に活用できます。

この補助金は、上限が最大1.5億円、補助率も50%から75%と高く、事業者にとって有益な内容となっています。しかし、高額な補助金が得られる制度となっているがゆえに、不正受給等のケースも少なくありません。

こういった事情から、事業再構築補助金事務局等は不正受給に関する調査を実施しており、交付決定の取消や事業者名の公表等も行われています。

事業再構築補助金には様々な枠や類型がありますが、ここでは詳細は割愛し、事業再構築補助金の不正受給や詐欺等の犯罪となるパターンや不正受給等となった場合のペナルティ等を紹介し、事務局等による調査への対応策等についても詳しく解説します。

なお、事業再構築補助金の制度の詳細については、同補助金事務局の下記サイト(※1)をご参照ください。

※1 https://jigyou-saikouchiku.go.jp/

2 不正受給等となるケース(パターン)

事業再構築補助金の不正受給等にあたるケースとして、同補助金の事務局サイトは

・虚偽の申請による不正受給

・補助金の目的外利用

・補助金受給額を不当に釣り上げ、関係者へ報酬を配賦する

などを挙げており、具体的には下記のようなケースが考えられます。

なお、不正には様々なパターンがありえ、下記に限られるものではありません。

事業再構築補助金の交付規程(※2)でも、交付決定が取り消される場合が複数定められています。

※2 https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/documents/koufu_kitei.pdf

2-1  実態のない虚偽の申請

実際には申請の対象となる補助事業を行わないにもかかわらず、架空の事業計画や実績報告を提出するなどし、補助金を不正に受給するケースです。

交付規程22条1項の中では、「補助事業に関して不正、怠慢、その他不適当な行為をした場合」や「申請内容の虚偽」などが交付決定が取り消される事由として挙げられています。

具体的には、以下のような手口が考えられます。

・実際には存在しない取引先を作出し、架空の売上や仕入れを計上する

・実際には導入しない設備を購入したように装い、架空の請求書や領収書を作成する

・実在する取引先等に協力を持ちかけ、架空の請求書等を作成してもらうなど

2-2 補助対象経費の水増し請求

補助対象となる経費につき、実際の支出額以上に水増しして請求する不正です。

単純な金額の水増しのほか、補助金の対象とならない経費(例えば、本来事業者が行うべき手続を代行したもらった費用等は対象外です。)分を対象となる経費に上乗せするといったケースも想定されます。

・実際には500万円の設備投資につき、請求書等を改竄するなどして1000万円と申告し、過大な補助金を受給する

・取引先に協力してもらい、ソフトウェア開発費等を不当に高く見積もってもらう

・実際には賃上げを行っていないのに行ったかのような虚偽の給与明細等を作出し、上限が上乗せされた補助金を受給するなど

勧誘されて不正に関与してしまったケースなどでは、そもそも実際には極めて価値の低い補助事業について高額な費用設定とし、費用はいったん支払うもののバックを受けた上、補助金の交付を受けた後に利益を分け合うといったパターンも考えられます。

これも「申請内容の虚偽」と評価されるなどし支給決定取消と事由となるものと考えられます。

このようなパターンでは、申請の主体となっている事業者が自ら発案して不正を行ったのではなく、コンサルを名乗る業者等から、申請の準備や不正のスキーム、内容虚偽の請求書を発行するなどの形で協力する会社等もセットでサポートするなどと勧誘を受け、不正受給を行ってしまったような場合もしばしば見受けられます。

こういったケースにおいては、多くは「不正ではない」「違法ではない」「バレることはありえない」「すぐに返金すれば何の問題もない」などと甘い言葉で勧誘され、なかば騙されるような形で不正に関与してしまったものの、実態は不正に他ならないという場合も多くありますので注意が必要です。

また、事業再構築補助金ではそもそも代理申請が認められておらず、これを理由に交付決定が取り消される可能性があることにも注意が必要です。

2-3 補助金の不適切な使用

事業再構築補助金は、特定の目的に使用することが義務付けられていますが、これを逸脱して使用するケースも問題となりえます。

交付規定22条1項では、「補助金を補助事業以外の用途に使用した場合」も支給決定取消の対象とされています。

・事業とは無関係な個人的な支出(高級車の購入、旅行費用など)に費消

・補助金を他の用途(別の事業資金、借金返済など)に流用など

2-4 他の補助金との二重取り

同じ経費について、他の補助金等と重複して申請し補助を受けるケースです。

これも交付規程22条1項で「本補助金を活用して取り組む事業に対する国(独立行政法人等を含む)が助成するほかの制度(補助金、委託金等)との重複受給等が判明した場合」が支給決定取消の対象とされています。

・事業再構築補助金とIT導入補助金の両方で同じ設備投資を申請

・国や地方自治体の他の補助金と重複して受給など

2-5 補助金の一部還流・キックバック

事業者が補助金を受け取った後、その一部を不正な形で関係者(不正に協力してくれた法人、スキームの提案等を行ってきた業者等)に還流させる場合もあります。

2-1や2-2の類型で、実在する別会社等の協力を得た場合には、多くの場合この還流を伴うものと考えられます。この還流については、形式的には当該金銭の流れに別の理由があったとしても、実質的には不正の一環としてのキックバックと判断される可能性もあります。

・取引先と共謀し、経費として支払った費用を別の会社の口座を介在させてキックバックしてもらう

・コンサルタント料等を仮装して補助金の一部をバックするなど

3 不正受給等が発覚する経緯

事業再構築補助金の不正が発覚するパターンとしては、以下のようなパターンが考えられます。
ただ、もちろんバリエーションは様々であり、これらに限られるものではありません。

3-1 事業再構築補助金事務局や会計検査院の調査等による発覚

事業再構築補助金は、経済産業省の所管であり、中小企業庁及び中小機構(独立行政法人中層企業基盤整備機構)の監督下で、株式会社パソナ等(実際には個別の業務ごとに再委託、再々委託等がなされているようです。)が運営する補助金事務局が審査等を行っています。

この事務局等は申請の審査等のみならず、不正受給等がないかの事後的な調査も行っており、どの事業者が調査の対象となってもおかしくありません。

また、調査に当たっては事務局の人員のみならず、中小機構等の当局の人員がこれに参加していたり、行政機関等の支出等が正しく行われているかを監督、検査する会計検査院主導の調査も行われています。

会計検査院の調査については、事業再構築補助金と同じく経産省所管のIT導入補助金について(同補助金については※3の記事もご参照ください。)、昨年10月、多数の不正が存在する可能性があり、事務局等はさらに積極的な調査等を行うべきであるとの発表がなされました(※4)。

同補助金についてはこれを受けて大々的な調査が行われているところであり、事業再構築補助金についても同様の状況となり、多くの事案が調査対象となる可能性もあるところです。

※3 https://keiji-kaiketsu.com/field/fuseijukyuu/it-dounyuuhojokin/
※4 https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary05/pdf/fy05_tokutyou_06.pdf 

この事務局や会計検査院の調査の結果、以下のような状況が見つかり、不正受給等が発覚するきっかけとなりえます。

・立入調査の結果、申請にあった設備やシステムが実装されていない

・決算書や口座履歴の提出が求められ、その精査からキックバックが発見されなど

3-2 内部告発等

事業再構築補助金の交付を受けた会社の従業員や元従業員、あるいは不正に協力した会社等の従業員等が、事務局や捜査機関に通報するなどして不正等が発覚するという以下のようなパターンも考えられます。

他の補助金や助成金でも、特に円満とは言い難い形で退職するに至った元従業員が通報して発覚するというケースがしばしば見られます。

・会社と揉めて退職した元従業員が、腹いせもあって当局に通報する

・不正に協力してもらった取引先の従業員が口座の動きに不審を感じて内部告発するなど

またこのような場合、通報先は事務局等は限らず、詐欺等の刑事事件だとしていきなり捜査機関に通報等がされる可能性も否定できません。

3-3 関連企業の不正発覚からの芋づる式捜査

補助金を受給している他の企業が不正で摘発され、その取引関係から関連企業の不正が発覚する以下のようなパターンも想定されます。

・他の補助事業者が摘発され、その事案でキックバックや虚偽の請求書作成等に関与していた法人と取引 のある他の事業者が調査対象となる

・不正と発覚した事案について申請のサポート等を行っていた会社が関与している他の事案が調査対象となるなど

特に、先に述べたようにスキームやサポート等込みで勧誘を受けて不正受給を行ってしまったような場合(こういったケースで「不正ではない」などと説明を受けていたとしても、実際は不正受給に他ならない場合もあるということも前述のとおりです。)、多くの業者は他の事業者も手広く勧誘して同じスキームで不正を行っており、その中のひとつについて不正が発覚すれば、関与している法人等を辿り、芋づる式に多数の不正が発覚することがあります。

4 不正受給のペナルティ

事業再構築補助金の不正受給に対しては、以下のような厳しいペナルティが科される可能性があります。

4-1 交付決定の取消と補助金の返還

事業再構築補助金の交付規程(※2)22条1項各号に該当する場合、中小機構は補助金の交付決定を取り消すことができるとされており、同条2項では、既に補助金が交付されている場合には期限を付して補助金の返還が命ぜられることとなり、受給した補助金を返還しなくてはなりません。

4-2 加算金の発生

事業再構築補助金の交付決定が取り消された場合、単に補助金を返還すれば済むというわけではありません。

交付規程22条3項では、「補助金の受領の日から納付の日までの期間に応じて、年利10. 95パーセントの割合で計算した加算金の納付を併せて命ずるものとする。 」などと定められており、交付を受けてからかなり高い割合での加算金を課されてしまいます。

また、この加算金については上記の割合で納付するまで発生しますので、返還が遅れれば遅れるほど、納付すべき総額は増えていくこととなります。

4-3. 事業所名等の公表

事業再構築補助金の公募要領(※5)でも、悪質な不正が発覚した場合、事業所名(会社名)や不正を行った時点での代表者の氏名、不正の内容を公表するとされています。また、事業再構築補助金事務局のサイトで実際に公表されている事案(※6など)もあります。

※5 https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo.pdf
※6 https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koufukettei_torikeshi.pdf

4-4.補助金交付等の停止など

事業再構築補助金の公募要領(※5)には、「経済産業省又は中小企業庁が所管する補助金又は給付金等において、過去に不正を行った者及びその者が代表を務める法人若しくは実質的に支配する法人は、補助対象となりません」とあり、不正とされれば、その事業者はもちろん、代表者が別法人で代表となっていればその法人まで、事業再構築補助金のみならず、経産省等所管の他の補助金等の対象外となってしまいます。

また、事業再構築補助金は経産省所管であり、補助金交付等停止及び契約に係る指名停止措置(※7)の対象ともなりうると考えられます。

※7 https://www.meti.go.jp/information_2/publicoffer/shimeiteishi.html

4-5. 刑事罰

事業再構築補助金の不正受給は犯罪にも該当する場合があり、刑事事件に発展する可能性もあります。
具体的には、刑法246条の詐欺罪や補助金適正化法違反となる場合が考えられるところであり、次の項目で詳しく解説します。

5 刑事事件に発展する場合

現状、事業再構築補助金の不正受給で逮捕等されたといった報道は見当たりませんが、同じく経産省所管の補助金であるIT導入補助金では、逮捕者が出て大きく報道されるといった事案もあり(※8の記事もご参照ください。)、事業再構築補助金でも同様の事態になる可能性は否定できません。

※8 https://keiji-kaiketsu.com/keiji-column/3929/

事業再構築補助金事務局の公募要領(※5)でも、「交付決定の取消を受けた者は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)第29条に基づき、5年以下の懲役若しくは 100万円以下の罰金または両方に処せられる可能性があります。」と明言されています。

事業再構築補助金の不正受給については、下記のような犯罪に該当する可能性があります。

・詐欺罪


本来、経費を単純に水増しする、あるいは対象とならないような経費について対象となる経費に上乗せするなどして補助金の交付を受ける、実質的には費用を支払わない(後にバックを受けたりする場合もこのように評価される可能性があります)のに支払ったかのように装って交付を受けるなどすれば、補助金を騙し取ったとして、刑法上の詐欺罪に該当し、最大で10年の刑に処される可能性があります。

詐欺罪の法定刑に罰金はなく、懲役のみであるため、起訴される場合には必ず公判請求となり(なお、刑罰については懲役刑から拘禁刑となることが予定されています。※9の記事もご参照ください。)、公の法廷で審理を受けることとなります。

先述のIT導入補助金の不正受給の事案(※8)は、現に詐欺罪で起訴されています。

※9 https://keiji-kaiketsu.com/keiji-column/9576/

・補助金適正化法違反


補助金に係る予算の執行の適正化に関する法律(ここでは「補助金適正化法」といいます。)第29条第1項は、以下のように定めています。

・偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け、又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者は、五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

と定めており、さらに同法第32条は

・法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定のあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、当該法人又は人に対し各本条の罰金刑を科する。

要するに、補助金等を不正受給した場合、補助金適正化法違反として、会社の代表者等には最大で懲役5年及び罰金100万円、会社に対して罰金100万円の刑が科される可能性があるのです。

・詐欺と補助金適正化法違反の関係


以上のように、不正受給の場合に成立しうる犯罪はひとつに限られません。

ですが、実際には詐欺罪の立件、起訴となる場合が多いかと思われます。

会社を処罰しようとする場合は別ですが、個人に着目した場合、法定刑(その犯罪で科すことのできる刑)は、詐欺が10年以下の懲役、補助金適正化法違反が5年以下の懲役と倍の差があり、双方が成立しうる場合、より法定刑の高い詐欺と構成するのが一般的かと思われます。

なお、詐欺と補助金適正化法違反の関係については判例も存在し、最決令和3年6月23日( https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90434 )では、いずれの罪にも該当しうる保育事業に関する助成金の不正受給につき、詐欺罪での処罰を肯定しています。

・実際の処罰について

上記のような犯罪で立件された場合、起訴され、さらに有罪判決を受ける可能性も十分にあります。

補助金適正化法違反の場合、罰金刑のみという選択肢があり、略式手続(※記事リンク)の可能性もありますが、前記のとおり、詐欺の場合、不起訴か公判請求しかありません。

また、公金の詐欺であること、被害額も多額となりうること等も踏まえれば、執行猶予が付されず、実刑となり実際に刑務所に長期間服役することとなる可能性も十分にあると言わざるを得ません。

・逮捕や実名報道の可能性も


刑事事件となった場合の不利益は刑罰そのものに限られません。

本来、有罪判決が確定するまでは無罪が推定されることが前提のはずですが、実際には逮捕や検察庁への事件送致、起訴の段階で報道され、大きな社会的制裁を受ける可能性があるほか、特に会社を経営されている立場の方にとっては、長期間の身柄拘束自体が大きな不利益となるかと思われます。

報道については、どの段階でどの程度の内容を報道発表するか(※10の記事もご参照ください。)は捜査機関次第と言わざるを得ませんし、逮捕や勾留について(※11の記事もご参照ください。)も、特に起訴された場合には長期間となる場合も少なくありません。

※10 https://keiji-kaiketsu.com/soudan/8866/

※11 https://keiji-kaiketsu.com/soudan/196/

6 不正受給や調査への対応策

6-1 不正受給等の問題が発覚したら

不正受給となった場合の重大なペナルティとしては公表や刑事告発等がありますが、公募要領(※5)では、「悪質な不正」が発覚した場合は公表の対象となるとされていますし、他の補助金や助成金の事例を見ますと、不正受給となった事案のうち、刑事事件にまで発展しているのはごくわずかな悪質な事案と考えられます。

以上からすると、仮に不正受給ではあっても「悪質」でなければ公表や刑事事件化は回避しうる余地があると思われますし、やはり他の事案での当局の反応からすると、事後的な対応が誠実か否か、特に自主的な申告や返金の申出等を行ったか否かは「悪質」と評価されるかどうかに大きく影響するものと思われます。

例えば雇用調整助成金では、調査前の自主申告等の一定の要件を満たした場合には公表しないという方針が明らかにされており、事後的な対応によってペナルティを回避しうる場合もありうるのです。

もし不正受給等の問題が発覚した場合には、「悪質な不正」として公表や刑事告発等の重大なペナルティが課されるのを回避するためにも、自主的な申告や返還の申出を行うことも検討すべきです。また、不正の内容次第では、逮捕等を避けるといった観点から捜査機関への自首を検討すべき場合もあるかもしれません。

※逮捕や自首については下記の記事もご参照ください。
逮捕について:https://keiji-kaiketsu.com/soudan/58/
自首について:https://keiji-kaiketsu.com/soudan/64/

また、「もしかすると不正とされることをしてしまったかもしれない」という場合にも、弁護士への相談や事実関係の調査を行い、もし不正受給等になりうるのであればやはり自主的な申告等を検討すべきでしょう。
過去に起こった出来事ややってしまったことは変えられませんが、問題を認識した時点でよりよい結論を導くべく適切な行動をとるべきです。

6-2 調査への対応策等

なお、調査については、事業再構築補助金の公募要領(※5)に「本事業の完了した日の属する終了後を初回として、以降5年間、本事業に係る事業化等の状況を事業化状況・知的財産権等報告書により報告するとともに、本事業に関係する調査に協力をしなければなりません。」と記載されるなどしており、申請・受給をしている時点で事後的な調査には協力しなければならない立場にあるものと考えるべきかと思われます。

また、補助金適正化法でも当局には立入検査等の権限が認められており、これを拒否したり虚偽の回答をした場合等には罰金の対象となることにも注意が必要です。

いずれにせよ、道義的にも法的にも、調査に対しては可能な限り協力していくべきです。他方で、本来の業務に支障が生じるような場合や調査対象や方法が明らかに必要な範囲を逸脱していると思われるような場合には、弁護士を通じて申し入れるなどし、配慮を求めるなどの対応をすべきです。

6-3 不正を疑われている場合

実際には不正受給等を行っていないのに、当局から不正を疑われてしまい、説明をしても納得してもらえず、調査が長期化するといった事態も懸念されます。

また、それだけならまだしも、適切な説明や主張をしなかった結果、誤った事実認定や評価、解釈により、実際には不正ではないのに、不正受給であるとしてペナルティを受けるというおそれもあります。

事業再構築補助金事務局は業務委託を受けた民間の会社により運営されているのが実情ですし、これを監督する中小機構や中小企業庁、経産省の人員も、必ずしも調査等のプロフェッショナルではありません。

あらぬ疑いを晴らし、不当な不利益を回避するためには、専門家の知見も踏まえ適切に対処していくことが必要です。

7 まとめ

事業再構築補助金については、様々なパターンの不正がありえ、加算金等を含めた返金や公表といったペナルティに加え、場合によっては詐欺等として刑事事件にも発展する可能性があります。

また、他の助成金等と同じように、積極的かつ大規模な調査が行われることも予想される状況となっています。

実際に不正を行った場合はもちろん、不正に関与してしまった、巻き込まれてしまったのではないかと不安な場合や、不正ではないのに疑われているという場合にも、迅速な対応が望ましいといえます。

上原総合法律事務所は、元検事8名を中心とする弁護士集団で、事業再構築補助金のみならず、多様な補助金、助成金、交付金の不正受給等に対応した実績を有しています。

また、迅速にご相談に乗れる体制を整えており、事業再構築補助金の不正受給や詐欺等に関してお悩みがある方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

御社の事例について不正受給や詐欺等に該当しうるか、具体的にはどのように対応していくべきかなど、経験豊富な元検事の弁護士が、迅速かつ的確にアドバイス等いたします。

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