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昨今、インターネット上の書込みによる誹謗中傷等の被害、トラブルが深刻化しています。
人気テレビ番組に出演していた女性がSNS上で誹謗中傷され自殺に至ってしまったという悲惨な事件は記憶に新しいですが、SNSやレビュー・口コミサイト等、インターネット上で企業や個人に関する投稿がなされたことよる被害・トラブルが社会問題として広く認知されるようになっています。
違法・有害情報相談センターによる報告では、近年、同センターで受け付けた相談件数は直近10年で約4倍に達するほどの増加傾向にあり、特に、ブログ等個人のHPやSNSでなされた名誉毀損、信用毀損、プライバシー侵害の相談件数が多くなっていることがわかります(https://www.soumu.go.jp/main_content/000734940.pdf)。
では、インターネット上の書込みに対して、書込みをされた側はどのような手段を取ることができるでしょうか。
例えば
・従業員が勤務先の企業について不適切な投稿をしていることが発覚した
・SNS等で自社の商品、サービスについて虚偽の情報が書かれている
・口コミサイトで企業、店舗について誹謗中傷、悪質なレビューをされた
といった場合を想定してみます。
まず、刑事責任としては、書込みの内容により名誉毀損罪や信用毀損罪、業務妨害罪、侮辱罪、脅迫罪や強要罪等の犯罪が成立し得るほか、書込みが営業秘密を含む内容である場合には、不正競争防止法違反が成立する可能性もあります。
そこで、投稿者に対して刑事責任を追及するため、警察等の捜査機関に対して刑事告訴をすることが考えられます(なお、告訴期間は原則として犯人を知ったときから6か月とされているので、できるだけ早く告訴状を出すことが必要です。)
次に民事責任ですが、書込み行為について犯罪が成立するかという刑事上の観点とは別に、民事上の名誉毀損や侮辱、プライバシー侵害等の権利侵害が成立する余地があり、不法行為に基づく損害賠償責任(慰謝料を含む)を追及できる可能性があります。また、責任追及とはやや異なりますが、差止請求(今後もう二度と書かないという将来の差止請求)のほか、名誉毀損があった場合には、名誉を回復する措置(謝罪広告の掲載等)を求めることも可能です。
最後に、その他の対抗手段として考えられるものを検討します。
まず、問題となっている書込みがされたサイトの管理者に対して、削除請求をすることが考えられます。
削除請求に素直に応じてもらえれば、違法・不当な書込みが第三者の目に触れ続けるという事態を簡易かつ迅速に回避することができます。
ただし、削除請求をするためには、問題となる投稿がなされたサイト等の利用規約を確認する必要がありますし、そもそも、削除請求を受け付ける窓口がない、又は、窓口が不明なサイトも少なくありません。また、投稿者以外の者による削除請求は、「表現の自由」の保障との兼合いから必ず認められるものでもなく、削除請求に応じてもらえない場合には、より強力な手段に訴える必要があります。
そのほか、書込みが従業員によってなされているケースでは、懲戒処分による対処の可否も検討されるべきでしょう(その場合には、問題となる書込みが業務時間中にされたものか否かや、証拠の収集・確保手段等について検討する必要があります)。
インターネット上での書込みに対しては、上記のとおり様々な対抗手段が考えられますが、刑事責任にせよ民事責任にせよ、責任を追及するためには問題となる書込みをした投稿者を特定しなければなりません。
しかし、インターネット上の書込みは、多くの場合、その投稿者が誰であるかは直ちに分かりません。
このような投稿者を特定するために有効であるとされているのが、発信者情報開示制度(プロバイダ責任制限法4条)です。
発信者情報開示制度を用いる場合、まずは、書込みがなされたインターネットサイトの管理者ないし運営会社(SNS事業者等。コンテンツプロバイダとも呼ばれます。)を相手方として、裁判所に対し、発信者情報、つまり投稿者の氏名や住所等を開示するよう訴えを提起することになります(なお、発信者情報開示命令仮処分の申立てという方法によるのが一般的です)。
Amazonなど特定のアカウントからなされた書込みについては、サイト管理者が発信者情報を保有していることがありますが、直ちに特定ができないことも珍しくありません。この場合には、サイト管理者等から書込み時に使用されたIPアドレス(インターネット上の住所のようなもの)の開示を受け、そのIPアドレスから書込み時に使われたプロバイダ業者を特定し、そのプロバイダ業者を相手方として、裁判所に対して発信者情報開示請求の訴えを提起します。
そして、この訴訟で勝訴判決を得ると、発信者情報の開示を受けることができます。
なお、2022年10月までに施行される改正プロバイダ責任制限法では、サイト管理者とプロバイダ業者の両者を1つの訴えで相手方にすることができる制度等が新設され、より迅速な発信者の特定に資することが期待されていますが、弁護士会で行われている研修・勉強会では、実際に運用されないと不明な部分も多くあるとの指摘もあり、過度な期待はできません。
いずれにしても、発信者情報開示制度を用いて投稿者を特定するためには、プロバイダ業者のログ保存期間(一般的には3ヶ月又は6ヶ月程度)にも留意しながら、上記のような複数の裁判手続きを行っていくことがあるため、専門的知識がないと利用が難しい手続といえるでしょう。
ア 任意交渉による削除請求
30万円(1サイトあたり)
イ サイト管理者等を相手とする削除請求(仮処分)
50万円(1申立あたり)
ただし、アの任意交渉による削除請求をご依頼いただいている場合、20万円(1申立てあたり)
※ 相手方が国外の場合は別途お見積もり
ア 任意交渉による開示請求
30万円(1サイトあたり)
イ サイト管理者等を相手方とする発信者情報(あるいはIPアドレス)開示仮処分
50万円(1申立てあたり)
ただし、アの任意交渉による開示請求をご依頼頂いている場合、20万円(1申立てあたり)
ウ プロバイダ業者を相手方とする発信者情報の開示請求訴訟(1プロバイダあたり)
50万円
エ ログ保存仮処分
15万円
※ 相手方が国外の場合は別途お見積り
上原総合法律事務所には元検事の弁護士が複数在籍しており、チームを組んで事案の解決に取り組みます。捜査機関での経験を活かし、問題となる書き込みの特定、調査や、投稿者の特定を迅速に行い、相談者の方に適切な解決手段を提案していきます。
当所は、相談の申し込みを頂いた後、早ければ当日、申込みから数時間後に弁護士が相談を受けられる場合もございます。相談方法は、事務所での直接の面談、電話、zoom等、柔軟に対応致します。
インターネット上での誹謗中傷、名誉毀損、風評被害等でお困りの方、企業様は遠慮なくご相談ください。
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※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。
弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
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