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近年何かと話題になることの多いYouTubeやYouTuber。
突撃系YouTuberがスーパー内で購入する前の商品を食べたとして窃盗の罪に問われ,裁判が行われていることも記憶に新しいかと思います。
そんな中,宮城県警は「ファスト映画」と呼ばれる違法な動画を公開したYouTuberを著作権法違反容疑で全国で初めて逮捕しました。
本記事では,ファスト映画と著作権の関係についてお話ししたいと思います。
まず,ファスト映画とは
一つの映画について,その映像や静止画を切り貼りし,10分から15分程度にまとめたうえで,字幕やナレーションをつけ,内容を「ネタバレ」する動画
のことを指します。
こういった動画は,きわめて短時間かつ無料で映画の内容をオチまで把握することができるため,映画を見る時間のない人や映画を有料で見るお金のない人の「ストーリーだけでも知りたい」「ネタバレだけ見たい」と言った欲求にこたえる形で,かなり人気のコンテンツになりました。
非常に人気の高いファスト映画ですが,「著作権法」的に違法となり得ます。
そもそも著作権とは,簡単に言うと,「自分の創作物を勝手に人に使われない」権利のことを指します。
たとえば,
「Aさんが描いた絵をBさんが勝手に販売していた場合」には,Bさんは著作権法違反となります。
これと同様に考えれば,ファスト映画においても,映画を作成した人の許可を得ていなければ著作権を侵害している可能性があります。
ここで問題となるのが「引用(著作権法第32条)」です。
この条文で定められていることは,「すでに公表された著作物について,一定要件の下で引用して利用してもいい(著作権の侵害にならない)」ということです。
たとえば,「自分の論文に他人の論文の一部を記載しこれを批評すること」は引用にあたります。
では,「ファスト映画」は「引用」に当たるのでしょうか。
この点については諸説ありますが,「引用」と認められるためには,「引用の目的上正当な範囲内」でなくてはなりません。
「引用の目的上正当な範囲内」とは,一般的に「引用箇所が明瞭に区別でき,引用する側が主,引用される側が従である」ことと言われています。
そうすると,ファスト映画のように,もっぱら映画のネタバレやストーリー解説のために当該映画の内容を利用することは,「引用の目的上正当な範囲内」とは言えない可能性があります。
著作権法に反して著作権を侵害した場合,刑事・民事上の責任を問われることになります。
たとえば先ほどあげたAさんとBさんの例の場合,AさんはBさんに対して,「絵の販売によってBさんが得た利益額」について民事裁判において損害賠償請求することができます。
また,著作権法には,刑罰の定めがありますので,著作権法違反の場合には,逮捕・勾留といって,捜査機関によって長期間にわたって身体を拘束される可能性がありますし,最終的に起訴されれば,公開の裁判によって刑罰(10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金,またはその両方)を受ける可能性があります。
著作権法違反は,もともと親告罪(被害者が捜査機関に告訴しなければ起訴されない)でしたが,近年著作権法の改正があり,その一部については非親告罪となりました。
しかし,捜査機関としては,被害者からの申告がなければ著作権の違反があったことを特定すること自体が困難ですし,被害者からの申告がなければ捜査が行われないのが実情です。
もっとも,今回,宮城県警がファスト映画による著作権法違反の事案で被疑者を逮捕したことが全国的に報道され,話題になりました。
また,今回,宮城県警に対して著作権違反者の情報提供を行ったコンテンツ海外流通促進機構(CODA)が,ファスト映画撲滅のために全力を挙げる旨を明らかにしており,これに触発された著作権者や著作権管理団体等が積極的に被害申告するということも考えられます。
そうすると,今後も同様の事案による逮捕者が続出することが予測されます。
さらに,コンテンツ海外流通促進機構(CODA)によると,ファスト映画による被害額は約950億円とも言われているところ,被害額が大きくなるほど,違反者に対する処罰は重くなる傾向にあるということは言うまでもありません。
仮に,逮捕された場合には,実名報道がされますし,重い刑罰に処せられたり,民事上も多額の損害賠償請求をされることもあり得ます。
このような著作権違反による逮捕や重い刑罰を避けるために,重要となるのが早期の自首です。
そもそも,逮捕や勾留といった捜査機関による身体拘束は,被疑者(犯罪をしたとして疑われている人)による証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合に限り認められます。
そこで,弊所と依頼者様で著作権法違反につき自首する旨の上申書を作成した上,捜査機関に事件が発覚する前に証拠を提出することにより,証拠隠滅も逃亡もしないということを積極的に示すことで,逮捕を避けられる可能性は格段に上がりますし,反省の態度を示すことで重い刑罰を避けられる可能性も出てきます。
逮捕や重い刑罰を避けるために非常に重要な自首ですが,自首が成立するためには,捜査機関による捜査が始まる前に自首をしていなければなりません。
したがって,いち早く自首をすることが肝要です。
他にも,著作権者による捜査機関に対する被害申告が行われる前に著作権者と示談をして告訴されないようにすることや,すでに告訴がされていたとしても告訴の取り下げをしてもらうことで不起訴処分を獲得するということも考えられます。
いずれにせよ,この種の事案において,逮捕や起訴を免れるためには,早期に積極的な一手を打つことで,有利に進めることができるのです。
弊所では,元検事率いる弁護士チームが,その知識と経験から,著作権法違反にあたるのかの調査や仮に著作権法違反にあたる場合にどうすればよいか等についてのアドバイス,事案解決のためのお力添えができます。
著作権違反をしてしまった可能性がある方,実際に著作権法違反で訴えられている方や自身の著作権が侵害されて困っている方はお気軽に弊所にご相談ください。
上原総合法律事務所では、事件化前の著作権法違反事案の自首同行について、通常の刑事事件としてのご依頼よりも利用しやすい料金プランを作成しました。
自首の要否に関するご相談(1時間まで) 25,000円(税込)
自首同行(上申書作成等を含む。)
東京23区内:330,000円(税込)
東京市部、千葉県、埼玉県、神奈川県:396,000円(税込)
上記以外の地域にも出張可能です。
自首の要否に関するご相談(1時間まで。)25,000円(税込)
オンラインでの自首サポート(上申書作成、自首手続のご案内、警察官との電話連絡等を行います。)308,000円(税込)
※自首の要否に関するご相談後に自首同行やオンラインサポートをご依頼の場合、費用からご相談料を減額
※自首同行やオンラインサポートをご依頼後に通常の刑事弁護をご依頼の場合、通常の刑事弁護の費用から280,000円を減額
「弁護士同行のもとで警察に相談したい」という方についても、同様の料金でご依頼いただけます。
せっかく自首しようと思っても、捜査機関が先に事件に着手してしまっては意味がありません。
上原総合法律事務所は、速やかな対応を心がけています。
遠慮なくご相談ください。
お電話、もしくはメールフォーム、もしくはスマートフォンの方であればLINEから
お問い合わせいただけます。まずはお気軽にご連絡下さい。
弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
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