上原総合法律事務所では、しばしば「警察や出入国管理局(いわゆる入管)が会社に来て、社員の外国人を連れて行った。どうやら不法就労だったらしい。」「外国人を雇用しているが、不法就労だったことがわかった。どうすれば良いか。」というご相談をいただきます。
このような場合、会社が、不法就労助長罪に問われるおそれがあります。
不法就労助長罪は、簡単に言うと仕事をさせている側について「外国人に不法就労させること」により成立する犯罪です。
不法就労助長罪は、不法就労であると分かったうえで雇用する場合(いわゆる「故意」の場合)だけでなく、単に不法就労であると知らなかった場合や確認を怠ったなどの過失であっても成立してしまい、適切に対処しなければ、罰金以上の罪になってしまいます。
この記事では、会社が不法就労助長罪で摘発された場合の不利益と、不起訴にする必要性・方法について説明します。
不法就労助長罪とは何かや罰則、外国人を雇用する際の注意点について詳しくはこちらをご参照ください。
Contents
不法就労助長罪の摘発は、多くの場合、ある日突然、会社に警察官や入国管理局職員がやってきて、「不法就労している可能性がある」として外国人労働者を連れて行ってしまいます。
同時に、会社の方に対しても質問がなされ、場合によってはその日のうちに会社の方も連れて行かれます。
場合によっては、外国人労働者や会社の方が逮捕されることもありますし、逮捕されなくても、このあと会社がどうなるのかと、会社全体が不安になります。
経営陣は、捜査対応に意識と時間を費やし、本業に力を割くことが難しくなります。
不法就労であることが明らかになった場合、その労働者を働かせることはできません。
また、摘発の原因になった労働者以外の外国人労働者も不法就労であった場合には、その者も働かせることができなくなります。
さらには、会社が不法就労助長罪で罰金以上の罰となった場合、会社は、技能実習や特定技能の在留資格で日本にいる人を雇用することができなくなります。
このように、会社内で機能していた人員を突如働かせることができなくなり、場合によっては事業の全部または一部を停止させざるを得なくなります。
技能実習や特定技能の外国人労働者を雇用している会社の刑事罰と刑事罰を避ける方法について詳しくはこ
ちらをご参照ください。
会社の経営者が外国人である場合、不法就労助長をしていたことで退去強制事由に該当し、日本国内に居られなくなる可能性が出てきます。
不法就労助長罪で有罪になった場合の罰は、人に対しては「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」、法人に対しては「300万円以下の罰金」です。
懲役を避けるべきことは言うまでもありませんし、罰金についても軽く見てはいけません。
不法就労助長罪で罰金以上の罰になると、5年間、技能実習や特定技能の外国人を雇うことができなくなります。
人手不足が加速する情勢下においては、外国人労働者を雇用できることは事業の維持発展のためにとても大切です。
まだ技能実習生や特定技能の外国人を雇っていない場合でも、雇える可能性を残しておくべきです。
雇っている外国人が不法就労で連行された場合、不法就労助長罪で起訴されないためには、検察官に対して、不起訴にしてもらう必要性と、不起訴にしてもよい許容性を説明します。
必要性は、会社が不法就労助長罪で罰金になってしまった場合の不利益を説明します。
罰金により会社が被る不利益もそうですが、会社だけでなく、解雇されることになる技能実習や特定技能の外国人労働者などについての不利益を説明することで、罰金にすることがどれだけ大きな影響を与えるのかを理解してもらうことができます。
許容性は、この事案であれば罰金にしなくても良いと考えてもらう事情を説明することです。
刑罰の目的の一つに、教育(もう二度と犯罪をしないようにすること)があります。
この観点から、刑罰を科さなくてももう二度と犯罪をしないという許容性を理解してもらうために、主に、会社の過失が小さかったことの説明と、再犯予防のための仕組みを作っていることを説明します。
会社の過失が小さく、かつ、再犯予防の仕組みが整っていれば、わざわざ罰金にしなくてももう二度と犯罪をしない可能性が高いと考えてもらいやすくなり、検察官として不起訴にしやすくなります。
上原総合法律事務所は、元検察官の弁護士を中心とする法律事務所で、刑事事件を熟知しています。
さらに、グループ企業に特定技能の外国人労働者を支援する登録支援機関を有し、外国人労働者を雇用する企業をサポートしています。
外国人労働者雇用に関するご相談については、初回60分無料でご相談をお受けしています。
不法就労に関するお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
不法就労助長罪自体についてより詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
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※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。
弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
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