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窃盗を繰り返している人から,「どのくらいの確率で捕まってしまうのでしょうか?」という質問をいただくことがあります。
令和2年度では,窃盗罪で検挙された者のうち,約20%が窃盗の前科を持っている人でした。
特に万引きについては,「もう万引きを辞めたい」と思いながら犯行を繰り返している方が少なくありません。
現代社会においては,防犯カメラが至るところにありますし,クレジットカードやsuicaなどのキャッシュレス決済の履歴は個人の特定を簡単にします。罪の痕跡を全く残さずに窃盗をするのは不可能に近いと言えます。
窃盗を繰り返していれば,ほぼ100%の確率で逮捕されると考えられます。
この記事では
☑ どのような場合にどのようにして捕まるのか?
☑ 窃盗をやめたい人がどうすればいいのか?
を説明します。
窃盗の現場には,多数の証拠が残されています。
現代社会においては,防犯カメラが張り巡らされ,どのカメラにも映らないで過ごす事は困難です。
また,テクノロジーの発達により遺留物の採取や遺留物からの情報入手がとても容易になっています。
そのため,証拠により後から捕まる可能性がとても高くなっています。
証拠の内容は事案により様々ですが,代表的なものとしては防犯カメラや電子決済といった電子情報があります。
職場盗などにおいては,犯行に気付いた被害者が小型カメラを設置し,犯行の証拠を押さえるなどの方法で発覚します。
犯行状況が防犯カメラに映っていれば,防犯カメラに映った姿から犯人を特定することが可能です。
特に,犯行現場自体には犯人の顔が写っていなくても,犯行現場周辺にあるたくさんの防犯カメラの中に1つでも顔が写っているものがあれば,そこから犯人を特定できることがあります。
そして,そのように特定された犯人が「どこの誰か!」がわかれば,犯人を捕まえることができるようになります。
この時に役に立つのが電子決済などの情報です。
特に万引きをする人の中には,被害現場やその周辺店舗で買い物をする人も少なくありません。
その買い物でクレジットカードやその他の電子決済をすると,そこから個人を特定することができます。
また,侵入盗(家の中などに侵入して物を盗むこと)では,指紋・足跡・髪の毛などの医療物から本人が特定されます。窃盗を繰り返していれば,いろいろな現場でこれらの異物が採取されます。
窃盗を繰り返した後に逮捕されれば,余罪がたくさん発覚し,重い刑罰が課されることになります。
万引きにおいては,同じ店舗や系列店で万引きをしていると,犯人情報が共有されます。
各店舗のバックヤードなどに「万引き常習犯要注意」などの言葉と一緒に犯人の特徴や防犯カメラに映った犯人の姿の写真が掲示されていたりします。
万引きを繰り返していると,店舗に入った時点でお店の方が「万引き常習犯が来た」と気づいて従業員間でこっそりと情報共有していたりします。
このような場合,万引きの現場を見られて捕まる可能性がとても高くなります。
また,侵入盗(空き巣)においても,近隣地域での被害が発生した場合,警察官が取締りを強化します。
警察官は捜査のプロですので,窃盗をする人の雰囲気を見抜くことができます。
「窃盗をしようとしている人」、もしくは「し終わった人」を見かけたときに職務質問をします。
職務質問をされると,侵入盗を繰り返している人が不審な行動をし,より嫌疑が深まり,最終的に逮捕されるということが少なくありません。
職務質問をきっかけに,過去の事件の遺留物を残した犯人であるということがわかって逮捕されることもあります。
職場盗においては,被害に気がついていた人がこっそりと見張っていて犯行を目撃する,と言うこともあり得ます。
論理的には警察の捜査が及ばないような犯行方法をすれば捕まらない可能性はあります。
ですが,実際にはそのような犯行は困難であると考えられます。
それは何故でしょうか?
窃盗をやめたいのにやめられないと言う人の場合,自分をコントロールできていないことが多いです。
そのため、警察に発覚する可能性があるかないかを厳密に審査しながら犯行に及んでいるとは考え難いです。
現代社会では防犯カメラなどが張り巡らされており,証拠の入手も解析も容易になっています。
そのため、証拠が一切発覚しないような形で犯行を行うのには,相当な時間的金銭的コストがかかります。実際にこのようなコストを払ってまで窃盗を行うのは,経済的合理性がないと考えます。
証拠が一切発覚しないような形での犯行を行うことが可能な人は,そもそもそのようなことをしないのではないかと考えられます。
証拠により逮捕されるという場合,事件からどれぐらい時間が経ってから逮捕されるのでしょうか。
犯行を繰り返し続けている場合,現行犯で捕まる可能性が上がります。
現行犯で捕まらなかった場合,被害申告を受けた警察官は,収集した証拠に基づいて捜査をします。
証拠を収集するのにも分析するのにも令状(逮捕状)を取得するのにも,それなりに時間がかかります。
また,警察官は常にたくさんの事件を取り扱っており,緊急性の高い現行犯や既に逮捕している者についての捜査を優先させざるをえません。
窃盗を証拠に基づいて逮捕する場合,半年以上前の事件で逮捕されることは通常のことです。1年以上前の事件を捜査していることも少なくありません。
窃盗罪の法定刑は,10年以下の懲役または50万円以下の罰金で,時効は7年です。
窃盗をした人は,7年間も逮捕される可能性があるということになります。
窃盗を繰り返している人の中には「辞めたいのに止められない」「もうやらないと思ったのについやってしまう」と言う方が少なくありません。
このような方は2点の対応をする必要があります。
・ すでにしてしまった窃盗事件についての対応
・ 今後窃盗をしないための対応
ここで大切なのは,「自分1人の力で窃盗止められない。だからずっとを繰り返してしまっている」という事実を理解して他人の助けを求めることです。
多くの方がこの事実を認められず,自分1人で窃盗を止めようとし,止められず,窃盗を繰り返してしまっています。
窃盗を繰り返してしまうといずれ逮捕されますし,逮捕されても窃盗をすることを繰り返すと,最終的には実刑となり,刑務所行きになります。
刑務所行きになってもなお窃盗を止められないという人も少なくありません。
そうなると窃盗を止められないために刑務所と社会とを往復する生活になってしまいます。
これを避けるため,自分1人で窃盗を止めようとせず,他人の力を借りるべきです。
ここでいう他人とは,自分以外の人のことで,家族や医師などの医療関係専門家や弁護士のことです。
窃盗を止められないと言うのは依存症である可能性が高いです。
窃盗症・クレプトマニアなどと呼ばれます。
依存症と言うのは、病気であるため、治療する方法があります。適切な治療を受け続けて病気を改善し,窃盗を止められるようにすることが大切です。
依存症・窃盗症(クレプトマニア)について詳しくはこちらご覧ください。
また,将来の窃盗を予防するだけでなく,すでに行ってしまった窃盗への対処もする必要があります。
まだ警察沙汰になっていないのであれば,自発的に被害者に連絡して被害弁償させていただくと言うのも有効な手段です。
上原総合法律事務所では,実際に,警察沙汰になる前に被害者と示談することで警察沙汰を避けられているという事案を多数経験しています。
また,すでに警察沙汰になってしまっているのであれば,被害弁償と再発予防することで,可能な限り刑事処分を軽くして再出発を簡単にすることが有効です。
窃盗で逮捕されてしまった場合
・ 身柄解放のための活動
・ 被害弁償
・ 再犯予防の活動
をする必要があります。
身柄解放のための活動は,証拠隠滅と逃亡の恐れをなくし,身柄拘束の必要性がないということを検察官や裁判官に理解してもらうための活動です。
そのためには,自分が何をしたのかと言う上申書を作成して犯行の全容を自発的に説明したり,ご家族や職場の方からの監督の誓約書を提出してもらったりします。
そして,証拠隠滅や逃亡の恐れがないから身柄拘束をしなくて良いのだということを,弁護士から検察官や裁判官に意見書と言う形で伝えていきます。
被害弁償については,弁護士が被害者に連絡をしてお金を支払ったり店舗への立ち入りをしないことを約束したりします。
大手量販店においては会社の方針で示談をしないと決めているところも少なくありません。
ですが,それでも粘り強く話せば示談できることもありますし,被害弁償を受け取ってくれる事も多いです。
示談はできなくても被害弁償をしている事は必ず有利な状況になります。示談ができる可能性が低いからといってあきらめず,誠意を尽くして被害弁償をするべきです。
そして,再犯予防をしっかりする必要があります。
被害者も検察官も裁判官も,事件に関係するすべての人が「もう二度と窃盗をしないでほしい」と思っています。これに対しては「もう二度としません」と口で言うだけでは足りません。
検察官も裁判官も種の事案をたくさん取り扱っていますので,犯人の「もう二度としない」と言う気持ちだけでは再犯を避けられないと言うことを知っています。
気持ちだけでなく,行動や仕組みで対処する必要があります。病院に行って治療を受けると言う行動や,病院に行き続けるために監督してくれる人との約束など,「もう二度としない」と言う意思だけではなく行動や仕組みを作る必要があるのです。
上原総合法律事務所では,元検察官の刑事事件に習熟した弁護士がご相談お受けします。
窃盗を止めたいのに止められないと言う人や,窃盗で捕まってしまったと言う人は,その人の人生にとって何が大切かと言う視点でのサポートが必要になります。
上原総合法律事務所では,依頼者にとって何が最適なのかを,依頼者とともに考え,窃盗事件と言う重たい問題を抱えた依頼者がより良い将来を迎えられるためのサポートをします。
窃盗事件を起こした本人やそのご家族など,お悩みの方はお気軽にご相談ください。
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※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。
弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
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