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タクシー強盗について元検事の弁護士が解説

タクシー運転手に暴行。 タクシー強盗になる場合とは?

強盗と聞いて、おそらく頭に浮かぶイメージは、拳銃や刃物などの凶器を突き付けてお金を奪うなどの銀行・コンビニ強盗や路上強盗ではないかと思います。
当然、これらの行為が強盗罪に該当することは言うまでもありません。
一般的イメージとして、凶器を用いてお金を奪ったりすることが強盗であると思われることが多いため、普通に社会生活を営んでいる方なら「強盗のような重罪を犯すことない。」と思われているのが大半だろうと思います。
しかしながら、実は、ついつい酒を飲みすぎて泥酔状態になり、ある日突然、強盗を犯してしまう、という事件は頻繁にあります。

特に多いのが、いわゆるタクシー強盗と呼ばれるものです。

令和2年度犯罪白書によれば、令和元年に強盗として認知された1511件のうち約6%がタクシー強盗です。
同じデータにおいてコンビニ強盗が約11.1%であることを考えると、タクシー強盗も非常に多く発生していることが分かると思います。

そこで、今回は、タクシー運転手に対して暴行等を行った場合に焦点を当て、以下の5つの疑問について説明していきたいと思います。

・タクシー運転手に暴行等を行ったら? タクシー強盗になる場合とは?

・強盗で捜査されたら 逮捕されるのか?

・強盗で逮捕・勾留されたら起訴されるのか?

・示談金の相場

・元検事集団である当事務所にできること

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タクシー運転手に暴行等を行ったら?タクシー強盗になる場合とは?

タクシー運転手の言葉や態度に腹を立て、殴ったり、蹴ったりすれば、当然、暴行罪(刑法208条)が成立します。
そして、暴行によって、怪我をすれば傷害罪(204条)が成立します。
では、ニュース映像でよく見かけるような、運転席と後部座席を仕切るアクリル板を殴ったり、後部座席から運転席を蹴ったりするような、身体接触がない場合でも暴行罪は成立するのでしょうか。

暴行罪は、身体接触がなくとも、アクリル板や運転席を介して物理力の行使があったと認められれば、成立するため、暴行罪に問われる可能性があります。
また、耳元で大声を怒鳴るなどの行為でも、暴行罪に問われる可能性があります。

次に、タクシー強盗(236条)になる場合を説明します。
強盗とは、被害者が反抗できないくらいの暴行や脅迫を用いて、他人のものを奪うことによって成立する犯罪です。

タクシーの事案で言えば、運転手に刃物を突き付け、売上金を奪ったりするのが典型的なタクシー強盗です。
そして、他人のもの(売上金)を奪う行為だけではなく、財産上の利益を得た場合にも強盗罪は成立します(236条2項)。

例えば、運転手とトラブルになり、暴力を振るって、タクシー代金を支払わずにそのまま逃げた場合などです。
このような場合、本来支払うべきタクシー代金分の財産上の利益を得たとなり、強盗罪が成立します。これを強盗利得罪と言います。
また、この場合、相手方(運転手)の処分行為(代金を免除する旨の言葉など)がなくても強盗利得罪が成立します。
つまり、代金を請求してきた運転手に対して暴力を振るうことで事実上支払請求ができない状態にすれば、強盗利得罪が成立することになります。
ただ、暴力を振るって支払いを免れれば、全て強盗罪になるわけではありません。

強盗利得罪になる場合とは、相手方(運転手)が反抗できないくらいの暴力や脅迫を行い、支払いを逃れた場合などです。
では、反抗できないくらいの暴力等であるか否かが、どのように決まるのかを説明します。
これは客観的基準により決まります。
具体的には、暴行等の態様だけでなく、場所や時間帯、年齢、体格、性別などを考慮して判断されることになりますので、ケースバイケースということになります。
そして、強盗罪として処罰を受けることになれば、刑罰は「5年以上の懲役」です。
執行猶予を付すことができるのが3年以下です。
このように、強盗罪は前科や前歴がなくとも実刑になる(いわゆる一発実刑)可能性がある、非常に重い罪です。
また、怪我をさせた場合は、強盗致傷罪に問われる可能性があります。
刑罰は、更に重く「無期又は6年以上の懲役」となり、裁判員裁判対象事件となり、さらに一発実刑の可能性が高まります。

強盗で捜査されたら逮捕・勾留されるのか?

強盗で捜査されたからといって、必ずしも逮捕・勾留されるわけではありません。
しかしながら、酒に酔ってのタクシー強盗事案の場合、言い争っている間に警察が駆け付け、現行犯逮捕されるケースが多いほか、逃げたとしても車載カメラや乗車中の会話内容から身元を特定され、後日逮捕となる可能性もあります。
また、酒に酔っていた場合、「事件のことを覚えていない。」と述べる方が多くいらっしゃいますが、捜査機関としては、本当に覚えていないのか、覚えているけれども嘘をついているのか判断がつかず、疑わざるを得なくなるため、否認と捉えられ、逮捕される場合もあります。

強盗罪で逮捕された場合、基本的には勾留されることになるため、長期間身柄を拘束される恐れがあります。
令和2年度犯罪白書によれば、逮捕されたまま検察庁に事件が送られた967件のうち963件、約99%で勾留決定がなされています。
また、強盗は重大な犯罪であるため、10日間の勾留で終わらず、勾留延長されることも多いため、トータルで20日間(逮捕から起算すれば23日間)身柄拘束される可能性もあります。
身柄拘束が長引けば長引くほど、実生活への影響は図り知れません。

例えば、職場や学校に逮捕されたことが発覚し、退職や退学を余儀なくされることもあります。

ただ、ケースによりますが、強盗で逮捕・勾留されたからといって、早期の身柄解放が不可能というわけではありません。
身柄解放のために、最も重要なことは、弁護士を通じて、できるだけ速やかに被害者側に謝罪の意思を伝え、示談交渉を行うことです。
ご本人で被害者に謝罪し、示談交渉も行いたいと思われる方もいらっしゃると思います。
しかしながら、謝罪や示談交渉を行うには,捜査機関から被害者側の連絡先を教えてもらう必要がありますが、犯罪の被害者というのは常に恐怖を抱えているため、通常は「弁護士限り」という約束のもとで教えてもらえることが多いです。
そのため、弁護士を介することで、速やかに示談交渉を開始することができます。

また、示談交渉を開始したことを検察官や裁判官に伝えると、対応が柔らかくなることが多いです。
例え、重大犯罪である強盗で逮捕・勾留されたとしても、真摯に反省の態度を示し、示談交渉を開始することができれば、身柄解放が実現できる可能性があります。

上原総合法律事務所の弁護士は、逮捕・勾留された直後から、速やかな示談交渉の実現を目指し、弁護活動に行っています。

強盗で逮捕・勾留されたら起訴されるのか?

強盗で逮捕・勾留されたとしても、必ずしも強盗罪で起訴されるわけではありません。
先ほども説明したように、強盗罪の成否に関しては、被害者が反抗できないほどの暴行・脅迫があったのか、なかったのかが重要です。
そのことから、捜査の結果、被害者が反抗できないほどの暴行・脅迫がなかったとなれば、強盗罪ではなく、暴行罪や傷害罪等の処罰を受けることになります。

また、仮に強盗罪が成立していたとしても、被害者側と速やかに示談が成立すれば、不起訴処分の可能性も高まります。
特に強盗罪のように重大かつ刑罰が重い犯罪の場合、起訴されてしまうと実刑の可能性が高いため、早期に弁護士に相談し、示談交渉を進めることが極めて重要です。

示談金相場

酒に酔ってタクシー運転手に暴行等を加えた場合、その時の被害状況により示談金の額は異なることになりますが、当然、まず未払いのタクシー代金を支払う必要があります。
それに加え、タクシー会社の業務に支障が出たことによる損害額、運転手の方は怪我をしていれば治療費、休業補償、慰謝料等を支払うことになるのが一般的です。
弁護士は示談交渉のプロでありますから、示談金の額に関しても調整を行いながら、示談成立を目指します。

元検事集団である当事務所にできること

酒に酔ってタクシー運転手に暴行を行った場合、これまで述べたとおり、強盗罪に問われる恐れがあるため、早期に示談交渉等の手を打つ必要があります。
当事務所は元検事集団でありますから、捜査機関の考えや流れを熟知しております。
そのことから、迅速な弁護活動を実現することができます。

上原総合法律事務所では、タクシー運転手を相手方とする多数の事案を取り扱っています。

たとえば、参考事例では、酒に酔った状態でタクシー運転手とトラブルとなり、代金を支払わなかったとして強盗罪で逮捕・勾留されたケースでは、逮捕直後から捜査機関に働きかけを行い、示談交渉を開始したことを速やかに検察官や裁判官に伝え、勾留決定に対する異議申立て(準抗告)が認められ、勾留から数日で身柄解放を実現することができました。
その後、被害者と示談を成立させ、逮捕・勾留罪名は強盗罪であったものの、不起訴処分を獲得することができました。

参考:お客様の声2020年9月度_4(傷害) | 元検事の弁護士による刑事事件法律相談 (keiji-kaiketsu.com)

タクシー運転手とのトラブルでお困りの際には、上原総合法律事務所にお気軽にご相談ください。

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弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

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