不法投棄で警察に呼び出し?逮捕の可能性について

現代社会の刑事事件
[投稿日]
弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

そもそも不法投棄とはどのような行為を指すのでしょうか?
また、不法投棄をしたとして警察から呼び出された場合、逮捕される可能性はあるのでしょうか?
この記事では不法投棄の定義や採りうる弁護活動等について、刑事事件を熟知している元検事(ヤメ検)の弁護士が詳しく解説します。

第1 不法投棄とは?

不法投棄とは、法律に基づき適切に処理すべき廃棄物を、法律に基づかずみだりに山林や河川、道路等へ捨てる行為を指します。
主に廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」といいます。)に違反する行為とされ、厳しい罰則が定められています。

不法投棄の対象となる廃棄物は多岐にわたり、廃棄物処理法2条1項で

ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう

と定められています。
さらに、同条では、「廃棄物」を一般廃棄物、特別管理一般廃棄物、産業廃棄物、特別管理産業廃棄物の4類型に分類しており、これらの各類型には具体的に以下のようなものが含まれます。

こうした不法投棄は、廃棄物の処理費用を節約したいという動機から捨ててしまうケース、正しい処分方法が分からず安易に捨ててしまうケース、法律により厳しい罰則が定められていることを知らず違法行為であるという認識が希薄で「これくらいならいいだろう」という思いから捨ててしまうケース等様々な背景からなされていると考えられます。

第2 不法投棄の罰則は?

不法投棄に対する罰則は、廃棄物処理法25条以下で定められています。

例えば、個人が不法投棄をした場合、同条により以下の罰則が科されます。

5年以下の懲役

1000万円以下の罰金

※場合によって、上記の懲役刑及び罰金刑が両方科されることもあります。

また、法人による不法投棄には更に厳しい罰則が定められています。

例えば、法人の代表者や従業員等が、その法人等の業務に関して不法投棄をした場合、行為者自身に罰則が科されるだけでなく、法人に対しても廃棄物処理法32条1項により以下の罰則が科されます。

3億円以下の罰金

実際に行われた不法投棄の事例では、法令等で定められた廃棄物処理のルールに従わず大量の産業廃棄物を山中や河川沿い等に放置するようなケースが多く見られます。
特に法人がこうした不法投棄に関与した場合、上記のような巨額の罰金刑を科されるだけでなく報道等により社会的信用を大きく失墜する可能性があります。

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※刑事事件の無料相談は一部対象を限定しておりますので、予めご了承ください。詳細は弁護士費用ページをご覧ください。

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第3 不法投棄で逮捕される可能性は?

不法投棄は、重大な環境破壊をもたらす可能性が高く社会に与える悪影響も大きいので、警察が逮捕に踏み切るケースが少なくありません。
特に以下のような場合には、警察により逮捕が検討される可能性が高いと言えます。

・大量の廃棄物が投棄された場合
・爆発性、毒性、感染症等を含む有害物質が投棄された場合
・計画的、反復継続的に投棄された場合

もし警察から不法投棄をした疑いで呼び出された場合、協力的に対応することが重要です。
こうした警察からの呼出しを無視してしまうと、逮捕・勾留により身柄が拘束されてしまう可能性があります。
こうした事態を避けるためにも、投棄した物品や投棄に至った経緯等について正確に伝えられるよう準備を尽くした上で、警察の呼出しに応じることが望ましいでしょう。

警察から突然連絡を受けた時の対処法についてはこちらをご覧ください

取調べ対応について詳しくはこちらをご覧ください

逮捕を避ける方法について詳しくはこちらをご覧ください

第4 初犯なら罰金で済む?

上記のとおり、不法投棄の罰則としては懲役刑だけでなく罰金刑も定められています。
しかしながら、例え初犯であったとしても、内容が悪質であれば罰金刑では済まず懲役刑が科される可能性も十分にあります
特に以下のような場合には、刑事罰が厳しくなる可能性が高いと言えます。

・大量の廃棄物が投棄された場合
・不法投棄により環境や人の健康に重大な被害を与える場合
・捜査に対して非協力的な対応をした場合

また、仮に罰金刑になったとしても、罰金の額が数十万円から数百万円と比較的高額になる場合もあります。

裁判所は、量刑を決める際、示談成立の有無や反省の態度を反映させることがあります。
このため、不法投棄をしてしまった場合、早期に適切な弁護活動を行い、より軽い量刑となるよう手を尽くすことが必要です。

示談について詳しくはこちらをご覧ください

第5 不法投棄の弁護活動とは?

不法投棄に対する弁護活動としては、以下のようなものがあります。

・事実関係を確認、整理し、意図的な行為でないことを証明できないか検討する

・被害者との間で示談交渉を行い、損害賠償や謝罪をする

・初犯で反省しており再発防止を尽くしていること等を示し減刑を求める

これらのうち、投棄された土地の所有者や被害を受けた住民との示談は、量刑の軽減に重要な役割を果たします。

示談を成立させることで、刑事責任の追及を免れることができる可能性もあります

不法投棄に関与した可能性がある場合は、早急に弁護士へ相談することをお勧めします。
早い段階から法律の専門家の助言を受けることで、最悪の事態を回避しやすくなります。
特に被害者との示談交渉については、経験豊富な弁護士が対応することにより、示談成立の可能性を高めることができます。

不法投棄は、環境や社会に大きな影響を及ぼす違法行為です。
警察からの呼出しに備えて冷静に対応し、必要であれば弁護士に相談しましょう。
適切な対処を行うことで逮捕・勾留を免れることができたり、罪を軽減し社会復帰をスムーズにしたりすることが可能です。

第6 お気軽にご相談ください

上原総合法律事務所は、元検事 8名を中心とする弁護士集団で、迅速にご相談に乗れる体制を整えています。

刑事事件に関するお悩みがある方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

経験豊富な元検事の弁護士が、迅速かつ的確に対応いたします。

弁護士費用例【不法投棄事件を起こしたが示談できて前科を避けられた】

着手金:55万円

成功報酬(不起訴・立件なし):66万円

日当(出張1回):3万3000円

※費用は一例です。弁護士費用は具体的な事案によって異なることがありますので、法律相談時にお尋ねください。

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