依頼者 30代 男性
職業 勤務先会社支店長
罪名 業務上横領
被害金額 100万円以上1000万円以下、回数10回以上
結果 示談成立で執行猶予
Aさんは、30代の会社員男性です。
勤務する会社に勤めてから数年経ち、経営陣から評価され、会社の経営する飲食店の支店長を任されました。
支店長としての成績が良く、上司からも部下からも信頼される中で、支店の金銭の管理もAさんのみが管理するようになっていきました。
そうしたところ、Aさんは、急にお金が必要になったある日、会社に無断で支店の金庫からお金からお金を借りてしまいました。
そのお金は数日後に金庫に返したのですが、その後、お金が足りなくなると支店の金庫からお金を借りるようになり、いつしか癖になってしまいました。
そして、徐々にお金を返し終わらないうちにお金を借りてしまい、徐々に借りている額が膨らんでいきました。
なんとかしなければいけないと思っていながらも借金は膨らんでいき、結局、数年間の間に数百万円も借金ができ、どうしようもなくなってきてしまいました。
最終的に、会社が不正に気がついてAさんを問い詰め、Aさんが事実を認めたため警察に被害を届け出て、最終的にAさんは逮捕・勾留されてしまいました。
Aさんの逮捕後、Aさんのご家族がご相談にいらし、ご相談当日にご依頼がありました。
そこで、弁護士がすぐに警察署に行ってAさんに面会し、事情を聞きました。
Aさんは容疑をすべて認め、会社に謝罪したいとのことでした。
そのため、弁護方針は、事実を認めて会社に謝罪し、できる限りの被害弁償をする、ということにしました。
方針が決定したため、まず、Aさんには謝罪文を作成してもらい、それを添付して勾留に対する準抗告をしました。
準抗告に際しては、弁護士が担当裁判官に会いに行って面談してもらい、Aさんの意思を直接伝えました。
その甲斐あってか、裁判官に状況を理解していただき、Aさんは勾留から数日後に釈放されました。
準抗告とともに、弁護士は、会社に対して被害弁償したいという働きかけを進めていました。会社は、示談はしないけれども弁護士の話を聞きはする、ということで、経営陣とお会いしていただくことができました。
当初、会社はAさんの謝罪文を受け取ることもせず、示談については全く受け付けてもらえませんでした。
そのため、なかなか示談は成立せず、Aさんは示談を諦めかけ、方針転換を検討しました。
ですが、本件では被害金額が大きく、示談できなければ執行猶予がつかずに実刑になる恐れがありました。また、会社も、弁護士に会ってくれる状況ではありました。
そのため、可能性が残っている限り示談を諦めることはせず、「弁護士がAさんやその家族と何度も話し合い、Aさんの反省を深め、その反省を弁護士が会社に伝える」、という方法をとることにしました。
そうしたところ、初めは示談の話を全く受け付けなかった会社が徐々にAさんの反省を受け入れてくれるようになり、最終的に、示談することができ、裁判で執行猶予を得ることができました。
「会社に信頼されていた人がふとした事から横領し、それを繰り返すようになり、気がついたら総額が膨らんでいた」という事案は、とても典型的な業務上横領事件です。
このような場合、会社は信頼を裏切られているため、感情的になってしまいます。そのため、時間をかけてしっかりと謝罪していくことが大切です。
Aさんがしっかり反省し、その反省が適切に会社に理解してもらえたことが、示談が成立した最大の理由だと考えています。
この事件について弁護士として欲を言うならば、会社に発覚する前や被害申告される前に相談して欲しかった、ということです。
Aさんは、幸い実刑を免れ、執行猶予ですみ、今は再就職して頑張っています。
ですが、業務上横領事件は被害金額が高額になっていることが多く、刑事事件になれば実刑となる可能性があります。
事件が会社に発覚する前や発覚してすぐに適切な対処をすれば、刑事事件にならずにすむ可能性もあります。
Aさんは家族にお金を借り、会社に支払う示談金を用意することができました。
手元にお金がない場合でも、家族から借りることができることもありますし、必要があれば弁護士がご家族に状況を説明することもできます。
横領は、繰り返していけば必ず発覚します。
数年経ってから過去の横領が発覚して逮捕されることもあります。
可能であれば、会社に発覚したり被害申告されたりする前に解決しておくことが、最も良い解決になると思います。
横領してしまった、横領が会社に発覚したという方は、早めにご相談いただけると、より良い解決につながる可能性があります。
横領された場合の会社側の対応は、こちらをご覧ください。
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