事例 窃盗(万引き、クレプトマニア、窃盗癖)
大量の被害品を万引きした案件→クレプトマニアであることを主張して不起訴
20―30代 女性 同種罰金前科あり
Aさんは、数年前から万引きをすることを繰り返していました。
初めは、お金を節約するために自分が必要なものを万引きしていましたが、徐々に万引き自体が癖になってきました。
Aさんが万引きをする品物は、主に化粧品でした。
Aさんは万引きを繰り返すうちに、何個もストックを持っていて何年分も家にあり、それ以上買う必要がなくなっても万引きするようになりました。
その頃には、万引きをすることでストレス解消をすることに依存していました。
そうしたところ、Aさんは、大手スーパーで化粧品を数十個も一度に万引きしたところで捕まり、逮捕されました。
Aさんは、今回の事件で逮捕される前にも、2回お店で捕まり、警察に行っていました。
2回目の時は、罰金を受けていました。今回の逮捕は、それを踏まえてのものでした。
Aさんの逮捕後、Aさんのご両親がご依頼にいらしました。
ご両親は、前回の罰金刑までの事件を知っていましたが、その際特に弁護士を頼むこともなく、今回が初めての弁護士依頼でした。
万引を繰り返している人の場合、クレプトマニアと言われる状態なのではないかを検討する必要があります。
クレプトマニアは窃盗癖などと言われ、窃盗をすること自体に依存して窃盗を繰り返してしまう人のことを言います。
クレプトマニアの方は、理性では窃盗をやめたいと思ってとても思い悩んでいるのに、気がついたら窃盗をしてしまっています。
多くの場合、治療をしなければ、刑務所に行って十分に辛い思いをした人でも再犯をしてしまいます。
そのため、弁護士としては、依頼者がクレプトマニアであると疑われる場合、刑事処分を軽くするための活動をするとともに、再犯を予防する活動をする必要があります。
刑事処分を軽くするための活動としては、それまでにAさんが精神科にかかったことがありましたので、その履歴を調べ上げて検察官に伝えました。
また、やってはいけないと心の底から思いながらも気がついたら万引きをしてしまうという心境について、検察官に嘘をついて言い訳をしていると誤解されないように、Aさんの思いを丁寧に伝えられるよう、十分に弁護士と打ち合わせをして準備して取り調べに臨みました。
そして、Aさんにはクレプトマニアの治療を専門としている病院を紹介し、そこに通って治療し、再犯予防のトレーニングを徹底的に受けてもらいました。
その結果、Aさんには万引きをして罰金刑を受けた前科があるにも関わらず、不起訴にしてもらうことできました。
刑事処分は不起訴になりましたが、その先もずっと万引きをしてはいけないのですから、再犯予防に終わりはありません。
万引きの再犯を繰り返してしまう人の多くは、病院に行くのをサボりだしてから再犯をします。
弁護士は、AさんにもAさんのご家族にも、来なくていいと言われるまで病院に通い続けるようにと、しつこく言いました。
不起訴になった数ヶ月後にAさんとご連絡をとったところ、ちゃんと病院に通い続けており、万引きもせずに済んでいるようです。
クレプトマニアによる窃盗は、本人の意思に反して行ってしまう犯罪であるという点に特徴があります。
そして、依頼者やご家族が心の底から更生を望んでいるため、特にやりがいを感じます。
Aさんについては、幸運にも、罰金前科があるにも関わらず不起訴になるという最高の結果となりました。
Aさんが二度と万引きをせず、この出来事を糧にしてご家族と共に幸せに過ごしてくれることを願っています。
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