閉じる×

観護措置決定(少年の鑑別所行き)について元検事の弁護士が解説します。

観護措置とは何か

観護措置とは、家庭裁判所が、事件を起こした少年の身柄を確保したり保護したりするために身柄拘束することです。専門的には「家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、少年の心身の鑑別をしたり、緊急に少年の保護が必要である場合に終局決定に至るまでの間、暫定的に少年を保護するための措置」であると説明されます。

観護措置がなされると、少年は少年鑑別所に送致されます。

なお,少年事件においては男女問わず「少年」と呼びますので,この記事でもここでも未成年の人を男女問わず「少年」と呼びます。

※上記以外にも「観護措置」と呼ばれる以下の2つの制度があります。ですが、これらの制度はあまり用いられないので、この記事で単に「観護措置」という時は、家庭裁判所に移送された少年を身柄拘束する手続きのことを呼びます。

(1)勾留に代わる観護措置

成人の刑事事件であれば勾留することができる事案であっても、少年事件においては「やむを得ない場合」でなければ勾留できず、勾留に代わる観護措置によるべきとされています。

(2)少年を家庭裁判所調査官の観護に付する措置

家庭裁判所送致後に、身柄拘束を伴わずになされる観護措置です。
在宅送致と呼ばれます。

元検事弁護士に無料相談 LINEでのご相談予約 メールで相談予約
03-6276-5513

観護措置にするかどうかはどのように決まるのか

法律上は、観護措置は「審判を行うため必要がある時」にできると抽象的に記載されています。ですが、家庭裁判所の運用においては、観護措置をするために複数の要件が必要であるといわれており、その中で弁護の観点から主要なものは以下の通りです。

(1)少年が非行を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること

少年の意に反して身柄を拘束する手続きですので、少年が非行を犯したことに関して、成人を勾留するときに必要な程度の権利が求められています。

(2)審判を行う蓋然性があること

非行が軽微で要保護性もないということであれば、そもそも審判をしないことになりますので、そのような場合には観護措置もなされません。

(3)観護措置をとる必要性

①少年の身柄の確保の必要性
②緊急に少年を保護する必要があること
③少年を収容して心身鑑別をする必要があること、のいずれかがあること

 ①については、住居不定や逃亡のおそれがある場合に加え、証拠隠滅のおそれがある場合も身柄確保の必要性があるとされます。
 ②については、自殺・自傷の恐れがある場合や、保護者から虐待をされるおそれがある場合などのことを想定されています。
 ③については、精密な心身鑑別の必要性がある場合などの限定的な場合が想定されています。

観護措置を避けるために

少年や保護者にとって、観護措置がなされるかどうかはとても重大なことです。
観護措置を避けるためには、まず、少年がどのように事件に関与したのかということについて、弁護士ができるだけ少年から聴取して裁判官・検察官に伝えることが必要です。
少年が自分でうまく話をできていなければ、実際にやったことよりも悪いことをしたように受け取られてしまう可能性があります。

また、少年事件においては、少年の更生のための環境がいかに整っているかもとても大切です。

少年の周りに信頼できる保護者や職場の方がいるということを、裁判官・検察官に伝えます。これは、保護者や職場の方の上申書を弁護士と一緒に作成し、提出することが有益です。この際、上申書は「監督します」とただ書くだけではなく、事案に応じ、なぜ少年が非行を行い、それをどのようにして改善していけるのか、ということを具体的に話し合ってその結果を記載することが有益です。

さらに、少年自身の成長も必要です。少年の多くは、自分のしたことについて反省し、もう二度としないようにしようと思っています。
ですが、非行をする少年の中には、被害者の感情を想像する能力や、自分のしたことがどのような結果につながるかを考える能力が十分に育まれていないことがあります。
このような場合、ただ「もう二度としないようにしよう」と心に誓っただけでは、今起こした事件とは少し異なる事情があるだけで応用が利かずに事件を起こしてしまう可能性があります。
少年自身が、自分がなぜ非行をしたのか、を考えるとともに、非行をした背景に気がつくよう周囲の大人が導き、成長させてあげることが大切です。

ご相談はお気軽に

少年事件が身柄拘束されるかどうかは、少年の心身に大きく影響与えます。
少年事件によるダメージを軽減するとともに、少年事件の経験を将来に生かせるようにするためには、信頼できる大人と、刑事事件に精通した弁護士のサポートが有益であると考えます。

上原総合法律事務所では、迅速にご相談を受けられる体制を作っています。
お気軽にご相談ください。

■LINEでのお問い合わせはこちら
■メールでのお問い合わせはこちら
※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。

弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

関連記事はこちら
元検事弁護士に無料相談 LINEでのご相談予約 メールで相談予約
元検事弁護士に無料相談 03-6276-5513 LINEでのご相談予約はこちら メールでのご相談予約はこちら

お問い合わせ メールでのお問い合わせ LINEでのご相談予約はこちら

お問い合わせ状況

昨日のお問い合わせ件数

今月のお問い合わせ件数

95

外国人労働者雇用.com

コンテンツメニュー

コラム

【新着コラム】

【コラムカテゴリー】

アクセス

【新宿事務所】

〒151-0051
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-27-3
やまとビル7階
新宿駅新南口 徒歩3分
新宿三丁目駅 E8出口すぐ
代々木駅東口 徒歩5分


【横浜事務所】

〒220-0004
神奈川県横浜市西区北幸2-9-40

銀洋ビル7階

横浜駅南9出口徒歩5分


【立川事務所】

〒190ー0012
東京都立川市曙町2ー8ー28

TAMA MIRAI SQUARE 4階

JR立川駅北口徒歩5分