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脱税幇助とは、「脱税の手助けをした」、という犯罪です。
顧問税理士をつけている会社や個人事業主が脱税をする場合に、顧問税理士が脱税だとわかりながら税務申告をすることがあります。
このような場合、税理士は脱税幇助だとして刑事処罰の対象になり得ます。
この記事をより詳しくご理解いただくために、動画を作成いたしました。
6分ほどの動画ですので、是非ご覧ください。
脱税の捜査がなされる場合、まず、国税庁調査査察部や国税局が犯則調査にやってきます(いわゆる「マルサ」が入ります。)。
この調査は、脱税をしていると考えられる会社や個人事業主の事業所・社長の自宅・取引先などを対象とします。
事前予告などはなく、ある日突然、捜索差押令状を持った職員が関係各所に一斉にやってくる、というのが通常です。
この調査を受けると、会社や関係者は騒然となり、「これからどうなるのか」、という不安や、「どうしたら良いのかわからない」、という混乱でいっぱいになります。
反則調査がはじまると、その後、関係者は国税査察官の取調べを受けることになります。
国税査察官は、社長や経理担当者のほか、税理士や取引先等の関係者多数を呼び出し、取調べをします。
この取調べは、法的には応じる義務のない任意調査ですが、調査に協力しなかった結果、証拠隠滅の恐れがあるなどと判断されて、逮捕・勾留される可能性があるため、注意が必要です。
なお、指定された取調べ日程に出頭できないことからすぐに、非協力的で証拠隠滅の恐れがあると判断されるとまでは言えず、日程調整の余地はあり得ます。
担当官は数ヶ月から1年以上当該案件について査察調査を続け、その後、事件を検察官に刑事告発するかどうかを決めます。
告発を避けることができれば、刑事処罰を受けることはありません。
年によってばらつきがありますが、国税庁が査察調査に着手した案件については、概ね70%程度が告発されています(国税庁発表資料より)。
令和2年度は、111件の査察調査が行われ、83件が告発されました(告発率73.5%)。
なお、告発された83件の内訳は、所得税8件、法人税55件、消費税18件、源泉所得税2件でした。
また、コロナの影響か、令和2年度の告発件数は、例年に比べて少なかったと言えます。
告発を受けた検察官は、自ら捜査をし、事件を起訴するかどうかを決めます。
検察官は、証拠隠滅や逃亡の恐れがあると考えた場合、裁判所の令状に基づいて被疑者を逮捕・勾留します。
告発された件数のうちのどれだけが起訴されるのかについての正確な公表資料は見当たりませんが、平成29年から令和元年の3年間で合計510件が告発され、平成30年から令和2年に合計333件の税法違反に関する判決が出されているため、概ね60%強(※1)が起訴されていると考えられます。
起訴された事件は約99%が有罪となっています。
※1.告発から判決までには時間がかかるため、告発された数は平成29年から令和元年の数字を参照し、判決の数は1年後ろの平成30年から令和2年の数字を参照しています。
税理士が脱税幇助をしたとして刑事裁判で有罪判決を受けると、一定の期間、税理士業務をすることができなくなります。
刑罰を受けた場合の税理士資格について、詳しくはこちらをご覧ください。
また、刑事裁判を避けられた場合には、税理士資格に影響があります。
税理士が故意に、真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成をしたとき又は脱税相談等(税理士法36条)をしたときは、2年以内の税理士業務の停止又は税理士業務の禁止の処分の対象とされています(税理士法第45条第1項)。
ここにいう「故意」とは、事実に反し又は反するおそれがあると認識して行うことをいいます。
事実に反すると認識していなくても、事実に反する恐れがあると認識していれば故意とされるため、注意が必要です。
また 税理士が、相当の注意を怠り、真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成をしたとき又は脱税相談等(税理士法36条)をしたときは、戒告又は2年以内の税理士業務の停止の処分の対象とされています(税理士法第45条第2項)。
ここにいう「相当の注意を怠り」とは、税理士が職業専門家としての知識経験に基づき通常その結果の発生を予見し得るにもかかわらず、予見し得なかったことをいいます。
このように、脱税幇助をすると、刑事事件化を避けられたとしても、業務停止等の懲戒処分を受ける可能性があります。
税理士法第三十六条
税理士は、不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、
又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき、
指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為をしてはならない。
第四十五条
財務大臣は、税理士が、故意に、真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成をしたとき、
又は第三十六条の規定に違反する行為をしたときは、
二年以内の税理士業務の停止又は税理士業務の禁止の処分をすることができる。
2 財務大臣は、税理士が、相当の注意を怠り、前項に規定する行為をしたときは、
戒告又は二年以内の税理士業務の停止の処分をすることができる。
顧問先がマルサに入られた場合、顧問税理士にも調査が入ると考えられます。
このような場合、税理士にも「刑事告発、逮捕勾留、起訴、有罪判決、懲戒処分」といった不利益が生じ得ます。
ですが、国税庁が査察調査に着手した案件については、概ね70%程度が告発され、そのうちの60%強が起訴されており、国税庁が査察調査に着手した案件の約40~50%が起訴されています。
これは、逆に言うと、国税庁が査察調査した案件の約30%が刑事告発を、50%以上が起訴を避けられている、ということを意味しています。
では、「刑事告発、逮捕勾留、起訴、有罪判決、懲戒処分」といった不利益を避けるためにはどうすれば良いのでしょうか。
「刑事告発、逮捕勾留、起訴、有罪判決、懲戒処分」といった処分をするかどうかは、そもそも「脱税に関与したか」、「関与したとして故意だったかどうか」、「脱税額や脱税への関与方法・関与による報酬額、事後の反省状況」等を考慮して決まります。
そのため、「脱税幇助していないこと」、「脱税幇助していたとしても情状が悪くないため告発・起訴・懲戒処分にする必要がないこと」、「脱税額が容疑よりも小さいこと」、「脱税に関与せざるを得なかった理由」など、被疑者に有利な事情を捜査機関等に伝えていくことが大切になります。
その際、場合によっては敢えて被疑者にとって不利な証拠を提出し、反省等を示していくこともあります。
具体的にどのような弁護活動をするかは、依頼者の置かれた状況や目的に応じ、個別具体的かつ臨機応変に決めていく必要があります。
税理士にとって、脱税幇助をしていなくても、脱税幇助の疑いをかけられてしまうと、その対応自体が物理的・精神的に、とても大きなコストとなります。
そのため、日常業務の時点から、万が一にも顧問先企業が顧問税理士に隠れて脱税をしていた場合に顧問税理士が疑われることのない仕組みを作っておく必要があります。
具体的には、通帳等は原本を確認する、顧客とのやりとりを証拠に残すといった基本の徹底をするとともに、個別事案について疑問に思ったときに、詳しい弁護士に気軽に相談できる体制を作っておくことが有益です。
脱税幇助を疑われてから初めて弁護士に相談すると、脱税幇助として不利益を被る恐れもある上、膨大な弁護士費用がかかります。
医学の世界には「予防は治療に勝る」という格言がありますが、このことは法律の世界においてもそのまま当てはまります。
上原総合法律事務所に弁護をご依頼いただく場合の弁護士費用は以下の通りです。
〇国税庁による調査段階
着手金 110万円
成功報酬(告発を防げた場合)330万円
〇検察庁捜査段階
着手金 110万円
成功報酬(不起訴となった場合)220万円
月額6万円(消費税別)
上原総合法律事務所の顧問料は月額【6万円、10万円、20万円(全て税別)】があり、それぞれ稼働量が異なります。
税理士数が数名程度の事務所様については、月額6万円のプランで対応可能かと存じます。
なお、士業の顧問先については、顧問先の顧問先についてのご相談(弊所が顧問をしている税理士さんの顧問先のご相談)も無料でお受けいたします。
上原総合法律事務所では、迅速にご相談をお受けできる体制を整えています。
脱税事件については、必ず元検事の弁護士が直接担当いたします。
脱税事件は税理士さんにとって死活問題です。
脱税幇助の疑いを持たれた場合、至急の対応が必要となりますので、お気軽にご相談ください。
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※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。
弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
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