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ハラスメント問題について元検事の弁護士が解説

第1 「パワハラ」「セクハラ」「マタハラ」とは

1 はじめに

パワハラ」「セクハラ」「マタハラ」というワードは,日々,あちらこちらで使われており,もはや聞き慣れたものになっていると思います。

ですが,その正確な定義(意味)をご存知でしょうか。

社会から「パワハラ」「セクハラ」「マタハラ」に厳しい目が向けられている現状に鑑みて,まずはその定義(意味)について振り返ってみましょう。

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2 職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)とは

 

パワハラとは

①優越的な関係を背景とした言動

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

③労働者の就業環境が害されるもの

 

をいいます。

①から③までの要素を全て満たすものをいうとされています。

パワハラの典型例 は,

・長期間にわたって肉体的苦痛を伴う過酷な環境下において勤務に直接関係のない作業を命ずる場合

・相手の能力を否定し罵倒するような内容の電子メールを複数の労働者宛てに送信する場合

・労働者の性的指向や病歴等の機微な個人情報を他の労働者に暴露する場合

などが挙げられます。

3 職場におけるセクシュアルハラスメント(セクハラ)とは

 

セクハラとは

①性的な言動に対する労働者の対応によりその労働者がその労働条件につき不利益を受けるもの(対価型セクハラ

②当該性的な言動により労働者の就業環境が害されるもの(環境型セクハラ

 

をいいます。

対価型セクハラの典型例は,

・飲み会の帰りのタクシーで,上司が女性の胸などに触ったところ,抵抗されたために,その部下に不利益な配置転換した場合

環境型セクハラの典型例は,

・同僚が社内や取引先などに対して性的な内容のうわさを流したので仕事が手につかない場合

などが挙げられます。

 

4 職場における妊娠,出産等に関するハラスメント(マタハラ)とは

 

マタハラとは

①産前休業,育児休業などの制度や措置の利用に関する言動により就業環境が害されるもの(制度等の利用への嫌がらせ型)

②女性労働者が妊娠したこと,出産したことなどに関する言動により就業環境が害されるもの(状態への嫌がらせ型)

 

をいいます。

制度等の利用への嫌がらせ型の典型例は,

・妊娠により外回りの仕事を免除してもらっていることを理由に「あなたばかりずるい」と言われて仲間外れにされたり,男性が上司に育休の取得を申し出たところ「男のくせにありえない」などと言われた場合

状態への嫌がらせ型の典型例は,

・「就職したばかりなのに妊娠して産休を取ろうなんて図々しい」などと言われた場合

などが挙げられます。

第2 ハラスメント問題を放置することの弊害について

1 事業者には雇用管理上の措置を講じる義務があります!

事業者は,いわゆる男女雇用機会均等法育児・介護休業法により,事業所の規模を問わず,セクハラ・マタハラの被害者からの相談に応じ,適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上の必要な措置を講じることが義務付けられています。

また,2020年6月1日,改正「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(パワハラ防止法)が施行されました。

これにより,パワハラについても,事業者に雇用管理上の必要な措置を講じることが義務付けられました(なお,中小企業については2022年3月31日までは努力義務とされています)。

このように,パワハラ・セクハラ・マタハラのいずれについても事業者には雇用管理上の措置を講じる義務があるのです。

2 ハラスメント問題を放置した場合のリスクについて

さて,これらのパワハラ・セクハラ・マタハラが発生したことを認識したにもかかわらず,対応が面倒だなどとこれらを放置した場合には,どのようなリスクがあるのでしょうか。

1つ目は,事業者が被害者から裁判を起こされて,損害賠償などを請求されるというリスクです。

加害者は,被害者に対して,不法行為責任(民法709条)を負いますから,本来であれば,加害者が被害者に対して損害賠償を支払うのが筋です。

しかし,加害者に資力がなく,加害者に対して損害賠償を請求しても,十分に被害者が救済されない場合もあります。

その場合,被害者は,事業者に対して,使用者責任(民法715条)に基づいて損害賠償を請求する可能性があります。

また,被害者は,事業者が雇用管理上の措置を講じなかったとして,安全配慮義務や職場環境配慮義務を怠ったとして,債務不履行(民法415条)に基づいて損害賠償を請求する可能性もあります。

損害賠償の金額は,被害者の状況等によりさまざまですが,治療費・通院費用,休業損害,慰謝料,弁護士費用などを請求されることになります。

2つ目は,事業者の信用にダメージが生じるリスク(いわゆるレピュテーションリスク)です。

昨今は,SNSが当たり前のように使用される時代であり,ハラスメントを撮影した動画などはすぐに拡散し,インターネット上で「ブラック企業」などと認定され,いわゆる「炎上」の状態となってしまいます。

しかも,インターネット上に拡散された情報は,将来にわたって残ってしまいますし,一度拡散された情報を削除するのは困難であり,削除できるにしても時間と費用がかかってしまいます。

そうなれば,事業者の信用は著しく低下し,顧客離れだけでなく,従業員離れも生じかねません。

第3 元検事が率いる弁護士チームができること

1 ハラスメントが発覚したらまず事実関係の調査を!

さて,ハラスメントを放置した場合のリスクについては,既に述べたとおりですが,ハラスメントが発覚した場合には,まず何をすればよいのでしょうか。

この点について,厚生労働省は,事業者が講じるべき雇用管理上の措置を指針としてまとめています。

この指針によれば,ハラスメントが発覚した場合には,事業者は,まずもって,事案に係る事実関係を迅速かつ正確に把握することが求められています。

その上で,ハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては,速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行い,行為者に対する措置を適正に行うことが求められています。

このように,ハラスメントが発覚した場合に事業者に求められるのは,事実関係を迅速に調査し,正確な事実関係を把握することです。

事実関係を迅速かつ正確に把握できなければ,被害者に対する配慮のために何をどうするのかを決められませんし,行為者に対してどのような措置を行うかを決めることもできません。

2 元検事率いる弁護士チームが依頼者様をサポートします!

繰り返しになりますが,ハラスメントが発覚した場合には,まず事実関係を迅速に調査して,正確に事実関係を把握することが何よりも重要です。

そして,先ほどの厚生労働省の指針は,事実関係の調査に当たっては「相談者及び行為者の双方から事実関係を確認すること」「相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも適切に配慮すること」「相談者と行為者との間で事実関係に関する主張に不一致があり,事実の確認が十分にできないと認められる場合には,第三者からも事実関係を聴取する等の措置を講ずること」を求めています。

また,この指針は,「事実関係を迅速かつ正確に確認しようとしたが,確認が困難な場合などにおいて…(中略)…その他中立な第三者機関に紛争処理を委ねること」も求めています。

 

我々は,元検事でありますから,加害者からも,性犯罪を含めた被害者からも,目撃者などの第三者からも事実関係を聴取した経験が多数あり,被害者の心身の状況等に配慮した聴取を行うことはもちろんのこと,事実関係を聴取することには自信があります。

また,我々は,加害者と被害者の言い分が食い違う事案も多数処理した経験がありますから,どちらの言い分が正しいのかを証拠によって正確に認定することにも自信があります。

我々は,元検事としての経験を活かし,事業主の皆様が雇用管理上の措置を講じたと自信を持って言えるよう,チーム一丸となって全力でサポートいたします。

 

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※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。

弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

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