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検察審査会

1 検察審査会とは何か

検察審査会とは、国民の中から選ばれた11人の検察審査員が、検察官の不起訴処分に対して、その判断が適切だったかどうかを審査するものです。

起訴・不起訴の判断は、検察官のみが持つ権限です。

検察官の不起訴の判断を不服とする人からの申立てがあった場合、不起訴処分が妥当であったかを国民の目線から判断をします

昭和23年から始まったこの制度ですが、令和2年12月末時点で、検察審査会に審査を申し立てられた被疑者はこれまでに約18万人と、多くの件数が申し立てられています。

平成16年に検察審査会法が改正されたことにより、審査会の権限が強化されました。

この検察審査会の制度、ニュースなどでは政治家や大きな事件などが取り上げられがちですが、審査の申立て自体は、次に述べるように、被害に遭った方など事件に関係する人は申し立てることができます

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2 検察審査会に対する審査申立てから審査議決まで

検察審査会に対する審査の申立ては、告訴人、告発人、犯罪被害者等が行うことができます。

なお、不起訴処分に対する不服を申し立てる制度であるため、略式請求で罰金刑となったり、殺人罪が傷害致死罪に認定されて起訴された場合など、不起訴以外の処分に対する不服の申立てはできません

検察審査会は毎年3月、6月、9月、12月にそれぞれ会議が開かれ、審査を行った後、議決をします。議決は、以下の3種類があります。

・起訴相当:起訴を相当とする議決

・不起訴不当:公訴を提起しない処分を不当とする議決

・不起訴相当:公訴を提起しない処分を相当とする議決

 

 

このうち、①起訴相当、②不起訴不当の議決がなされた場合は、検察官が再度事件を捜査し、起訴するか否かを検討することとなります。

さらに、①起訴相当と議決がなされた場合で、検察官が再び不起訴処分とした時又は定められた期間内に議決に対する処分がなされなかった時は、検察審査会は再び審査を実施します。

検察審査会の再審査で再び起訴が相当と判断された場合、検察官に意見を述べる機会を与えた上で、審査員の8人以上の多数が「起訴をすべき」と議決した時、強制的に起訴されることになります。

検察審査会が強制的に起訴をすることができる権限は、平成16年の法改正により導入され、以後、強制起訴がなされるようになりました。

強制的に起訴をされた代表例は、明石歩道橋事故や東京電力の福島第一原子力発電所の事故です。

しかし、これらの事故もそうですが、検察官による緻密な事実認定や適切な法的な判断がなされまま強制的に起訴をされているため、起訴がなされて裁判が開かれても、裁判で無罪となることもあります。

裁判所の統計では、

起訴相当議決       1.4%

不起訴不当議決      9.1%

不起訴相当議決     59.4%

そのほか(議決未了等) 30.1%

 

となっており、再度の捜査が行われるのは、申立てされた事件のうち約10%ほどであることが分かります。

また、検察官による再度の捜査が行われ、起訴がなされたのは約1600人、起訴議決(強制起訴)になったのは15人となっています。

検察審査会に申し立てられた人数はこれまで約18万人、そのうち再度の捜査が行われるのは約10%の約1万8000人、再度の捜査ののち起訴がされたのは約9%の約1600人となっています。

検察審査会に申し立てられると、約100人に1人の割合で起訴がなされていることが分かります。

3 検察審査会に審査を申し立てられた場合に生じる不利益

審査の結果、起訴相当又は不起訴不当の議決がなされた場合、検察官による再度の捜査が始まります

検察官は、検察審査会の意見を踏まえ、不起訴処分が正しかったのか否か判断するため、事件関係者への再度の聞き込み調査や、被疑者であった方も検察庁において再度取調べを受ける可能性があります。

再度の捜査の結果、起訴される可能性もありますし、再度不起訴になっても、検察審査会の審査次第では、強制的に起訴される可能性もあります。

起訴がされてしまうと、その後、公開の法廷で裁判が開かれることになります。裁判を受けるために弁護士に依頼をしたり、裁判に出廷するなど、金銭面でも時間面でも多くの労力を割かざるを得なくなります。

なお、不起訴処分には、主に犯罪事実の存在が立証しきれない場合になされる「嫌疑不十分」と、犯罪事実の存在は立証できるけれども刑事責任を問うほどではないと判断した場合になされる「起訴猶予」とがあります。

後者の「起訴猶予」の場合については、既に犯罪事実の存在が立証できるとされてしまっているため、前者に比べて起訴が容易であることから、特に注意が必要です。

4 3を避けるためにできること

現在の制度上、検察審査会に審査が申し立てられたことは、事件の被疑者には通知されません

そのため、審査において不起訴相当とするために行えることは多くはありません。

検察審査会への審査を申し立てる方は、不起訴処分になったことへの不服が理由ですので、まず、不起訴処分になる前の段階から被害者の方や告訴告発をされた方に対してできる限りの被害弁償や謝罪の意思を伝えることが大切です

仮に、検察官から呼出しを受けるなどして検察審査会に審査が申し立てられたことを知った場合でも、検察審査会宛てに意見書や上申書を提出することができます。

そのような場合、弁護士とともに意見書や上申書を作成するなどして、検察審査会に対し、検察官が行った当初の不起訴処分の判断が妥当であることを主張していきます(なお、検察審査会法は、被疑者の方が検察審査会に意見を述べることを権利として定めておらず、検察審査会の運用として意見書や上申書を受理してもらっているのが実情です)。

5 検察審査会に審査を申し立てられた場合のご相談は上原総合法律事務所へ

上原総合法律事務所では、元検事の経験を活かし、検察審査会とはそもそもどういうものなのか、どのような場合に起訴されるのか、起訴されないためにはどのようなことを行ったらいいのか、起訴された場合はどのように裁判が進んでいくのかなど、様々なご説明及びアドバイスを行います。

検察審査会に審査が申し立てられるということは、自分の身に起こることはあまり想像ができないことですし、どのように対応したらいいのかご不安を抱えていらっしゃると思います。

まずは、お気軽にご相談ください。

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※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。

弁護士 上原 幹男

弁護士 上原 幹男

第二東京弁護士会所属

この記事の監修者:弁護士 上原 幹男

司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。

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