上原総合法律事務所では、 会社や事業主の方から、会社や会社役員が被疑者となっている刑事事件についてのご相談をいただきます。
会社(個人事業主を含む。以下同じ。)や会社役員が刑罰を受けた場合、技能実習や特定技能の在留資格で日本にいる外国人労働者を雇い続けられなくなる可能性があります。
なぜかというと、会社や役員が特定の刑罰を受けると、技能実習実施者(技能実習生を受け入れている会社のこと)または特定技能所属機関(特定技能外国人を雇用している会社のこと)としての基準を満たさなくなることがあるためです。
基準を満たさなくなり、技能実習や特定技能の外国人労働者を雇えなくなると、解雇せざるを得なくなります。
そうすると、貴重な労働力を失いますし、有効に動いていた会社の機能自体を損ないかねません。
この記事では、どのような場合に技能実習実施者または特定技能所属機関としての基準を満たさなくなるのかを説明するとともに、刑罰を避ける方法その他の対策を説明します。
不法就労助長罪とは何かや罰則、外国人を雇用する際の注意点について詳しくはこちらをご参照ください。
不法就労助長罪で摘発された場合の不利益と不起訴にする方法について詳しくはこちらをご参照ください。
Contents
個人事業主・法人または法人役員が労働関係法・出入国管理法違反で罰金になった場合(※)や、個人事業主または法人役員が禁錮以上の刑に処せられた場合、技能実習実施者または特定技能所属機関としての基準を満たさなくなります。
「禁錮以上の刑に処せられた」には、執行猶予がついている場合も含みます。
そのため、事業主や役員が刑事裁判で執行猶予付きの判決を得られたとしても、技能実習実施者または特定技能所属機関としての基準を満たさなくなります。
基準を満たさないとされる期間は、罰金であっても禁錮以上の刑であっても、「刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過」するまでです。
ア 労働基準法違反
長時間労働・過重労働
賃金未払い(最低賃金を下回る賃金の支払い、残業代の未払い)
など
イ 入管法違反
不法就労助長(技能実習生や特定技能労働者の資格外活動を黙認または助長する行為)
虚偽申告(虚偽の内容で技能実習計画を申請したり、特定技能の在留資格を申請したりする行為)
など
ウ 労働安全衛生法違反
安全対策の不備(職場での安全対策を怠り、労働者が危険にさらされる状況を放置する行為)
労災隠し(労災が発生したことを労働基準監督署に報告しない行為)
など
エ その他の違法行為
偽装請負(本来の雇用関係を偽装して請負契約を結ぶことで、労働法規を回避する行為)
偽装請負や労働安全衛生法違反などの場合、外国人労働者が全く関係ないことがあります。
このような外国人労働者が関係していない事案の刑罰でも、技能実習や特定技能の労働者を雇用し続けられなくなる場合がありますので、注意が必要です。
※厳密には、労働関係法・出入国管理法違反以外の罪でも基準を満たさなくなることもあります。
法令違反をしてしまった場合、刑罰を避けるためにすべきことは主に3つです。
まず、社内で起きている事実を把握します。
経営陣や責任者が社内で何が起きているのかを正確に把握できているとは限らないため、事実調査自体に時間がかかることもあります。
事実が把握できたら、事実に応じた処理をします。
被害弁償をしなければならないこともありますし、違法行為が継続しているのであれば停止する必要があります。
事実を明らかにして急ぎの対応ができたら、再発予防体制を作ります。
再発予防は、「もう二度としません」という意思だけの問題にしないよう注意が必要です。
事件から時間が経ったのちにも再発予防が効果的であるために、仕組みとして整える必要があります。
そして、再発予防体制を作っていることを捜査機関に伝えます。
捜査機関は、違法行為がもう生じないことを目指しているため、再発予防体制を構築していることを有利に評価してくれます。
再発予防体制の構築は、捜査機関から見ると、会社に刑罰を受けさせない許容性といえます。
前記のように、会社や役員が刑罰を受けると、外国人労働者を雇えなくなる可能性があります。
外国人労働者が雇えなくなると、場合によっては事業の全部または一部が停止し、日本人労働者の雇用も維持できなくなるかもしれません。
また、事業が急に停止すれば、会社の取引先にも悪影響を与えます。
このように、一つの会社が刑罰を受けることは、場合によってはとても大きな影響を生じます。
これが、会社に刑罰を受けさせない必要性です。
発生した違法行為を適切に処理し、再発予防策を講じている場合、刑罰を受けさせない必要性を考慮して不起訴にしてもらえる可能性は十分にあります。
上原総合法律事務所では、会社・個人事業主・会社役員などからの刑事事件のご相談をお受けしています。
上原総合法律事務所では、元検察官弁護士と労働事件に詳しい弁護士が、外国人労働者を雇用している会社のための弁護活動をしており、外国人労働者を雇い続けたい会社のための最適解を提供します。
お困りの方は、お気軽にご相談ください。
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※事案の性質等によってはご相談をお受けできない場合もございますので、是非一度お問い合わせください。
弁護士 上原 幹男
第二東京弁護士会所属
この記事の監修者:弁護士 上原 幹男
司法修習後、検事任官(東京地方検察庁、奈良地方検察庁等)。検事退官後、都内法律事務所にて弁護士としての経験を経て、個人事務所を開設。 2021年に弁護士法人化し、現在、新宿事務所の他横浜・立川にも展開している。元検事(ヤメ検)の経験を活かした弁護活動をおこなっている。
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